今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

エルジン・ミリタリーの巻

2018年08月30日 21時13分53秒 | ブログ

もう1つ残っていたELGIN Cal 554搭載のスモールセコンドミリタリーです。文字盤にかなりの時代を感じますね。製造は1940年代なのでしょうか? とすると、すでにヴィンテージというよりはアンティークの部類に入るのでしょうかね。

 

機械はオーソドックスな設計ですが、やはり地板と受けの嵌合ピンが非常に固く、組みにくい機械です。で、分解をして行くと・・香箱(ゼンマイ)のフタが脱落していますよ。これではトルクが出なかったと思います。

 

洗浄をして観察すると、何度も開け閉めしたために本体側が痛んでしまい、フタを保持できない状態になっているようです。真鍮製なので材質が柔らかいことも原因でしょう。

 

オーナーさんが交換部品を見つけてこられました。材質は変わっています。

 

 

角穴車を付けてコハゼを取り付けます。

 

 

アンクル受けをセットするのに一苦労です。嵌合のピンが固いのと、ネジの位置が二番車の関係でかなり偏っているため、そのままネジを締め込むと受けが平行にならず斜めに入ってしまう。よって、アンクルホゾがホゾ穴に入ってくれないのです。観察すると、過去の分解でも同様に苦労したと見えてピンセット先周辺に無数のピンセットで抑えたキズがあります。ピンセットで抑えたぐらいではピンが固く入ってくれませんけどね。無理に力を入れるとアンクルを壊します。

ヤレヤレ、何とかテンプを取り付けました。

 

 

まだブレゲヒゲが採用されています。

 

 

ケースにケーシングしました。

 

 

針もオーナーさんが調達してこられたものに交換しましたが、古い針はすでに消耗していて簡単にはつきません。この針の場合、長針のホゾ穴が完全に拡大をしていて留まりませんでした。また、針にはそれまで付いていた時計の文字盤などに合わせて形状を曲げられていたため、干渉しないように修正するのが一苦労。この時代の時計は元々の部品加工精度が悪いのと、摩耗は進んで改造などをされていることが多いので、作業は困難を覚悟しなければなりませんね。

http://www.tomys800.sakura.ne.jp/


PEN-S3.5のO/Hの巻

2018年08月27日 20時41分17秒 | ブログ

特に問題は起きないと思いますので簡単に・・PEN-S3.5 が予備機も含めて2台来ています。メインは#1208XXで行きます。レンズの後玉が過去に分解を受けていて、コーティングが傷になっています。

 

ダイカストの裏蓋レール端に打痕がるのが惜しい。直すと折れてしまう危険性が高いです。

 

シャッターはO/Hをしてあります。殆ど疲労していない良いユニットでした。

 

 

巻き止めストッパーとの位置関係を調整します。

 

 

オリジナルの後玉は過去に分解を受けていて、内側のコーティングを鋭利なもので傷にされていました。ちゃんとしているものをまったく腹立たしい気持ちです。予備機の後玉はコーティングの曇り(持病)がありましたが清掃のところ画像程度となりましたので、レンズセットでこちらを使います。

レンズ接着が終わったファインダーブロック。この頃には接眼窓の遮光モルトは省略されているのが正規です。

 

駒数カニ目ネジには工具の滑らせ傷がありましたので、オーナーさんのご希望により新品と交換しておきます。

 

仕上がって見ればきれいな3.5になりましたね。

http://www.tomys800.sakura.ne.jp/


国産名車コレクション ホンダ N360の巻

2018年08月26日 14時18分56秒 | ブログ

アシェットの国産名車コレクションもVol.52となって、いよいよ完了に近づいてきましたよ。今回はホンダ N360 です。書店に行っても流石に売り切れ続出でしたね。モデルとしては初代のいわゆる通称N1と言われるタイプをモデル化しています。私が学生の時に中古車を5万円だったかで購入した初めての車でした。それでもカーオーナーとなれて嬉しかったです。バイクの天敵「雨」が降っても濡れる心配がないのは安心感でした。・・モデルの出来はそこそこですが、全体の雰囲気は悪くはありません。

モデルの塗装色はこちらの画像が近いかな? 当時、街に溢れていたN360の塗装色は、殆どがアイボリーホワイトでしたが、カタログやミニカーになると赤が多くなりますね。実車の色目はもう少し橙色というかホンダ特有なチープな赤で、ライトスカーレットというのが純正名です。車の顔はヘッドライトとグリルですが、実車はライトのサイズよりボンネットのアーチラインがもう一回り大きいので、結果的にライト間の距離が間延びしているように見えます。グリルは当時オプション設定されていた冬季のオーバークールを防止するためのカバーを付けたような感じに見えますね。ナンバープレートは少し小さ過ぎです。このナンバープレートのサイズは原付バイクと同じです。現在所有のホンダ・ライフも同じサイズですがナンバープレートは返納していません。現在の大型黄色プレートになったのは昭和51年ぐらいだったか、過去に所有のフロンテクーペは大型ナンバーに切り替わった直後の仕様でした。現在は費用を負担すれば黄色の軽ナンバープレートは普通車と同じ白ナンバーに変えられるらしいですね。

例によってパックは開けませんので見苦しい点はご容赦ください。製造上の都合で仕方のないことと思いますが、フロントガラスのHゴム(黒)表現が省略されているので印象が変わって見えます。

 

リヤもそうですね。Nではなくminiに見えなくもない。ナンバープレートのサイズが小さ過ぎるので違和感がありますね。ダイカスト製のトランクヒンジの銀色は省略されています。バックアップライトの表現は頑張りました。ご存じない方も多いと思いますが、トランクリッドの材質は後継車のライフも含めて樹脂製です。オートバイも含めて、ホンダは早くから樹脂部品を積極的に使ったメーカーでした。

Nには三角窓がありました。カークーラーの無い当時は、夏季は三角窓を逆向きに開けて空気取り入れ口とすると大量の空気が室内に入って意外に快適に走れました。まぁ、現在の暑さとは違いますけどね。三角窓には排ガス対策済(点火時期調整)のステッカーが貼ってありました。

タイヤは当時のオリジナルのバイアスタイヤ表現ですが、デコボコが大き過ぎて冬季のスパイクタイヤのようです。ホイルキャップはN1はこれでした。ホワイトリボンタイヤは懐かしいですが、ラインの幅はオーバースケールです。

 

所有しているカタログコレクションから。この時代のホンダはまだバイクメーカーの色合いが強く、S800 N TN360など少ない車種構成です。黄色のS800Mは私の所有と同じ色(Y-13)です。S800Mは1968年発売ですからNの発売(1967年)の翌年のカタログでしょうね。

 

特筆することは、ホンダはこの当時にすでにオートマチック車(AT)をバリエーションに加えていたことです。まぁ、発進が少しかったるい感じなので、あまり普及はしませんでしたが、クラッチ操作が苦手な女性には需要はあったようです。

当時のバリエーションは必ずデラックスタイプを設定しましたね。MはデラックスタイプのことでS800Mも北米仕様のデラックス版になります。

 

記憶しているのが、シートが意外に厚くてしっかりとしていたことです。座りごこちは非常の良かったです。この後のライフでは、室内空間を広く取る思想から厚みや幅が小さくなりました。圧迫感を減らして広く見せる効果を狙ったものでしょう。

所有してからしばらく気が付かなかったリヤシートの背もたれが分割式で前に倒れることによってトランクルームと一体になります。これにより助手席の背もたれを倒してフラットにすると意外にスキー板など長尺物の荷物も運ぶことが出来て便利でした。ミニマムな空間を有効利用しようとする現在のNシリーズにも通じる軽の設計思想。

この当時のホンダはよくカットモデルを作りました。モデルは出来るだけ小柄なモデルさんを使って室内空間を広く見せる手法。それでも、日曜日に家族でドライブに行けることは夢の時代でした。私は、ライフで同じように家族で旅行に行ってました。クーラー付き普通車を充分に購入できる費用を掛けてライフをレストアしてアホですね。

海外向けにはエンジンの排気量を拡大したN600がありました。アメリカやオーストラリアが多かったですかね。時期をずらしてN600は国内でも発売されました。

 

アメリカ仕様では、アメリカ国内の安全基準を満たすため、大げさなバンパーガードが付けられました。衝突したら同じですけどね。

 

サイドマーカーなどもアメリカ仕様で大型化させています。S800Mの特徴ともなっています。まぁ、おばさんのお買い物車ですね。現在のホンダはここから発展したのです。

http://www.tomys800.sakura.ne.jp/

 


時計が溜まったのでの巻

2018年08月23日 21時33分24秒 | ブログ

時計が溜まって来てしまったので、ミリタリーを数個やっておきます。ブローバは突然動かなくなったとのことです。

 

画像はあまり撮っていません。まずテンプにトルクが来ていないと判断してO/Hとしましたが・・

 

すべて洗浄をして組み立てて行きます。

 

 

輪列までは良好。アンクルを取り付けます。

 

 

出車が多少歪んで回転しています。秒針カナ押エバネを取付けて終了。

 

 

何とか元気を取り戻したようです。

 

 

ケースにセットしてタイムグラファーに掛けます。かなり進み方向です。フリクションが改善されたということでしょう。

 

文字盤は24時間表示です。針の夜光はかなり劣化をしていますが、夜光塗料のラジウムから発する放射線は心配はないとは思いますが、あまり触りたくはないですね。

 

次は、エルジンのミリタリーで白/黒半分ずつの文字盤が特徴の24時間表示機。付属の針に交換して欲しいとのことです。機械は辛うじて動きますが、タイムグラファーではデータが出ないくらいの状態。

 

裏蓋の表示はこんな感じ。

 

 

固着して開けにくかった裏蓋をあけると中蓋があります。エルジンのCal,647ですが、私は組みにくいのであまり得意ではありません。

 

とにかく、すべて分解洗浄から始めます。機械的なガタ摩耗は少ない方だと思います。

 

香箱と輪列を置いて行きます。

 

 

出車があるのと、この機械は地板と受けの嵌合が非常に固く、ホゾが入っているのかが感覚的に察知出来ないので困ります。

 

歯車の関係はこのようになっています。

 

 

左側の受けをセットするのはクリアランスがないため非常に困難です。アンクルの受けも嵌合が非常に固く、アンクルのホゾがホゾ穴に入っているのかが全く分からず神経を使います。

 

テンプを取り付けて無事動き出しました。

 

 

で、オーナーさんが調達して来た針に交換する予定でしたがダメでした。上側がオリジナルですが、長短針のホゾ穴が小さく秒針は逆に緩い状態。たぶん抜き差しを繰り返したせいでしょう。ホゾ穴をリーマで拡大しようと改めて拡大してみると・・短針のホゾ穴はクラックが入っています。万事休す。では、オリジナルを塗装して使うとして、黄ばんだ針の塗装再現を試しましたがしっくり来ません。

と言うことで、やっぱりオリジナルが一番デザイン的にも実用性の点からも良いと判断して、オリジナル仕様で塗装をしました。長短針は多少黄ばませています。秒針は先端が白でお尻が黒は視認性から言って理に叶っていますね。

 

 機械は快調正確に作動しています。これでオリジナル仕様として完成です。ヤレヤレ。

http://www.tomys800.sakura.ne.jp/

 

 

 


HawaiiからのPEN-Wの巻

2018年08月21日 21時26分14秒 | ブログ

喉のイガイガが取れず咳が治まらないので病院に行って来た。結局、抗生物質やら多種の薬を処方されただけ。待合にも同じようにマスクをした患者さんが数人いたので、夏風邪が流行っているようです。で、ハワイにもPENファンの方がいらっしゃいます。今回はPEN-W #1198XX(1965/4 昭和40年4月製造)が来ていました。PEN-Wとしては、ほどほど悪くはない個体と思いますが、これはm表示機ですから日本から流出した個体でしょうかね。

ファインダーの汚れがすごいことになっていますね。シャッターは不調というか正常に作動はしない状態。

 

レンズにもカビが多いですが、クモリは少ないようです。

 

 

コンパクト系のPENのフィルムレールは加工が雑なんですけど、裏蓋をスライドさせて合わせるので余計に傷がつきやすいのです。この個体は腐食もあって残念。

 

 

はじめは接着剤の硬化時間を考慮してファインダーレンズの分解清掃と接着をしておきます。

 

次にシャッターを組み立てます。ほどんど使用されていないシャッターですが、シャッター羽根に錆があります。

 

こんな感じね。今回は清掃で再使用とします。

 

 

シャッターが切れているの分かる? 調子は良好です。

 

 

ては、洗浄した本体を組み立てて行きます。きれいなボディーですね。フィルムレールは修正しておきました。

 

シャッターを本体に組み込んだところで咳が止まらないので今日は止めます。薬効かないじゃん・・

 

 レンズの清掃。この個体の後玉はバルサムの黄変や曇りは少なく良好な方です。カビも清掃が出来ました。

 

 飛ばして完成しています。裏蓋はモルト交換、圧板研磨、開閉鍵のグリス交換をしてあります。

 

たぶん国内用機が海外へ流れた個体でしょう。しかし、遠い外国のハワイから製造国を頼って修理依頼が来たわけですから、メーカーが対応しない現在、日本のリペアマンとしては出来るだけのことをしてあげようと思ったのでした。

http://www.tomys800.sakura.ne.jp/