人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

千住真理子,広瀬悦子,亀井良信による「モーツアルト・ガラ・コンサート」を聴く~第一生命ホール

2012年10月09日 06時59分57秒 | 日記

9日(火)。昨日、第一生命ホールで「モーツアルト・ガラ・コンサート」を聴きました プログラムは①ヴァイオリン協奏曲第4番ニ長調K.218(ヴァイオリン=千住真理子)、②ピアノ協奏曲第9番変ホ長調K.271(ピアノ=広瀬悦子)、③クラリネット協奏曲イ長調K.622(クラリネット=亀井良信)で、バックを務めるのはN響メンバーによる室内オーケストラです

第一生命ホールは昨年秋以来1年ぶりでしょうか.地下鉄大江戸線があるので便利です.都営地下鉄・西巣鴨駅から春日駅経由で大江戸線・勝どき駅で降りて,徒歩8分です

 

          

          

 

なぜ第一生命ホールでモーツアルト・ガラ・コンサートかといえば,第一生命がザルツブルクのモーツアルトの住家修復を支援した縁で結ばれたということです

自席は1階7列3番ですが,3番といっても左端の席です.会場はほぼ満席です 1曲目の「ヴァイオリン協奏曲第4番ニ長調K.218」はモーツアルトがザルツブルク時代に次々に作曲した5つのヴァイオリン協奏曲のうちの1つで,1775年10月に完成しました(モーツアルト19歳)

コンサートマスターはN響コンマスの山口裕之さんで,弦楽12人,ホルン2,クラリネット,オーボエの16人がスタンバイします そして,ダーク・グリーンのドレスに身を包まれた千住真理子さんが登場します 指揮者なし,山口コンマスの合図で第1楽章「アレグロ」が始まります.千住さんが弾くヴァイオリンは2002年秋に手にいれたストラディヴァリウス”デュランティ”です.明るく力強い音楽が会場を満たします 第2楽章「アンダンテ・カンタービレ」を弾く彼女は,まるで眠狂四郎のようでした.目をうっすらと閉じて,朗々となめらかなメロディーを紡いでいきます 第3楽章「ロンド・アンダンテ・グラツィオーソ」では一転快活に生き生きと弾き切りました.各楽章の”カデンツァ”も見事でした

拍手を受けて,コンマスの山口さんと握手をしますが,オケを立たせるようには求めません オケのバックあってのソロなのですから,気持ちだけでもコンマスに「皆さんを立たせてください」という心のゆとりがほしいと思います

2曲目の「ピアノ協奏曲第9番変ホ長調K.271」は,1771年1月にザルツブルクで作曲されました.当初,この地を訪れたフランス生まれのピアノ奏者ジュノム嬢のために書かれたと言われてきましたが,21世紀になって,その女性は,モーツアルト一家と親しかったフランスのバレエの大家ジャン=ジョルジュ・ノヴェールの娘ルイーズ・ヴィクトワール・ジュナミだったことが判明したとのことです モーツアルトの大家・海老沢敏さんがプログラムに書いているので間違いありません.私も初めて知りました

ソリストの広瀬悦子さんが濃いパープルのドレスで登場します 彼女はパリ国立高等音楽院を首席で卒業,99年マルタ・アルゲリッチ国際コンクールで優勝しました ラ・フォル・ジュルネ音楽祭の常連アーティストとしても有名です

第1楽章「アレグロ」はオケの序奏に乗ってすぐにピアノが入ってきます.軽快な演奏です 音の粒立ちが非常にきれいです.第2楽章「アンダンティーノ」の静謐さはまるで「フィガロの結婚」のバルバリーナのアリアのようです 広瀬さんはまるでソプラノが歌っているように丁寧に静かに演奏します.第3楽章は一転,喜びに満ちて弾むような音楽を展開します

会場を満たす拍手に,コンマスの山口さんと握手,そして山口さんに「オケを立たせてください」というように手で合図します.これには山口コンマスが遠慮してソリストを称えて拍手で応えます.ソリストはこうでなければいけません 広瀬悦子さんは演奏が素晴らしいことはもちろんのこと,ステージマナーも一流です

 

          

 

休憩後の「クラリネット協奏曲イ長調K.622」は,ウィーンのクラリネット奏者・アントン・シュタードラーのために書いたものです この作品はモーツアルトの”白鳥の歌”(白鳥が死を前にして歌う最後の美しい歌)と言われています

オーケストラのメンバーが拡大し総勢18人になりました.管楽器はホルン,フルート,ファゴットが各2本です.亀井良信さんがクラリネットを持って登場します.かなり背丈が高くガッチリした体型です

第1楽章「アレグロ」,第2楽章「アダージョ」,第3楽章「ロンド・アレグロ」から成りますが,白眉は第2楽章「アダージョ」です この曲を聴くと,小林秀雄が『モォツアルト』の中で書いていた「人間存在根底の哀しみ」を感じます.~自分はなぜ生きているのか,青く澄みきった空を見たときに感じる哀しさを.

亀井さんはガッチリした体型を生かし,余裕をもってモーツアルトに対峙します 山口コンマスのリードで,N響の皆さんもしっかりと伴奏を付けています

拍手に迎えられ舞台に呼び戻された亀井さんは,コンマスと握手,やはり「オケの皆さんを立たせて」というメッセージをコンマスに伝えますが,山口コンマスは遠慮して亀井さんを称えます ソリストが引っ込んで会場の照明が点いてから,山口さんはメンバーを立たせ会場に向かって一礼をしました.こういうところは山口さんの人間性を感じます.だてにN響のコンマスをやっていません

来年も「モーツアルト・ガラ・コンサート」があると思いますが,是非聴きに行きたいと思います 1回のコンサートでモーツアルトの協奏曲が3曲も聴けるというのは,何という贅沢,何という喜びでしょう

 

          

 

  閑話休題  

 

今日10月9日はサン=サーンスの誕生日(1835年)です 「動物の謝肉祭」の中の”白鳥”はチェロの独奏曲として有名ですね 先日,久しぶりにNHKの「ららら クラシック」を観ていたら,この曲に乗せて華麗なバレエを踊っていました.短いですが美しい曲です

私がサン=サーンスの音楽で一番好きなのはヴァイオリン協奏曲第3番です CDではジノ・フランチェスカッティのヴァイオリン,ピエール・ブーレーズ指揮ニューヨーク・フィルの演奏による1975年の録音です.エスプリの効いた演奏といえばよいでしょうか

 

          

 

久しぶりにサン=サーンスの「ピアノ協奏曲第5番”エジプト風”」を聴きました.演奏はジャンヌ・マリー・ダルレのピアノ,ルイ・フルスティエ指揮フランス国立放送局管弦楽団によるCDです この曲の第3楽章”モルト・アレグロ”はピアノ独奏曲”トッカータ”に編曲されています.超絶技巧・超スピード曲です.萩原麻未の圧倒的な演奏が忘れられません

 

          

          

          

コメント
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