2日(日)。わが家に来てから今日で1951日目を迎え、トランプ米大統領の「ウクライナ疑惑」を巡る上院の弾劾裁判は31日、証人を召喚するための採決が行われ、与党・共和党の反対多数で否決、野党・民主党が求めたボルトン前大統領補佐官らの召喚は行わないまま審理を終了することになった というニュースを見て感想を述べるモコタロです
これでトランプは無罪になるらしいけど 近い将来 共和党が後悔する日がくるぜ!
昨日、新宿ピカデリーで山田洋二監督「男はつらいよ 50 お帰り 寅さん」(2019年・116分)を観ました ブログネームを tora としている私にとっては他人事ではありません 「男はつらいよ」は、山田洋二監督により1969年に第1作が劇場公開されてから50周年を迎え、1997年の「男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 特別編」以来22年ぶりに製作された作品です 倍賞千恵子、前田吟、吉岡秀隆らとともに、歴代マドンナからは後藤久美子、浅丘ルリ子らも出演、さらに在りし日の渥美清が登場します
柴又の帝釈天の参道にかつてあった団子屋「くるまや」は、現在はカフェに生まれ変わっていた その裏手にある住居では車寅次郎の甥である満男(吉岡秀隆)の妻の7回忌の法事で集まった人たちが思い出話に花を咲かせていた サラリーマンから小説家に転身した満男の最新作のサイン会の行列の中に、満男の初恋の人で結婚の約束までしたイズミ(後藤久美子)の姿があった イズミに再会した満男は「会わせたい人がいる」とイズミを小さなジャズ喫茶に連れて行く。その店はかつて寅次郎の恋人だったリリー(浅丘ルリ子)が経営する喫茶店だった
満男が昔を回想するシーンの中に車寅次郎を巡る数々のエピソードが再現されます まず最初に驚くのは、若き日の倍賞千恵子のハッとするような若さと美しさです 前田吟も若かった ひろしがさくらにプロポーズするシーンでは思わず涙が出ました おばちゃん(三崎千恵子)もおいちゃんも懐かしい おいちゃんは森川信(第1~8作)、松村達雄(第9~13作)、下條正巳(第14~48作)と受け継がれてきましたが、私が「これこそ おいちゃんだ」と思うのは初代の森川信です。寅が失恋するたびに、首を振って「バカだねえ、ほんと、バカだねえ」と嘆くセリフが忘れられません また、寅が失敗をしでかし、頭痛がして寝込むときの「おい まくら、さくら持ってきてくれ」も名セリフです もちろん「おい さくら、枕もってきてくれ」の言い違えです このシーンは残念ながら今回の映画には収録されていません また、寅さんは数々の人生訓を残しています。その中で最も印象に残っているのは、思春期の満男から「おじさん、人間って何のために生きてるのかなぁ?」と訊かれた時に答えた「何というかなぁ、あ~生まれてきてよかった、そう思うことが何べんかあるだろう。そのために人間は生きてるんじゃねえのか?」というセリフです
歴代のマドンナは多分 全員が登場(4Kデジタル修復)しています ちなみに、全作品の中で今回を含めて最多出演は浅丘ルリ子と後藤久美子の各6回、次いで竹下景子が3回、栗原小巻、吉永小百合、大原麗子、松坂慶子が各2回で、その他のマドンナは各1回です
今回収録された寅さんのエピソードの中で一番面白かったのは「メロン騒動」です 「車屋の家族がリリーと一緒に いただき物のメロンを食べているところに寅が帰ってくる。しかし、誰も 寅の分を勘定に入れていない。自分の分がないことに寅は怒り出し、おいちゃんと喧嘩が始まる。おばちゃんが泣き出して 皆しんみりしてしまう」というストーリーです このシーンは何回見ても可笑しいし、なぜか最後には悲しくなってきます それが「男はつらいよ」です
ひと昔前の映像の中の倍賞千恵子や前田吟と 現在の二人を比べると「随分 歳をとったなあ」と思いますが、それだけ観る側の私たちも歳をとったんだなあ、と感慨深いものがあります 彼らよりも、満男役の吉岡秀隆にその感を強くします 子供の頃から大人になるまで彼を「満男」としてずっと見守ってきたからなおさらそう感じるのかもしれません
今回は収録されていませんが、山田監督は「男はつらいよ」シリーズで結構クラシック音楽を使っています 強く印象に残っているのは吉永小百合がマドンナを演じた「柴又慕情」で、ヨハン・シュトラウス2世のワルツ「春の声」を使っていたこと そして、大原麗子がマドンナを演じた「噂の寅次郎」(か「寅次郎真実一路」のどちらか)で、モーツアルト「ピアノ協奏曲 第23番 イ長調 K.488」の第2楽章「アダージョ」を使っていたことです どちらの音楽もベスト・チョイスと言ってよい選曲でした
渥美清という役者は、山田監督にさえ本名・田所康雄の私生活は一切見せなかったといいます。われわれにとっては渥美清=車寅次郎でした 彼は最後まで「フーテンの寅」を演じなければならなかった。晩年は病(癌)を押しての出演で、相当苦しそうだったといいます 第49作「男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 特別編」を撮り終えて1996年8月4日、68年の生涯を閉じました。それから24年、寅さんはスクリーンに戻ってきました。お帰り 寅さん