人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

METライブビューイングでプッチーニ「蝶々夫人」を観る ~ 蝶々夫人のホイ・へー、ピンカートンのブルース・スレッジ、シャープレスのパウロ・ジョット、スズキのエリザベス・ドゥショングにブラボー!

2020年02月12日 07時22分40秒 | 日記

12日(水)。わが家に来てから今日で1961日目を迎え、「桜を見る会」をめぐる公文書管理にからみ、北村誠吾地方創生相の不安定な答弁が10日の衆院予算委員会でも続き、野党側は一時退席した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     安倍首相は「適材適所の人事」と胸を張ってなかった?  これじゃ痴呆早世相だ!

 

         

 

昨日朝、娘がシンガポール旅行から無事に帰って来たので、夕食に「ハッシュド・ビーフ」と「生野菜サラダ」を作りました フランスパン「バタール」を焼いたのに写メに入れるのを忘れました どれも美味しかったから まあ いいか

 

     

 

         

 

昨日、新宿ピカデリーでMETライブビューイング、プッチーニ「蝶々夫人」を観ました これは2019年11月9日に米ニューヨーク、メトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像です

キャストは蝶々夫人=ホイ・へー、ピンカートン=ブルース・スレッジ、シャープレス=パウロ・ジョット、スズキ=エリザベス・ドゥショングほか。管弦楽・合唱=メトロポリタン歌劇場管弦楽団・合唱団、指揮=ピエール・ジョルジュ・モランディ、演出=アンソニー・ミンゲラです

 

     

 

舞台は明治時代の長崎。15歳の芸者・蝶々さんは斡旋人ゴローの紹介でアメリカ海軍士官ピンカートンと結婚する 蝶々さんがキリスト教に改宗したことを知った親戚一同は彼女との縁切りを宣言する しかし、蝶々さんは意に介せずピンカートンと愛を確かめ合う ピンカートンがアメリカに帰って3年が経った。蝶々さんは彼の帰りを信じてひたすら待っている 総領事シャープレスが彼女の元にやってきて、実はピンカートンはアメリカで正式な結婚をしたことを伝えようとするが なかなか言い出せない 蝶々さんはシャープレスにピンカートンとの間にできた息子を披露する。そこにアメリカ軍艦の入港を知らせる大砲が鳴る。夜が明けて蝶々さんが休んでいるところにシャープレスとピンカートンが現われる。ピンカートンは本妻ケイトを伴っていた すべてを察した蝶々さんは子どもをピンカートン夫妻に渡すことに同意し、息子に最後の別れを告げ、父親の形見の短刀で自害する

 

     

     

アンソニー・ミンゲラの演出でこのオペラを観るのは3度目くらいだと思いますが、舞台は日本を意識したもので、障子や提灯や扇子が有効に使われています シンプルな舞台ですが、赤を基調とする照明の演出が鮮やかです

ヒロインの蝶々さんを歌ったホイ・へーは中国・西安出身のソプラノですが、強靭でドラマティックな美声が心を震わせます アリア「ある晴れた日に」はもちろんのこと、第1幕終盤のピンカートンとの「愛の二重唱」が、素晴らしい演出と相まって強く印象に残りました

ピンカートンを歌ったブルース・スレッジは、降板となったアンドレア・カレに代わって急きょ登板することになった若手ですが、恵まれた身体を活かした輝くテノールで、見事に代役を果たしました 演技力はイマイチでしたが、これはしかたありません

今回ヒロイン役のホイ・へー以外で歌唱力・演技力ともに優れていると思ったのは、シャープレスを歌ったパウロ・ジョットです もともとプラシド・ドミンゴが歌う予定でしたが、例のセクハラ疑惑で降板したため彼の代演となりました 1969年ブラジル生まれのバリトンですが、2008年ミュージカル「南太平洋」でトニー賞を受賞しているレパートリーの広い実力者です 私が今まで観たシャープレスの中で一番素晴らしいと思った歌手です

そしてもう一人はスズキを歌ったエリザベス・ドゥショングです 深く魅力のあるメゾソプラノで、歌っていない時の演技を含めて歌唱力・演技力ともにずば抜けていました

タクトをとるピエール・ジョルジュ・モランディはミラノ生まれのベテラン指揮者です 2015年に新国立劇場で「マノン・レスコー」を指揮、2017年には「リゴレット」でMETデビューを果たしています メトロポリタン歌劇場管弦楽団は彼の指揮のもと、ドラマティックな演奏を展開しました

このプロダクションの大きな特徴は、蝶々さんの子供を人形に演じさせていることです 文楽にヒントを得たという人形を3人の黒子が、まるで生きているように操ります プッチーニのこのオペラは、19世紀末に流行っていた「ジャポニズム(日本趣味)」をきっかけに生まれたことを考えると、理に適った演出と言えるでしょう

プッチーニはこのオペラの作曲にあたり日本の風俗・習慣、宗教的な儀式などを入念に調べ、当時のイタリア公使夫人・大山久子からも日本の事情を聞き、歌謡を収集して作品に反映させています オペラの中で「宮さん宮さん」「さくらさくら」「お江戸日本橋」「君が代」「越後獅子」「かっぽれ」などのメロディーを聴くことが出来ます

第1幕=約56分、第2幕=約50分、第3幕=約34分、休憩や歌手へのインタビュー等を含めて合計3時間20分の上映です

全編を聴いて思うのは、ほぼ全編に登場する蝶々さんを歌う歌手は、強靭な歌唱力と、身体を張った演技力と、それを支える強い体力がないと、最後まで歌い切ることが出来ないのではないか、ということです

それにしても、この「蝶々夫人」を筆頭に、「ラ・ボエーム」にしても、「トスカ」にしても、プッチーニほど人を泣かせるのが巧いオペラ作曲家はいないと思います ちなみに、この3つのオペラの共通点はヒロインの女性が最後には死ぬということです 「蝶々夫人」は短刀で自害して、「ラ・ボエーム」のミミは肺炎で、「トスカ」は城から飛び降りて

果たして、プッチーニはオペラの中で何人の女性を殺しているんだろうか

コメント
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