今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

ローライ35Sプラチナ1986の巻

2024年01月31日 21時00分00秒 | ブログ

1986年(昭和61年)に444台のみ生産されたローライ35Sのスペシャルバージョンとのことですね。名称はプラチナ(platinum)となっていますがトップカバーにはチタン(titan)となっていますね。プラチナは白金ptでチタンとは違うのでは? 良くわかりません。ほとんど使われずに保管されていた個体のようで(元箱あり)それによる不具合が出ています。一番の問題はピントリング(ヘリコイド)が固着していてビクとも動きません。1986年製の比較的新しいカメラでヘリコイドの張り付きが起こるんだぁ・・

沈胴が緩いのと沈胴収納ボタンの作動が渋いです。奥に見えるのがロック機構で修正をします。

 

ファインダーの清掃をしようとすると・・あれ? なんで基板があるの?

 

 

ファインダーブロックを分離して見ます。これは35LEDの部品ではないでしょうかね? ファインダー内右縦にLEDがセットされています。おそらく少数生産バージョンなので流用したのでしょう。

 

シャッターは低速止まりの症状がありますのでガバナーのメンテナンスをしますが、実は他にも原因がありました。真鍮製の巻き上げギヤがかなり酸化しています。これは湿度の高いところに保管されていたのかな?

 

じつはUP予定はなかったので肝心なヘリコイドの固着について画像を撮ってありませんでした。ヘリコイドが固着した状態では沈胴チューブからシャッターユニットを取り出すのは非常に困難です。シャッターユニットを取り出し成功の後、リングレンチにより固着を分離しました。ヘリコイド長さの短いローライ35系でも劣化したヘリコイドグリスで張り付くことが分かりました。画像はメンテナンス後に本体に搭載したところ。

がおもちゃっポイですね。巻き戻しダイヤルの樹脂の白化と回転ゴリがありますので分離してメンテナンスをします。中央の三脚座部分は何となく普通のローライ35系より華奢な作りに見えます。ドイツ製なのにね。

後ろが派手ですね。親指アテは後日貼ったものかと思いましたがオリジナルですね。

 

めでたくヘリコイドは回転します。

 

 

精密機械は使わなくとも劣化して故障をするものですね。私にはとても手に入れることができない個体です。

 

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ローライキンの巻

2024年01月30日 10時00分00秒 | ブログ

久しぶりに途中経過です。だいぶ台数はこなしましたけど、今し方、2便のカメラが到着しました。もう少し頑張らなくては・・で、最後に作業をしたのがローライフレックス2.8Fですけど、かなり使い込まれた個体で、シャッターやレンズ、巻き上げ関係に問題があります。

過去の分解でグリスを多量につけられていてベトベトです。分解洗浄とガバナーは超音波洗浄をします。

 

巻上げの軸部分の潤滑が完全に切れていますので清掃とグリス交換をします。

 

で、この個体はローライキンが付いていたのでした。カウンターノブのみ付いている個体はよく見ますが、この個体は各部のアイテムがすべて取り付けられていました。このカウンターの作動不良は多いです。すべて分解洗浄でグリスを塗布しながら組み立てます。また、シボ革が欠落していましたので端切れを利用して製作してあります。

完成したカウンターノブを本体に取り付けてシボ革を貼ります。

 

 

35mmのフィルムゲートアダプターを取り付けます。

 

 

パトローネの左はフィルム巻き戻し用回転アダプターで右はオートマットストッパー。パトローネをセットします。

 

専用の巻き上げ軸スプールにフィルムをセットして巻き上げます。

 

 

ファインダーマスクを取り付けます。

 

 

スクリーンを通してこのように見えますね。この個体もカメラ市に出品されると思いますけど、ローライフレックスで35mmフィルムを使いたい方には良い個体かとも思います。親戚の葬儀などもありまして、またしばらく更新ができないと思います。

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きれいなクセナー付ローライ35の巻

2024年01月22日 16時00分00秒 | ブログ

コンデションの良いクセナー付のローライ35が来ました。おそらく来月のカメラ市用の個体と思われますが、外観は当たりもなくきれいです。現状大きな不具合はありませんがメンテナンスをして行きます。まず気になるのは沈胴がユルユルです。レンズのヘリコイドグリスに回転ムラがあります。

全周に紙片が入っていましたので元々本体とチューブとのクリアランスが大きめの個体です。このような個体は沈胴が早めに緩くなると思います。紙片の厚みを0.1mmに変更して組みます。

 

通常の作業をします。ファインダーは曇り気味ですので分解清掃とアイドラーギヤの洗浄とグリス塗布。その他ガバナーの洗浄注油と、この個体はメーターの追針が右端に来ない(結構ありますね)ので調整をします。メーター感度は良好でした。

巻き戻しダイヤルの回転が重いのと黒樹脂部分が白化していましたので磨き出しと樹脂用グリスを塗布して組みます。

 

クセナーレンズは中玉は分解できますが、過去に分解されたのか? カニ目に傷がありますね。レンズの状態は非常に良いと思います。清掃とヘリコイドグリスの交換をします。

 

製造が新しいのでシャッター内もきれいです。レンズはチリが多いので清掃とシャッター羽根の洗浄をします。

 

巻上げが少し重いのでスプールのカムプレートの洗浄と軸受け、リンケージのグリス塗布で軽くなりました。

 

レンズの前面プレートですが、黒のつや消しを強くすると画像のように白っぽくはなりますが、どうも黒ではなくグレーに近い調色をされているようですね。距離リングはft機でしたのでmに直して組みます。

 

無限遠調整をして最後に化粧プレートを貼ります。

 

 

トップカバーのレバーアテが欠落していましたので製作して取り付けてあります。どこにも欠点のない素晴らしいコンデションの個体となりました。ケース、ストラップ、レンズキャップ付。

来月のカメラ市に向けて二眼レフの作業が多くありますので、しばらくの間ブログの更新は少なくなると思います。

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初期型PEN-FTの巻

2024年01月19日 10時00分00秒 | ブログ

パソコンを更新しましたらプリンターのドライバーが合わなくなって、急遽近くの家電量販店に行ってプリンターを買って来ました。今までの機種とは使い勝手が異なり思ったように使えずバタバタで作業に掛かれませんでした。で、最近、PEN-F(T)系はどうして初期型ばかり来るのかな? #1180XXは1967年3月製で、生産開始から5か月目に生産された個体です。トップカバーにへこみがありますね。修正はしますが完全には無理です。

この個体はおそらく1971年ごろに当時のSSにて露出計ユニットとセルフタイマーを交換されていると思います。初期の露出計は不安定でしたから・・ファインダーの無限遠調整も受けています。

 

ユニットを取り付けるネジには緩み止めが塗布されているのに本体側には全く形跡がありません。ユニットを交換されているということ。

 

巻き上げレバーユニットの動きが引っかかる時があります。リターン用のコイルスプリングに潤滑がないとレバーの戻りが悪くなる時があります。

 

では、いつもの作業をして行きます。本体の洗浄後にモルト貼り、スプロケット軸とスプール軸を取り付けました。

 

ここで突っ込みが来ました。過去にフィルムカウンターのみの限定修理をしたローライ35S です。今回はファインダーにゴミが混入しているので清掃をせよ。とのことです。カバーを外してみると・・過去に清掃を受けていますがあまり良い作業ではないようです。ケースの中央部分は切り取られ対物レンズの後ろ側を清掃したようですが接眼レンズは分解されていないようです。(画像は分解後)ホコリ防止の透明テープも貼られていません。

ファインダーの清掃を終えて本体にセットしました。この時点で巻上げギヤを留めるネジが規格外なのが気になっていました。

 

ギヤ下のワッシャーが欠品していましたので追加して組みます。元々、2つのギヤの噛合い位置が違っていたので正規の位置でセットしようとしましたがギヤが入りません。

 

規格外のネジを外してみると(乗っていただけ) あぁ・・ギヤシャフトにスリ割が入れられており開かれています。ネジは全く壊されています。シャフトが太っていたために、2つのギヤのクリアランスが無くなってセットできなかったものです。さて、何のための加工でしょう? このシャフトはダイカスト本体に圧入されているもので交換することができません。世の中には考えもつかないことをされる方がいらっしゃるものです。

組み立ててみると巻き上げレバーがスムーズに復帰しません。じつは4本のネジが緩んでいましたが、緩んだのではなく緩めてあったのです。緩めることによってギヤ間のクリアランスを確保してレバーが戻るようにしてあったのでしょう。余計な努力だと思います。

FTの作業が遅れてしまいました。シャッターユニットは初期型ですからメインバネは条数が少ない(弱い)タイプです。ガバナーも初期型のタイプ。コントロールレバーには軽め孔も開いていません。しかし、疲労はしていません。あまり使用されていないユニットです。

本体にシャッターユニットを搭載してシャッター幕保護のため、清掃しておいた裏蓋を取り付けておきます。初期型ですのでローラー横のリベットはありません。

 

切り忘れていた半田ごてに触ってしまい火傷をしました。シャッターは調子は良好です。リターンミラー関係を清掃して取り付けます。

 

ご希望によって割れていた接眼枠とハーフミラーを新品と交換します。

 

 

メカの組み立て完成。なぜかセルフタイマーユニットが中期以降のタイプに交換されています。初期の、巻き上げでジッジッジッというのが嫌いだったのかしら? 故障でしたら直せるはずですけど。

 

清掃をして取付けた付属の38mmはかなり後の生産です。初期型としては保存状態が良く、使用も少ない個体でしたので良好なコンディションとなりました。初期型特有の巻き上げの軽さは設計時の標準だったのでしょう。中期以降はシャッターばねの条数を増やしていて、ばねの強化というよりは耐久性を上げる意図だったのではと思いますが、強くなっている部分もあるので、その分、巻き上げが重いやゴリ付きが発生しているのは設計者の意図と違ってしまったと思います。不安定な初期型露出計ユニットも以後のユニットと交換されていたのはラッキーでした。

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ヤシカ・ラピードが来ましたの巻

2024年01月15日 20時00分00秒 | ブログ

忘れたころにやって来るヤシカ・ラピード。ヤシカの初代ハーフカメラですけど、なんでこんなに測定器みたいにがっちりした作りなのでしょう。これで殴られたら凶器になるよ。最初に見るところは露出計です。現存の殆どの個体はセレンがダウンしていますが、この個体もメーターは生きているようですが、セレンは全く起電がありません。元々電池のサイズが小さいので厳しいのかなとも思いますが、セコニックの露出計などは古い製品でも生きているものが多いですよね。それらを利用すれば復活はできそうですが、「露出計は動かなくて良い」とのご指示ですのでこのままとします。

ファインダーのコーティングは金コートのようなタイプ。これを不用意に拭き上げるとメッキが剥離する危険があるので慎重に・・

 

シンクロ接点の半田を外してグレーの前カバーを取り去ります。こうして見ると普通のカメラです。レンズのヘリコイドグリスが抜けています。

 

前玉を外します。レンズは意外にきれいですが、ヘリコイドグリスの質が悪いのがアルミが削られてグリスが銀色に変色しています。

 

リングレンチでレンズユニットを緩めます。

 

 

続いて絞りユニットを外します。

 

 

シャッターはセルフタイマー内蔵のコパルSVです。ガバナーの清掃と注油などメンテナンスをしておきます。

 

本体からシャッターユニットを分離します。

 

 

古いモルトを取り除いて新しいモルトを貼っておきます。

 

 

汎用のコパルSVにがっちりとして重いシャッターダイヤルを取り付けています。重くなるわけです。

 

後玉コーティングに絞り羽根が接触したのでしょう。傷がついています。レンズと絞り羽根が殆ど接触しているような設計ですからね。

 

距離リングにはP(パンフォーカス)の彫刻文字があってスチールボールでクリックが掛かるようになっているが、この個体はコイルバネは残っていたがスチールボールは無くなっています。追加をして組みます。

 

P位置でクリックが利いています。の蛍光赤が退色していましたので入れ直してあります。

 

 

ハーフカメラなのにどうしてこんなに頑丈で重く作ったのでしょうね。トランシーバーのようです。

 

 

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