人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

小林研一郎 ✕ フィルハーモニックアンサンブルでスメタナ:連作交響詩「わが祖国」全曲を聴く / 無料コンサートをご紹介します

2020年02月24日 07時19分06秒 | 日記

24日(月・休)。わが家に来てから今日で1973日目を迎え、米政府は米大統領選を巡る民主党の候補者争いに関し、「ロシアがバーニー・サンダース上院議員を有利にしようと介入を試みている」とし、サンダースにも伝えた一方、米情報機関は一部の議員に「ロシアがトランプ氏が再選されるよう、介入を図っている」と伝えた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     社会民主主義者対資本主義者の争いになれば トランプが勝つ というのが狙いか?

 

         

 

昨日、サントリーホールで「フィルハーモニックアンサンブル管弦楽団第67回演奏会」を聴きました ”炎のコバケン”こと小林研一郎がスメタナの連作交響詩「わが祖国」全曲を振ります 私がこのオーケストラを聴くのは2013年2月のコンサート以来です このオケは1976年に立教大学交響楽団のOBにより、合唱団の依頼に応える形で『メサイア』祝祭オーケストラとして結成、1979年に初の主催演奏会を開くにあたり広く門戸を広げ、現在は一般の社会人オーケストラとして東京を中心に自主運営を続けています コンマスの永峰高志氏は元N響の第2ヴァイオリン首席奏者で、2015年にN響を退団しました

前日同様、ホールの入口で手をアルコール消毒しました 場内アナウンスはルーティーンのように「感染症対策のための手洗いと咳エチケット」の協力を呼びかけています 自席は1階20列12番、左ブロック右から3つ目です。ホール内を見渡すと、P席と左右の2階席はほぼ9割がマスクを着用しています 残念ながら1階席は後ろ姿しか見られず、2階席のセンターも自席からは見えないので様子が分かりませんが、ホールに来るたびにマスク着用率は高まっているように思います

演奏される「わが祖国」はベドルジフ・スメタナ(1824-1884)が1874年から1879年にかけて作曲した6つの交響詩からなる連作交響詩です 第1曲「ヴィシェフラド」、第2曲「ヴルタヴァ」、第3曲「シャールカ」、第4曲「ボヘミアの森と草原から」、第5曲「ターボル」、第6曲「ブラニーク」です 各楽曲の初演は1875年から1880年にかけて別々に行われており、全6曲の初演は1882年11月5日でした

この曲は、毎年行われる「プラハの春音楽祭」のオープニング曲として演奏されるのが恒例となっています 2002年の音楽祭では小林研一郎がヨーロッパ以外では初めて指揮台に立っています もちろん、この日も暗譜で指揮をします

オケは左から第1ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、第2ヴァイオリン、その後ろにコントラバスという対向配置ですが、ヴィオラとチェロの位置が特異です

第1曲「ヴィシェフラド」はプラハにあるヴィシェフラド城を題材としており、「高い城」の曲名で知られています この城はボヘミア王国の国王が居城していたこともある城でしたが、戦乱により破壊され廃墟となりました この曲は1872年から1874年にかけて構想され、1874年9月末から11月中旬にかけて作曲されましたが、この間、スメタナの聴力は徐々に衰えるようになり、それから間もなく完全に失聴してしまいます したがって、6曲のうちこの曲だけがスメタナが失聴する前にかなりの部分が出来上がっていた唯一の作品ということになります

コバケンの合図で、吟遊詩人の奏でる竪琴の調べを2台のハープが演奏しますが、抒情的な素晴らしい演奏でした コバケンはかなりゆったりしたペースで音楽を進めました

第2曲「ヴルタヴァ」は「モルダウ」の曲名で知られており、単独の作品として演奏される機会が多い楽曲です ヴィシェフラド城(高い城)の下を流れるのがヴルタヴァ川です ヴルタヴァ川の源流のしずくが小川になり、それが次第に大きな流れになり、エルベ川に向かって遠ざかっていく様々な場面が描かれています コバケンは快速テンポで音楽を開始します 冒頭の2本のフルートが素晴らしい 金管が一瞬躓き音楽が止まるかと思いましたが、すぐに持ち直しました

第3曲「シャールカ」のシャールカとはプラハの北東にある谷の名で、その由来は男たちと女たちが死闘を繰り広げたというチェコの伝説「乙女戦争」に登場する勇女の名前です

この日の演奏で一番素晴らしかったのはこの「シャールカ」です 物語のストーリーを具体的な音で描写していくので分かり易いからかもしれません シャールカを表すクラリネットの演奏が素晴らしい また、男たちが酒を飲んで寝込んでしまったシーンではファゴットが”いびき”を描写しますが、思わず笑ってしまいました

ここで20分の休憩が入ります。マスク姿の人たちがホワイエに出てきます

 

     

 

後半の1曲目は第4曲「ボヘミアの森と草原から」です この曲はボヘミアの田舎の美しさを描写した楽曲です。冒頭からスケールの大きな演奏により雄大な自然が描かれました

第5曲「ターボル」は、次の「ブラニーク」とともに、15世紀のフス戦争におけるフス派信者たちの英雄的な戦いを讃えた楽曲です 「フス戦争」とは、ボヘミアにおける宗教改革の先駆者ヤン・フスが、堕落した教会を烈しく非難して破門され死刑にされた後、彼の教理を信奉する者たちが団結して起こした18年にも及ぶ戦争です ターボルとは南ボヘミア州の古い町で、フス派の重要な拠点でした。冒頭の重心の低いリズムが宗教戦争の始まりを表します。ブラスと弦楽器の渾身の演奏が光ります ティンパニの打ち込みが半端なかった

第6曲「ブラニーク」は第5曲「ターボル」に続けて演奏されますが、ブラニークとは中央ボヘミア州にある山で、ここにはフス派の戦士たちが眠っており、また讃美歌に歌われる聖ヴァ―ツラフの率いる戦士が眠るという伝説もあります オーボエ、クラリネットが素晴らしい演奏を繰り広げます またホルンが安定感のある演奏を展開しました フィナーレは、民俗色豊かなポルカが奏でられ、平和と自由を讃えるファンファーレによって物語を締めくくりました

満場の拍手とブラボーに、コバケンは楽員をセクションごとに立たせます そして、いつも通り拍手を制して、「今日は良いシチュエーションではない中を、たくさんの方々にお出でいただきありがとうございました。もう一度、演奏したオーケストラの皆さんに大きな拍手をお送りください」とあいさつしました 「良いシチュエーションでない中」というのは、会場いっぱいのマスク姿の聴衆を前にして思わず出た言葉だと思います 最後にコバケンの音頭で全員が前に、後ろに、左に、右に、そしてもう一度前に向いて一礼し、大きな拍手の中 コンサートを締めくくりました

演奏を聴き終わってあらためて思うのは、スメタナはこの曲をほとんど耳が聴こえない状態で作曲し、最期には精神病院で60歳の生涯を閉じたということです 人生の後半をほとんど難聴のまま数多くの名作を生み出したベートーヴェンは57歳で天に召されました 作曲家で難聴は致命的です。しかし二人の音楽家はその運命を乗り越えました このことは現代に生きるわれわれに大切なことを教えてくれます

 

         

 

当日配布されたコンサートのチラシのいくつかをご紹介します

最初は6月7日開催の「世界アマチュア・オーケストラ・フェスティバル・イン・トウキョウ」です   山下一史指揮によりマーラー「交響曲第5番」ほかが演奏されます    チケット代は全席指定2,000円です

 

     

 

以下は無料コンサートです    その頃までに、新型コロナウイルスが収束に向かっていることを祈ります

 

     

 

     

 

     

     

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