人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

急傾斜舞台~新国立オペラ、ブリテン「ピーター ・グライムス」を観る

2012年10月03日 06時58分12秒 | 日記

3日(水)。昨夕、初台の新国立劇場でベンジャミン・ブリテン「ピーター・グライムス」を観ました 英国で長い間活躍してきた同劇場の尾高忠明芸術監督がオペラハウス2012-2013年度の第1回公演として選んだのが、来年生誕100周年を迎えるベンジャミン・ブリテンの「ピーター・グライムス」です プレミエ公演のこの日,ホワイエには関係者に囲まれた尾高さんの姿が見えました

この作品は1945年、ヨーロッパ戦勝記念日のすぐ後の6月7日にロンドンで初演され大成功を収め、ブリテンの名前を一躍世界に知らしめました

キャストは、タイトルロールの漁師ピーターにヘルデン・テノールの新星、オーストラリア出身のスチュアート・スケルトン、寡婦で村の女教師エレン・オ―フォードにスーザン・グリットン、バルストロード船長にジョナサン・サマーズ、ボーア亭の女将ア―ンティにキャサリン・ウィン=ロジャースほか。バックを務めるのはリチャード・アームストロング指揮東京フィル、演出は2008年の新国立で「軍人たち」を演出して話題をさらったウィリー・デッカーです

ブリテンがこのオペラを書いた地オールドバラを思わせるイギリス東海岸の漁村を舞台に、孤独な漁師ピーター・グライムスが、村人たちから徒弟の少年殺害の疑惑をかけられ、追い詰められていく物語です 判事は「不慮の事故」という裁定を下しますが,村人の間の「ピーターは少年を殺した」という噂は消えません.寡婦で女教師のエレン・オーフォードとバルストロード船長だけが,彼を理解し力になろうとしますが,ピーターは2人目の少年を死なせてしまいます.最後は船長に「沖合に出て船を沈めるよう」促され,それに従います.そして,村人は何事もなかったかのように普段の生活を始めます

このオペラを観るのも聴くのも初めてです.CDを持っていないので予習も出来ませんでした.この舞台を観た印象を言えば,まず特徴的な舞台づくりです.歌手は相当傾斜のついた舞台の上で歌い演技しなければならないので,通常の演出よりも体力がいるのではないかと思います 下手に転ぶとオーケストラ・ピットに落ちてしまうのではないでしょうか.確かに舞台の手前が低く,奥に行くにしたがって高くなっていれば,1階席の前方の席からでも舞台の全体像が把握できます 現代のオペラ公演の流行でもあるようです

もう一つは,歌手個々人の歌の力とともに,圧倒的な合唱の力が求められるオペラである,ということです このオペラは,言ってみればピーター・グライムス対村人たち,つまり個人対社会の対立がテーマといってもいいと思います.合唱の力と言えば,第3幕の第1場で村人たちが「ピーター・グライムスに償いをさせてやる」と叫ぶ場面などは圧倒的な迫力です

さらに言えば,各場面の冒頭で演奏される”間奏曲”の美しさです これらの間奏曲を聴くとブリテンの素晴らしさが伝わってきます

 

          

 

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