今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

修理は推理だPEN-FT

2011年11月07日 17時33分43秒 | インポート

Dscf303515 先日、緊急で入ったPEN-FT #1757XXの続きです。う~む、修理は推理だとは言いましたけれど、またまた、難解な個体が来ましたね。これ、どこで入手しましたか? どうも、 いろいろな頃の部品が寄せ集められているようです。推理としては、本体はおよそ30万代付近の個体をベースとしてミラーユニットはメディカル機からの調達。トップカバー、露出計ユニットやプリズムとそれに付随する細かな部品は#1757XXを使用した個体ではないのかなぁ? と思いますけど、メディカル部品を使うなど、かなり手馴れて豊富に部品を所有している方の作ですね。ジャンクのニコイチで、1台生かしたということでしょうけど、他に救済する方法が無かったのかなぁと思います。

Dscf3034781 オーナーさんから、駒数カウンターが撮影中に戻ってしまう。というお訴えがありました。分解してみると・・・あらら、削っちゃったのね。推理はこうです。駒数カウンターの戻りが悪かったもので、それでは、「駒数板の動きが固いのだろう」「では削ってクリアランスを大きく取れば楽に動くようになる」という想定のもとに「エイッ」っと削ってしまったということではないのかな? あのね、工業製品は厳密な公差管理の中で部品は製造管理されているのです。間違っても「削る」というケースはありません。(私の経験では)正規の組立寸法を変更すると、どこかに不具合のしわ寄せが来るものです。 駒数ギヤを削ったために、その下のギヤに上下ガタが発生して、場合によってはストッパーが外れてしまい、駒数計が0に復帰してしまうのでしょう。

Dscf303673 まぁ、三光PENの時代ならあり得ましたけどね。基本となっている本体は30万代付近の後期ボディーですが、何故か、電池室がネジピッチの細かい前期型になっていますね。電池室のネジ山は、電池蓋を斜めにねじ込んだりすると、ねじ山を壊してしまう事故が起こりがちなのですが、オリジナルの状態が悪く交換したものかも知れませんね。しかし、ネジピッチの細かな前期型の方が、ねじ山を壊しやすいので、それで後期型はネジピッチを粗くして誤挿入を防止しているのですけどね。電池室のリード線は交換しておきます。

Dscf303852 念のために、交換されていたメディカル用のミラーユニットを分離して点検してみます。あれ、バネの先端が接着されています。この状態で固定されると機能を果せないのです。意味が判っていないようです。

Dscf303945 前板関係ですけどね。何か変なのです。ダイカスト本体は30万代付近の部品と言いましたね。なのに何でプリズムホルダーのバネが付いているのでしょう。このバネは中期までの個体に使用されていたもので、それ以降は省略されています。ホルダーの留めビスも2本なので(後期は1本)前期型の部品を使用したのでしょう。

Dscf304095 前板を組んだところで、変だと思いましたよ。見る方が見れば、この画像で分かるのですが、この前板はこのダイカスト本体とセット物ではありませんね。ピンセット先の留めビスがスリ割りで、前板自体もスリ割り用のザグリ加工がされています。この本体とセットであれば+ビス用となっていなくてはいけません。他の部分と違い、これは困るのです。トップカバーの付け替えなど、色々なニコイチを見てきましたが、この個体は、部品の構成を見ても推理というかストーリーが描けません。精度を無視して形だけ寄せ集めた個体と言うことになります。

Dscf3041421 駒数カウンターが撮影途中で0に復帰してしまう原因はもう一つありました。巻き上げレバーASSYの画像です。左は正規品、右が今回の搭載品。どこが違うでしょうか? そう、右の搭載品のレバーの角度(出張り)が低いですね。裏蓋を閉めるとこのレバーが押されてギヤがロックされるわけです。観察すると、すでに曲げようとしたキズが確認出来ますので、修正は試みたようです。今回は修正で再使用とします。

Dscf3042321 巻上げレバーカバーも変でした。FTの正規の部品はAですが、この個体にはBのものが付いていました。と言うか、本来は付かないものを無理に瞬間で付けてあつたということ。これはFVやメディカルに使用されているカバーです。交換しておきます。やれやれ・・・

Dscf3043541 この個体は通販で購入されたものだそうです。結局、5倍ルーペやセルフタイマーも旧型が使われているところから、#1757XXのダイカストボディーの状態が悪いので、FTで言えば30万代頃に製造されたメディカル機のボディーとユニットを使用して、前板やその他の部品はすべて#1757XXのもので組み上げたということではないのでしょうか? 製造時期の異なる部品を組み合わせると、調整が困難のケースも発生します。今回では、ファインダーのピント調整範囲を超えて調整不能でした。FTも日々消耗して行きますので、他の個体からの部品の流用や、場合によっては「ニコイチ」も仕方の無いことだとは思いますが、その場合でも製造が同時期の個体を選ぶとか、セット部品はバラさないなど、一定の配慮は必要だと思います。そうでなければ、今回のような形だけの個体が出来上がってしまうことになります。

http://www6.ocn.ne.jp/~tomys800/

Dscf304666 難儀なPEN-FTはお帰りになりました。時間が中途半端なので、ここに続けます。こんなレンズの清掃依頼が来ていましたね。タムロンのSP 90mm f2.5 というレンズで、思いっきりずんどうな形をしています。同じレンズが2本ですが、どちらもクモリが発生しています。分解してみますと・・このレンズが曇っていますね。しかし、清掃をして見ましたが、僅かに曇りが残ります。これは汚れではなくて、ガラス自体が曇っているようです。2本とも同じ症状ですから持病なのでしょう。実用上は問題ない程度には清掃しておきました。尚、同梱でPENとお米を頂きました。お米は初めてだなぁ・・ありがとうございました。

Dscf304715 で、だいぶ前に製作したPEN-FTアンスラサイトがシボ革の修正で里帰りしています。おっと、こんなのリペイントしましたかね。自分で忘れていました。嫁に行った娘が里帰りしたようで、何となく照れくさいです。まぁ、元気そうで良かった。すでに修正を終えていますので組み上げて帰しますよ。


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