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カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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SEIKO サードダイバーをレストアするの巻

2017年05月15日 16時12分23秒 | ブログ

連休中で、お出掛けになっていらっしゃる方も多いと思いますので、まったりとUPしておきます。大阪のご常連さんからの頂き物です。セイコーのサードダイバー6306-7001です。ご友人のカヌーのインストラクターさんが使用されていた時計とのことです。本来の使い方といいますか、ケースは傷だらけで不動状態。まさしく役目を終えた時計という感じですが、もったいないので、オリジナルには拘らず復活させようとの算段をしています。裏蓋を開けると意外に機械はきれいなのですが、自動巻きのローターが回りません。完全にベアリングが錆びついています。自動巻き機構を取り去って、さて動くかと思いましたが、歯車が完全に固着しています。針も激しく腐食していますので、中心部分を貫いて錆びているようです。機械は6306Aですから、アクタスなどから調達できればと思います。

取りあえずケースを仕上げるため分解しました。ケースも傷が多く、べセルは色が抜けています。

 

側面の磨き部分の傷、打痕とラグ部分の損傷が激しいです。

 

 

純正部品の入手は不可能なため、海外で流通しているリプロ部品を取り寄せました。パッケージの紙にはご丁寧にMADE IN JAPANと印刷されています。製造元は香港あたりらしいです。

 

カメラ作業の合間に少しづつ研磨していきました。大きな打痕は取り切れませんので、ほどほどきれいを目指いします。

 

ベゼルインサートというんですかね。純正はベゼル内径とインサート外径とも38.1mm(t=0.89)で圧入により組み立てられていますが、リプロは外径37.98mmと小さく圧入にはなりません。厚みも0.79mmと薄いですから、最初から両面テープで接着(0.1mm稼げます)する設計なのでしょうかね? 単に低コスト? また、純正は12時の◯は透明樹脂が入っていますが、リプロは蓄光塗料を含んだエポキシのようなものを流し入れてあるだけです。

風防ガラス(右純正)は外径と厚みは良いのですが、表面側の面取りが純正に比べて小さい。風防ガラスの固定はインナーベゼルでガラスを抑えるため、面取りが小さいと正規の位置まで圧入できないと思います。また、ガラスの材質は普通のフロートガラスのようで、青白い色をしています。厚みが2.5mmと厚いので、これは文字盤の見え方に影響すると思います。だからリプロだと言われればそれまでですが、折角ここまで作って、もう一息気を付けれは良いパーツが出来るのにと思います。

秒リング。右が純正で左がリプロ。全然違いますね。

 

 

裏側、純正は金属製でリプロは安っぽい金型の樹脂製。位置決め用のキースリットもありません。このパーツは使いません。

 

文字盤は純正も簡素なのもですので、見た目は良く出来ていますが、細かな文字のパット印刷が荒いです。どちらを使うか悩むところですが、インデックスの蓄光が利いている方がいいなぁ・・

 

表面側の面取りが小さいことが分かりますね。

 

 

ベゼルインサートは両面テープ留め。ベゼル内径のOリングが何故か流通していないので、汎用のOリング(38mm X φ1mm)を使用しましたが、本来はもう少し硬度の高いゴムで太さはφ0.9mm程度ではないかと思います。竜頭の傷も磨いてあります。まぁ、そこそこ見られるようになりましたかね? あとは機械をどうするか・・

 

探しましたらアクタスの6306-7010が見つかりました。じつは、この個体も以前に千葉のご常連さんから頂いたものでした。貰い物ばっかりやんか・・

 

オリジナルの機械で復活できないかを検討しました。針を伝って水気が侵入したようで、筒車などが完全に固着しています。部品交換をすれば復活させることは可能ですが、アクタスの機械が完全な状態ですので、そちらを使うことにしました。

カレンダーの日車、曜車の文字サイズが右のオリジナルの方が小さいです。これは文字盤のカレンダー枠が小さいためです。これはオリジナルを使います。

 

すべての部品を洗浄をして組み立てて行きます。

 

 

63系は改良されていますので非常の組みやすいです。

 

 

コハゼはねじ留めではなく、差し込まれているだけ。

 

 

アンクルを取付けます。

 

 

テンプを載せると一気に動き出しました。

 

 

日車、曜車はオリジナルから交換して組みます。

 

 

針の出来はあまり良くありません。平面が多いデザインですので、歪が目立ちます。また、長針はそのままでは孔が小さくて取付けできませんでした。リーマ通しをして調整をしてからの取付です。

 

文字盤ですが、右がオリジナル。艶消し黒は僅かに艶を残していますが、リプロの方は完全な艶消しで、安っぽくて品がありません。また、すり傷が目立ちやすいのです。材質も異なり、オリジナルは真鍮製でリプロ品はアルミ製です。私もPENのパーツなどを製作しているわけですが、もう少し注意をすればコストUPにならずに良いパーツが出来るのに、と思ってしまうのですね。

 

ケーシングをして自動巻き機構を取り付けて完成・・としたいところでしたが、・・

 

じつは、やはり風防ガラスが良くないのです。今回入手のリプロガラスは面取りが極端に小さく、圧入のインナーベゼルがご覧のようにガラス面と面一となって、ケースに圧入することが出来ません。販売されている業者様ともお話をしましたが、従来は問題になったことが無いが、最近、取り付かないというクレームがあった。とのことです。推測ですが、従来の製品は純正と同じ寸法で作られていたが、現在流通しているロットは面取りが小さく、結果的に組立が出来ない。ようです。但し、今回の件は私の個体においての現象ですので、他の6306-7001やそれ以外のダイバーについては分かりません。本ブログを参考にされて、ご自身で作業をされようとお考えの方は自己責任でお願いします。販売業者様からも、海外仕入れの時に調査確認をするとのご返事を頂いています。

ということで、風防ガラスはイーベイに手配をしましたので、最終完成の画像は風防ガラスが到着してからとします。

 風防ガラスですけどね。セカイモン経由で手配をしましたが、出品者からセンターには3日で入荷して驚異的に早いので喜んだのですが、そこで落とし穴。「商品確認作業中」となってしまって、これは出品画像と見比べて間違いがないかを調べる作業らしいのですが、型番表示がないので確認中とのことで、すでに5日も放置されています。リプロパーツに型番なんて入ってないでしょ。仕方がありませんので、傷だらけのオリジナル風防を研磨してみましたが、大きな傷は取り切れませんし傷の中に酸化セリウムが入って取れなくなりました。で、早速ウォーキングへ腕に嵌めて行きましたが、大きくて重いですね。しかし、存在感があって不快な重さではありません。夏に向かってしばらく常用としたいと思います。

http://www.tomys800.sakura.ne.jp/

 


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