人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「東京・春・音楽祭2019」始まる=「都響メンバーによる室内楽」を聴く~モーツアルト「フルート四重奏曲第1番」、ブラームス「クラリネット五重奏曲」、シューベルト「弦楽五重奏曲」

2019年03月17日 00時23分48秒 | 日記

17日(日)。報道によると、ニュージーランドのモスクで起きた銃乱射事件について、トランプ米大統領は「少数の非常に問題がある人々が起こした」と主張し、白人至上主義が広がっているとの見方を否定したが、容疑者の男はトランプ氏を「新たな白人アイデンティティーの象徴」として支持しているとインターネットに投稿したとされているとのこと トランプがどう主張しようが、白人至上主義者はトランプを白人アイデンティティーの象徴として見ているということだ トランプの影響を受けた こういう危険な輩は世界中で身を潜めている。世界のどこで同じような事件が起こっても不思議ではない アメリカはいつまでトランプを大統領の地位に据え置いておくつもりか

 

         

 

今年も上野の森で開かれる「東京・春・音楽祭」が開幕しました 昨夕、東京文化会館小ホールで「都響メンバーによる室内楽」を聴きました  プログラムは①モーツアルト「フルート四重奏曲第1番ニ長調K.285 」、②ブラームス「クラリネット五重奏曲ロ短調作品115」、③シューベルト「弦楽五重奏曲ハ長調D956」です 演奏はヴァイオリン=矢部達哉、双紙正哉、ヴィオラ=村田恵子、チェロ=清水詩織、森山涼介、フルート=小池郁江、クラリネット=三界秀実です

 

     

 

自席はG列右ブロック左通路側です。会場は9割近く埋まっているでしょうか

1曲目はモーツアルト「フルート四重奏曲第1番ニ長調K.285 」です この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756‐1791)が 1777年に富裕なオランダ商人でアマチュア音楽家だったド・ジャンの依頼により作曲した数曲のフルートのための作品の一つです

第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「ロンド」の3楽章から成ります

4人の奏者が登場、配置に着きます 左からフルート=小池郁江、ヴァイオリン=矢部達哉、チェロ=森山涼介、ヴィオラ=村田恵子という並びです

第1楽章は明るく喜びに満ちた曲想です 第2楽章は一転、悲しみを湛えた沈痛な曲想ですが、間を置かずに演奏される第3楽章は「泣いてたカラスがもう笑う」といったような破顔一笑の曲想に転換します 聴く側が悲しみを引きずっている間に、モーツアルトはもう笑顔で空を飛びまわっています 一瞬のうちに明から暗へ、暗から明へと変化するモーツアルトの音楽の神髄を、小池さんのフルートを中心とするアンサンブルが的確に捉えていました

2曲目はブラームス「クラリネット五重奏曲ロ短調作品115」です この曲はヨハネス・ブラームス(1833-1897)が1891年にマイニンゲンのオーケストラのクラリネット奏者ミュールフェルトに刺激を受けて作曲した作品です それはモーツアルトの「クラリネット協奏曲」の誕生からちょうど100年目のことでした ミュールフェルトがブラームスに果たした役割は、アントン・シュタードラーがモーツアルトに対して演じた役割と似ています

第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アダージョ~ピゥ・レント」、第3楽章「アンダンティーノ~プレスト・ノン・アッサイ、マ・コン・センチメント」、第4楽章「コン・モート」の4楽章から成ります

左からヴァイオリン=矢部達哉、双紙正哉、クラリネット=三界秀実チェロ=清水詩織、ヴィオラ=村田恵子という並びです

第1楽章のクラリネットの演奏を聴いて思ったのは、独特の「寂寥感」です 第2楽章に入ると「渋いなぁ」となりますが、全体を聴いた印象は、モーツアルトの「クラリネット五重奏曲」が天上の音楽とすれば、ブラームスのそれは地上の音楽だということです 別の言葉で言えば、モーツアルトは人間界を超越しているのに対し、ブラームスはあくまで人間的な慈愛に満ちているということです 三界氏のクラリネットをはじめとする5人の演奏は、慈愛に満ちた素晴らしい演奏でした

 

     

 

プログラム後半はシューベルト「弦楽五重奏曲ハ長調D956」です この曲はフランツ・シューベルト(1797ー1828)が1828年8月から9月にかけて作曲した作品です 楽器構成はモーツアルトの「弦楽五重奏曲」がヴァイオリン2、ヴィオラ2、チェロ1なのに対し、シューベルトのそれはヴァイオリン2、ヴィオラ1、チェロ2と低音重視の編成になっています 第1楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「スケルツォ:プレスト~トリオ(アンダンテ・ソステヌート)」、第4楽章「アレグレット」の4楽章から成ります

左からヴァイオリン=矢部達哉、双紙正哉、チェロ=森山涼介清水詩織、ヴィオラ=村田恵子という並びです

この曲で一番好きなのは第2楽章「アダージョ」です ここにはナイーブなシューベルトがいます この美しさは「未完成交響曲」の美しさに匹敵します 5人のアンサンブルは何とニュアンスに満ちていることか

全体を通して、チェロが2本となっていることから低音が強調され、弦楽五重奏曲というよりも交響曲に近いシンフォニックな印象を受けます

さて、この曲は前述の通り1828年8月から9月にかけて作曲されましたが、完成して約2か月後の11月19日にシューベルトは帰らぬ人となっています したがって、31歳の彼がこの作品を音として聴いたかどうかは不明です 初演はシューベルトの死の22年後、1850年9月 ウィーンで行われました 第4楽章「アレグレット」のフィナーレを聴きながら、若くして死去したシューベルトがこれほどまでに美しい作品を聴けなかったとすれば、どんなに悔しい思いをしただろうか、と思いを馳せました

 

     

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