今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

お父さんのPEN-D3の巻

2024年02月27日 14時30分00秒 | ブログ

カメラ店様経由のご依頼です。お父様から譲られたPEN-D3 #4218XXだそうです。当初はレンズのカビを清掃して欲しいとのことでしたが・・確かに前群の後ろ側に花火のような大きなカビがありますね。点検すると後玉にもカビと曇りが確認できます。

光線を通して見ると・・カビは発生してからの時間によっても清掃出来る時と出来ない時がありますね。

 

露出メーターは作動しますがメーターの樹脂ガラスが欠品しています。この部品は裏側の接着シロがほとんど無く、D2,D3はトップカバーの強度も無いので変形によって接着外れとなっている個体があります。

 

シャッターは全速1/500が1/100以下。基本的にPEN-Sのシャッターと同じ仕様ですからオーバーホールは必要ですね。シャッターダイヤルも途中で回転が重くなります。

 

上下のモルトは完全に取り去られています。幸い電池室は電解液漏れはありません。その他、ファインダー曇りなどありますので、完全なオーバーホールをすることにします。

 

シャッターは未分解でした。ほとんど使われていないシャッターで摩耗はありません。生産後期の個体ですのでシャッター羽根は6枚で組まれています。

 

組み立てたシャッターを本体に搭載して前カバーを取り付けシボ革を貼ります。

 

 

スプロケット軸の巻き上げカムを組み立てます。過去の分解で巻き上げダイヤルカバーの端が欠けています。経験のない方がおかすミスで、トップカバーをセットする時にはカバーとの関係に注意する必要があります。

D系は重いので落下をさせるとかなり重症な凹みになります。ご依頼はありませんが軽く修正をしておきます。

 

この程度にしておきます。D系のトップカバーは開口部が大きいためカバー単体では全く強度がありません。

 

化粧リングを取り付けて組み立て完成。

 

 

次世代に受け継がれた幸運な個体と思います。今回はご依頼はありませんでしたが、欠品しているメーター窓(樹脂)は部品を調達して取り付けておいた方が良いですね。1968年10月製。

 

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ローライキンカウンターノブのO/Hの巻

2024年02月26日 12時00分00秒 | ブログ

ローライフレックスに35mmフィルムを使うためのアクセサリー「ローライキン」のカウンターノブはボタンを押してもカウンターが進まない不具合が多いですね。それを修理ご依頼です。

 

構成部品をすべて分解して洗浄します。故障の原因はグリス切れによる送りリングの作動不良ですが、この個体の場合は裏側のシャフトを保持するナットの緩みもありました。また、この個体は無事でしたが、ノブの位置決めピンが折れている個体もありますね。

 

送りリングの摺動個所にグリスを塗布して組み立てます。

 

 

裏側のナットが緩んでいたためリターンスプリングが外れていたのも原因でした。スプリングをセットしてカバーを取り付けます。

 

ナットにゆるみ止めを塗布してリングレンチで締め込みます。

 

 

酸化気味のアルミ肌を研磨してボタンを押すと赤が軽快に動いています。

 

 

現在、OCNメールにサーバー側の不具合が発生しているようで、正常に受信と送信ができない状況となっております。申し訳ありませんがお問い合わせに対してのご返事には少しお時間を頂ければ幸いです。よろしくお願いいたします。

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通常作業のローライフレックス2.8Fの巻

2024年02月20日 17時00分00秒 | ブログ

作業的には二眼レフが続いているのですがあまり進捗は良くありません。途中で隣の八王子市ご在住の方からアグファ・パラマートの修理ご依頼を頂いて拝見していましたが・・PENと同じハーフのEEカメラですが露出メーターが作動しません。点検するとの配線が腐食で断線しています。これを直せばメーターは動くかと思われましたがメーターは動きません。セレンの起電が全くないようでした。と言うことで作業は中止。

で、ローライフレックス2.8Fですが、こちらもメーターが不動です。過去に駒村商会さんでもメーターの修理は受けていなかったようですが修理が出来る方がいらっしゃるでしょうか? 気になったのは「絞りスピード表示窓」の変色。これは稀に見ますが、すべての個体に起きているわけではないので、どのようなメカニズムで変色するのでしょうかね。数字を瞬間に読み取ることが難しいですのでご依頼のカメラ店様からは「直して」と言われるのは分かっているので製作しました。t0.5mmの硬質アクリルで作りましたが、ポリカーボネート製の方が傷は付きにくいですが手持ちがt0.4mmしか無かったので・・

セットするとこんな感じてよく見えます。

 

 

この個体は巻き上げレバーが重いのと「二十露光リング」が固着していてスムーズに動いてバネで戻らない状態でした。各部の微妙なチリ合わせが必要でした。その他、レバー基部のダンパーが利かずレバーがプラプラの状態でしたのでダンパー材を製作して交換してあります。

シャッターとレンズのメンテナンスをして行きます。

 

 

すみません。寒さのせいで腰痛が悪化しまして更新をさぼっており、運転会の出席もお休みしました。ローライフレックス2.8の巨大な前玉ですが、2枚のレンズの間が曇るわけですが、個体差もありますが前玉が軽圧入のようになっていて抜けてこないことが多くあります。他の方たちはどのようにされているのかな? やっと分離できました。

レンズの繰り出しでガタを感じます。の先端樹脂が摩耗をしているのです。調整ネジで適正なテンションになるようにし、グリスも入れ替えます。

 

裏蓋のロックピンが緩んでいる個体も多いです。ネジが小径で短いのも緩みやすい原因でしょう。中には無くしてくる個体もあります。アフターパーツもあるようですが、入手が困難です。

 

これはローライコードⅤですが、他の部分と比較して前面のシボ革(本革)が極端に劣化していて欠損部分もあります。裏側にガチガチに硬化する接着剤を何度も着けられていて柔軟性がなく革も劣化が進んでいます。二眼レフの整備をしていてシボ革が一番厄介です。アサヒさん辺りで製品化してくれないかしら?

これは国産の4X4 KINO44というカメラ。「キの44」?  最初、二式単座戦闘機「鍾馗」かと思いましたよ。ベビーローライに似たカメラです。シボ革はきれいなのですが、古い時代のシボ革は剝がそうとするとバリバリに割れてしまうのですね。しかし、剥がさなくてはメンテナンスができない。過去に作業をした方もレンズを前後から分離して清掃にとどめていたようです。

古い国産はどうしてもミラーが弱いです。すでに何度も拭かれて傷だらけですので新品ミラーから切り出して交換することにします。

 

フード内の清掃とミラーの交換。スクリーンはガラス製ではなく樹脂製でした。清掃に注意します。

 

フィルムローラーはベビーローライと似ていますがオートマットではありません。フィルムを装填後、巻き上げダイヤルボタンと下のレバーを下げるとカウンターが1に戻ります。

 

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運転会はDD13の巻

2024年02月17日 15時00分00秒 | ブログ

カメラ市対応を終えましたが、二眼レフの通常作業が続いていましてUPの予定がありません。時間的な余裕が無かったので今月の運転会に持っていく車両の用意が出来ませんでしたので、30年以上前にジャンクで手に入れていたエンドウのDD13を整備して走らせることにしました。じつは高校生の時に新品で購入したことがありましたが、初期の製品はモーターがスロットレーシングカー用のモーターで走行性能は良いとは言えないものでした。車体を外してみると、あれ? 片側の台車のみの駆動となっています。以前のモデルは全軸駆動だったと思います。改造されたものか、あるいは片側駆動の仕様もあったのかな?

通電をしても全くモーターは回りません。ブラシの清掃と軸の潤滑によって回り始めました。

 

モーターの動力は2本のスプリングベルトによってウォームギヤに伝えられます。この方式ではスムーズな走行は難しいです。ギヤ軸の清掃と注油をしておきます。

 

問題はモーター軸とギヤ軸を繋ぐゴムチューブ。ゴムが硬化をして軸がスリップしており動力が伝達されません。現在ではシリコンチューブを使うのが普通ですので、適合するチューブを調達して交換します。

 

その他、手すりとテールランプが欠落していますので、手すりは0.5mmの真鍮線で新製します。

 

車輪は酸化被膜で汚れていましたので研磨清掃をしてあります。何とか走り始めました。

 

仮に車体を載せます。エンドウのDD13は箱書きによると第15次型となっていますね。500番台の前照灯がシールドビームになったタイプです。天賞堂のモデルは1灯式の初期型ですね。材料が入手出来たら作業をします。

今は通販で部品が手に入りますので便利です。しかし、そのお陰か地元立川にあった老舗の鉄道模型店が廃業してしまい、出掛けたついでに立ち寄る楽しみが無くなりましたが・・エンドウの直営店はありますが、工作材料などは手に入りません。

オリジナルより少し長めに切り出して交換しました。この車両の場合は台車の首振りによるジョイントの捻じれは無いので関係はありませんが、屈曲による柔軟性はゴムの比ではなく、カープでのギヤ鳴りなどが発生しにくい利点があります。

やはり片側のギヤボックスは取り去られていたようです。いつか部品を見つけて修復したいと思いますが、現状では重量バランスが片側に崩れていますのでウエイトの追加などをして集電効率や脱線対策をした方が良いかもしれません。まぁ、レイアウトでの走行を見たいと思います。DD13は昭和30年代に貨物の入替え用として製造されたディーゼル機関車で、私が高校生の頃は立川駅構内での入替え作業に活躍していました。隣駅の西国立駅には立川機関庫があって、ずらっと並んだED16を眺めた後に立川駅の南武線ホームに停車中のDD13(1灯式)を見て帰宅するのが常でした。私にとっては思い出深い機関車です。

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ローライ35SとPEN-FTの巻

2024年02月12日 14時00分00秒 | ブログ

ローライ35S #2436XXXはUP予定はなかったのですが間が空くので簡単にUPしておきます。過去の修理でメーター窓(2枚)の間に接着剤が付いていて汚れが目立つので研磨をしました。初期の個体では下側の窓は本物のガラスですので清掃が楽ですが、この頃になると透明樹脂製となって汚れを清掃すればするほど擦り傷がついて曇ってしまいます。2枚重ねの透過性を考慮して当初は下側はガラス製で製造されたのでしょう。

この個体はローレットリングは分解された形跡はありませんが、指で回すとコクコクと動きます。普通はゆるみ止め剤を塗布されてねじ込まれているのでガタは無いのですが、シンガポールのこの頃はゆるみ止め剤の塗布を省略されているのかしら? 

沈胴が緩いのでローレットリングを外して調整をしておきます。

 

 

中玉にチリが混入していますので分解清掃をしていきます。

 

 

巻き戻しダイヤルはどうしても黒樹脂が白化してきますので分解して研磨をします。何となく重みのない「銀色」は底部が真鍮の梨地クロムメッキではなく、アルミの梨地アルマイトだからです。爪を当てると何とも安っぽい音がして個人的には一番残念なところ。

トップカバーも同じアルミですね。完成後にフィルムの装填テストをします。

 

 

その他、ファインダー清掃、シャッター地調整などをして完成です。

 

 

次はPEN-FT #2729XX ですが、カメラ店で入手されたそうで、巻き上げのゴリツキはありますが基本的には悪くはないと思います。

 

気になったのはトップカバー右端上部のへこみです。

 

 

特にご依頼はないのですが軽く修正をしておきます。メーター窓横が盛り上がっているのは、駒数盤を留めるネジ頭とトップカバーとの間にクリアランスがなく、多くの個体で変形しているもので無理に修正をすると、駒数窓にクラックが入りますので触りません。

27万台は30万台以降と仕様はほぼ同じで、生産が少し古いという程度ですのでシャッターユニットに問題はなくメンテナンスが終わりました。露出計の感度は低下気味ですが・・

 

接眼プリズムのコーティングも完全に残っていました。保管は良かったようです。

 

情報窓の光路も曇っていますので清掃をしておきます。

 

 

ハーフミラーはさすがに劣化(再使用は可能)していますので新品と交換します。

 

メカの組み立ては完成。

 

 

付属の40mmはヘリコイドグリスが硫化して内部はベトベトです。絞り羽根にも付着していますので分解脱脂をします。

 

他の20mmや25mmも清掃をしておきます。

 

 

トップカバーのへこみ以外は特に問題のない個体でしたね。

 

 

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