人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

暗譜で弾くシューベルト~古典四重奏団のレクチャー付コンサートを聴く

2012年10月26日 07時00分03秒 | 日記

26日(金)。昨夕、上野の東京文化会館小ホールで「ムズカシイはおもしろい!古典四重奏団のシューベルト2012~レクチャー付きコンサート」第2回公演を聴きました 9月30日の第1回公演を聴いて、非常に興味深く面白かったので、是非第2回も聴きたいと思い,その日にチケットを買ったものです メンバーは第1ヴァイオリン=川原千真,第2ヴァイオリン=花崎淳生,ヴィオラ=三輪真樹,チェロ=田崎瑞博という面々で,田崎さん以外は女性です

 

          

 

第1回コンサートでは「弦楽四重奏曲イ短調”ロザムンデ”」ほかが演奏されましたが、第2回目の今回は①「弦楽四重奏曲ハ短調”四重奏断章”」、②「弦楽四重奏曲変ホ長調」、③「弦楽四重奏曲二短調”死と乙女”」がメインになっています 

自席はH列20番で,センターブロック通路側です.客の入りは前回と同じくらい150人位でしょうか この四重奏団は左から第1ヴァイオリン,チェロ,ヴィオラ,第2ヴァイオリンという態勢を取ります

午後6時45分から始まったコンサートは,最初にチェロの田崎さんの進行により「シューベルトらしさとは?」というレクチャーがありました まず,シューベルト「弦楽四重奏曲ニ長調」の第3楽章”メヌエット”が演奏されました.いかにもウィーン生まれのシューベルトらしい,ウィーン情緒豊かなメロディーが流れました

その後,メンバー紹介があり,前回に次いで”クイズ”が出されました.田崎さんが「前回は問題が難しすぎて正解者が少なかったので,今回は反省して,やさしい問題にしました」として,「次にシューベルトのピアノ・ソナタイ長調作品959の第4楽章を弦楽四重奏で演奏します.最初のAと後のBとどちらがシューベルトの曲か当てて下さい」という問題を出し,後半部分が微妙に異なる曲を2度演奏しました私は後に演奏したBの方がシューベルトらしいな,と思いBに挙手しました.正解はBでした Aは10人ぐらいいたようです.

田崎さんは2度の演奏について「最初のAは,最後の部分が”盛り上がる”ようになっています.これは私が編曲したものです 一方,後に演奏したBの方は最後の部分が”盛り上がっていない”作りになっています.これがシューベルトの特徴のひとつ”慎み深さ”です」と解説しました.

次にリストの「ノクターン」とシューベルトの「4つの即興曲」から第3曲を演奏しました.メロディーが良く似ています 田崎さんは「リストの方が後から曲を書いたのですが,シューベルトが同じようなメロディーを書いていたことなど意識していなかったでしょう」と解説していました

次にシューベルトの「弦楽四重奏曲変ホ長調」から第3楽章とベートーヴェンの「ピアノソナタ第4番」から第2楽章をよく似た曲として紹介しました

次いで,シューベルトの「弦楽四重奏曲ニ短調”死と乙女”」の第4楽章と第1楽章を演奏し,シューベルトのもう一つの特徴である”転調”に象徴される”大胆さ”を挙げました

次にブルックナーの交響曲第4番”ロマンティック”第4楽章のコーダを演奏しました.弦楽器4本でブルックナーの深淵な世界を見事に表現していたことに驚きました 彼らの演奏はフル・オーケストラの演奏に匹敵する素晴らしいものでした このカルテットは相当レヴェルが高いと思います

最後にシューベルトの「君こそ我が想い」を演奏してレクチャーを締めくくりました.ここまでが第1部で,15分の休憩に入りました

 

          

 

本編の最初は「弦楽四重奏曲ハ短調”四重奏断章”」です.このカルテットのレパートリーは80数曲にのぼるとのことですが,すべて暗譜で弾きます これは驚きです.四重奏断章は23歳の時の作品です.第2楽章の途中で断筆されているため”断章”のニックネームが付いています 最初から緊張感に満ちた曲想が展開します.曲の途中8時38分ごろ床の揺れを感じました.地震のようです.しかし,せいぜい震度1か2と思われます.演奏者も聴衆も慌てる様子はありませんでした

2曲目の「弦楽四重奏曲変ホ長調」は16歳のときの若々しい作品です.とくに第4楽章アレグロの第1ヴァイオリンの演奏は軽快で素晴らしかったです

ここで再び休憩.15分後に再開しました

3曲目は「弦楽四重奏曲ニ短調”死と乙女”」,シューベルト29歳の時の作品です.第2楽章のテーマは自作の歌曲「死と乙女」から取られています.どの楽章も慟哭のような,悲壮感溢れる曲想ですが,古典四重奏団の演奏は,どこまでも美しく,節度をもった演奏を展開しました

良い演奏というのは,その作曲家やその曲が,今まで以上に好きになるものですが,この日の古典四重奏団の演奏はまさにそうした演奏でした 来シーズンのレクチャーコンサートは「モーツアルト」を取り上げるとのこと.これは聞き逃せません

 

          

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