26日(日)。普段、ニュース以外はテレビを観ないのですが、昨夜NHKテレビ「突撃!カネオ君」でオーケストラを取り上げていたので観ました
番組では冒頭、日本国内では年間5500回もコンサートが開かれていることが紹介され、驚きました 楽器の話では、ヴァイオリンのストラディヴァリウスは22年のオークションで20億円で落札されたこと、弓は最も高価なものは1000万円もするという事実にも驚きました また、チェロは飛行機に乗る時は楽器専用の座席も確保しなければならず、15000円を自腹で払わなければならないので”痛い”という話には同情を禁じ得ませんでした 楽器をやるんだったらピッコロがいいかな また、オーボエ奏者は、湿度により楽器の音が変わるので、リードを削って何本も準備しなければならないのが大変であると語っていました シンバル奏者は出番が少ないが、反って緊張感を持続するのが大変なこと、またギャラは演奏する時間が長い弦楽器奏者等と同じであることから、冷たい視線に耐えなければならないことを語っていました シンバルの出番が少ない例としてドヴォルザーク「交響曲第9番”新世界より”」の第4楽章の序盤で、1度だけ弱音でシンバルが鳴らされることが紹介されました
この「シンバルの1打」をテーマにしたテレビ番組がありました。1975年2月2日放送「東芝日曜劇場」(第947回)で、脚本は倉本聰、主演はフランキー堺、タイトルは「ああ!新世界」です
「札幌市民会館の大ホールでのオーケストラ演奏会のステージに、10年ぶりにシンバルを手にした男が『新世界交響曲』の第4楽章でただ1回だけ鳴るシンバルのために、打楽器セクションに座っている。演奏が始まり、遂にその瞬間が来る・・・・」
彼はシンバルを叩くことが出来なかった、と記憶しています 人生いろいろ 男もいろいろ
ということで、わが家に来てから今日で3421日目を迎え、戦時中にも関わらずトップが交代したロシア国防省で、汚職などの容疑で幹部の逮捕が相次ぐ異例の事態となっている というニュースを見て感想を述べるモコタロです
プーチン・ロシアは 国そのものが侵略・強奪・誘拐・破壊主義だから 当然の帰結
高原英理著「不機嫌な姫とブルックナー団」(講談社文庫)を読み終わりました 高原英理は1959年、三重県生まれ。小説家、文芸評論家。立教大学文学部日本文学科卒。東京工業大学大学院社会理工学研究科博士課程後期修了。1985年「第1回幻想文学新人賞」受賞。1996年「第39回群像新人文学賞評論部門優秀作」受賞
この作品は2016年8月に講談社から刊行され、2024年4月に文庫化するにあたり一部を加筆・修正したものです
図書館の非正規職員として働く代々木たゆきはサントリーホールで開かれたクラシックコンサートで「ブルックナー団」を名乗る3人組に出会う 仲間扱いを邪険にあしらう たゆき だったが、かっこ悪いが「ブルックナー偏愛」を貫く3人のブルオタ(ブルックナーオタク)の姿に感化され、翻訳家に憧れたかつての気持ちを思い出す
「ブルックナー団」のメンバーは、最初に たゆき に声をかけた武田一心、小太りの玉川雪乃進、小柄な一本橋完治という3人です
武田は「ブルックナー伝(未完)」という小説を執筆し、「ブルックナー団」公式サイトにアップしています それは第1章「我が被りたる醜聞事件の顛末」、第2章「我が赴くは至上なる栄誉の地バイロイト」、第3章「ハンスリック、我が永遠の敵」、第4章「史上最悪なる我がコンサートの果てに」、エピローグ「我が願えるはただ遠き後の日」から構成されています
第1章では、素朴な中年の独身男ブルックナーが少女へのセクハラ言動の疑いで職を追われそうになる顛末を描いています 第2章では、尊敬するワーグナーに交響曲第2番と第3番を献呈するためにバイロイトに赴いた時のエピソードを描いています 第3章では最初はブルックナーに好意的だった評論家ハンスリックが、ブルックナーがワーグナーを崇拝していることを知るや反旗を翻し、厳しい批評を加えるようになった顛末を描いています 第4章では交響曲第3番を自らの指揮でウィーン・フィルを振って初演した時の失敗談を描いています エピローグでは、交響曲第7番の成功によりようやく作曲家として認められたブルックナーだったが、ハンスリックからの厳しい批評が続き、指揮者は長すぎる交響曲の一部カットを求め、ブルックナーはそれに従わざるを得なかったこと。しかし、いつの日か原典版を未来の聴衆が認めることになるだろうという希望が描かれています
本書のストーリーは、上記の「ブルックナー伝」の各章を随所に挟みながら展開していきます
そもそも最初に武田が たゆき に声をかけたのは、女性がブルックナーを聴きに来ること、しかも一人で聴きに来ることが珍しかったからです 休憩時間に長蛇の列ができるのは決まって男子トイレです 私がブルックナーの交響曲のコンサートで初めて男子トイレに長蛇の列ができると認識したのは、40年近く前のことです その時一緒に聴いていた友人が「ブルックナーの時は男子トイレが混むよね」といったのを強烈に覚えています。それ以来、私は「ブルックナー公演における男子トイレ長蛇の列の法則」と呼んでいます
クラオタ(クラシック・オタク」の中でもブルックナーの場合は「ブルオタ」(正式には「ブルヲタ」らしい)と呼ばれます カーテンコール時の指揮者単独の登場は「一般参賀」と呼ばれています。天皇誕生日などの際、皇居で天皇が出てきて、押しかけた民衆に手を振る行為になぞらえている言葉です ブルックナー公演に限らず見られる光景ですが、ブルックナーの場合はほぼ必ず見られる光景です
なお本書には「ブルックナー団員資格認定テスト」(全9問)というのが掲載されていて、ブルックナーに関する知識を試すことが出来ます それは次のようなものです
あなたのブルックナーマニア度を確かめます。次のアンケートにお答えください(「はい」「いいえ」のどちらかを選ぶ)。
①ブルックナーの交響曲は全曲、全楽章ごとに主題の区別ができる。
②ブルックナーの音楽を録音したCDを100枚以上持っている。
③ブルックナーの交響曲の版ごとの違いがすべてわかる。
④ブルックナーの曲がプログラムにある演奏会に年20回は行く。
⑤交響曲は形式の明快さより、よいフレーズの繰り返しと多彩な和声の工夫をこそ聴きたい。
⑥音楽さえ良ければ作曲家の外見は全く問題ではない。
⑦交響曲第3番初演、と聞くと涙が止まらない。
⑧エドゥアルト・ハンスリックを一生の敵と考えている。
⑨ブルックナーの弟子の名前を5人以上言える。
いかがですか? 私は②が103枚で「はい」、⑥も外見は問題ないので「はい」、それ以外は「いいえ」でした とてもブルオタの域には達していません
本書はブルックナーの人物像とともにブルオタの性癖(?)がよく描かれています ブルオタとその予備軍の必読書と言ってもよいでしょう なお、本書は「ビニ本」です。懐かしい響き 文庫本全体がビニールで覆われていて 中を立ち読みすることができません これは講談社の販売方針です。買うしかありませんね
なお、私はいつも本を読む時は予習CDを聴きながら読んでいますが、この本に限ってはブルックナーのCDを聴きながら読みました
ブルックナーのCDは100枚以上持っていますが、2番以前は持っていません。どうも偏り過ぎています
第6番はかなり難しい曲ですが、第9番はいい曲です。3楽章までしかない(未完)ので一度聴いてみてはいかがでしょうか。とは言え1時間以上かかりますが・・・とりあえず第3楽章「アダージョ」だけでもいかがでしょう
今度ブルックナーの第8番を聴くときは2枚目から聴くことをお薦めします
何故なら、気がついたら2枚目で寝ているのです。
私にとってこの曲は気に入った部分がないためか睡眠導入曲と化しています。
一応CDの交響曲は2番以外有りますが、6番と9番は30年以上封が切られていません。
昔 夫の仕事絡みでサンプル版をよく貰っていたので、
他にも未開封のCDが色々ありますが一応とってあります。