今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

2台の30万台PEN-FT

2018年04月29日 10時27分32秒 | ブログ

どうもです。庭の雑草が伸びて来まして草取りをしておりました。ではと・・業者さんからのPEN-FT限定修理を2台行います。どちらも30万台ですから基本的なメカなどは比較的しっかりとしているはずです。まず1台目。巻上げレバーが途中で固着していて、お約束のタイマーレバーを巻いた状態でフリーズしています。巻上げの途中でタイマーを巻いてしまうのは厳禁です。ニッチモサッチモ動けなくなります。

固着の原因は目星がついていました。ブレーキリングのナットの緩みです。過去に緩んで修理を受けていますが、また緩んでしまったということですね。ネジと言うものは一度オスメスの山が合ってしまうと緩みやすくなってしまうのです。これは緩み止めの対策が必要です。

ここは高速回転と停止を繰り返されるのにスペースの関係でねじ山が少ないので緩んでしまうのですね。無理な設計かな?

 

 リターンミラーユニットのメンテナンス完了。限定修理なので、そこまで気を使わなくとも良いのですけど防眩塗装の剥がれが気になります。

 

 タッチアップをしておきました。

 

 

ハーフミラーは新品と交換してあります。露出メーターは良好です。

 

 

この個体は上からの圧力が掛ったようで、トップカバー角の軽微な打痕と駒数窓にキズがあります。そのままでも良いのですが、やっぱり磨いてしまいます。

 

1台目(後ろ)は完成。2台目に掛かります。まず、点検をしていますが、この個体は特に不具合は無く、ハーフミラーの腐食と巻上げゴリツキが気になる程度ですから、限定修理ですので書くことも無いと思いますよ。。で、巻上げレバーが内側に曲がっています。この状態になっている個体は多いです。常にレンズを上にして置いたのでしょう。ジュラの鍛造でしたら曲げを直しても折れませんが、残念ながらこのレバーは折れる危険性があるので、そこそこの修正に留めて置きます。

指示書にも記載がありませんでしたが裏蓋の50部分が凹んでいます。こちら側を乱暴に置いたのでしょう。

 

またまた限定修理なので無視をしても良いのですけど、やはり直してしまいます。

 

 

シャッターユニットを洗浄して点検しています。特に問題ありません。チャージギヤ軸に軽微な摩耗がある程度です。

 

完成した本体側に前板側を取り付けましたが、リターンミラーユニットの巻上げ感触が最悪です。これは個体差が大きくて同じようにはなりませんね。まぁ、なんとか許容範囲まで調整をしました。

 

シンクロソケットの中心電極部が抜けいています。これは多い故障で、きつめのストロボソケットを無理にねじ込んだのでしょう。固定するカシメの方式も弱いのですけど・・再カシメをして組み込みます。

 

シンクロソケットを取り付けたトップカバーをセットします。

 

 

限定修理でも気になるところは気になるので・・リターンミラーミラーホルダーの先端部が塗装剥離ですね。実際には裏側まで回り込んで剥離しています。

 

タッチアップ修正をしておきました。

 

 

30万台としてはハーフミラーの劣化が進んでいます。メッキの仕様もこの頃のものとは異なりますので、途中で交換されたものと思います。限定修理は工数の短縮になるか? ですけど、私は全て分解洗浄をしてから組んで行くことに慣れていますので、返って作業がし難い面もあるんですね。結局、いろいろ気になって手を入れてしまうのであまり変わりません。

http://www.tomys800.sakura.ne.jp/


元箱付きのPEN-Fの巻

2018年04月19日 17時17分32秒 | ブログ

すみません。庭のレンガ敷きと並行で作業をしています。遅れて来たペンマニアさんから元箱付きのPEN-Fが来ています。いつ見てもPEN-F系の箱は豪華ですねぇ。単体のレンズまで同じゴールド箱でしたね。コストが掛かっていそうです。本体は、中々良いコンディションのようです。

元箱と本体のシリアル№は一致しています。

 

 

取説、保証書、領収書、郵便はがきなども付属していますが、有楽町駅前の銀座のお店で販売されたようですが、なぜか、はがきに捺印されている販売店のスタンプの上にラベルを貼って別の社判が押されています。領収書の社名と一致していますが、どんな事情なのでしょう?

きれいな個体なのですが、トップカバーに一か所メッキが剥離していて、母材の真鍮まで到達しています。これは補修をしておかないと浸食が進んでしまいます。

 

緑青を取り除いてプライマー塗布のうえに銀塗料をタッチアップしておきました。気休めですけどね。

 

ネジのスリ割りがきれいなので未分解と思いましたが、分解はされているようですね。でもきれいな個体です。全体的なオーバーホールをせよ、とのご指示ですので始めます。

 

シボ革が強引に剥がされていて接着はSSなどで使うかなり強力なものなので、SSかそれに準じる修理店の仕事なんでしょうね。リターンミラーのテンションが異常に高く調整されているのと無限遠の再調整をされています。ミラーアップで修理をしたのでしょう。ピンセット先の隙間がブレーキの作動範囲。シャッター作動の最後でこの距離だけ動くことによってシャッターのショックを緩和しています。ブレーキはそこそこ聞いていますので今回はこのままとします。

本体の洗浄を終えて組み立てて行きます。スプロケット軸(軸受)の摩耗はありません。あまり使われていない個体です。

 

スプール軸も組み立てます。

 

 

洗浄点検しましたが特に問題はありません。注油、グリス塗布で組立をします。

 

 

フレネルレンズカバーに当りがありますね。レンズの絞りレバーでも当てたのでしょう。

 

PEN-Fはプリズムの腐食が発生ている個体が多いのですが、この個体は清掃できれいになっています。フレネルレンズの中央にはすり傷があります。

 

完成した前板をセットします。

 

 

シボ革を鋭利なナイフ状のもので強引に剥離した形跡が前板に残っています。せっかちな作業者だなぁ。ドライヤーでゆっくり温めればきれいに剥離できるのに・・また、リターンミラーのテンションが通常ではあり得ない強さに張られていました。如何にバネのテンションを張らずにフリクションを軽減して正確に作動させるかを考えるべき。正常なテンションに戻しておきました。

全反射ミラーは腐植はありませんので再使用としています。フレネルレンズカバーは交換とも思いましたが、オリジナルの変形を修正してタッチアップしてあります。

 

底部。すでにレリーズ送り(リンケージ)は後のFTと同様な仕様に変更されています。過去に無限遠調整をされていますが正確ではありません。調整用のイモネジが剣先(オリジナルは止まり先)になっています。たぶん、ネジロックを溶かさずにスリ割りを強引に回したため、スリ割りの片側が折れてしまい、レンズ辺りから調達して着けたのでしょう。問題は、付属の40mmもピントリングを動かされており、カメラ側とレンズ側がどちらも不正確という、どうにもならない状態になっています。

シンクロ接片の半田は剥離することが多いのですが、この個体も半田をやり直してありましたが、半田を流し過ぎて先端U部分にも付着してネジ締めが困難になっていました。吸取線で半田を吸い取ってから再半田をします。

 

このようにしてあります。

 

 

それほど悪い個体ではないのに作業が進みませんね。本体は完成してシャッターのエージングテストをしていると、低速(1秒)が稀に不規則になる現象が現れて再分解です。(ヤレヤレ)原因が分かりました。画像はスローガバナーですが、低速域はギヤが入れ替わってBCの方に押し付けてギヤを変えていますが、Aのカシメが緩んでBCの上に乗り上げてしまうために1秒が速く不規則になるのでした。PEN-Fの機構は強度的に不完全なところがあります。カシメを修正してありますか、一度乗り上げ癖がつくと再発の可能性はありますね。

 付属の40mmも当然使用頻度は少なくレンズもきれいですがマウントネジに分解歴があります。事前のチェックでは無限遠がズレていて、しかも、調整をしてピントリングを回転させるとまだズレているという状態。この場合はレンズの緩みなどの場合が多いのですが・・まず、このネジが緩み加減ですね。本来はネジロックをされているネジですので、再締め込みのみの場合はすぐに緩んで来るのです。

流化したヘリコイドグリスがマウントとの接合面に大量に付着しています。

 

 

問題は鏡胴と絞り部分も分解をされていて、こちらのネジも緩んでいる状態でした。ピントの不具合の原因ですね。

 

各部の洗浄脱脂とレンズの清掃を終えてグリスも交換して組み立てました。緩んでいたネジです。

 

純正のフィルターは良いものが少なくなっていますが、このフィルターは手垢で汚れていましたが、洗浄のところきれいになりましたね。コーティングもきれいです。

 

ということで、当初は問題なく行くかなと思いましたが、そうは問屋が卸さないPEN-Fらしい展開になりました。付属のレンズも正規の元箱付きは貴重ですから大切にされてください。

http://www.tomys800.sakura.ne.jp/

 


OM-1のペンタ交換の巻

2018年04月18日 18時20分40秒 | ブログ

短くUPです。OM-1はペンタプリズムがモルトの接触によって侵されている個体が多いですが、オーナーさんが良品のプリズムを入手されて送られて来ました。では、交換してみます。

 

初期のOM-1はプリズム押えがエキスパンダー式で非常に強いバネです。昭和60年に製造されたプリズムなのでしょうか?

 

あら、きれいになりましたね。

 

 

シンクロリード線の半田付けをしておきます。

 

 

プリズムと接眼部の隙間から光線が入るのを防止するためのモルトが悪さをしているのですね。当時の技術者は経時的に弊害を予想できなかったのでしょうかね・・

http://www.tomys800.sakura.ne.jp/


後期生産のPEN-FTの巻

2018年04月14日 10時06分42秒 | ブログ

陽気も良くなって作業も暇していましたので、カミさんの電動自転車を留める場所のレンガ敷きをしていました。家に沢山ある古レンガを利用しますので、購入した物は砕石と砂だけの砂きめ工法です。ホームセンターで砕石や砂は安いものですが、腰に持病がある私には運搬が堪えます。まだ工区は半分ですが、季節の花のプランターでも買ってこようかと思います。

カメラの作業に掛かろうかと思うのですが、力仕事をした直後は指先が微妙に振れてしまって困ります。まぁ、同時にやる作業ではないですね。

で、PEN-FT #3614XXの後期型が来ていますが、非常に時間を掛けて丁寧に梱包されています。愛機に対しての愛情を感じますね。しかし、宅急便コンパクトは箱の厚みが5cmですので、外圧が掛かるとかなり危ない状態になりますので、私としてはあまりお勧めは出来かねますね。

非常のきれいなFTです。巻上げのカクカク感が気になる程度です。付属のレンズは使い込まれていてピントリングの黒アルマイトも磨滅気味でグリスも抜けています。シリアルからFTで言うと20万代中頃に製造されたレンズです。

 

マウントのネジも強引に開けられていて、たぶん違うネジが入っていますね。

 

 

FT本体側ですが、駒数ガラスの樹脂に内部崩壊があります。衝撃なども関係している場合もありますけど、10万代の個体に多く発生していて20万代中間から後半は少なく、なぜか30万代で先祖返りのように再発生しているというのが沢山の個体を見て来た私の印象です。

製造が新しいためハーフミラーの腐食は細かく点々と見える程度です。

 

 

市販されているモルトの交換キットでご自分で交換されたとのことですが、裏蓋の嵌る上下のスリット部分は純正は貼られていません。この部分にモルトを貼ると、返って裏蓋の開閉がスムーズにならない時があります。

 

この頃から、オリンパスの他のモデルと同時に圧板の留め方が変更されています。それまでの4点留めから2点留めになります。加工と組立工数の簡略化しか変更理由は思いつきません。

 

過去に修理歴を示マーキングがありますが、内部を分解された形跡はありません。青のリード線(シンクロ)の通し方が、それまでのアイビース枠との隙間に通すのではなく、単にプリズム押えの上に載せいてるだけというのもこの時期からです。要するに工数の掛かることはしないも~ん。という変更。メカは特に書くことも無いと思いますので、途中のUPは簡単になると思います。

あまり見ない画像。前板のプリズムとシャッターユニットとの位置関係です。ぎりぎりの設計なんですね。

 

で、何も問題はないと思ったのですが、チャージギヤ軸が摩耗していますね。それほどひどく摩耗しているわけではありませんが、潤滑が切れると急速に摩耗をして行きます。巻上げのカクカク感はこれも影響しているはずです。

 

完成したシャッターユニットを本体に搭載したらすぐに裏蓋を取り付けておきます。不用意にシャッター幕を傷つけるのを防ぐため。蝶番の固定がヒンジピン1本なのが普及カメラの設計。摩耗によるガタが出易いです。

 

新しいのでプリズムのコーティングはきれいです。

 

 

露出計ユニットの製造は昭和47年1月27日ということか? この個体の製造は1970年7月(昭和45年)ですから、露出計ユニットの方が後に製造されたことになります。修理履歴はこのユニットを交換されたものかも知れません。そのユニットがどうも調子が良くありません。感度が安定しないのです。基板の抵抗に触れるとメーターの針が振れる。基板の半田付けをやり直して安定はしましたが・・

ここもあまり出てこない画像。露出計の針の動きをファインダー内左側の情報窓に表示させるための光学路。すべて清掃をしています。ハーフミラーは新品に交換。

 

シンクロターミナルの接片の半田付けは良く外れます。再半田付けをしておきます。

 

リターンミラー先端部の塗装が剥げています。

 

 

修正をしておきます。

 

 

セルフタイマーのレバーロック不良がありましたので、分解洗浄をしてあります。これでメカは完成。

 

38mmレンズの方がカメラより製造は古いのですが、しかし、設計変更後のレンズです。内部は汚れとヘリコイドグリス抜けでかなり厳しい。清掃とグリス交換をしてあります。

 

まぁ、製造が新しいと言っても比較の問題ですから古いことには違いがありませんので、いろいろありますね。巻上げのカクカク感も改善されて、良いコンディションになっています。大切にしてくれるオーナーさんの手元で幸せなFTです。

http://www.tomys800.sakura.ne.jp/


またまたPEN-FTを現役復帰させるよの巻

2018年04月06日 20時49分06秒 | ブログ

またまた、当方のストック機からPEN-FTを現役復帰させます。床の間に飾っておく美品ではありませんが、実用派の方には持って来いの個体を作って行きます。ご希望の方は早めにお知らせくださいね。tomytmzk@titan.ocn.ne.jp

で、この個体は#2853XXと各部の設計変更が終わった良い頃の個体ですね。ダイカスト本体も最終型です。では、分解をして状態を検証して行きます。

⇧つけるの面倒なので・・巻き戻しクランクの右上のところに、僅かに歪がありますね。まぁ、気にならない程度です。

 

光源を向けて露出メーターが振れるかを見ます。右下▢の針が動いていますね。この個体は未分解機でした。

 

 

フィルムレールはきれいですが、圧板の下側に軽微な腐食があります。圧板部なので問題はありません。シャッター幕はキズ汚れは無く良い状態。

 

すべて分解洗浄のうえ組み立てて行きます。スプロケットの上受けは、スプロケットの回転方向から左ネジになっています。

 

巻上げカムとスプール軸ユニット。洗浄注油をして組み込みます。

 

 

シャッターユニットを分解する前にシャッター幕の回転抵抗を確認します。殆どの個体は抵抗が大きくなっていて、シャッタースピードにも影響があります。

 

シャッターユニットの状態非常によろしい。チャージギヤ軸の摩耗もなく、スムーズに作動します。

 

プリズムのコーティングも無傷。ミラーユニットも摩耗はない良いユニットです。

 

 

ビューファインダーハウジングのレンズもきれい。清掃をしてモルトを貼ってから取り付けます。

 

現存の殆どの個体で接眼プリズムのコーティングが完全に残っているものは非常に少ないのですが、この個体はきれいに残っていますね。珍しいです。

 

光学系の組立は終了。この後、露出計ユニットに新しいハーフミラーをセットして取り付けます。巻き上げの感触は、分解前でも悪くはありませんでしたが、O/H後はさらに改善しましたね。たぶん10台の個体を比べたら一番良いぐらいでしょうね。

 そう言えば5日の午前中に、やけにヘリコプターの音がうるさいなぁ、と思いましたが、裏の米軍横田基地に4日に横浜港に陸揚げされたオスプレイの空軍仕様CV22が5機到着したんですね。今回が初お目見えというわけではなくて、最近は結構MV22が飛来していますから珍しくもないのですが、テレビマスコミが「爆音がすごい」とか印象操作の中継していましたけど、オスプレイなんて全然静かですよ。私の子供のころのグローブマスターなどは、着陸コースのかなり遠くから、家の窓枠がビリビリ振動する低周波の爆音が長く続いて、それからしたら気が抜けるほど静かです。まぁ、ティルトローター方式はコンピュータ制御ですが、不測のコントロールは確かに難しいのは事実でしょうね。海側に配備される海兵隊と違って、横田基地は内陸の住宅地を飛ばなくてはならないので回避運動が難しいですから事故の無いように願います。

で、今日はイオンの特売日で通常の1割引きなので、またエフトイズの艦船食玩を買ってしまいました。前回は手に持って重い箱を選んだら「赤城の洋上タイプ」だったのですけど、今日も同じように一番重い箱(手の平秤)を選びましたら、あらら「加賀の洋上タイプ」でした。手に持って明らかに重い箱は洋上タイプで間違いないようです。フルハルタイプはいつ出るのでしょうかね。

 赤城も加賀もワシントン軍縮条約によって一度は建造中止となったのですけど、赤城は巡洋戦艦、加賀は戦艦から空母へ改装されました。画像上の加賀の方が少し飛行甲板が長いです。両艦ともミッドウェー海戦でアメリカ機動部隊艦載機のSBDドーントレスなどの攻撃により沈没しています。アメリカの急降下爆撃機は太陽を背にして攻撃してくるのが常とう戦術なので、発見回避運動が間に合わなかったんでしょうね。撃墜王の岩本徹三も艦隊直衛任務では抜群の戦功を上げていますが、岩本中隊が上空直営に就いていたらなぁ。。

ハーフミラーは再使用は可能な状態でしたが新品で組みました。メカの組立終了。露出計とピント調整をして行きます。

 

FT特有の巻上げゴリゴリ感が殆どなくスムーズな巻き上げ感触です。出来ればFTを使ってみたいという若い世代の方に出来るだけ安価でお使い頂きたいと思います。ご希望の方がいらっしゃいましたら価格などをお問合せください。

tomytmzk@titan.ocn.ne.jp

http://www.tomys800.sakura.ne.jp/