30日(木)。わが家に来てから今日で2129日目を迎え、製薬会社や医療機関がコロナ治療薬の研究を急いでいるものの まだ治療法は確立していない中、トランプ米大統領が27日夜、新型コロナウイルスに関して「治療法はある。米国よ目を覚ませ」と主張する投稿をリツイートしたことに対し、ツイッター社は間もなく「誤情報規制に反する」として、このリツイートを削除した というニュースを見て感想を述べるモコタロです
「治療法はまだない。トランプよ目を覚ませ」というのが多くの米国民の警告だ
昨日、夕食に「親子丼」と「生野菜サラダ」を作りました 全国的な大雨で野菜が高騰していますね でも野菜は毎日摂らなければと思います
昨夕、ミューザ川崎シンフォニーホールでフェスタサマーミューザ2020参加公演「読売日本交響楽団」のコンサートを聴きました プログラムは①モーツアルト「交響曲 第32番 ト長調 K.318」、②プーランク「2台のピアノのための協奏曲」、③サン=サーンス「動物の謝肉祭」、④モーツアルト「交響曲 第31番 ニ長調 K.297 ”パリ”」です 演奏は②③のピアノ独奏=反田恭平、務川慧悟、指揮=下野竜也です
公演に先立って、開演40分前から下野氏のプレトークがありました 真っ赤な開襟シャツの胸に書かれているのは「Hiroshima」で、背中には00の番号が 言うまでもなく広島カープのユニフォームです 下野氏は2006年から2017年まで読売日響の正指揮者・首席客員指揮者を務めましたが、現在は広島交響楽団の音楽監督を務めています 読響の同族グループ読売巨人軍に喧嘩を吹っ掛けたわけではありません 「カープ愛」と言っておきます 読響のコンマスで広島出身の長原幸太氏もカープ・ファンなので、この日のコンマスが日下紗矢子さんでなく、長原氏だったら別の意味で盛り上がったかもしれません
話好きな下野氏は、この日のオケの編成、演奏される曲目や出演者について解説しましたが、興味深かったのはオケの編成です 「コロナ禍で思うように演奏ができないなか、こういう時だからこそ、今までできなかったことに挑戦してみようと思った」として、「昔 映像で観たストコフスキーが執った配置で演奏することにした すなわち、舞台下手(左サイド)に弦楽器を、上手(右サイド)に管楽器を配置して演奏します」と語りました 予定の20分を超過しましたが、実に有意義なプレトークでした
さて本番です。自席は2CB3列39番です。プレトークで解説された通り、オケは左サイドに弦楽器が、右サイドに管楽器とティンパニが配置されています 2曲目のために舞台中央に2台のピアノが向かい合わせで設置されています。総勢34人位の編成ですが、弦楽器はほぼ1.5メートル間隔、管楽器はほぼ2メートル間隔のソーシャルディスタンスを取っており、譜面台は1人1台を使用します これまで見た中では、N響が一番間隔が広く、次が読響で、その次が東響と神奈川フィルといったところです。なんだか年収順のような気がしないでもないですが、きっと気のせいでしょう なお、演奏者はマスクを着用していません。その必要はない距離です
1曲目はモーツアルト「交響曲 第32番 ト長調 K.318」です この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756‐1791)が1779年に生まれ故郷のザルツブルクで作曲した作品です 第1楽章「アレグロ・スピリトーソ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「プリモ・テンポ」の3楽章から成りますが、続けて演奏されます
下野氏の指揮で演奏に入りますが、この人の真骨頂はメリハリのある音楽作りです キビキビとした指揮による少数精鋭の読響で聴くモーツアルトは、まるで単一楽章によるオペラの序曲(シンフォニア)のように聴こえます 溌剌とした素晴らしい演奏でした
2曲目はプーランク「2台のピアノのための協奏曲」です この曲はフランシス・プーランク(1899-1963)が1932年に作曲、同年にヴェネツィア現代音楽祭で初演されました
第1楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ」、第2楽章「ラルゲット」、第3楽章「フィナーレ:アレグロ・モルト」の3楽章から成ります
私が初めてこの曲を聴いたのは、ン十年前にラベック姉妹のピアノで聴いた時ですが、あまりにも昔過ぎて演奏内容をほとんど覚えていません
モスクワ音楽院を経て現在ショパン音楽大学で学び、2015年のロシア国際音楽祭でマリインスキー劇場デビューを果たした反田恭平と、2019年のロン=ティボー国際コンクール第2位で脚光を浴びた務川慧悟がピアノに向かいます 向かって左(第一)を反田、右(第2)を務川が努めます
あらためて生演奏でこの曲を聴いて、新鮮な驚きを覚えました この曲はこれほど刺激的な音楽だったのか、と 第1楽章と第3楽章における二人のピアニストのパワフルで鋭角的な演奏に魅了されました また、第2楽章「ラルゲット」は、プレトークで下野氏が語っていた通り、モーツアルトの「ピアノ協奏曲第20番ニ短調K.466」の第2楽章「ロマンツェ」をパクったような曲想で、「一筋縄ではいかないモーツアルト」といった感じでした 二人のピアニストは息がピッタリでした
二人はアンコールにモーツアルト(グリーグ編・2台ピアノ版)「ピアノ・ソナタ ハ長調K.545」から第1楽章「アレグロ」を鮮やかに演奏、大きな拍手を浴びました
プログラム後半の1曲目はサン=サーンス「動物の謝肉祭」です この曲はカミーユ・サン=サーンス(1835‐1921)が1886年に作曲した作品です 第1曲「序奏と堂々たるライオンの王の行進」、第2曲「雌鶏と雄鶏」、第3曲「ラバ」、第4曲「亀」、第5曲「象」、第6曲「カンガルー」、第7曲「水族館」、第8曲「耳の長い登場人物」、第9曲「森の奥のカッコウ」、第10曲「大きな鳥籠」、第11曲「ピアニスト」、第12曲「化石」、第13曲「白鳥」、第14曲「終曲」から成ります
ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスとクラリネット、フルート、打楽器(シロフォン他)、ピアノの総勢16人による演奏です この曲を聴くと、いかにサン=サーンスが他の作曲家の作品をシニカルに捉えて、おちょくっているかがよく分かります 例えば、第4曲「亀」はオッフェンバックの「天国と地獄」の速いテンポの音楽をわざとゆっくりと演奏することにより亀の歩みを描いています 第8曲「耳の長い登場人物」は、ロバを想定していたとか、サン=サーンスが嫌っていた音楽批評家への皮肉だとも言われていますが、ヴァイオリンが弾くヒャックリのような音楽は、まるで音楽批評家が語る批判のようです また、第11曲「ピアニスト」はまるで初心者がピアノを弾くようにわざと下手に弾かなければなりません 努力して下手に弾く二人のピアニストの連弾を聴いて、思わずニヤニヤしてしまいました 下野氏は、2曲ずつ簡単な解説を加えながら、演奏者を一人一人紹介していきました この辺は、この指揮者の古巣への気遣いが感じられました
さて、最後の曲はモーツアルト「交響曲 第31番 ニ長調 K.297 ”パリ”」です この曲はモーツアルトが1778年にコンセール・スピリチュエルの支配人J.ルグロの依頼により作曲、同年パリで初演されました モーツアルトの交響曲としては初めてクラリネットを用いています
第1楽章「アレグロ・アッサイ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「アレグロ」の3楽章から成ります
下野氏はこの曲でもキビキビとした指揮ぶりで、メリハリの効いた音楽作りを展開し、若きモーツアルトの溌剌とした音楽を読響から引き出しました
演奏後、下野氏は「コロナ禍のもと、音楽は不要不急のものと思われがちであるが、私たちは不要なものだとは思っていない 聴衆の皆さまあっての活動だが、職業として音楽をやることを誇りに思っている。ここにいる楽団員の皆も同様だと思う。一日も早くコロナが解消し、マーラーが演奏できるようになると良いと思う」と語ったので、思わず大きな拍手をしてしまいました
下野 ✕ 読響は、アンコールにサン=サーンス作曲、読響打楽器奏者・野本洋介編曲による「アヴェ・マリア」をしっとりと演奏し、コンサートを締めくくりました
会場を後にしながら、下野氏は「聴衆がコンサートを聴き終わって、幸せな気分で帰ってもらうにはどうしたらよいか」を常に考えている 得がたい指揮者だな、と思いました 彼こそクラシック音楽界きっての演歌テナー、もとい、エンターテナーだと思います