人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ベートーヴェン「第九交響曲」,ワーグナー「タンホイザー序曲」を聴く~末廣誠+文屋小百合,菅有実子,渡邉公威,大山大輔+都民交響楽団+ソニー・フィルハーモニック合唱団

2017年12月25日 07時53分36秒 | 日記

25日(月).わが家に来てから今日で1181日目を迎え,目の前の物が食べられるのかどうか確かめようとしているモコタロです

 

     

      同じ「クリーム」でも 食べられるのと食べられないのがあるらしいけど  これは?

 

                     

 

昨日,東京文化会館大ホールで都民交響楽団2017年特別演奏会を聴きました プログラムは①ワーグナー:歌劇「タンホイザー」序曲,②ベートーヴェン「交響曲第9番ニ短調”合唱付き”」です 出演は,ソプラノ=文屋小百合,アルト=菅有実子,テノール=渡邉公威,バリトン=大山大輔,合唱=ソニー・フィルハーモニック合唱団,指揮=末廣誠です

実は,今年「第九」を聴く予定はなかったのですが,前日観た映画「ダンシング・ベートーヴェン」に刺激されて どうしても生演奏で聴きたくなり,音楽情報誌「ぶらあぼ」で調べたら在京オーケストラを中心に年末までいくつか公演があることが分かりました その中から日程が一番近い24日のアマチュア・オケ 都民交響楽団の公演を選びました 決め手は言うまでもなくS席2000円,A席1000円という安価なチケット代と,ソリスト4人のうち3人は今まで聴いたことがあるということでした 急に思い立ったので,開演1時間前に会場に行って当日券(A席)を購入しました.取った席は1階30列35番,後ろから2列目の右端から2つ入った席です

プログラムを読んでから会場に入り ビックリしました 5階席まで9割近く埋まっているのではないでしょうか その何割かはオーケストラや合唱団の家族・親戚・友人・知人・会社関係者などだろうと想像がつきますが,それにしても良く入りました

 

     

 

指揮者の末廣誠氏は鹿児島出身で,鹿児島大学と桐朋学園を卒業し,秋山和慶,堤俊作,ハインツ・レーグナー各氏に師事,群馬交響楽団や札幌交響楽団でも指揮をとってきたとのことです ソプラノの文屋小百合さんは国立音大卒,二期会会員で,第3回東京音楽コンクール声楽部門第1位を受賞しています 私は一度「第9」のソロを聴いています アルトの菅有実子さんは東京藝大卒,第62回日本音楽コンクール第2位入賞の経歴の持ち主です テノールの渡邉公威氏は国立音大卒,二期会会員で,カルーソー国際声楽コンクール第3位の受賞歴を持っています バリトンの大山大輔氏は東京藝大卒,モーツアルト,ロッシーニ,プッチーニ等を得意としています ソニー・フィルハーモニック合唱団は,ソニー株式会社創立50周年を記念して1995年に結成,1996年に「第九」でデビューを飾りました ソニーグループの社員,OB,OG,家族等により構成されています

オーケストラのメンバーが入場し配置に着きます.弦は左から第1ヴァイオリン,第2ヴァイオリン,チェロ,ヴィオラ,その後ろにコントラバスという編成をとります コンマスは女性ですが,椅子の座面を高く設定していて,ほとんど中腰スタイルです 他のメンバーに演奏姿が良く見えるようにという配慮です.特に第1ヴァイオリンは彼女の背中を見ながら演奏することになるのでしょう

1曲目はワーグナーの歌劇「タンホイザー」序曲です この曲はワーグナーが30歳の時,1843年から翌44年に掛けて作曲されましたが,「タンホイザーおよびワルトブルク歌合戦」が正式な題名です

指揮者のタクトで演奏が開始されますが,冒頭のホルンが不安定です 弦は強音から弱音に移るところがスムーズにいきません.「この調子で『第九』は大丈夫か?」と心配になってきました

15分の休憩後はいよいよ「第九」です あらためてご紹介すると この曲は,第1楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ・エ・ウン・ポコ・マエストーソ」,第2楽章「モルト・ヴィヴァーチェ~プレスト」,第3楽章「アダージョ・モルト・エ・カンタービレ~アンダンテ・モデラート」,第4楽章「プレスト~アレグロ・アッサイ」の4楽章から成ります

まずソニー・フィルハーモニック合唱団の面々がオケの後方にスタンバイします.総勢約120名の男女比率は女声2対男声1の割合です.コーラス・グループはどうしても男声が少数派になってしまいますね

次いでオケのメンバーが配置に着き,指揮者のタクトで第1楽章に入ります 1曲目を聴いた時の心配が現実となり,この楽章でも金管楽器が不調です 弦は何とか踏ん張っています.一方ティンパニは絶好調です 第2楽章に入ると,速いテンポに乗ってやや持ち直した感じがします この楽章が終わったところで,ソリスト4人が入場し合唱の前にスタンバイします

第3楽章の冒頭は弦楽器のアンサンブルが美しい この曲で一番好きな楽章です.しかし,残念ながら中盤で金管が崩れました.1か所だけにとても残念です 第4楽章になってやっと安定してきました.ソリストではソプラノの文屋小百合さんが好調でした 渡邉公威さんは声量がイマイチでした そうした中で大健闘だったのはソニー・フィルハーモニック合唱団の力強いコーラスです

さて,こうして聴いてみて思うのは,アマチュア・オーケストラの演奏をどのように評価すべきか,という問題です 言うまでもなく同じアマチュア・オケでもピンからキリまであり,かつて作曲家の芥川也寸志氏が音楽監督を務めた「新交響楽団」のように毎回プロ顔負けの演奏を披露するオーケストラもあるし,そうでないオケもあるわけです 今回演奏した都民交響楽団は1948年(昭和23年)創立とのことで,来年70周年を迎える歴史と伝統のあるアマチュア・オケです 楽団プロフィールによると,入団オーディションのほか,入団後も4年に1度更新オーディションを課しているということで,アマ・オケの中でも厳しい条件を課しているようです

まず最初に,アマチュア・オケの演奏はプロ・オケの演奏と同等に評価すべきではないというのは多くの人から共感を得られると思います プロは給料をもらって演奏している専門家集団ですから上手くいって当たり前です.その点,アマチュア・オケは本業を別に持つ人たちが週に1度くらいのペースで集まって練習し,年に2度か3度の演奏会で披露するというのが大方の実態だと思います したがって,コンサートを練習の成果を披露する「発表会」と考えれば,それなりの評価の仕様もあると思います そういう観点から言えば,今回の公演はアマチュア・オケのコンサートとしてはよく検討した,と言えるのではないか,と思います

ただ,同じアマチュアでも歴史と伝統と実績のある「新交響楽団」のようなオーケストラはS席3000円,A席2500円,B席1500円と,アマチュア・オケの中では比較的高い料金設定になっています 聴く側としてはチケット代に見合った演奏が聴けるかどうかが判断基準になります.私としてはプロに一歩近い判断基準で聴くことになります 皆さんはいかがでしょうか

話は180度変わりますが,第4楽章の中盤でコーラスが歌うクライマックスの時,2階か3階の左サイドでピカッと光りました どこぞの大馬鹿者が写メするためフラッシュを炊いたものと思われます プロのオケの公演ではとても考えられない異常な行為です 今回はアマチュア・オケの公演とはいえ,演奏中にフラッシュを炊くなど 非常識極まりない行動だということは,誰が考えたって常識です こういう輩は二度と来るなと言っておきます

コメント (6)
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