今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

ローライフレックス3.5Fのメンテナンスの巻

2022年11月30日 17時00分00秒 | ブログ

通常のローライフレックス3.5Fのメンテナンスをしています。特に大きな問題はないので書くことも無いと思いますが・・この個体は、シャッターが粘るとのことでしたが、シャッター羽根と絞り羽根に油が回っていますので洗浄などをして行きます。

フードを外そうとしましたがスムーズに外れませんでした。これも多いトラブルですが、クランプを止めるキーの接着固定が外れているのです。

 

クランプを分離して見ると、入っているはずのバネがありません。

 

 

バネを追加接着しておきます。

 

 

クランプを組み立ててキーを接着しておきます。

 

 

これは別の個体。絞りがf11までしか回らないとのことです。あらほんと。

 

 

フォーカシングダイヤル基部の被写界深度スケールもここまでしか動きませんね。

 

 

右のカバー側がf22の位置。左のデファレンシャルギヤの位置が間違っています。

 

 

絞りとシャッタースピードを連動させるディファレンシャルギヤ。FR自動車のデフのミニチュアみたい。シャッターの清掃注油をしておきます。

 

巻上げが少し重いので巻上げ軸とギヤを分解して清掃とグリス注油をしておきます。(画像撮り忘れ)

 

この部品名何というのかな? パーツリストに設定がありません。巻上げレバーがプラプラしないようにしている部品ですが、見た目ではベークライト製に見えます。あまり摩耗をしていませんので再使用です。

 

ファインダー内を清掃してミラーの清掃とスクリーンの洗浄をして取り付けます。

 

 

絞りはf22まで絞られます。巻上げは軽くなりました。

 

 

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ブログに取り上げると・・PEN-Dの巻

2022年11月27日 18時45分00秒 | ブログ

ログに取り上げると同じ機種の修理ご依頼を頂くことが多いです。このPEN-D #6515XXは数年前に他店様にて修理を受けているとのことですが、巻上げ完了状態でシャッターが切れない。原因は想像出来ますが、D系の場合はシャッター羽根の後に後玉があるので簡易テストが出来ませんので、ここまで分解しました。予想通り、このシャッターの持病というかシャッター羽根の作動不良でした。定期的にメンテナンスをして行く必要のあるシャッターではあります。

では、洗浄後に組み立てて行きます。

 

 

シャッターを分解して行くと、スローガバナーのアンクルのリターンスプリングが掛かっていませんね。

 

このシャッターは小型に設計されているため地板が非常に薄く、D系のような大きなレンズを付けたモデルの場合、地板にクラックが入っている個体があるので洗浄後に点検します。

 

シャッターユニット完成、ヘリコイドはグリスが抜け気味でしたので入れ替えてあります。これをリングナットで組み立てます。

 

本体に搭載してシボ革を貼ったところ。あら、ダイカストの塗装剥がれがひどいですね。リペイントしてあげた方が良かったかも。

 

露出計は基板のない旧型です。

 

 

露出計を取付けてトップカバーを締めます。

 

 

で、前玉ですけど、分解の時に「やけにネジに抵抗があるなぁ」と思ったのですが、観察するとネジ山が潰れています。たぶん、前玉を清掃するためにリングナットを緩めようとしたが緩まないので本体のネジ部を万力で銜えて保持した。というところでしょうか? ネジを万力で銜えてはいけません。

まぁ、どの個体もいろいろな過去を抱えているものです。シャッターは快調となりました。

 

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301番台のローライ35をやるよの巻

2022年11月26日 11時00分00秒 | ブログ

しばらくローライ35をやっていないので、301番台のジャーマニーをやっておきます。コンディションはあまり良いとは言えませんが頑張りましょう。まず、沈胴が固着していてレンズが収納できません。ヘリコイドも抜けていますがO/Hするので問題はないです。あとトップカバー角にへこみがありますね。

こちらの角にもへこみがあったかぁ・・

 

 

圧板は最初期の仕様ではありませんがディンプル加工がないタイプです。

 

 

ラッキーにも露出計は正常に作動しました。この頃の個体はCdsの特性劣化のため針は振れるが戻りが遅いものや、中央付近でフラフラ留まったりする個体も多いです。この個体も左端の0点指標のオレンジが白化しています。

 

なんとか沈胴チューブを分離しました。の部分が本体側で受けるバネに嵌っています。

 

 

ピンセット先が沈胴チューブを回転させた時ロックをする爪です。特に変形や破損はないようですので作動のメンテナンスをしておきます。

 

ヘコミの修正は裏側が黒塗装なのでへこんでいる位置が分かり難いので寸法を計測して位置を出します。

 

修正をしたトップカバーを洗浄して、レバーアテの取付、傷を研磨したメーター窓の接着、レリーズピンにグリスを塗布して取り付けます。

 

これ見なかったことにしようと思ったのですけどね。左端のオレンジ色が白化していますね。このような個体は結構あります。これは、ガラスを接着する時に接着剤が指標の部分に流れてしまったためです。意外にゴッセンの組立は雑かな?

 

画像数枚で表すと簡単そうですが、まず強いシンナーなどでガラスの接着を外そうとすると、オレンジの塗装まで侵してしまうので慎重な作業が必要。ガラスに残った接着剤は完全に除去しないと汚れが見えてしまう。

 

まぁ、リカバリー出来ましたね。しかし、性能に関係はない部分ですし工数が掛かるので普通は見なかったことにします。

 

それでは通常の作業をして行きます。スプールのアイドラギヤは潤滑が切れて回転が重いです。部分には決まってフィルムの切れカスが溜まっています。

 

シャッター羽根を作動させるブレードリングは後玉外周のジュラコンのような樹脂リングに嵌って作動しています。初期型ですがレンズの状態は非常に良いです。この辺りが国産のPENとの差です。

 

完成したシャッターユニットを本体に組み込みます。調整シムを入れ忘れていますが・・

 

無限調整をしてピントリングを取付けます。距離指標リングは別部品ですので精密に∞位置を合わせるのにコツが要ります。

 

組立完成。トッフカバー角のへこみを修正しています。

 

 

動かなかった沈胴もスムーズに動きます。これで終了です。

 

 

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きれいなローライコードⅤbのメンテナンスの巻

2022年11月25日 21時30分00秒 | ブログ

販売商品のメンテナンスをしています。ローライコードの最終型Ⅴbですが、永く生産された後半の個体と思われますので状態はきれいです。レンズの曇りやチャージレバーの戻り不良、シボ革剥がれなどの他、通常のメンテナンスをして行きます。チャージレバーはシャッターユニットに嵌っていますが、潤滑が無いと動きが悪く、かと言ってグリスでは抵抗が大きく戻りが緩慢になる。軽いオイルが良いようです。

ここに嵌っています。後玉を分解して曇りの清掃をしておきます。シャッターは清掃と注油をしておきます。

 

 

ビューレンズもかなり曇っています。こちらも清掃をしておきます。

 

 

撮影レンズも曇っていますので分解清掃をしておきます。

 

 

ファインダーの清掃。内部のホコリの除去とミラーとスクリーンの清掃をしました。

 

この頃は本革ではなくビニール製のシボ革です。本体側とシボ革裏の古い接着剤の除去と清掃をしたシボ革を接着して行きます。

 

劣化のないきれいな個体です。ブログに書くこともあまりありませんのでこれで終了です。

 

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ローライフレックス・スタンダードの巻

2022年11月24日 16時15分00秒 | ブログ

ローライフレックスのスタンダードは、ベビーローライの4X4を6X6に変更したモデルとのことで小型ですね。ものの本によると製造は1932年(昭和7年)となっていますが大東亜戦争開戦のはるか前、私の父がまだ兵隊検査を受ける前のカメラと言うことですから相当古いです。このモデルは1/500がありますので後期型になるのでしょうか? 長い間の使用によりボディーが痛んでいます。修理指示により作業をして行きます。まずストラップ取付け部の変形を修正していますが、裏側は緑青が大量に発生しています。

裏蓋はアルミの1枚物なので底部の変形(4脚のギッタンバッコン)や背面の変形などが目立ちますので修正をして行きます。

 

面のへこみの修正をするため圧板を取り外します。アルミのペラペラな作りです。

 

 

つぎにファインダー部。さすがにミラーのメッキ腐食は進んでいて再使用は無理でした。水準器はスクリーンに接着ではなく針金により支持される構造です。

 

スタンダード用のミラーは1枚ストックがありましたので交換します。

 

 

水準器の〇部分は素通しの専用スクリーン。汚れがひどいですが割らないように丁寧に洗浄します。

 

通常の二眼レフと異なり、レンズとシャッターは前カバー側に付いていますので、カバーはダイカスト製でがっちりとした作りです。

 

裏側。4本のネジを外すとシャッターユニットが取り出せます。

 

 

前期型は最高速1/300となっていますが、このシャッターは1/500が付いています。各部に清掃注油や羽根の洗浄などをしておきます。

 

ビューレンズはハイドスコープ75mm。曇っていましたのでレンズを分解して清掃をしてあります。

 

撮影レンズはイエナ・テッサー75mm f3.5ですので1934年以降の個体のようです。こちらも曇りが多いので清掃しますが、部分で分解出来ます。

 

清掃できれいになりました。

 

 

赤窓にフィルムの1を出して・・

 

 

押しにくいセットボタンを押すとカウンターが1になり、以後はクランクによって進みます。

 

戦闘機の射撃用照準器のようですね。不具合部分は無く調子は良いと思います。

 

 

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