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人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「奥村愛 ~ ヴァイオリンとヴァイオリニストが辿った道」のチケットを取る / 奇才テリー・ギリアム監督「バロン」を観る ~ 実在した世界一のほら吹き男爵をモデルにした奇想天外な冒険物語

2025年07月07日 00時37分16秒 | 日記

7日(月)。今日は令和7年7月7日で「トリプルセブン」の日です 元号・月・日で7がそろう「777」は、平成7年7月7日以来30年ぶりで、100年間でみても3回目という特別な日だそうです 5日付の朝日新聞夕刊によると、東京都板橋区はホームページで「令和7年7月7日(月曜日)は婚姻届の提出が集中します」と告知しているそうです 「ラッキーセブンがトリプルだ」と、ノリで届け出て、後で後悔しないようにした方がいいと思います

ということで、わが家に来てから今日で3828日目を迎え、米連邦議会上下両院で大型の減税・歳出法案が可決されたのを受け、起業家のイーロン・マスク氏による新党「アメリカ党」結成論が浮上してきたが、2026年11月の中間選挙で候補擁立に踏み切れば、トランプ大統領が率いる共和党が目指す「トリプルレッド」の維持へ逆風になる  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

    

    マスクは自分の実績をトランプに台無しにされたからな  何としても敵討ちをしたいんだろ

         

9月19日(金)14時から文京シビックホール(小)で開かれる平日・午後のコンサート「奥村愛 ~ ヴァイオリンとヴァイオリニストが辿った道」のチケットを取りました 新聞に挟み込まれた文京アカデミーの広報紙「Square」にPR記事が載っていたのを読んで、聴きたくなりました プログラムは①モーツアルト「ロンドK.373」、②タルティーニ「ヴァイオリン・ソナタ”悪魔のトリル”」、③サラサーテ「序奏とタランテラ」、④ブラームス「ヴァイオリン・ソナ第2番」、⑤加藤昌則「Breezing air」です 演奏はヴァイオリン=奥村愛、ピアノ=加藤昌則です

         

昨日、早稲田松竹でテリー・ギリアム監督による1989年製作イギリス映画「バロン」(127分)を観ました

物語の舞台は18世紀のドイツの町。毎日のように繰り返されるトルコ軍の攻撃のために、人々は飢えと貧困で疲れ切っていた   海にはトルコ軍の船団が停泊し、海岸からは無数の兵士が押し寄せてくる   人々は悲惨な現実から逃避できず、夢や空想を忘れていた    ただ10歳の少女サリー(サラ・ポリー)だけは、超能力を持つ4人の部下を従える伝説の英雄バロンが、いつの日か現れて町を救ってくれると信じていた   戦闘が激しさを増し廃墟と化した町に、ある日忽然と一人の男が現れた 彼は自分が伝説の主人公バロン(ジョン・ネヴィル)であると声高に叫び始める しかし、町の人びとは誰も信じなかった 彼らにとって大事なのは一人の英雄ではなく、自分たちの命だったからだ そんな中、サリーだけは違った。彼を追って「私たちの町を救ってください。4人の部下を探してトルコ軍をやっつけてください」と懸命に説得を始める 渋るバロンもサリーの熱意に負け、仲間を探すことに決める 目もくらむ冒険とファンタジーの世界を目指し気球に乗って旅立った

この映画は、実在した世界一のほら吹き男爵、バロン・フォン・ミュンヒハウゼンをモデルに、月、地底、海への奇想天外な旅を映像化したユーモアたっぷりの冒険物語です

この映画を観て最初に感じたのは、流石はモンティ・パイソンを輩出したイギリス映画だな、ということです ブラックユーモアとシュールな展開が楽しい作品です

現代のようにほとんどSFXで撮影するというのでなく、あくまでも実物にこだわり、そこにSFXを被せてスケールの大きな映像を実現しています イタリアやスペインのロケ地に町を再建して実写するかと思えば、イタリアのチネチッタスタジオの16ステージのうち6スタジオを占拠し、実物大の巨大なセットを組んで撮影しています トルコ軍との戦闘シーンでは述べ8万人のエキストラ、数千頭の馬と象を登場させています 奇才テリー・ギリアムだからこそ実現可能だったのでしょう

この映画は莫大な75億円もの経費を費やした割には興行収入が芳しくなかったようですが、モンティ・パイソンの面白さが分かる人なら、本作の本当の面白さが分かると思います

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熊倉優 ✕ 小林愛実 ✕ 新日本フィルでショパン「ピアノ協奏曲第1番」、ドヴォルザーク「交響曲第9番」を聴く ~ クラシックへの扉シリーズ

2025年07月06日 00時02分54秒 | 日記

6日(日)。わが家に来てから今日で3827日目を迎え、首都ワシントンの地下鉄名を「トランプ・トレイン」に、2026年の建国250周年を機にトランプ氏の肖像を入れた「新250ドル札」発行を、首都の玄関口、ダレス国際空港を「ドナルド・J・トランプ空港に」、トランプ氏の誕生日を連邦の祝日に・・・といった法案が共和党から下院に提出されている  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

  

  トランプが王様気取りになるわけだ  共和党員の見返りは 次の選挙でのトランプの支援

         

昨日、すみだトリフォニーホールで新日本フィル「第32回すみだクラシックへの扉」定期公演を聴きました   プログラムは①ショパン「ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 作品11」、ドヴォルザーク「交響曲第9番 ホ短調 作品95 ”新世界より”」です   演奏は、①のピアノ独奏=小林愛実、指揮=熊倉優です

私は本来「扉シリーズ」は金曜日の定期会員ですが、コンサートのハシゴを避けるため土曜日公演に振り替えました

いつもより少し早めに会場入口の「振替受付」に行くと、チケットボックス部の登原さんが新しい座席指定券を用意して待っていてくれました 振替先の席は1階21列12番、左ブロック右通路側です 定期会員席よりも後方ですが、私が通路側席にこだわっていることに配慮された絶好の席です 今回は完売ということなので、振替席で通路側を確保するのは簡単ではなかったと思われます 感謝しかありません

この日も満席です    毎回よく入ります

1曲目はショパン「ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 作品11」です この曲はフレデリック・ショパン(1810-1849)が1830年に作曲、同年10月11日にワルシャワで初演されました この公演はポーランドに別れを告げる最後の演奏会となりました 第1楽章「アレグロ・マエストーソ」、第2楽章「ロマンツェ:ラルゲット」、第3楽章「ロンド:ヴィヴァーチェ」の3楽章から成ります

オケは12型で 左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの新日本フィルの並び コンマスは西江王子です

指揮を執る熊倉優は1992年東京生まれ。桐朋学園大学卒、同研究科修了。第18回東京国際音楽コンクール「指揮」で第3位入賞 2016年から19年までNHK交響楽団・首席指揮者パーヴォ・ヤルヴィとN響のアシスタントを務める 2023年8月にハノーファー州立歌劇場第2カペルマイスターに就任

ピアノ独奏の小林愛実は1995年山口県宇部市出身。3歳からピアノを始め、7歳でオーケストラと共演、9歳で国際デビューを果たす フィラデルフィア・カーティス音楽院で研鑽を積む。2015年10月、第17回ショパン国際ピアノコンクールファイナリストとなる。2021年の第18回ショパンコンクールでは第4位入賞を果たす

思ったより小柄な小林が純白の衣装で登場し、ピアノに向かいます この人には純白がよく似合います

熊倉の指揮で第1楽章に入ります 熊倉はN響で指揮研究員として活躍していた時から比べ、頼もしさを感じます 堂々たるオケの演奏に続き、小林の独奏ピアノが入ってきます 小林のピアノは一音一音がクリアです 瑞々しい感性の持ち主なんだな、と思わせます 第2楽章ではファゴットの息の長い演奏を背景にリリカルなピアノが会場に響き渡ります 彼女のピアノはとにかく音色がとても美しい 第3楽章は弾むような軽快なピアノで開始され、オーケストラとのコラボにより流麗な演奏が展開します

満場の拍手とブラボーが飛び交う中、カーテンコールが繰り返されます 小林はアンコールにショパン「マズルカ第36番 イ短調 作品59-1」を鮮やかに演奏、再び満場の拍手に包まれました

プログラム後半はドヴォルザーク「交響曲第9番 ホ短調 作品95 ”新世界より”」です この曲はアントニン・ドヴォルザーク(1841-1904)が米ニューヨークのナショナル音楽院の院長を務めていた1893年に作曲、同年ニューヨークで初演されました 第1楽章「アダージョ ~ アレグロ・モルト」、第2楽章「ラルゴ」、第3楽章「スケルツォ:モルト・ヴィヴァーチェ」、第4楽章「アレグロ・コン・フォーコ」の4楽章から成ります

オケは14型に拡大し、熊倉の指揮で第1楽章に入ります 後半の「アレグロ・モルト」部分を聴いて、ラストに向けて大きくうねりながらスピードアップして畳みかけていく手法は、N響時代のヤルヴィに学んだのだろうか、と思いました 第2楽章は、なんだかんだ言ってもイングリッシュホルンの独壇場です 森明子の「家路」のテーマの抒情的な演奏は包容力があり郷愁を誘います 他の楽器が束になってかかってもイングリッシュホルン1本にかないません 私はこれまで様々なオーケストラで何度も何度もこの「新世界交響曲」をライブで聴いてきましたが、この「ラルゴ」の演奏は森明子さんの演奏が一番好きです 第3楽章は小気味の良い推進力に満ちたスケルツォが展開します 弦楽セクションの渾身の演奏が印象的です 第4楽章の冒頭は鉄道オタク、ドヴォルザークの面目躍如といった音楽です 今まさに蒸気機関車がスピードを上げて発進する有様が音で表現されています ホルン・セクションの輝かしい演奏が素晴らしい オーケストラの総奏によりクライマックスを迎え、最後の音が減衰しながら空間に消えていき、指揮者のタクトが下ろされると、満場の拍手がステージに押し寄せました

何度も何度も聴いた曲なのに、今回も全く飽きることなく最後まで聴き入ってしまいました こういう作品を”名曲”と言うのでしょう

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カリーナ・カネラキス ✕ アリス=紗良・オット ✕ 東京都交響楽団でラヴェル「ピアノ協奏曲ト長調」、マーラー「交響曲第1番」を聴く~都響第1023回定期演奏会Bシリーズ

2025年07月05日 00時18分40秒 | 日記

5日(土)。7月21日(月・祝)14時から①東京交響楽団「第732回定期演奏会」と②新交響楽団「第270回演奏会」がダブっているので、東響を7月19日(土)14時からミューザ川崎で開かれる東響「第101回川崎定期演奏会」(同一プログラム:ブリテン「戦争レクイエム」)に振り替えました

新交響楽団「第270回演奏会」といえば、7月3日(木)付の朝日新聞夕刊で、同社編集委員の吉田純子さんが「芥川也寸志の本懐 映像音楽で 『音楽はみんなのもの』生誕100年で新交響楽団が公演」という見出しにより紹介していました 冒頭の部分は次の通りです

「生誕100年を迎えた作曲家、芥川也寸志が結成したアマチュアオーケストラ、新交響楽団が21日、芥川の楽曲を中心に20世紀の映像音楽に焦点を当てる公演を東京都で開く 『音楽はみんなのもの』『アマチュアこそが音楽の本道』。こうした理念は師の伊福部昭ゆずり クラシックは特権的なものではなく、誰にでも開かれたものと語り、芸術と大衆文化を豊かに連ねるべくメディアにも積極的に出演 とりわけ1956年に創設した新響を、自らの信念の権化として丹精込めて育てた

そういうオケだからこそ、他公演を振り替えてでも聴きたいのです

ということで、わが家に来てから今日で3826日目を迎え、トランプ米大統領は3日、米国独立250周年を記念する祝賀行事の一環として、ホワイトハウスの敷地内で総合格闘技UFCの公式試合を開催すると発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

   

   ”力が強い者が勝つ”というトランプの強権主義的思考を誇示するのが目的なんじゃね?

         

昨日、夕食に「鶏の山賊焼き」と「舞茸の味噌汁」を作りました 野菜類はワンプレートに収めました。山賊焼きは柔らかく焼けて美味しかったです

         

昨夜、サントリーホールで東京都交響楽団「第1023回定期演奏会Bシリーズ」を聴きました プログラムは①ラヴェル「ピアノ協奏曲 ト長調」、②マーラー「交響曲第1番 ニ長調」です 演奏は①のピアノ独奏=アリス=紗良・オット、指揮=カリーナ・カネラキスです

新進女性指揮者+アリス・紗良・オットの出演ということでか完売御礼です

指揮を執るカリーナ・カネラキスはニューヨーク生まれ。ヴァイオリン奏者としてベルリン・フィルのオーケストラ・アカデミーで演奏していた時、サイモン・ラトルに指揮を勧められる ベルリン放送響首席客演指揮者、ウィーン・ムジークフェラインのアーティスト・イン・レジデンスなどを歴任 オランダ放送フィル首席指揮者、ロンドン・フィル首席客演指揮者を務める

1曲目はラヴェル「ピアノ協奏曲 ト長調」です この曲はモーリス・ラヴェル(1875-1937)が1929年から31年にかけて作曲、1932年1月14日にパリで初演されました 第1楽章「アレグラメンテ」、第2楽章「アダージョ・アッサイ」、第3楽章「プレスト」の3楽章から成ります

ピアノ独奏のアリス=紗良・オットは1988年8月、ドイツ・ミュンヘンでドイツ人の父、日本人の母の元に生まれる。オーストリアのザルツブルク・モーツアルテウムで研鑽を積む。2008年にドイツ・グラモフォンと専属契約を結ぶ 世界的に活躍したが2019年2月、多発性硬化症と診断されていたことを自身の公式サイトで公表。2022年から活動を再開している

オケは10型の小編成で 左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの都響の並び コンマスは水谷晃です

白を基調とする銀のラメ入りのエレガントな衣装のアリスが小走りでピアノに向かいます 彼女の足元を見て、「まったく変わらないなあ」と思いました 彼女は暑い日も寒い日も素足で演奏します 素足の方がペダルタッチが巧くいくのかどうか分かりませんが、素足は彼女の演奏スタイルとして定着しています

カリーナ・カネラキスの指揮で第1楽章に入ります アリスはかなり自由自在なテンポ設定により軽快に演奏し、指揮者が彼女に合わせているようにみえます 第2楽章が白眉でした アリスは一音一音を紡ぎ出すようにゆったりしたテンポで丁寧に弾いていきます 後半のイングリッシュホルンとの協演は叙情的で素晴らしかった 第3楽章は高速テンポの超絶技巧演奏により一気呵成に弾き切りました

満場の拍手とブラボーが飛び交う中、カーテンコールが繰り返されました アリスは流ちょうな日本語で、「今日はお暑い中お越しくださいまして ありがとうございました   東京都交響楽団とは17年ぶりの共演ということで、楽しみにしていました   ライブでの音楽は、音と音との”間”を含めて、演奏する側と聴く側との共同作業の中で成立するものです これからアンコールにアルヴォ・ぺルトの「アリーナのために」を演奏しますが、皆さまとの共同作業の中で演奏したいと思います」と語り、ぺルトの澄み切ったピアノ曲を静謐な環境の中で演奏し、聴衆のクールダウンを図りました 演奏が終わると再び満場の拍手が彼女を包み込みました

前回アリスの演奏をライブで聴いたのはいつだったろうか グーグルでググってみたら2015年5月20日付のtoraブログに彼女のリサイタルを聴いた感想が載っていました あれから10年も経ったのか・・・と感慨深いものがあります 興味のある方はご覧ください

下の写真の右上のショパン・アルバムは彼女のリサイタルの時にサインをもらったCDですが、いつのリサイタルか不明です

プログラム後半はマーラー「交響曲第1番 ニ長調」です この曲はグスタフ・マーラー(1860-1911)が1884年から88年にかけて作曲、1889年11月20日にブダペストで初演されました(初稿) 第1楽章「ゆっくりと、引きずるように ~ 終始きわめてのどかに」、第2楽章「力強い動きをもって、急がずに」、第3楽章「厳かに威厳をもって、引きずらないように」、第4楽章「嵐のように激しく」の4楽章から成ります

オケは16型に拡大します 前半ではピアノの蓋の陰で見えなかったのですが、オーボエのトップに座っているのは新日本フィルの首席・神農広樹氏ではないかと思います

この曲は好きなので、理屈抜きで楽しみました 気が付いた点をいくつか挙げると、多くの指揮者がクラリネットやオーボエにベルアップ奏法を求めるのですが、カリーナ・カネラキスはそうした要求はしませんでした ただし、第4楽章のフィナーレ近くでは、8人のホルン奏者に立奏を求めました 第2楽章ではヴァイオリン・セクションのトップ4人(水谷、渡邉、双紙、遠藤)が命がけのような熱演を繰り広げているのが印象的でした 第3楽章冒頭のコントラバスのソロは素晴らしかったです オーケストラの総力を挙げてのフィナーレは圧巻でした

全般を通して、カリーナ・カネラキスの指揮は不自然さがなく、極めて堅実だと思いました

  

  

  

  

  

         

今日はすみだトリフォニーホールに新日本フィル「第32回 すみだクラシックへの扉」定期公演を聴きに行きます 本来、扉シリーズは金曜日の定期会員ですが、ハシゴを避けるため土曜公演に振り替えました

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松本宗利音 ✕ 上野耕平 ✕ 東京シティ・フィルで逢坂裕「アルトサクソフォン協奏曲」、ブラームス「交響曲第2番」、ミヨー「スカラムーシュ」、ドヴォルザーク「英雄の歌」を聴く

2025年07月04日 00時49分01秒 | 日記

4日(金)。わが家に来てから今日で3825日目を迎え、米議会予算局は1日、トランプ減税の延長を柱とする減税・歳出法案が今後10年間で3.4兆ドル(約490兆円)の財政悪化要因になるという試算を公表したが、米連邦議会下院は 同法案の採決に向け調整を続けているなか、与党・共和党内の反対派はなお強硬で、可決されるかどうか微妙である  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

  

  トランプ政権が関税引き上げに固執するのは  減税のための財源確保が目的だったわけだね

         

昨夜、東京オペラシティコンサートホールで東京シティ・フィル「第380回定期演奏会」を聴きました プログラムは①ドヴォルザーク:交響詩「英雄の歌」作品111,②ミヨー「スカラムーシュ」作品165、③逢坂裕「アルトサクソフォン協奏曲」、④ブラームス「交響曲第2番 ニ長調 作品73」です 演奏は②③のサクソフォン独奏=上野耕平、指揮=松本宗利音です

開演30分前からプレコンサートがありました 穏やかないい演奏でした ところで、事前にXで情報が流れてきたので知ることができましたが、Xを見なかった人は知らなかったのではないかと思います せっかく若手の楽員の顔と名前を覚えてもらう絶好のチャンスなのに、PR不足で もったいないと思います 楽団は事前告知を徹底した方が良いと思います

指揮を執る松本宗利音は1993年大阪府豊中市出身。東京藝大指揮科卒 2019年から2022年まで札幌交響楽団指揮者を務め、2025年4月大阪フィル指揮者に就任した 東京シティ・フィルには指揮研究員として在籍した経緯がある

オケは14型で 左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつものシティ・フィルの並び コンマスは荒井英治です

1曲目はドヴォルザーク:交響詩「英雄の歌」作品111です この曲はアントニン・ドヴォルザーク(1841-1904)が1897年に作曲、1898年にウィーンで初演された、ドヴォルザーク最後の管弦楽曲です

内容的には「英雄の若き姿」「英雄の悲嘆の歌」「慰め」「反撃と勝利の歌」と解釈されるもので、言わばドヴォルザーク版「英雄の生涯」といった曲想です リヒャルト・シュトラウスの「英雄の生涯」が過去の自作を自慢げに披露しているのに対し、ドヴォルザークの「英雄の歌」は純粋に一人の英雄の一生を客観的に表現した音楽のように思います 全体的にドヴォルザークらしいボヘミアの香りを感じさせる素晴らしい演奏でした

2曲目はミヨー「スカラムーシュ」作品165です この曲はダリウス・ミヨー(1892-1974)が1937年に作曲した児童劇「空飛ぶお医者さん」の付随音楽から編まれた2台のピアノのための作品です 「スカラムーシュ」はイタリアの喜劇の道化役の意味を持っています 第1曲「ヴィフ(活発に)」、第2曲「モデレ(中庸の速さで)」、第3曲「ブラジルの女」の3曲から成ります

サクソフォン独奏の上野耕平は1992年茨城県出身。東京藝大卒。第28回日本管打楽器コンクールサクソフォン部門第1位(史上最年少)及び特別大賞を受賞 2014年には第6回アドルフ・サックス国際コンクール第2位。ソリストとして全国のオーケストラと共演を重ねる一方、6枚のCDをリリースしている

オケは12型に縮小し、ステージ下手にはピアノ、チェレスタ、ハープがスタンバイします

松本の指揮で演奏に入りますが、上野は第1曲では明るくリズミカルに、第2曲ではブルース調で、第3曲ではサンバ調で、技巧を凝らして吹き切りました

3曲目は逢坂裕「アルトサクソフォン協奏曲」です この曲は上野耕平が逢坂裕に作曲を委嘱したもので、2020年5月から2022年3月にかけて作曲されました 逢坂裕(おおさか ゆたか)は1980年青森市生まれ。7歳より独学で作曲を学ぶ。2015年東京藝大作曲科を卒業 第1楽章「マエストーソ」、第2楽章「レクイエム:アンダンテ・コン・コート」、第3楽章「アレグロ・モルト」の3楽章から成ります

なお、YouTube動画によると上野氏と逢坂氏は歳は離れているものの東京藝大の同期生、1年下に松本氏が在籍していたとのことです

松本の指揮で第1楽章に入りますが、低音から高音に駆け上がる飛翔感溢れる爽快な演奏がカデンツァ風に繰り広げられます 上野は超絶技巧による疾走感に満ちた演奏で聴衆を圧倒します 第2楽章は一転、悲壮感に満ちた音楽が奏でられ、高音部は悲痛な叫びのようです 第3楽章は再び超絶技巧の高速演奏によりドラマティックな演奏が繰り広げられます そして、サクソフォンの高音の叫びで華麗なフィナーレを飾ります

凄い演奏でした 松本 ✕ シティ・フィルもソリストにピタリとつけました

会場いっぱいの拍手とブラボーが繰り返される中、カーテンコールが繰り返されましたが、客席で聴いていた作曲者・逢坂氏が立ち上がり、拍手に応えていました

プログラム後半はブラームス「交響曲第2番 ニ長調 作品73」です この曲はヨハネス・ブラームス(1833-1897)が1877年に作曲、同年ウィーンで初演されました 第1楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」、第2楽章「アダージョ・ノン・トロッポ ~ リステッソ・テンポ、マ・グラツィオーソ」、第3楽章「アレグレット・グラツィオーソ ~ プレスト・ノン・アッサイ」、第4楽章「アレグロ・コン・スピーリト」の4楽章から成ります

弦楽器は14型に拡大し、松本の指揮で第1楽章に入ります 冒頭の谷あかね率いるホルン・セクションの牧歌的な演奏が素晴らしい この曲はオーストリアのヴェルター湖畔の村ペルチャッハで作曲されましたが、まさに風光明媚な景色が想像できるような爽やかな演奏が続きます 第2楽章もその流れを維持し、「ブラームスの田園交響曲」と呼ばれるに相応しい息の長い美しい旋律が続きます 大友肇率いるチェロ・セクションの演奏が印象的です 第3楽章では正木知花のフルート、本多啓佑のオーボエが冴えていました 第4楽章では推進力に満ちた演奏が展開し、オーケストラの総力を挙げての熱演で輝かしいフィナーレを飾りました

会場いっぱいの拍手とブラボーがステージに押し寄せ、カーテンコールが繰り返されました

さて、指揮を執った松本宗利音(まつもと しゅうりひと)は、ドイツ出身の世界的な指揮者カール・シューリヒトの夫人が名付け親です    奇しくも本公演の7月3日はカール・シューリヒトの145回目の誕生日にあたります(1880年7月3日 ~ 1967年1月7日)。私は密かに、松本宗利音はこの日のコンサートをシューリヒト夫妻に献呈したのではないかと思っています

         

今日はサントリーホールに東京都交響楽団第1023回定期演奏会Bシリーズを聴きに行きます

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松本宗利音 ✕ 上野耕平 ✕ 東京シティ・フィルによる「第380回定期演奏会」の公開リハーサルを見学する ~ 本番で演奏する楽曲のリハーサルを全て公開! / 多和田葉子:CDを拾う

2025年07月03日 00時02分19秒 | 日記

3日(木)。 昨日の日経夕刊第1面のコラム「あすへの話題」に作家・多和田葉子さんが「CDを拾う」という題のエッセイを寄せていました  超略すると以下の通りです

「家の近所を散歩していると、『ご自由にお持ちください』と書かれた札といっしょに、いろいろなものが段ボール箱に入れられている  今日は30枚のCDが捨ててあった その中からロッシーニの『スターバト・マーテル』とカール・オルフの『カルミナ・ブラーナ』を拾った  偶然拾った曲が我が身にこれから起こることを暗示しているのではないかと思ったり、曲の意味を深く考えればその災いを逃れることができるかもしれないと願ったりする楽しみ方もある 物を拾うのは、どこか御神籤を引くのに似ている  CDは古いと笑う人もいるが、ロッシーニやオルフはCDより更に古く、彼らが作曲に使った詩は更に時代を遡って中世のものである 気が遠くなるほど古いものに繋がっていく長い糸の先端が時には道端にころがっているのだ

多和田さんが書いている「CDは古いと笑う人もいるが、ロッシーニやオルフはCDより更に古く、彼らが作曲に使った詩は更に時代を遡って中世のものである」というのは次のようなことです

CD(コンパクトディスク)は1970年代にソニーとフィリップスが共同開発し、1980年代初めに製品化された記憶媒体です 今から45年前に世の中に出たことを考えれば”古い” ジョアッキーノ・ロッシーニ(1792-1868)とカール・オルフ(1895-1982)は18世紀から19世紀に生まれた作曲家なのでCDの登場よりもはるかに”古い” さらに、ロッシーニ「スターバト・マーテル」は13世紀のフランシスコ会で生まれたカトリック教会の聖歌の一つ「悲しみの聖母」を基にして作曲されているのでもっと”古い” 同じく、オルフの世俗カンタータ「カルミナ・ブラーナ」は10~13世紀の放浪僧、吟遊詩人などの詩を集めた写本を基に作曲されているのでもっと”古い”ーというわけです そんなに古い音楽が、現代社会の道端で息づいているということでしょう

ところで、多和田葉子といえば 8月中旬に新国立劇場「オペラパレス」で上演されるオペラ「ナターシャ」の台本を書いた作家です  作曲は細川俊夫で、大野和士指揮東京フィルによって演奏されます このことから、多和田さんが声楽入りの2枚のCDを拾ったのは偶然ではないと思いました

ということで、わが家に来てから今日で3824日目を迎え、国際医学誌ランセットは6月30日、トランプ米政権が途上国支援を担う国際開発局(USAID)を事実上解体したことにより、5年間で1400万人以上が死亡する可能性があるとする論文を掲載した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

  

  トランプにとっては 自身の支持者が第一で それ以外の者など知ったこっちゃないんだよな

         

昨夜は、娘が外食するというので、夕食作りをお休みして、自宅で独り居酒屋「生ビール+焼き鳥+冷奴」を楽しみました 暑い日には生ビールですよね

         

昨日正午からティアラこうとう大ホールで東京シティ・フィル「第380回定期演奏会」に向けての公開リハーサルを見学しました

  

3日(木)19時から東京オペラシティコンサートホールで開かれる本公演のプログラムは、①ドヴォルザーク:交響詩「英雄の歌」、②ミヨー「スカラムーシュ」、③逢坂裕「アルトサクソフォン協奏曲」(上野耕平 委嘱作品)、④ブラームス「交響曲第2番」で、演奏は②と③のサクソフォン独奏=上野耕平、指揮=松本宗利音となっています

事前の案内ではブラームス「交響曲第2番」のリハーサルを公開するとしていましたが、当日配布のプログラムには①ミヨー「スカラムーシュ」、②逢坂裕「アルトサクソフォン協奏曲」、③ドヴォルザーク:交響詩「英雄の歌」とありました 公開リハーサルでソリストを伴う「協奏曲」を取り上げるのは珍しいな、と思いました また、普段あまりなじみのない曲をリハーサルで聴くことができると、それが本番の予習にもなるので、有難いと思いました

オケは12型で 左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつものシティ・フィルの並び   コンマスは荒井英治です

すでに上野耕平が指揮台の脇でスタンバイしています

ミヨー「スカラムーシュ」は3つの曲から成りますが、松本はそれぞれの曲を途中で演奏を止めることなく続けて演奏させました   これは2曲目以降も含めて、本番前日のリハーサルということで、仕上げに近いパフォーマンスだからではないかと思われます 上野耕平のサックスが素晴らしい この曲は20分程度で仕上げました

次に上野耕平が藝大同期生の逢坂裕に作曲を委嘱した「アルトサクソフォン協奏曲」です この曲も各楽章ごとに通して演奏させ、途中で止めることなはありませんでした この曲はサックスの魅力が凝縮された超絶技巧曲で、現在の上野耕平の技巧の全てが披露される感じがします 本番が楽しみです この曲は30分程度で仕上げました

休憩後にドヴォルザーク:交響詩「英雄の歌」の演奏に入りました 弦楽器は14型に拡大されています この曲では、一度通して演奏した後、小間切れ的に修正をかけていったので、40分ほどかかりました この時点で13:50だったので、これで公開は終了かな、と思っていたら、まさかのブラームス「交響曲第2番」のリハーサルに入りました 第1楽章の前半が中心でしたが、20分くらいかけてリハーサルを行いました 結局、本番で取り上げる曲のリハーサルをすべて公開したことになります

いつもの公開リハーサルは60分程度で物足りなさがあるのですが、今回は「プレミアム」と銘打っていて、シティ・フィル会員とティアラ会員に限定しているため、正味2時間の公開となりました 願わくば、毎回2時間公開してくれたらいいのに・・・と思うのですが、いろいろと事情があるのでしょう

ということで、今日は東京オペラシティコンサートホールに東京シティ・フィル「第380回定期演奏会」を聴きに行きます

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「ミューザの日2025 ウェルカム・コンサート オーケストラ入門!」を聴く ~ オーケストラ演奏あり、 指揮者体験コーナーあり、オルガン演奏ありの楽しいコンサート

2025年07月02日 06時37分21秒 | 日記

2日(水)。わが家に来てから今日で3823日目を迎え、トランプ米大統領は6月30日、SNSで「日本は私たちの米を受け取ろうとしない。深刻な米不足に直面しているというのに」と主張した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

  

  日本人は米国のパサパサの不味い米は食べないんだよ 悔しかったら 美味い米を輸出しろよ

         

昨日、夕食に「焼き厚揚げの おろしポン酢かけ」「生野菜とモッツアレラチーズのサラダ」「キャベツの味噌汁」を作りました 「焼き厚揚げ~」には大根おろし、紫蘇、小葱が乗っています 暑い夏にはいいですよ

         

昨日、ミューザ川崎シンフォニーホールで「ミューザの日2025  ウェルカム・コンサート  オーケストラ入門!」を聴きました プログラムは①グリンカ:歌劇「ルスランとリュドミラ」から「序曲」、②アンダーソン「クラリネット・キャンディ」、③同「トランペット吹きの休日」、④J.S.バッハ「トッカータとフーガニ短調BWV565」からトッカータ(オルガン・ソロ)、⑤ブラームス「ハンガリー舞曲集」から第5番、⑥サラサーテ「カルメン幻想曲」、⑦外山雄三「管弦楽のためのラプソディ」です ④のオルガン独奏=大木麻里、⑥のヴァイオリン独奏=小林悠、管弦楽=東京交響楽団、指揮=山下一史、ナビゲーター=田添菜穂子です

オケは12型で 左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの東響の並び。コンマスは小林壱成です

1曲目はグリンカ:歌劇「ルスランとリュドミラ」から「序曲」です この歌劇はミハイル・グリンカ(1804-1857)が1837年から1842年にかけて作曲しました 序曲は高速で演奏されることから、オーケストラの実力が知れる曲として知られています

山下の指揮で演奏に入りますが、高速テンポにより軽快な演奏が繰り広げられ、直前に声を出していた子どもも黙りました 泣く子も黙る演奏とはこのことか

2曲目はアンダーソン「クラリネット・キャンディ」です この曲はルロイ・アンダーソン(1908-1975)がボストン響が夏に開くコンサートのために1962年に作曲しました

オケのサポートをバックに2人のクラリネット奏者がノリノリで演奏、楽しい音楽を振り撒きました

3曲目はアンダーソン「トランペット吹きの休日」です この曲も同様に作曲されましが、誰もが一度は耳にしたことのある有名な曲です

3人のトランペット奏者が登場、オケとの掛け合いを交えながら爽快な演奏を繰り広げました

4曲目はJ.S.バッハ「トッカータとフーガニ短調BWV565」からトッカータです この曲はヨハン・セバスティアン・バッハ(1685-1750)が1704年から1708年に作曲したと言われています

ミューザ川崎のホールオルガニスト大木麻里が2階正面のオルガン席に現れ、「ミューザのオルガンはスイス製で、このホールのために作られた唯一無二のオルガンである 手で弾く鍵盤4段、足で弾く鍵盤1段により演奏される パイプは客席から見えるのはごく一部で、大小さまざまなパイプ5248本により構成されている」という説明をして、トッカータの演奏に入りました

久しぶりに生演奏でオルガンを聴きましたが、ホールを揺るがす音の大波に圧倒されました

次はいきなり「指揮者体験コーナー」に突入しました 曲はブラームス「ハンガリー舞曲集」から第5番です この曲はヨハネス・ブラームス(1833-1897)がピアノ連弾のために作曲した4巻からなる舞曲集の5番目の作品です

ビデオ審査を通過した2人の素人指揮者が登場します

最初に相当緊張している様子の9歳の片野遥音さんが指揮台に上がり、タクトを振り降ろしました ほんの数小節だけですが、立派に指揮を務め、大喝采を浴びました ピアノを習っているそうなので、リズム感があるようです 終わって田添さんから感想を訊かれると、「(オケが)合わせてくれて、嬉しかったです」と答え、再び喝采を浴びました 次いで、山下マエストロの下でジュニア・オケで演奏したことがあるという24歳・公務員の與田春之心さんが指揮台に上がり、タクトを振り降ろしました 途中で管楽器に指示を出したりしてメリハリを付けていました 彼も大喝采を浴びました 感想を求められて「また再び東響を指揮したい」と希望を述べていました 山下マエストロは「指揮のコツは”出だし”を揃えることです」とアドヴァイスしました

次の曲はサラサーテ「カルメン幻想曲」です この曲はパブロ・サラサーテ(1844-1908)がジョルジュ・ビゼーの歌劇「カルメン」のメロディを基に1883年に作曲しました ヴァイオリン独奏の小林悠さんは川崎市出身の東京藝大附属高校1年生です。数多くのジュニア・コンサートで上位入賞を果たしています

小林は超絶技巧を駆使して難曲に挑み、色彩感溢れる演奏を繰り広げ、満場の拍手を浴びました

最後の曲は外山雄三「管弦楽のためのラプソディ」です この曲は外山雄三(1931-2023)が1960年のN響の海外遠征のために作曲し、岩城宏之の指揮で初演された作品で、遠征先で大喝采を浴びたと伝えられています

拍子木の連打から開始され、わらべ歌「あんたがたどこさ」が演奏され、ソーラン節、炭坑節、串本節・・・と次々と日本のメロディが奏でられます 白眉はフルート独奏による「信濃追分」です 竹山愛は美しい音色のフルートで長大な”和のメロディ”を朗々と奏で、聴衆を魅了しました 演奏を聴きながら思い出したのは、今年5月10日のジョゼ・ソアーレス指揮東京シティ・フィルによる同曲の演奏です フルート独奏は正木知花でしたが、まるで尺八を吹いているようなこぶし回しが素晴らしかった 同じ音楽なのにこうも表現方法が違うのか、と感心します

再び拍子木が激しく打ち鳴らされ、コンマス以下数人の男性陣が立ち上がり、「いよ~お」という威勢の良い掛け声とともに「八木節」がお祭り騒ぎの賑やかさで演奏され、熱狂的に盛り上がる中、力強いフィナーレを迎えました

会場はやんややんやの大喝采です。鳴りやまない拍手に、山下マエストロは「アンコールはこれしかありません」と宣言し、聴衆に手拍子を求めて、ヨハン・シュトラウス1世「ラデツキー行進曲」をノリノリで演奏、大喝采を浴びました

休憩なしの約70分でしたが、内容が充実していて楽しいコンサートでした

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新日本フィル「室内楽シリーズ 木管室内楽の頂点 ~ 神農広樹プロデュース編」を聴く ~ 野津雄太、マルコス・ペレス・ミランダ、渡邉眞理愛、山田圭祐、高橋ドレミ、神農広樹によるフランセ&ミヨーを堪能

2025年07月01日 00時34分43秒 | 日記

7月1日(火)。わが家に来てから今日で3822日目を迎え、トランプ米大統領は29日、日米間の日本を名指しして「彼らは私たちの車を受け取らないのに、彼らの車は何百台も米国に入ってくる」と批判し、日米間の貿易が「公平でない」との認識を示した上で、日本に対して「自動車に25%の関税を支払うことになる」という書簡を送ることもできる、と語った  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

米国の自動車メーカーが 日本車よりも安価で性能が良い車を作って輸出すれば 解決する話じゃね?

         

昨日、夕食に「豚肉の生姜焼き」「生野菜モッツアレラチーズのサラダ」「シメジの味噌汁」を作りました 暑い日は豚肉がいいですね

         

昨夜、すみだトリフォニーホール(小)で新日本フィル「室内楽シリーズ 木管室内楽の頂点 ~ 神農広樹プロデュース編」を聴きました プログラムは①ミヨー「ルネ王の暖炉」、②フランセ「ディヴェルティメント」、③同「オーボエとファゴット、ピアノのための三重奏曲」、④同「木管五重奏曲第1番」、⑤ドビュッシー(ハンバート・ルカレッリ編)「夢」(オーボエ&ピアノ二重奏版)、⑥フランセ「恋人たちの黄昏」です 演奏はオーボエ=神農広樹、フルート=野津雄太、クラリネット=マルコス・ペレス・ミランダ、ファゴット=渡邉眞理愛(パシフィックフィルハーモニア東京)、ホルン=山田圭祐、ピアノ=高橋ドレミ(新日本フィルに客演多い)です

この日も完売御礼ということで、よく入りました

いつも通り、開演に先立って本公演の仕掛け人・神農氏によるプレトークがありました 出演者の簡単なプロフィールと、前半の演奏曲目について解説しました この人は、こういう企画・進行役が慣れているようで、トークが上手でした この日4曲演奏するフランセについて、作曲者は生前「自分の音楽の目的は人に喜びを与えることだ」と語っていたことを紹介しました こういう紹介だと期待が高まるというものです トークの途中で、神農氏が客席に向けて「この中でミヨーの『ルネ王の暖炉』をこれまで聴いたことのある人?」と問うと、かなりの人が手を挙げていました さらに「それでは、曲の名前を聞いたことがある人?」と問うと、もっと多くの人が手を挙げたようで、神農氏が「3分の1くらいですね」と話しました これにはビックリしました 私など『ルネ王の暖炉』を知らないどころか、他の作品(ドビュッシー「夢」を除いて)も全て聴いたことがありません 今回は相当フランス音楽、とりわけ管楽器の作品が好きな人が集まったようです そんな中にあって私など素人中の素人です

さて本番です 1曲目はミヨー「ルネ王の暖炉」です この曲はダリウス・ミヨー(1892-1974)が1939年に作曲した木管五重奏のための作品です ルネ王は15世紀のプロヴァンスを治めた人物で、真冬も陽の当たる丘、通称「ルネ王の暖炉」を愛したとのこと 本曲は第1曲「行列」、第2曲「オーバード(朝の歌)」、第3曲「軽業師」、第4曲「ラ・マウザングラード」、第5曲「アルク川の槍試合」、第6曲「ヴァラブルでの狩り」、第7曲「夜のマドリガル」の7曲から成ります

神農氏がプレトークで、この曲の”聴き方”について説明したところによると、「例えば第1曲『行列』は行列を思い浮かべて曲を聴いてください。そうするとそのように聴こえます」とのことです よく考えてみると、「標題」が付いている曲については説得力があると思います ということで、標題を見てから曲を聴くと そのように聴こえてきました   これって洗脳って言わないかい

野津、神農、ミランダ、渡邉、山田の5人により軽妙洒脱な演奏が繰り広げられ、フランス音楽特有の和音の美しさが会場いっぱいに広がりました

2曲目はフランセ「ディヴェルティメント」です この曲はジャン・フランセ(1912-1997)が1942年に作曲、1968年にシュヴェツィンゲンで初演され、フルートの名手ジャン・ピエール・ランパルに献呈されました 第1曲「トッカティーナ」、第2曲「ノットゥルナ」、第3曲「無窮動」、第4曲「ロマンツァ」、第5曲「フィナーレ」の5曲から成ります

髙橋のピアノに乗せて野津のフルートが自由自在に駆け巡りますが、第1曲と第3曲の超絶技巧による超高速演奏には舌を巻きました 野津氏はいったいいつどこで息継ぎをしているのか・・不思議でした

3曲目はミヨー「オーボエとファゴット、ピアノのための三重奏曲」です この曲は国際ダブルリード協会によって、第24回国際ダブルリード・フェスティバルのために委嘱されました 第1楽章「アダージョ ~ アレグロ・モデラート」、第2楽章「スケルツォ」、第3楽章「アンダンテ」、第4楽章「フィナーレ」の4楽章から成ります

神農、渡邉、高橋の3人による演奏ですが、アレグロやスケルツォ部分は、まるで3人のフランス人のいつまでも続くお喋りを聴いているようで、楽しいことこの上ない演奏でした

プログラム後半の1曲目はフランセ「木管五重奏曲第1番」です この曲は1948年に作曲されました 第1楽章「アンダンテ・トランクイロ ~ アレグロ・アッサイ」、第2楽章「プレスト」、第3楽章「テーマ・アンド・バリエーションズ」、第4楽章「テンポ・ディ・マルチャ・フランセス」の4楽章から成ります

野津、神農、ミランダ、渡邉、山田の5人による演奏ですが、5人とも超絶技巧で軽妙洒脱な演奏を展開、見事なアンサンブルを奏でました

2曲目はドビュッシー(ハンバート・ルカレッリ編)「夢」(オーボエ&ピアノ 二重奏版)です  この曲はクロード・ドビュッシー(1862-1918)がヴェルレーヌの詩に触発されて作曲した独奏ピアノのための曲です 他の出演者を休ませるために、という配慮から選ばれた曲ですが、高橋のピアノに乗せて歌う神農の叙情的なオーボエが素晴らしかったです

最後の曲はフランセ「恋人たちの黄昏」です この曲は最初に弦楽五重奏とピアノのために作曲され、後に木管五重奏とピアノのために編曲されました 副題を「ブラッスリーの音楽」といい、艶っぽい夕暮れの街と人々を描いています 第1楽章「ダンディな老人たち」、第2楽章「ピンナップ・ガール」、第3楽章「いらつく若者たち」の3曲から成ります

6人全員による演奏です 第1楽章はオーボエによる猫の「みゃーお」という鳴き声をまねた脱力系の音楽が奏でられます 第2楽章ではミランダのクラリネットが情熱的な演奏を展開します 第3楽章では高速演奏により一気呵成に駆け抜けます

満場の拍手がステージに押し寄せました 文句なしの素晴らしい演奏でした 前述の通り、この日のプログラムは初めて聴く曲ばかりでしたが、楽しく聴くことが出来ました

聴き終わって、あらためて思うのは、新日本フィルの管楽器奏者は実力者揃いだということです 客演の渡邉眞理愛さんと高橋ドレミさんも素晴らしかったです

         

今日はミューザ川崎に「ミューザの日2025 ウェルカム・コンサート」を聴きに行きます

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METライブビューイングでR.シュトラウス「サロメ」を観る ~ 斬新な演出:エルザ・ヴァン・デン・ヒーヴァー、ペーター・マッティ、ミシェル・デ・ヤング、ゲルハルト・ジーゲルにブラボー!

2025年06月30日 00時10分18秒 | 日記

30日(月)。今月も月末を迎えたので、恒例により6月の3つの目標の達成状況をご報告します ①クラシックコンサート=18回、②映画鑑賞=3本、③読書=7冊、①②③合計=28でした また、今年も半年が経過したので、2025年上半期の実績をご報告します ①クラシックコンサート=97回、②映画鑑賞=28本、③読書=27冊、①②③合計=152でした   とはいえ、これがどういう数値か分からないので、前年同期と比較してみます。2024年上半期の実績は①94回、②55本、③47冊でした つまり 今年は、コンサートはほぼ前年同期と同じですが、映画と読書は半減していることが分かります このうち②映画鑑賞は、腰痛悪化防止のため自粛していたのが大きな要因です ③読書は300ページクラスの分厚い本が多かったことが要因の一つかもしれません

ということで、わが家に来てから今日で3821日目を迎え、イタリアのベネチアで28日、米アマゾン創業者で大富豪のジェフ・べゾス氏と元テレビ司会者のローレン・サンチェス氏の豪華な結婚式に抗議して、「べゾスはラグーンから出ていけ」と叫ぶなど、少なくとも500人がデモ行進した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

ベネチアの市民が喜ぶようなご祝儀を Amazon Prime でばら撒いたら 反応が違ったんじゃないの?

         

昨日、新宿ピカデリーでMETライブビューイング、R.シュトラウス「サロメ」を観ました これは今年5月17日に米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像です 出演はサロメ=エルザ・ヴァン・デン・ヒーヴァー、ヨカナーン=ペーター・マッティ、ヘロディアス=ミシェル・デ・ヤング、ヘロデ王=ゲルハルト・ジーゲル、ナラポート=ピョートル・ブシェフスキ。管弦楽=メトロポリタン歌劇場管弦楽団、指揮=ヤニック・ネゼ・セガン、演出=クラウス・グートです

「サロメ」はリヒャルト・シュトラウス(1864-1949)がオスカー・ワイルドの劇を基に1903年から05年にかけて作曲、1905年にドレスデンで初演された全1幕のオペラです

物語の舞台は紀元前36年頃のシリア(本演出ではヴィクトリア朝時代)。キリストの到来を予言したヨカナーン(新約聖書の「洗礼者ヨハネ」)は、王ヘロデが兄弟の妻ヘロディアスを奪って結婚したことを非難した罪で投獄されている ヘロディアスの連れ子サロメは、獄中から聞こえるヨカナーンの声に惹かれ、彼を牢から出させて面会し、ヨカナーンの虜になってしまうが、激しく拒まれる ヨカナーンへの欲望に憑りつかれたサロメは、自分に気があるヘロデの求めに応じて踊り(7つのヴェールの踊り)、褒美に「ヨカナーンの首」を所望する ヘロデは震え上がるが、約束を破るわけにはいかない。銀の皿に乗せられたヨカナーンの首を手に入れたサロメは、その唇に接吻する サロメの異常な行動に恐れを抱いたヘロデ王は「その女を殺せ!」と命令する

「サロメ」をMETで初演した際には、あまりにも官能的で暴力的な内容だったため1回で打ち切られ、以後27年間上演が封印されたというエピソードがあります 今回の演出はMETとしては20年ぶりの新演出となります

歌手陣は揃って絶好調で、流石はMETと感嘆するばかりです

サロメ役のエルザ・ヴァン・デン・ヒーヴァーは1979年南アフリカのヨハネスブルク生まれのソプラノです ドラマティックな歌唱とサロメに成り切った演技力で聴衆を圧倒しました

ヨカナーン役のペーター・マッティは1965年スウェーデン生まれのバリトンです 幅広いレパートリーで世界の歌劇場で活躍していますが、今回も聖職者ヨカナーンを説得力のある歌唱で魅了しました

ヘロディアス役のミシェル・デ・ヤングは1968年ミシガン州生まれのメゾソプラノです 力強い歌唱でサロメの母親役を見事に歌い上げました

ヘロデ王役のゲルハルト・ジーゲルは1963年ドイツ生まれのテノールです 声がよく通り、存在感のある歌唱と演技を披露しました

特筆すべきは、ヤニック・ネゼ=セガン指揮メトロポリタン歌劇場管弦楽団による留まるところを知らない うねるような演奏です   不気味なまでの官能的な演奏によって、サロメの異常な精神世界を表現しました

演出上の大きな特徴は、サロメの分身とでも言うべき少女が幼児から青年女性まで計6人登場することです なぜ6人なのかは、ヘロデの求めに応じて踊る「7つのヴェールの踊り」にヒントがあります 6人の少女は音楽に合わせて一人ずつ登場しては去っていくわけですが、ヘロデ王に対峙するのはサロメを含めた7人です つまり「7人のサロメによる7つのヴェールの踊り」というわけです オーソドックスな演出では、サロメが音楽に合わせて薄いベールを1枚1枚脱いでいくという流れになりますが、本演出ではサロメは全く踊りません。6人の少女たちも踊りません むしろ絶対権力者に脅されて恐怖を感じている姿を演じているように思えます この辺に演出家のメッセージが隠されているのかもしれません

         

「METライブビューイング2025/26」の概要が発表されました 新シーズンは下のチラシ通り11月から来年7月までの間に8演目が上映されます

新シーズンの特徴は極めてオーソドックスな演目が多いということです   個人的にはベッリーニのベルカント・オペラが2作(「夢遊病の娘」「清教徒」)上映されるのが嬉しいです

         

今日はすみだトリフォニーホール(小)に新日本フィル「室内楽シリーズ 木管室内楽の頂点 神農広樹プロデュース編」を聴きに行きます

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アンドレイ・ボレイコ ✕ ツォトネ・ゼジ二ゼ ✕ 新日本フィルでストラヴィンスキー「ピアノと管弦楽のためのカプリッチョ」、ショスタコーヴィチ「交響曲第11番」を聴く

2025年06月29日 00時03分16秒 | 日記

29日(日)。昨日午前10時から近くの集会所でマンション管理組合の定時総会が開かれたので出席しました 会計報告の「未収入金」に関して質疑応答があり、管理費長期滞納者への対応について協議しました   現在督促中の長期多額滞納者については、取りあえず弁護士費用が発生しない少額訴訟を起こすことで意見の一致をみました この案件はローテーションにより選出された次期理事会メンバーに引き継がれます。ほかに大きな検討事項がなかったのでちょうど1時間で審議が終わりました 今期理事会は大規模修繕計画と実施の関係で、通常2年任期のところ、3年間務めました 私自身は理事長1年、副理事長2年務めましたが、これで一段落です 次の順番は4班制のローテーション表に基づき7年後となります

ということで、わが家に来てから今日で3820日目を迎え、トランプ米大統領は27日、イランの最高指導者ハメネイ氏がイスラエルに勝利したと宣言したことを「うそだ」と批判し、イランの経済制裁緩和の検討を停止すると表明した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

   

   トランプの本音は 嘘でもいいからイランはイスラエルに負けたと言ってほしかったか

         

昨日、サントリーホールで新日本フィル「第664回定期演奏会 ~ サントリーホール・シリーズ」を聴きました    プログラムは①ストラヴィンスキー「ピアノと管弦楽のためのカプリッチョ」、②ショスタコーヴィチ「交響曲第11番 ト短調 作品103  ”1905年”」です 演奏は①のピアノ独奏=ツォトネ・ゼジ二ゼ、指揮=アンドレイ・ボレイコ です

アンドレイ・ボレイコは2023/24シーズンまでの5年間、ワルシャワ・フィルの音楽・芸術監督を務めた 今シーズンはウィーン響、ハンブルク・フィル、シュトゥットガルト・フィルなどへの客演が控えている

開演前、当日券売場にチケットボックス部の登原さんを発見 お互いに「お久しぶりです~」と挨拶しました 「今日はプレコンサートがあるので早めに来ました プレコンサートは先日、東京フィルでもサントリー定期でやっていましたよ」と話すと、「毎回実施するわけではないんです。これまでトリフォニーホールでは定期演奏会でのプレコンサートがありましたが、サントリーホールでは今シーズンから始まりました 前回はお聴きになれなかったんですね。ブログで拝読しました」とのことでした プレコンサートの有無は、その都度、事前にホームページでチェックする必要がありそうです いずれにしても、プレコンサートは楽員の顔と名前を覚えてもらうのに絶好の機会になるので、すごく良いことだと思います 新日本フィルの場合は、定期公演のプレコンサートのほかに「楽団員企画による室内楽シリーズ」もあり、素晴らしい取り組みをしていると思います

ということで、開演30分前の13時半からプレコンサートがありました プログラムは①ストラヴィンスキー「パストラーレ」、②ユーマンス(ショスタコーヴィチ編)「タヒチ・トロット(Tea  for  Two)」です 演奏はヴァイオリン=立上舞、オーボエ=神農広樹、イングリッシュホルン=森明子、クラリネット=瀧本千晶、ファゴット=坪井隆明です

両曲ともリラックスして聴きましたが、驚いたのは木管四重奏にヴァイオリンが1本加わるだけで、音楽に幅と深みが増したことです

さて、本番です オケは12型で 左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの新日本フィルの並び コンマスは崔文洙、隣は伝田正秀という2トップ態勢を執ります 第2ヴァイオリンのトップは佐々木絵理子の隣に元カルテット・エクセルシオの山田百子が客演しています また、チェロのトップは長谷川彰子と並んで、先日サントリーホールチェンバーミュージック・ガーデンで「トリオ・フィデーリス」の一員として出演した佐山裕樹が本来業務に復帰して出演しています

1曲目はストラヴィンスキー「ピアノと管弦楽のためのカプリッチョ」です この曲はイーゴル・ストラヴィンスキー(1882-1971)が1928年から29年にかけて作曲、1929年にパリで初演されました 石川亮子氏のプログラム・ノートによると、「ストラヴィンスキーの『自伝』によれば、カプリッチョはファンタジア(幻想曲)に近く、『次々と浮かぶ様々な種類のエピソードを並置することによって作られた音楽』である」とのことです 通常「カプリッチョ」は「自由で気まぐれな」性格を持った音楽ですが、それにファンタジーが加わったものと解釈すればよいでしょうか 第1楽章「プレスト」、第2楽章「アンダンテ・ラプソディコ」、第3楽章「アレグロ・カプリッチォーソ・マ・テンポ・ジュスト」の3楽章から成ります

ピアノ独奏のツォトネ・ゼジ二ゼはジョージアの音楽一家に生まれた現在16歳の青年です ジョージアの大作曲家ニコ・スルハニシヴィリと、著名なピアノ教授アナスターシャ・ヴィルサラーゼの子孫に当たります 5歳でピアノを始め、6歳から作曲を始めました    世界的な指揮者やオーケストラと共演を果たす一方、各国でリサイタルを開いています

上が白のシャツ、下が黒のパンツという”一見  男子高校生”のゼジ二ゼがボレイコと共に登場し、ボレイコに指揮で第1楽章の演奏に入ります

ゼジ二ゼは力強く明快な演奏で諧謔的なパッセージを弾き切ります 第3楽章では「カプリッチョ」の言葉通り次々と変遷するパッセージを、確かな技巧の裏付けによって鮮やかに弾きこなします ボレイコ ✕ 新日本フィルはソリストにピタリとつけました

満場の拍手とブラボーが飛び交い、カーテンコールが繰り返されました ゼジ二ゼは聴衆の熱狂的な反応に対し、結局 アンコールに自作曲を3曲演奏しました 「ストラヴィンスキーへのオマージュ」「日本へのオマージュ」「プレリュード」です

休憩時間に登原さんとお話ししました

登原さん「ゼジ二ゼさんは どんな印象でしたか?」

tora「チラシでは中学生みたいな印象だけど、実際に見たら高校生みたいだった。服装が高校生みたいだったし

登原さん「アンコールは自作曲を3曲も演奏したんですね

tora「何回目かのカーテンコールで、舞台袖に戻ろうとして、『あっ、いけない。アンコール演奏しなくちゃ』と急に思い出したみたいで、突然椅子に座って演奏を始めたので可笑しかった 熱狂的な拍手に感激したのか、次の次のカーテンコールで2曲目のアンコールを演奏した もうないだろうと思いながら拍手をしていたら、まさかの3曲目が演奏されたので、よほど日本の聴衆の大きな拍手が嬉しかったんだと思う ステージ慣れしていない高校生ピアニストが、一生懸命アンコールに応えているみたいで、新鮮で好感が持てましたよ

プログラム後半はショスタコーヴィチ「交響曲第11番 ト短調 作品103  ”1905年”」です この曲はドミトリー・ショスタコーヴィチ(1906-1975)が1957年に作曲、同年モスクワで初演されました 1953年に独裁者スターリンが死去し「雪解け」が始まりましたが、その後で作曲されたことになります 1905年1月22日、帝国ロシア・ペテルブルクで、皇帝に正義の実現を請願するために宮殿に向かった市民に軍隊が発砲し、1000人以上が射殺された「血の日曜日」事件が起こりました この作品は、ロシア革命の発端となったこの事件を描いた標題付き交響曲です 第1楽章「宮殿前広場:アダージョ」、第2楽章「1月9日=血の日曜日:アレグロ」、第3楽章「永遠の記憶:アダージョ」、第4楽章「警鐘:アレグロ・ノン・トロッポ」の4楽章から成ります 曲は切れ目なく続けて演奏されます

オケは16型に拡大し、ステージ下手にハープが2台とチェレスタ(高橋ドレミ)がスタンバイします

この曲は70分近くかかる難曲で、「標題付き」交響曲なので、事前にベルナルト・ハンティンク指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団のCDで10回くらい聴いて、各楽章ごとの情景とメロディーを頭に叩きこんで、本番の演奏に臨みました その甲斐あって、曲全体の流れと情景が把握でき、演奏を楽しむことが出来ました

第1楽章では山川永太郎の、遠くから近づいてくるトランペットの演奏が素晴らしい 山内創一朗の不穏な空気を醸し出すティンパニと、抑制された弦楽セクションが、嵐の前の静けさを見事に表していました 第2楽章では市民に向けて一斉射撃が開始される小太鼓の連打が痛々しい 第3楽章では、チェロとコントラバスのピッツィカートに乗せて抒情的な演奏を繰り広げるヴィオラ・セクションの演奏が冴え渡りました 第4楽章では、中盤で「おお、皇帝われらの父よ」のテーマがオケ総力を挙げての演奏で音の大伽藍を築き上げました その後、森明子のイングリッシュホルンが「帽子をとろう」を叙情的に演奏しましたが、これが素晴らしかった 最後は鐘の音と打楽器群の迫力のある演奏を伴って壮麗なフィナーレを飾りました

ボレイコ ✕ 新日本フィルは、終始 集中力に満ちた演奏によって、1905年1月22日の「血の日曜日」事件をストーリー性豊かに描きました

満場の拍手とブラボーが飛び交う中、カーテンコールが繰り返されました 文句なしの素晴らしい演奏でした

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村田沙耶香著「信仰」を読む ~ 信じることの危うさと切実さを描いた短編集

2025年06月28日 00時01分05秒 | 日記

28日(土)。昨日は胃がん検診のため池袋健康診査センターに行ってきました 昨年が「胃カメラ」の検診だったので、今年は「バリウム」によるX線検査です 美味くもないバリウムを飲んで、はい右を向いて息を止めて、はい左向きに2回転して、はい左を向いて息を止めて、今度はうつぶせになって、台が傾斜して頭が下になるのでしっかりつかまってください・・・と、散々いいように動き回されて、頭に血が上りそうになりました 検査後 下剤を4錠渡されて「2錠を大量の水といっしょに飲んでください」と言われたので、水をコップ3杯飲んでー安心したら、下剤を飲むのを忘れていました 「このアホダラチンが」と自分にツッコミを入れて下剤を水で飲み下しました この嫌な検査も2年後までないので 少しは気が楽です

ということで、わが家に来てから今日で3819日目を迎え、「米国製」をアピールしていたトランプ米大統領の一族が発売する金色のスマホ端末が、実際には同国製ではなくなる可能性が高まった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

 まさか中国製と書くわけにいかないし スマホも車も米国製を作るとコスト高になるってことね

         

昨日、夕食に隔週金曜日のローテにより「鶏肉のガーリック・チーズ煮、スパゲティ添え」を作りました 今回も美味しく出来ました

         

村田沙耶香著「信仰」(文春文庫)を読み終わりました 村田沙耶香は1979年千葉県生まれ。玉川大学文学部芸術学科芸術文化コース卒業 「授乳」で第46回群像新人文学賞優秀作を受賞したのをはじめ数々の文学賞を受賞 2016年には「コンビニ人間」で第155回芥川賞を受賞した

本書は2022年6月に文藝春秋社から刊行された単行本に3篇を追加して文庫化したものです

本書には「信仰」「生存」「土脉潤起」「彼らの惑星へ帰っていくこと」「カルチャーショック」「気持ちよさという罪」「書かなかった小説」「最後の展覧会」「無害ないきもの」「残雪」「いかり」の11篇の短編小説(最後の「いかり」はエッセイ)が収録されています いずれの作品も信じることの危うさと切実さを描いているように感じます

同じ短編でも、比較的ページ数が多い「信仰」と「生存」の2作品はストーリーとして面白い

「信仰」は「その商品、原価はいくら?」が口癖の現実主義者の永岡が、会う人会う人に「そんなに高い商品でも原価はこんなに安い。現実を知るべきだ」と説得しまくっていたが、ある日、同級生・石毛から「カルト商売を一緒に始めよう」と誘われるという話です 若い女性を教祖に仕立て上げて新興宗教を立ち上げ、信者を増やして金儲けしようという企みです 徳岡は「現実主義者の私がそんな話に乗るものか」と言いながらも、いろいろといきさつがあって話に乗ることになります 教祖に仕立て上げられた女性が「噓から出た実」のように振る舞うようになり、最後には思わぬ方向に向かっていく・・・というストーリーです

「生存」は、「65歳の時に生きている可能性がどのくらいか」を示す「生存率」が何パーセントかが分かり、収入格差と生存率格差がほとんどイコールの世の中になっている社会で、あるカップルの間で「生存率が低いから結婚するのは止めよう」「僕は君と別れるつもりはない」という会話が交わされるというストーリーです

”私”が友人に語る言葉が印象的です

「生存率って、ウィルスなんじゃないかって、思ったことない?  なんだか、私たち、いつの間にか、行動も繁殖も思考回路も、全部『生存率』に支配されてるじゃない?  目に見えない無数のウィルスに侵食されているような気もちになるの

これを読んで、「生存率」って「平均寿命」みたいなものか・・・ただ、平均寿命はあくまでも平均だから、個々人によって時差が出てくる その点、生存率は個々人に数値で示されるようだから、やっぱり違うか、と思ったりしました どちらにしても、”数値”を信じるか信じないかは個人だということです

他の作品にも面白いものがありますが、ちょっとついていけない作品もあります

本書の巻末に「書かなかった日記 文庫版によせて」が掲載されています その中で著者は「希死念慮」という言葉を使って、「心の状態が悪くなると、病気の症状として”ねんりょ”が膨らむ」と書いています うつ病のような症状だと思われますが、とにかくそうした精神的な症状が、本書に収録されている作品のいくつかに反映していると思いました

「コンビニ人間」が面白いと思った読者にお薦めします

         

今日は午前中、マンション管理組合の定時総会に出席し、午後サントリーホールに新日本フィル「第664回 定期演奏会」を聴きに行きます    14時開演ですが、30分前からプレコンサートがあるので、早めに会場入りしようと思います

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