人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ノット+東響でベートーヴェン「交響曲第3番”英雄”」,シューマン「4本のホルンと管弦楽のためのコンツェルトシュテュック」他を聴く~東響第656回定期 / 「国内オケ 複数で指揮」~日経の記事から

2017年12月03日 08時11分15秒 | 日記

3日(日).昨日,久しぶりに埼玉県S市の菩提寺に墓参りに行ってきました  帰りに実家に寄りましが,猫のミラ(体重7キロのミラクル・デブ)が出迎えてくれました

 

     

 

ということでわが家に来てから今日で1159日目を迎え,「ザ・フォーク・クルセダーズ」のメンバーだった,はしだのりひこ(本名:端田宣彦)さんが2日未明,死去した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

           悲しくてやりきれない 「帰ってきた酔っぱらい」より

 

                     

 

昨日の日経朝刊 文化欄に「国内オケ  複数で指揮 演奏の幅広げ客獲得」という文化部 I 記者の記事が載りました リード記事を紹介すると

「日本のプロオーケストラにおける指揮者のポストが多様化している.一人の人物が長年楽団を率いるスタイルではなく,複数の音楽家が目配りする体制を敷く傾向が強くなってきた 新たな客層の獲得に向けて楽団が表現活動の幅を広げようとしていることが背景にありそうだ

I 記者はその一例として山田和樹氏が2018年4月から読売日響の首席客員指揮者に就任することを紹介しています 読響は常任指揮者のシルヴァン・カンブルランに加え,今年4月から首席客員指揮者にコルネリウス・マイスターが就任しており,来年から山田氏が加わることになるわけです.山田は現在モンテカルロ・フィル芸術監督,日本フィル正指揮者を務めているので増々多忙を極めることになります また,地方のオケの例として,京都市交響楽団が3人の”常任”指揮者を置いていることを紹介しています 常任指揮者が広上淳一氏,常任首席客員指揮者が下野竜也氏と高関健氏の二人で「三頭体制」を取っています 

個人的には,ますますどのオケを聴いても同じようにしか思えない”無個性化”が進むのではないかと危惧しますが,これも時代の要請でしょうか

 

                                           

 

昨夕,サントリーホールで東京交響楽団の第656回定期演奏会を聴きました プログラムは①リゲティ「ハンブルク協奏曲~ホルンと室内アンサンブルのための」,②シューマン「4本のホルンと管弦楽のためのコンツェルトシュテュック」,③ベートーヴェン「交響曲第3番変ホ長調”英雄”」です ①のホルン独奏はクリストフ・エス,②のホルンはジャーマン・ホルンサウンド(クリストフ・エス,シュテファン・ショットシュテット,ゼバスチャン・ショル,ティモ・シュタイニンガ-),指揮はジョナサン・ノットです

 

     

 

1曲目はリゲティ「ハンブルク協奏曲~ホルンと室内アンサンブルのための」です ステージに上がる楽員の編成が独特です 弦楽器は各セクション1人ずつの5人,管楽器は8人に加えナチュラル・ホルン4人(日本人奏者)とホルン・ソロのクリストフ・エス,打楽器2人の総勢20人の小編成です エスはナチュラル・ホルンとヴァルブ・ホルンを用意し,楽曲によって吹き分けるようです リゲティ(1923-2006)の「ハンブルク協奏曲」は1998年から翌99年にかけて作曲されました.全体は7つの楽章から成りますが,切れ目なく演奏されます 曲はナチュラル・ホルンの静かなメロディーから始まりますが,その後は聴いていてわけが分からなくなりました どうも20世紀の音楽は苦手です ハンブルク協奏曲よりもハンバーガー盛り合わせの方が惹かれます

序盤で,打楽器の強打により静寂が打ち破られる箇所があり,隣席のおじさんがビクッと反応していました.あなた,寝てましたね

ところでプログラムに書かれた日本人ホルン奏者4人の中に藤田麻理絵という名前がありましたが,新日本フィルの藤田さんでしょうか? ひょっとして,勝俣泰,金子展樹の二人も外部オケからのレンタルでしょうか

2曲目はシューマン「4本のホルンと管弦楽のためのコンツェルトシュテュック」です 「コンツェルトシュテュック」は「小協奏曲」と訳されています この曲を書くに当たってシューマンが参考にしたのはバロック時代に採用されていた「コンチェルト・グロッソ(合奏協奏曲)」という形式だといいます 独奏楽器とオケとの協奏曲ではなく,独奏楽器群とオケとによる協奏曲のスタイルです.この曲は第1楽章「活き活きと」,第2楽章「ロマンツェ」,第3楽章「大変活き活きと」の3楽章から成ります

オケがいつものノット・シフトをとります.左奥にコントラバス,前に左から第1ヴァイオリン,チェロ,ヴィオラ,第2ヴァイオリンという対向配置です コンマスは水谷晃です.ジャーマン・ホルンサウンドの4人が登場し 第1ヴァイオリンの手前にスタンバイします 中央から左へクリストフ・エス,ゼバスチャン・ショル,シュテファン・ショットシュテット,ティモ・シュタイニンガ-という並びです

ノットのタクトで第1楽章が開始されますが,冒頭からシューマンの指示通り「活き活きと」した音楽で,ホルンの明るい音色が会場を華やかな雰囲気で満たします 第2楽章は一転,沈んだ雰囲気の音楽になますが,第3楽章に入ると再び華やかな音楽が展開し,”ジャーマン・ブラス”の実力が発揮されました ジャーマン・ホルンサウンドの4人は,アンコールにホルンの特性が良く生かされた ゆったりした作品を演奏しましたが,曲名が分かりません 休憩時間にロビーの掲示を見てのけぞりました そこには「ブルックナー  4本のホルンのための『3つのコラール』より『アンダンテ』」と書かれていました 長い間コンサートを聴いてきましたが,アンコールにブルックナーが演奏されたのはこれが初めてです


     


プログラム後半はベートーヴェン「交響曲第3番変ホ長調”英雄”」です この曲はいろいろな意味でクラシック音楽史上,少なくとも交響曲史上,革命的な音楽だと言われています ハイドンやモーツアルトの音楽から脱し,演奏規模が拡大し,第2楽章に「葬送行進曲」を持ってきて,第3楽章はメヌエットの代わりに「スケルツォ」を採用する・・・これだけ取ってみても従来の常識を破っています よく知られているように,この作品はナポレオンを想定して書かれましたが,彼がフランス皇帝という権力者に成り上がったことに失望し,出版に際して「英雄的交響曲 ある偉大な英雄の思い出に捧げる」と記したと言われています

この曲は,第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」,第2楽章「葬送行進曲:アダージョ・アッサイ」,第3楽章「スケルツォ:アレグロ・ヴィヴァーチェ」,第4楽章「フィナーレ:アレグロ・モルト」の4楽章から成ります

ノットのタクトで第1楽章が2つの力強い和音で開始されます 何事も最初が肝心 ノットの良い所は冒頭の演奏で聴衆の心を掴んでしまうところです その後は,速めのテンポでオケをグングン引っ張っていきます 時にティンパニの強打が心地よく響きます 第2楽章ではオーボエの荒絵理子,フルートの相澤政宏の演奏が冴えわたっていました 第3楽章では,一番の聴かせどころ,ホルンによる三重奏が素晴らしいアンサンブルを奏でました 第4楽章では躍動感あふれる熱演が繰り広げられ,聴衆を興奮の坩堝に巻き込みました

この日の演奏を聴いて あらためて思ったのは,ジョナサン・ノットはベートーヴェンやブラームス等,クラシックの王道的な作品が圧倒的に良いな,ということです

コメント (2)
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