人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ベッリーニ「夢遊病の女」を聴く~藤井冴(ソプラノ)東京藝大博士後期課程学位審査会 / 変わる音大による音楽家の育て方~日経の記事から

2017年01月29日 08時15分50秒 | 日記

29日(日).昨日,上野にコンサートを聴きに行ったのですが,上野公園の噴水広場から東京都美術館に行く途中の寒桜が満開でした 寒い毎日が続きますが,案外春は近いのかも知れません

 

          

 

ところで,昨日の朝日朝刊・国際面に「自国第一主義『人々を引き裂く』~アルゲリッチ氏」という見出しの記事が載りました.超訳すると

「27日の『国際ホロコースト記念日』を前に,パリのユネスコ本部で,マルタ・アルゲリッチとユネスコ親善大使を務めるイブリー・ギトリスによる記念コンサートが開かれた ホロコーストの生存者らを前に,ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ『春』などを演奏した  アルゲリッチは演奏後,『広島・長崎(の原爆投下)とアウシュビッツは人類にとって,最大の悲劇  ともに記憶されなければならない』と朝日記者に語った.自国第一主義を掲げるトランプ米大統領について,『人々を引き裂く考え方は容認できない.最も危険なことだ』と批判した」

「アメリカさえ良ければ他の国はどうなってもよい」というトランプ大統領に対しては,他の芸術家もアルゲリッチのようにもっと情報発信して批判した方が良いと思います まさか,トランプが芸術の分野にまで口出ししてくるとは思いませんが,はっきり言って「何をやるか予測できない」のがトランプという人なので油断は出来ません 世界的に困った人です

ということで,わが家に来てから今日で852日目を迎え,英国のメイ首相と会談したトランプ米大統領が「NATOの重要性を再確認し,アメリカと英国は特別な関係を支え続ける」と述べたというニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

          

           英国May首相は米トランプ大統領にMayday(救助信号)を発信したんだろうか?

 

  閑話休題  

 

昨日の日経朝刊文化面に文化部・岩崎記者による「転調🎵 音楽家の育て方」という見出しの記事が載りました.超訳すると

「音楽家を育てる国内の大学が教育体制について様々な策を講じている 東京藝大は小中学生を対象にした音楽の早期教育に力を入れ始めた.海外の大学との競争などで入学志願者が減少していることへの危機感が背景にある 同大は2014年に早期教育プログラムをスタートさせた.入学志願者がこの10年で25%ほど減少したことから,早い段階で東京藝大に興味を持ってもらうのが目的だ.17年度からは中学生を対象とした音楽塾『東京藝大ジュニア・アカデミー』を新設し,一貫指導の体制を強化する

一方,これまで早期教育を主に担ってきた私立の音大の間では教養教育を重視する動きが出て来た 斎藤秀雄氏のもと小澤征爾らを輩出してきた桐朋学園は,70年近い伝統がある『子供のための音楽教室』から大学までの一貫教育,エリート音楽家を養成する『ディプロマ』コースにより成果を上げてきたが,今年4月,大学院の修士・博士課程を新設する これまで大学生が引き続き学ぶ場合は『研究生』として大学に残っていた.近年,高校・大学で『子供のための音楽教室』出身者の割合が低下していることが背景にある 

東京音楽大学では,今年4月,『ミュージック・リベラルアーツ専攻』を新設する 欧州の歴史や文化,語学に精通した音楽家や,音楽以外の分野でも活躍できる人材を育てる狙い.こうした動きについて,ヤマハ音楽振興会の三木渡常務理事は『エリート養成と音楽家以外の道も探る教養教育とに音大の対応は2極化していく』と指摘する

この記事を見て まず最初に思ったのは,今まで桐朋学園には大学院が無かったのかということです 東京藝大の対応は,五嶋みどりや庄司紗矢香をはじめ 幼少時から海外の大学や音楽院に”留学”して世界的に活躍するケースが多くなっていることへの危機感があるのだと思います 音大を出ても,皆が皆 音楽家になれるわけではない現状をみると,ヤマハの三木氏が指摘するような2極化傾向になっていくのではないかと思います.いずれにしても,幼少時から大学卒業まで膨大な教育費を負担しなければならない親御さんは大変ですね.深く同情します

 

          

            東京藝大奏楽堂のロビーに掲げられた「早期教育プロジェクト」のポスター

 

  も一度,閑話休題  

 

昨日,上野の東京藝大奏楽堂で,ソプラノ藤井冴の藝大後期課程学位審査演奏会,ベッリーニ:歌劇「夢遊病の女」のハイライト上演があったので聴きに行きました 入場無料で全自由席です.開場=午後2時半,開演=3時ですが,2時20分頃藝大奏楽堂に着いたらすでに長蛇の列で,最後列は藝大入口から奏楽堂に向かう途中のベートーヴェンの胸像あたりでした(これは列が相当長いことを意味します) それでも1階13列14番,センターブロック左から2つ目の席を押さえました

オーケストラ・ピットを含めて前から8列目までは一般客が座れないようになっていますが,それを除けば満席状態です 大学院の審査演奏会にこれ程の一般客が入るのは驚きです なお オーケストラ・ピットにはオケが入るわけではなく,指揮者・上野正博氏とピアノ演奏・村上尊志がスタンバイします 舞台と衣装は極めてシンプルです.審査会なので余計な装飾はいらないのでしょう.これで十分です

 

          

 

オペラ「夢遊病の女」のストーリーを超簡単にご紹介すると

「エルヴィーノとアミーナは婚約中だが,アミーナは夢遊病を患っており,眠って歩きながら 村のかつての領主の息子・ロドルフォ伯爵の部屋に潜り込んで眠り込んでしまう それを 密かにエルヴィーノを慕っていたリーザに発見され,リーザがエルヴィーノに密告したため,怒ったエルヴィーノは婚約を破棄しリーザと結婚すると宣言する しかし,ロドルフォがアミーナは夢遊病であることに気付き,周囲に説明したことから誤解が解け,エルヴィーノとアミーナは結ばれる

という内容です

全2幕から成りますが,この日は第1幕から7曲,第2幕から3曲が歌われました 途中の幕間で15分の休憩がありました

ヒロインの夢遊病の女・アミーナを歌った藤井冴はとても良かったと思います ベッリーニ特有の息の長いベルカントを見事に歌い上げました 彼女と同じくらい素晴らしいと思ったのはエルヴィーノを歌ったテノールの山本康寛です ベッリーニ,あるいはロッシーニにピッタリの良く通る甘い声です リーザを歌ったソプラノの横山和美は小柄ながら声量があり迫力満点でした ロドルフォを歌った伊藤純は低音の魅力たっぷりでした

こんなに水準の高い演奏がピアノ伴奏版とは言え無料で聴けるのはとても有難いと思います 藝大にはぜひ続けて欲しいと思います

なお,この公演を聴くにあたって,マリア・カラスがアミーナを歌ったCDで予習しておきました

 

          

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