今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

OMEGA ジュネーブ・デイトには違いはないのだかの巻

2016年06月28日 18時15分10秒 | ブログ

2つ目はオメガ・ジュネーブですが、お世辞にも状態は良いとは言えませんね。振ると短時間は秒針が進みますので、致命的な状態ではないのかとも思いますが、金メッキのケースは消耗の果ての状態で、社外のベルトを無理に取り付けてあります。文字盤は奇跡的?に汚れは少ないですが、針は曲がっています。何度も分解をされたのでしょう。

ちょっとUPが長くなりそうな予感がします。裏蓋を開けて見ると、裏蓋のパッキンは殆ど用をなしていません。ケースのネジ部が欠損していますので、内部の機械は汚れ放題です。機械はオメガ製のCal,1481 で、1970年代のモデルのようです。自動巻きのローターは固着していて回転しません。

回転錘(ローター)はベアリングなし。だいぶガタが出ています。汚れ放題ですね。

 

日ノ浦側。こちらも汚れがはげしいです。

 

 

金メッキは20μのようですが、劣化と剥離がはげしい状態。相当に使い込まれています。風防ガラスはプラ製でこちらも傷だらけ。本来はケースから分離して洗浄研磨をしたいところですが、ジュネーブはベゼルが無く、風防が圧入されているだけなので分離はしない方が良いです。この状態で研磨をします。

洗浄して組み立てをして行きます。設計はいたってオーソドックスな輪列配置です。輪列、角穴車と受けを取り付けます。

 

デイトの早送りは竜頭を押し込んで行いますが、一杯に押し込んでも日車の歯車がちょうど塀の上を歩いているようで向こう側に超えられず戻ってしまう状態です。送り機構と日車の歯の摩耗なのかも知れません。調べてみると、このトラブルを抱えている個体は多いようです。

さすが腐っても鯛。(失礼)まったく未調整の状態でこのデータ。オメガ恐るべし・・

 

自動巻き機構の洗浄前の状態。かなり汚れが積もっています。分解をしてハケで洗います。

 

自動巻き機構を取り付ける3本のネジの1本は丸穴車を共締めする設計で、ネジの規格が異なります。

 

きれいになりましたね。最後の回転錘を差し込んで、固定はクリップのみです。

 

裏蓋と密着するネジ部が欠損しています。一応、パッキンは交換しておきますが、防水性能は全くありません。

 

                                                                                    ラグ幅が特殊なデザインですので、社外のベルトは着けにくいですね。このベルトはバンビ製のものをコマ繋ぎ部を開いて強引にバネ棒を差し込んでありました。画像の用意した新しいバネ棒は太くて入らず。細いバネ棒を探して取り付けました。

 

本当は、画像のようなベルトのラグ幅を細く削って付けた方が良いと思いますね。いやはや何とか完成。

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SEIKO フェアウェイを何とかするの巻

2016年06月26日 20時55分14秒 | ブログ

すみませんね。脚のリハビリ運動を優先していますので、長時間の座った姿勢が取りにくいため、比較的短時間で完結するものをやっていきます。笹原ペンさんから、2つの時計が来ていますが、例によってあまり状態は良くありません。放置のジャンルからの救出という感じですね。まず1つ目はセイコー・フェアウェイです。1962年~1964年の東京オリンピックの年まで製造されたらしいモデルで、第二精工舎の製品です。Cal.760の21石で、高級機までは行きませんが、当時としては防水性能を謳った意欲的な製品ということでしょうか。定価は8.500円だそうです。しかし、当時、販売数は伸びなかったようで、現存の個体数も少ないと思います。ケースは防水性能を重視するためワンピースケースが採用されています。機械を取り出してみましたが、やはり裏押エは折れていますね。金属疲労から当然と思いますが、潤滑が切れなければ折れなかったかも知れません。

でもね。予想に反して機械はきれいですね。天真の摩耗も時代を考えると最悪ではありません。

 

ほらね。竜頭を引くたびにバネの部分にストレスが掛かりますので、消耗品という気がします。竜頭の巻き芯はワンピースケースのためジョイント式となっています。

 

分解、超音波洗浄をして組み立てて行きます。

 

 

手巻きですから余計な自動巻き機構も無く、レイアウト的にもセオリー通りで組立は簡潔です。日ノ浦側を組んで行きます。

 

殆ど分解キズが無い機械なので、きれいに仕上がりました。ただし、テンプの片振りが大きいです。アンクルとガンギ車には少し問題があるようです。

 

文字盤は本来はSD文字盤のようですから作りは良いと思いますが、9時周辺に変色が出ています。これは製造上の問題ですね。インデックスと針の状態は比較的良好です。

 

ワンピースケースですが、ステンレス製ではなくSTPの真鍮にステンレスメッキで、すでに腐食が進んでいます。しかし、ステンレス無垢の素材のように、研磨をすることが出来ません。軽く磨く程度ですね。

 

裏側の状態。裏蓋はありません。この頃の彫刻文字はその後のセオリーとは異なっています。

 

ケースは軽く研磨してあります。機械をケーシングして、こちらも研磨をした風防をベゼルリングで圧入して完成。まだまだ非防水が全盛の時代の防水時計ですが、すでに近代的なデザインが採用されています。手巻きのチャンピオンと違った魅力を感じるモデルですね。裏押エは調達可能ですが、例によって現状で仕上げるのがオーナーさんの流儀なので折れたままで組んでいます。

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現役復帰のPEN-FT(B)+PEN-S3.5の巻

2016年06月22日 18時00分26秒 | ブログ

九州地方は地震に続いて大雨の被害が出ているようです。こちら東京地方は大雨にはなりませんが、ここ数日、梅雨らしい天気が続いています。雨の合間にリハビリ目的の自転車で走っています。えっ、昭島市に新幹線が走っていたか?

0系新幹線ですが、図書館になっています。ボディーの鋼板の張力が無くなって、ペコペコになっているのが少し寂しいところですが、子供達が通って来ます。

 

そんなことで、長時間パソコンの前に座っていられないので、しばらくUPは簡単にさせていただきますね。で、本題ですが、長期間に使用を休止していたPEN-SとPEN-FTのオーバーホールご依頼です。両方とも基本的にはそれほど悪くない個体だと思います。

#1309XXは1965-10月製。吊環部が落下により陥没していますね。吊環を外して、なるべく修正をしておきましょう。

 

ファインダーのハーフミラーが曇っていますが、これが珍しく、メッキの腐食ではなく、反対側のガラスが腐食しているのです。こんなこともあるんですね。これは交換としました。

 

過去に分解は受けていますね。後玉の曇りがあったようで、清掃によりコーティングが無くなっています。

 

PEN-Sは他は特に問題は無く終了しています。次はPEN-FT(B)#2598XXと良い頃の個体ですね。しかもブラックです。シューアダプターを着けたままにしたため、PEN-FTの白が黄ばんでいます。白入れをやり直すか??

 

 では、いつものように本体を洗浄して組み立てて行きます。

 

 

シャッターは特に問題はありません。良いユニットです。洗浄注油をしてあります。前板側もプリズムのコーティングも良いですね。

 

ハーフミラーは新品と交換しています。露出計の感度も高く劣化はありません。

 

特に問題の個所もなく組み上がりました。巻き上げも軽く、現存の個体としては非常によろしいと思います。1968-11月製

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最後はRICOH AUTO HALF E でしたの巻

2016年06月18日 19時10分28秒 | インポート

今日の関東地方も気温が上がりまして暑くなりましたね。自転車で走っていましたが、早々に引き上げて来ました。で、3台目の最後です。リコー・オートハーフですね。これまたきれいなEXPO 70の記念バージョンです。大阪在住のオーナーさんの手元にあってしかるべき個体ということでしょう。しかし、このエッチングプレートは上品で素晴らしいセンスですね。オートハーフの前面プレートをノベルティー用とした特注品の製造を受けていたようですね。外観も全く欠点のない個体でも、これは希少品と思います。

作動は特に問題はないとのことですが、カウンターが復帰しないということです。ほんとだ・・

 

駒数板のロックを解除するリンケージ途中には、特に調整ポイントはないようです。ロック爪のレバー部を折り曲げて調整をしてあるようですが、すでにこれ以上折り曲げると先端がギヤに干渉して具合が悪いのですね。よって、下駄を履かせておきました。

各部の清掃・注油をして行きます。中央のプーリーは、巻上げ時に急速回転をしますが、油が切れていると、「キャ~」という異音が出ます。注油をしておきます。

 

ファインダーを取り出してレンズの分解清掃をします。

 

 

2枚合わせの対物レンズは、前面がガラス、後ろが樹脂です。これでコストダウンになるのでしょうかね?

 

接眼部のモルトを交換しておきます。

 

 

裏蓋のモルトはスポンジタイプの素材で貼り替えられています。これでもいいっちゃいいのですが、オーナーさんから貼り替えのご依頼ですから貼り替えます。

 

で、こうしておきました。

 

 

改めて見ても、このデザインはきれいです。しかし、3台共、素晴らしいコンディションの個体でしたが、オーナーさんの努力が伝わって来ますね。

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ヤシカ・mimyというカメラの巻

2016年06月17日 20時46分52秒 | ブログ

2台目のハーフは、これもすばらしいコンディションを保っているヤシカ・ミミ∸というカメラ。コンパクトで非常にまとまりの良いデザインです。この個体も作動は問題なし。レンズのカビがいけません。

 

絞りの指標リングは、単にはめ込んでイモネジ3本で固定されていますが、イモネジを締め込むことによって盛り上がっちゃってますね。強く締め込んだためにアルミが伸びてしまったのか、これで正常なのかは不明。

 

シャッターはバリオタイプの簡単なもので1/60単速。絞りは帯板状の絞り板がスライドするタイプ。

 

レンズにカビが大量発生しています。清掃できれいになるのか?

 

 

レンズはヤシノン28mm F2.8 3群4枚。カビは2枚目で、殆どは清掃で来ましたが、周辺部分にコーティング劣化が残りました。

 

梨地メッキのサンドブラスト粒度が細かすぎる感じでピカピカですね。滑りやすいですし、私のように、当時カメラを組み立ていた人間からすると、傷が目立ちやすいので歩留まり管理が大変なのです。通常の巻き戻しダイヤル位置に露出メーターがあります。なかなかモダンなデザイン。

トップカバーを開けるとこうなっています。ファインダーの作りはPENに似ていてトップカバー側に付くのも同じ。ASAの切替ダイヤルは200まで。

 

フィルムの給送は普通と逆で右から左に送られます。下部にあるのが巻上げダイヤル。左の親指で巻き上げて右手でシャッターを押す。軽快に操作できますね。モルトは過去に貼り替えられていましたが、最初の残骸が残った上に貼ってありました。すべて清掃で新しく貼ります。

レンズは、まぁまぁきれいですね。

 

 

発売は1963年とのことで、当時としては良いデザインと感じますが、機構も含めて新しいものが見当たらない。旧態の技術でまとめられたカメラという印象がします。この辺りが企業として生き残れなかった原因でしょうか? 東京オリンピックの前年で、バレーボールでは、日紡貝塚と並んでヤシカのチームも強かったです。あの頃は輸出産業を牽引するトップ企業でした。

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