人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

アトリウム弦楽四重奏団でベートーヴェン「弦楽四重奏曲第3番、第16番、第7番」を聴く ~ サントリホール・チェンバーミュージック・ガーデン / NHK Eテレ「クラシック音楽館」

2022年06月06日 07時18分33秒 | 日記

6日(月)。昨夜、たまたまNHK Eテレを点けたら「クラシック音楽館」でエッシェンバッハ指揮NHK交響楽団によるベートーヴェン「交響曲第7番」の演奏(4月9日:東京芸術劇場)を放映していました 映像を観ていて面白いと思ったのは、コンマスのマロ(篠崎史紀)さんの”余裕の演奏”と、隣席のゲスト・アシスタント・コンマスの郷古廉氏の”一生懸命の演奏”との対比です そして、第1ヴァイオリンは弓が良く揃っているなあ、と感心しました 管楽器では吉村結実さんのオーボエが良く歌っていました テレビで観ると、音を出している演奏者がアップで映し出されるので音楽が視覚化して良いと思いました

ということで、わが家に来てから今日で2703日目を迎え、中国の民主化を求めた学生らが軍に武力弾圧された1989年の天安門事件から4日で33年を迎えたが、マスクに「✕」を書いて無言の抗議をしていた男性が警察車両に乗せられ、連行された  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ロシアでは白紙を掲げた男性が警察に連行されてた  ロシアも中国も同じ強権国家だ

 

         

 

今年もサントリーホール「ブルーローズ」を会場に「サントリホール  チェンバーミュージック・ガーデン」が始まりました コロナ禍の影響で全公演が中止となった2020年を除き、毎年 ほぼ連日「ブルーローズ」通いを続けてきました とくに一つの団体がベートーヴェンの弦楽四重奏曲全曲を演奏する「ベートーヴェン・サイクル」は、これまで全ての団体の全ての公演を聴いてきました しかし、今年はチケットを手配した2月の時点で、厳しい腰痛に悩まされていたので、出来るだけ余裕を持ったスケジュールを組もうと考え、3公演しかチケットを取りませんでした

会場の入口には小ホールの名前の元となった、サントリーが世界で初めて生み出した「青い薔薇(ブルーローズ)」が飾られていました

 

     

 

ということで、昨日、アトリウム弦楽四重奏団による「ベートーヴェン・サイクル 」第1日目の公演を聴きました プログラムは①最初に完成した「第3番」、②最後に完成した「第16番」、③中期の傑作「第7番”ラズモフスキー第1番”」という周到な組み合わせです

アトリウム弦楽四重奏団は2000年ロシアのサンクトペテルブルク音楽院に学ぶ4人で結成されました 2003年に世界的に権威のあるロンドン(現ウィグモアホール)国際弦楽四重奏コンクール第1位、聴衆賞を受賞、2007年には第5回ボルドー国際弦楽四重奏コンクールで優勝しました 現在はベルリンに拠点を置いて活動しています

メンバーは第1ヴァイオリン=ニキータ・ボリソグレブスキー、第2ヴァイオリン=アントン・イリューニン、ヴィオラ=ドミトリー・ピツルコ、チェロ=アンナ・ゴレロヴァです

 

     

 

自席はC3列10番、センターブロック右から3つ目です

1曲目は「弦楽四重奏曲第3番 ニ長調 作品18-3」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770ー1827)が1798年から1800年にかけて作曲した作品18の6つの弦楽四重奏曲のうち最初に完成させた記念すべき作品です 完成の順番は第3番、第1番、第2番、第5番、第6番、第4番です 第3番は第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アンダンテ・コン・モト」、第3楽章「アレグロ」、第4楽章「プレスト」の4楽章から成ります

4人は左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロという配置です 紅一点のアンナ・ゴレロヴァさんは赤を基調とし黒を配したシックな衣装ですが、よく見ると、3人の男性陣は黒のスーツに赤の靴下で統一しており、ゴレロヴァさんの衣装とのコントラストが鮮やかです 全員が男性だったらネクタイの色で統一するところでしょう 第2ヴァイオリンとチェロが楽譜を使用し、第1ヴァイオリンとヴィオラの2人が電子ブックを使用します

第1ヴァイオリンの独奏から演奏に入りますが、とても美しい演奏です 全楽章を聴いた印象は、誰かが突出して目立つことがなく、バランスが取れたアンサンブルを奏でていました また、4人の演奏を聴いていて、作品18の6曲の中で一番最初に完成された作品であるのに、先輩格のハイドンやモーツアルトの影響がほとんどなく、すでにベートーヴェンらしさが現れていることに気が付きました

2曲目は「弦楽四重奏曲第16番 ヘ長調 作品135」です この曲は1826年10月ウィーンで完成、作曲家の死後の1828年3月23日にウィーンでシュパンツィク四重奏団により初演されました 第1楽章「アレグレット」、第2楽章「ヴィヴァーチェ」、第3楽章「アッサイ・レント、カンタンテ・エ・トランクィロ」、第4楽章「ようやくつけた決心:グレーヴ・マ・ノン・トロッポ・トラット ~ アレグロ」の4楽章から成ります

ベートーヴェンの弦楽四重奏曲で一番素晴らしいと思うのは「緩徐楽章」ですが、この作品でも第3楽章がしみじみと心に沁みました ベートーヴェン最後の弦楽四重奏曲ということもありますが、「生かされていることに対する感謝の気持ち」が現れているように思います また 第4楽章は、自筆譜の冒頭に「ようやくつけた決心」という言葉と、「そうでなければならないか?」「そうでなければならぬ」という疑問句と応答句付きの2つの動機が記されています いつも思うのは、むしろ第1楽章の冒頭の音楽こそ、そのようなやり取りに聴こえます いずれにしても、この2つの動機は「深淵な哲学的なテーマを扱っている」という解釈もあれば、「友達から借りた金を返さなければならないか」「返さなければならない」というベートーヴェンの「カノン」に基づくという解釈もあります 2つの動機の音楽そのものからは前者のように受け取れますが、その後の明るく楽天的な音楽を聴くと、後者のような気もしてきます 4人の演奏は、2つの深刻なテーマとその後の楽天的な音楽との対比が鮮やかでした

 

     

 

休憩後は「弦楽四重奏曲第7番 作品59-1 ”ラズモフスキー第1番” 」です    この曲はウィーン駐在ロシア大使ラズモフスキーの依頼により1805年から06年にかけて作曲した作品59の3つの弦楽四重奏曲の最初の作品です 初期の作品18の6曲と比べると、ギアが1段上がったようにスケールが大きくなっています。交響曲で言えば、第3番「英雄」に匹敵するような革新的な作品です 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アレグレット・ヴィヴァーチェ・エ・センプレ・スケルツァンド」、第3楽章「アダージョ・モルト・エ・メスト」、第4楽章「アレグロ」の4楽章から成ります

アンナさんの雄渾なチェロから入りますが、この演奏が素晴らしく、女王の如くです 第2楽章のスケルツォは各楽器の対話が素晴らしい 第3楽章のアダージョは、言うまでもなく心に沁みる音楽です 第4楽章の主題は被献呈者ラズモフスキー伯爵の故郷ロシアの民謡集に由来しますが、4人の丁々発止の演奏が素晴らしく、堂々たるフィナーレを飾りました

満場の拍手に4人は、アンコールにベートーヴェン「弦楽四重奏曲第1番 ヘ長調 作品18-1」から第4楽章「アレグロ」を軽快に演奏、再び会場いっぱいの拍手を浴びました

この日 会場に集まった聴衆は、演奏者がロシアの出身者であるかないかに関係なく、純粋にベートーヴェンの弦楽四重奏曲を聴きたいがために集まったと断言しておきます

 

     


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