人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

デュトワ+ティボーデ+N響でサン・サーンス「ピアノ協奏曲第5番」,ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」他を聴く~N響第1874回定期演奏会 / 日経「回顧2017 音楽」を読んで

2017年12月09日 07時53分46秒 | 日記

9日(土).わが家に来てから今日で1165日目を迎え,トランプ米大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認定した問題について,ティラーソン国務長官が7日,「エルサレムの地位を決定付けるものではなく,急いで実施するわけではない」と主張したというニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      トランプ氏は国民の目をロシア疑惑から逸らすために危険な賭けに出てないか?

 

                     

 

昨日,夕食に「鶏手羽と大根と卵の煮物」と「生野菜サラダ」を作りました 本当は手羽元が欲しかったのですが 売り切れていたので手羽先にしました 大勢に影響はありません

 

     

 

                     

 

昨日の日経朝刊 文化欄に「回顧2017  音楽」が載りました 超訳すると

「今年2月から大改修に入ったサントリーホールが9月にリニューアルオープンし,ベルリン・フィル,ボストン交響楽団,ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団などの楽団の来日が相次ぎ,同ホールの影響力の大きさを改めて示した 日本のオケでは読売日響の躍進が目立った 新国立劇場でワーグナー「神々の黄昏」,日生劇場でドボルザーク「ルサルカ」,サントリーホールなどでメシアン「アッシジの聖フランチェスコ」(演奏会形式)と10月から11月にかけて3つのオペラを立て続けに成功させた 3年前からワーグナー「ニーベルングの指環」4部作を毎春1作品ずつ演奏会形式で上演してきたNHK交響楽団は,今春の公演で同企画を見事に完結させた 海外オペラでは9月に来日したバイエルン国立歌劇場が注目された.音楽監督で19年からベルリン・フィルの首席指揮者に就任するキリル・ぺトレンコは今回が初来日だったが,緻密な音楽づくりで強い印象を残した

記事の通り,今年は特にサントリーホールの影響力が大きかったと思います また,確かに今年はワーグナーの年だったように思います 私も記事で触れている公演はすべて観ています ただ,海外のオケやオペラの公演は料金が高すぎてここ数年は敬遠してるのが実情です

 

                     

 

昨夕,NHKホールでN響第1874回定期演奏会(Cプロ)を聴きました NHKホール前の通路は例年通りイルミネーションがお出迎えです 歩行者は傘をさして写メしていました

 

     

 

さて,プログラムは①ストラヴィンスキー「幻想的スケルツォ」,②サン・サーンス「ピアノ協奏曲第5番ヘ長調”エジプト風”」,③ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」全曲(1910年版)です 演奏は②のピアノ独奏=ジャン・イヴ・ティボーデ,指揮=シャルル・デュトワです

実を言うと 今期の年間プログラムの中で,サン・サーンスの「ピアノ協奏曲第5番」が最も聴きたかった公演だったので,以前から楽しみにしていたのです

オケのメンバーが配置に着きます.左から第1ヴァイオリン,第2ヴァイオリン,ヴィオラ,チェロ,その後ろにコントラバスという編成で,左サイドにはハープが3台スタンバイしています コンマスは伊藤亮太郎です

1曲目はストラヴィンスキー「幻想的スケルツォ」です この曲はメーテルリンクの「蜜蜂の生活」(1901年)から作曲の着想を得たと言われています 3部構成で,第1部は蜜蜂の巣の中の生活行動を,第2部は女王蜂の飛翔と 選ばれた一匹の雄蜂との愛の戦いと死を,第3部は働き蜂たちの平穏な活動をそれぞれ描いています

そうした解説を読んでからデュトワの指揮で聴くと,なるほど蜂が飛ぶシーンなどが頭に浮かびます  聴いていて一番感じたのは,演奏がノーブルで洗練されているということです

ピアノがセンターに運ばれ,リモコン・テレビカメラがピアニストの指を映す位置に設置されます  カメラは1階席,2階席の左右にもスタンバイしています.いずれNHKで放映するのでしょう

フランス人の父とドイツ人の母との間に 1961年 フランスのリヨンで生まれたジャン・イヴ・ティボーデが登場,ピアノに向かいます  待ちに待ったサン・サーンスのピアノ協奏曲第5番です

この曲は,サン・サーンス(1835-1921)が芸術活動50周年を迎えた1896年に,デビューと同じサル・プレイエルで開かれた50周年記念演奏会で初演されました  エジプトのルクソール滞在中に仕上げられ,第2楽章にエジプト風のエキゾチックなメロディーが出てくたため「エジプト風」という副題で呼ばれています  第1楽章「アレグロ・アニマート」,第2楽章「アンダンテ」,第3楽章「モルト・アレグロ」の3楽章から成ります

初めて生演奏で聴いたサン・サーンスは素晴らしいの一言です   何よりティボーデのピアノが最高です  驚いたのは第2楽章で,ピアノが高音部を弾くところで グラスハーモニカ(グラスの淵を指でなぞって音を出す)のような音が聴こえてきたことです バックを務めるデュトワは「音の魔術師」だということは疑いがありませんが,ティボーデこそピアニストの音の魔術師だと思いました

満場の拍手とブラボーにティボーデはモンポウの「子どもの情景」から「庭の乙女たち」を洒脱に演奏し,再び拍手を浴びました

 

     

 

プログラム後半はストラヴィンスキーのバレエ音楽「火の鳥」(1910年全曲版)です この曲は1909~10年に作曲されました.バレエ・リュス(ロシアバレエ団)の主宰者セルゲイ・ディアギレフの依頼により作曲されたこの曲は,序奏と2場から成ります 主な登場人物はロシア民話でお馴染みのイワン王子,黄金の翼をもつ火の鳥,魔王カッチェイ,カッチェイに囚われた13人の王女たちです

あらすじは

「王子イワンは 火の鳥を追っているうちに夜になり,カッチェイの魔法の庭に迷い込む 黄金のリンゴの木のそばに火の鳥がいるのを見つけた王子は捉まえる 火の鳥が懇願するので開放するが,そのとき王子は火の鳥の魔法の羽を手に入れる 次に王子は13人の乙女に会い,その一人と恋に落ちるが,彼女はカッチェイの魔法によって囚われの身となっていた王女だった 夜が明けるとともにカッチェイが戻ってきて,イワンはカッチェイの手下に捕らえられ,魔法で石に変えられようとする 絶体絶命の王子が魔法の羽を振ると,火の鳥が現れて,カッチェイの命が卵の中にあることを王子に告げる.王子が卵を破壊したためカッチェイは滅び,石にされた人々は元に戻り,王子と王女は結ばれる

というものです

今回演奏された全曲版は「序奏と2場から成る」とは言え,第1場が22曲(「カッチェイの魔法の庭園」から「深い闇」まで)から成るのに対し,第2場は1曲(「カッチェイの城と魔法が消え,石にされた騎士たちが蘇る.フィナーレ」)のみです いつも1919年 組曲版(約20分)でしか聴いたことがない耳にとって,約47分の全曲版はものすごく長く感じます  それでも,音の魔術師デュトワの指揮で聴く全曲版は色彩感に溢れ,弛緩するところがありません  この曲で一番有名な第1場第18曲の「ッチェイたち一味による魔の踊り」から第2場「フィナーレ」までの音楽は,カタルシスとでも言うべき開放的な音楽です

初共演から30年にわたる年月で培った信頼関係のもと,デュトワはタクト1本でN響の潜在能力のすべてを引き出しました

コメント
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