25日(水)。日経朝刊最終面のコラム「私の履歴書」は、現在 歌舞伎俳優の中村吉右衛門さんが連載中ですが、昨日の第23回目は音楽について書かれています 1996年にイタリア巡業に行った際、スカラ座でのマウリツィオ・ポリーニのピアノ・リサイタルでベートーヴェンを聴いて感銘を受け、それ以来ポリーニが来日するたびにコンサートに通っているそうです 自分と年齢が近いこともあって、共鳴するものがあるとのことです。忘れられない音楽はマーラーの「交響曲第5番」で、自分の葬式ではこの曲を流してほしいと思っているくらいだとのこと きっかけは あるコンサートでこの曲を聴いているうちに感涙がほほを伝ったことがあったからだそうです 「こんな感動があるんだ」と自分で客席で体験して改めて、そういうお客様が一人でもいる限り、音楽でも芝居でも、やる意味があるんだ と考えたとのことです
ソリストにしても、オーケストラの一員にしても、仕事だからとか、生活のためとか、ルーティーンとして演奏するのでなく、中村吉右衛門さんのように「やる意味がある」という意識を持って音楽に取り組んでほしいと思います
ということで、わが家に来てから今日で1392日目を迎え、野田聖子総務相の事務所による金融庁への説明要求について、野田総務相は伝え聞いた内容を第三者に漏らしていたことを認め、「慎重さに欠けたと反省している」と述べて謝罪した というニュースを見て感想を述べるモコタロです
安倍首相に限らず 権力を握る者は忖度を求めて圧力をかけることがよく分かった
昨日、夕食に「棒棒鶏」「生野菜と生ハムのサラダ」「マグロの山掛け」を作りました バンバンジーは久しぶりです。ピリ辛の夏メニューです
昨夕、ミューザ川崎で東京フィルのコンサート「絶品フレンチ1~ラヴェル&ドビュッシー」を聴きました これは「フェスタサマーミューザ2018」の一環として開かれた公演です
午後7時の開演に先立って6時20分から2階ホワイエで「ロビーコンサート」がありました フルート首席=斉藤和志、ヴィオラ首席=須田祥子、ハープ=梶彩乃の3人により、ドビュッシー「フルート、ヴィオラ、ハープのためのソナタ」から第1楽章、第3楽章、ラヴェル「ハバネラ形式の小品」(Fl、Hp)が演奏されました。茶髪・黒髪混合の須田さんは東京フィルの顔としてお馴染みですが、斎藤さんの演奏を身近で聴いたのは初めてです。さすがは首席の演奏だと思いました
さて本番です。プログラムは①ラヴェル「道化師の朝の歌」、②同「ピアノ協奏曲ト長調」、③ドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」、④同:交響詩「海」です ②のピアノ独奏は小山実稚恵、指揮はロレンツォ・ヴィオッティです
指揮者のヴィオッティはスイス・ローザンヌ生まれの俊英ですが、7月1日の新国立オペラ「トスカ」で東京フィルを相手に見事なタクト捌きをみせてくれたのが記憶に新しいところです
会場は8割方埋まっているでしょうか オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、その後ろにコントラバスという並び。コンマスは依田真宣です コントラバス・セクションを見てアッと驚きました 何と8人のうち7人が女性奏者なのです こういう編成は初めて見ました。弦楽器は低音楽器に行くほど男性奏者が多いというのが在京オーケストラの傾向だと思っていましたが、東京フィルは例外かも知れません と思って、他の弦楽セクションを見たら、やはり女性が圧倒的に多く男性は数えるほどしかいません もっとも、東京フィルは在京オケの中で最も楽員が多い(132名)ので、降り番の中に男性奏者がいるのだと思いますが、それにしてもこれほど極端に偏っているのにはます。
さて、1曲目はラヴェル「道化師の朝の歌」です この曲はモーリス・ラヴェル(1875‐1937)が1905年にピアノ曲(組曲「鏡」の第4曲)として作曲し、1918年にオーケストラ用に編曲したものです
指揮者のヴィオッティが颯爽と登場します オペラの時はオーケストラ・ピットに入っていたので気が付かなかったのですが、相当背が高いです ヴィオッティの指揮で演奏に入りますが、スペイン調の音楽が南国の熱気を運んでくるようです
2曲目はラヴェル「ピアノ協奏曲ト長調」です この曲はジャズのイディオムを取り入れて1931年に完成した作品です 第1楽章「アレグラメンテ」、第2楽章「アダージョ・アッサイ」、第3楽章「プレスト」の3楽章から成ります
ステージが整えられ、ピアニストの小山実稚恵がヴィオッティとともに登場しピアノに向かいます ヴィオッティの合図で第1楽章の陽気な音楽が速めのテンポで開始されます 小山はヴィオッティのタクトに乗せて躍動感に満ちた演奏を繰り広げます この曲の聴きどころは第2楽章です。ピアノの長いソロから入りますが、ロマンティックで夢想的な音楽で、このまま止まないでくれと祈りたくなるような美しい音楽です コーラングレが優しくそっと寄り添います 間を置くことなく入る第3楽章は一転、ジャジーな音楽でピアノとオケとの丁々発止のやり取りが楽しめます。胸のすくような演奏でした
会場いっぱいの拍手とブラボーに、なぜかピアノ椅子が一つ追加されます 世の中には3つの坂があります。一つ目は登り坂、二つ目は下り坂、そして三つ目は まさか です そのまさかが始まろうとしています。アンコールは小山実稚恵&ヴィオッティの連弾でラヴェル「マ・メール・ロワ」から第5曲「妖精の国」が演奏されました ピアノも弾ける指揮者は少なくありませんが、まさかアンコールでチャイコフスキー国際、ショパン国際 両コンクール入賞者との連弾に挑むとは、その発想が大胆素敵です アンコールの時は名前をヴィオッティからデュエッティに代えても良いかも知れません。会場はやんややんやの喝采です 一番喜んだのは小山さんでしょうね イケメンと連弾できたし
プログラム後半の1曲目はドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」です この曲はクロード・ドビュッシー(1862‐1918)がフランスの詩人マラルメの「半獣身(牧神)の午後」に刺激されて1892年に作曲し、1894年に初演した作品で、ドビュッシーはこの曲によって不動の名声を獲得しました
出だしはフルート奏者に任せているようで、ヴィオッティは指揮台でじっと下を向いたままです ロビーコンサートで演奏した首席フルート奏者の斉藤氏が タイミングを見計らってアンニュイな雰囲気のメロディーを奏でます これが絶妙でした 夢うつつにまどろんでいる牧神の様子がありありと浮かんできます また隣のオーボエ奏者も素晴らしい演奏をします。東京フィルの木管群は結構いけるかも
最後の曲はドビュッシー:交響詩「海」です この曲はドビュッシーが1905年に完成した作品で「3つの交響的スケッチ」という副題が付けられています 第1楽章「海の夜明けから真昼まで」、第2楽章「波の戯れ」、第3楽章「風と海との対話」の3楽章から成ります
ヴィオッティのタクトで演奏が開始されます 彼の指揮を見ていて感じたのは、非常に冷静でバランス感覚の優れた指揮者なのではないかということです それは「トスカ」の指揮で感じたことでもあります。波の動きや、太陽の光を受けて輝く波や、風に吹かれて波打つ海の様子などを、躍動感あふれる演奏で再現していました 私は演奏を聴きながら、ドビュッシーが1905年に出版した交響詩「海」のスコアの表紙に描かれた葛飾北斎の浮世絵「富嶽三十六景」の「神奈川沖浪裏」を思い浮かべていました
ピアニストとしてはともかく、指揮者としてのヴィオッティは、オペラを振らせても、管弦楽を振らせても素晴らしいパフォーマンスを見せてくれます 私は彼に期待したいと思います
先週八ヶ岳高原音楽堂で奏でていた小山実稚恵さん酷暑の下界に降りてなお精力的ですねぇ。今週末に神奈川内湾浪内で彼女のショパン聴きます。
台風接近中で酷暑も中休みになりそうですが、海沿い方面に行かれるのなら気を付けてお出かけください。ブログアップを楽しみにお待ちしております