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人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

新国立オペラでロッシーニ「セビリアの理髪師」初日公演を観る ~ 脇園彩、ローレンス・ブラウンリー、ロベルト・デ・カンディア、ジュリオ・マストロトータロにブラボー!

2025年05月26日 00時03分52秒 | 日記

26日(月)。わが家に来てから今日で3786日目を迎え、北朝鮮の朝鮮中央通信によると、北朝鮮が建造した5000トン級の駆逐艦が浸水に失敗した事故を巡り、北東部・清津(チョンジン)の造船所の技師長ら3人が拘束された  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

金正恩将軍様の目の前で失態を演じたこの3人は 良くて強制収容所送り 悪くて公開処刑だろう

         

昨日、新国立劇場「オペラパレス」で新国立オペラ、ロッシーニ「セビリアの理髪師」初日公演を観ました 出演はロジーナ=脇園彩、アルマヴィーヴァ伯爵=ローレンス・ブラウンリー、バルトロ=ジュリオ・マストロトータロ、フィガロ=ロベルト・デ・カンディア、ドン・バジリオ=妻屋秀和、ベルタ=加納悦子、フィオレッロ=高橋正尚、隊長=秋本健、アンプロージオ=古川和彦。管弦楽=東京フィル、合唱=新国立劇場合唱団、指揮=コッラード・ロヴァーリス、演出=ヨーゼフ・E・ケップリンガーです

「セビリアの理髪師」はジョアキーノ・ロッシーニ(1792-1868)が1816年にローマのアルジェシティーナ劇場で初演したオペラです

アルマヴィーヴァ伯爵は、町一番の美人ロジーナに一目ぼれする しかし、財産目当てでロジーナにご執心の後見人バルトロのせいで、ロジーナはアプローチ不可能の箱入り娘状態 そこで伯爵は、お金さえもらえれば散髪から身の上相談、恋の仲介、手紙の代筆まで何でもござれの”町の便利屋”フィガロに助けを求める あの手この手でバルトロ家に侵入し、伯爵の想いはロジーナに伝えられるが、大混乱を引き起こす フィガロの機転でピンチを脱し、すったもんだの末にハッピーエンドで幕を閉じる

私が新国立オペラ「セビリアの理髪師」を観るのは2002年、2005年、2006年、2012年、2016年、2020年に次いで今回が7回目です また、ヨーゼフ・E・ケップリンガーの演出で観るのは2005年以来6回目です。ということは、20年間同じ演出で観てきたことになります ほとんどのシーンは頭に記憶されていますが、冒頭、序曲の演奏の間に登場人物全員が登場し、パントマイムで小芝居をするシーンは、「あれ、こんな開始だったかな」と思ってしまいました 忘却とは忘れ去ることなり

ケップリンガーの演出は、舞台をフランコ政権下の1960年代のセビリアに移し替えています フィガロは「町の便利屋」を自称していますが、本演出では、子どもたちを手なずけてスリをやらせてお金を稼いでいます また、バルトロ家の家政婦ベルタは近くで娼館を営んでいて金儲けをしています

ステージは回転舞台で、正面は下の写真のように3階層となっていて、中央の階段を境にして部屋が左右に各3つずつあります 1階と2階の部屋はらせん階段で繋がっています 歌手たちは中央の階段やらせん階段を使って上下左右の部屋を行き来するので、相当の運動量です

さて、歌手陣は世界レヴェルが揃い踏みでした 現在望み得る最高の歌手陣と言っても過言ではありません

ロジーナ役の脇園彩は東京生まれのメゾソプラノです 東京藝大大学院修了。2013年文化庁派遣芸術家在外研修員としてパルマ国立音楽院に留学。ペーザロのロッシーニ・アカデミー及びミラノ・スカラ座アカデミー修了 ヨーロッパ各国の歌劇場で活躍し、日本では2017年藤原歌劇団「セビリアの理髪師」ロジーナでオペラデビュー 主にロッシーニ、モーツアルトとベルカント作品をレパートリーとしてイタリアを拠点に活躍しています 新国立オペラへは2019年「ドン・ジョヴァン二」ドンナ・エルヴィーラでデビュー、20年「セビリアの理髪師」ロジーナ、21年「フィガロの結婚」ケルビーノ、「チェネレントラ」タイトルロール、23年「ファルスタッフ」ページ夫人めぐに出演し喝采を浴びました 前回(2020年)に続いての登場ですが、今回も最高の歌唱、最高の演技でコメディエンヌぶりを発揮しました 第1幕のカヴァティーナ「今の歌声は」では力強くも美しいコロラトゥーラで、自立した女性ロジーナを見事に歌い上げ大喝采を浴びました 第2幕冒頭では、バジリオの弟子アロンソと偽って変装したアルマヴィーヴァ伯爵とバルトロが2階右側の部屋で二重唱を歌っている間、左側の部屋ではロジーナ役の脇園彩が二重唱に合わせてシャドウボクシングをしたり、Y字バランスをしたり(彼女、身体が柔らかい!)、ノリノリで踊ったりして笑いを誘いました 私には、現在 ロジーナ役は脇園彩以外 考えられません

アルマヴィーヴァ伯爵役のローレンス・ブラウンリーはアメリカ出身のテノールです メトロポリタン歌劇場、ミラノ・スカラ座、バイエルン州立歌劇場、英国ロイヤルオペラをはじめ世界各国で主要な役で登場し絶賛されています 新国立オペラでは2006年「セビリアの理髪師」アルマヴィーヴァ伯爵を、21年「ルチア」エドガルトに出演し称賛されました 現代におけるベルカントオペラの第一人者と言っても過言ではないでしょう 特に第2幕終盤の「もう逆らうのはやめろ」とバルトロを一喝する開始部から、ロジーナに優しく呼びかけるカンタービレ、そして喜びを表すカバレッタまでの一連の長大なアリアは圧巻のひと言でした 私はこれまでアルマヴィーヴァ伯爵役はペルー出身のフアン・ディエゴ・フローレスが最高だと思っていましたが、ブラウンリーは彼に勝るとも劣らないベルカント歌手だと思いました

バルトロ役のジュリオ・マストロトータロはイタリア出身のバリトンです ロッシーニを中心にヨーロッパ各国の歌劇場で歌っています 第1幕で、便せんが1枚足りないロジーナの言い訳に怒るバルトロのアリアの、後半で歌う”早口言葉調”の超絶技巧の歌唱は見事でした 演技力も十分でしたが、狡猾なバルトロにしてはスマートでカッコよすぎるのが難でした これはない物ねだりです

フィガロ役のロベルト・デ・カンディアはイタリア出身のバリトンです ミラノ・スカラ座、英国ロイヤルオペラ、メトロポリタン歌劇場をはじめ世界各国のオペラハウスで活躍しています 新国立オペラでは1999年「マノン・レスコー」レスコー、2002年「セビリアの理髪師」フィガロ、09年「チェネレントラ」ダンディー二、18年「ファルスタッフ」タイトルロールに続き5回目の登場となります 圧倒的な声量と卓越した演技力で存在感を示します 特に第1幕序盤におけるカヴァティーナ「登場のアリア」は圧巻で、大喝采を浴びました

ドン・バジリオ役の妻屋秀和は新国立オペラの常連バス歌手です 1994年~2001年にライプツィヒ歌劇場、02年~11年にワイマールのドイツ国民劇場の各専属歌手を務めました 第1幕で「蔭口が広まる恐ろしさ」を歌うアリアはロッシーニクレッシェンドで歌い上げ、満場の拍手を浴びました

ベルタ役の加納悦子は東京藝大、ケルン音大で研鑽を積み、ケルン市立歌劇場専属歌手を歴任したメゾソプラノです 新国立オペラでは常連歌手として活躍しています 第2幕で歌う 恋に振り回される男女に呆れ、自分の老いも風刺したアリアは説得力がありました  私はこのアリアが大好きです

指揮を執るコッラード・ロヴァーリスはベルガモ生まれ。フィラデルフィア・オペラ音楽監督、アートスフィア音楽祭管弦楽団音楽監督を務めています ベルカントやヴェリズモ・オペラで特に評価されています 新国立オペラでは2019年「ドン・パスクワーレ」、23年「ファルスタッフ」を指揮しました

ロヴァーリス ✕ 東京フィルはオペラ・ブッファの楽しさを演奏を通して伝えてくれました

演出のヨーゼフ・E・ケップリンガーはウィーン生まれ。アメリカで演劇を学んだ後、ウィーン音楽大学でピアノと声楽を学び、在学中から俳優・歌手として活躍しました 現在、ゲルトナーブラッツ州立歌劇場の総監督を務めています 今回の公演の時代を1960年代に移していますが、まったく違和感がありませんでした カラフルでポップな舞台作りはブッファに相応しく、楽しく鑑賞することが出来ました

何度も何度もカーテンコールが繰り返され、ブラボーとブラビーが飛び交い、満場の拍手がステージに押し寄せました 本公演はロッシーニのオペラの本質を突いた素晴らしい公演でした

2025年はあと数日で5か月が過ぎますが、本公演はこれまで聴いたクラシック関係のコンサート&オペラ公演の中で「マイ・ベスト1」と言っても良いと思います これほど楽しいオペラはありません あと4回ありますので、時間と興味のある方は是非鑑賞することをお薦めします 絶対 後悔しません

         

今日は東京オペラシティコンサートホールで「伊福部昭総進撃 キング伊福部まつりの夕べ」を聴きます


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