今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

PEN三兄弟の巻

2022年02月27日 21時30分00秒 | ブログ

少し間が空きました。難儀なカメラをやっておりましたが、結局、部品不良が重なって中止となりくたびれもうけです。根を詰め過ぎたので腰痛が悪化しまして、行きつけの鍼灸院を予約しようと思いましたら、院長がコロナ感染とのことで休診中でした。え~危ないところでした。しばらく通えていなかったので助かりました。

先日も2台のPENを送って来られたファンの方から3台来ています。三光PEN、PEN-S3.5、そしてPEN-Wです。ざっと点検しましたが、特に問題はないようですのでUPも簡単にします。

まずはPEN-S3.5から。このカメラは振るとカラカラと音がします。

 

 

カラカラ音の正体。3.5の場合はファインダーが樹脂製のため、ガラスとの接着が弱く、古くなると剥離し易いのです。

 

シャツターは過去にオーバーホールをされていましたが、動きが緩慢な状態でした。

 

 

最近のPENは汚れ放題の個体が目につきますが、この個体も同じでしたので、洗浄をして組み立てます。完成したシャッターを組み込みます。ピカピカきれいでしょ。

 

3.5の頃になるとシボ革の接着剤が弱くなります。剥離がありますので補修しておきます。

 

この個体は保存状態が良くなかったようで、ファインダーの対物レンズと保護ガラスにカビが発生していてクリアになりません。ガラス研磨をすれば良いのですが、今回はこのまま再使用とします。

 

しかし、レンズの後玉の状態は悪くはありません。カビはありますが清掃出来ました。保存状態によってどこにダメージが入るのかは状況によりますね。

 

湿気の多いところに長期間放置されていた証拠に、裏蓋に赤錆ダメージがあります。このまま放置すると錆が進行してしまいます。

 

錆を落としてプライマーと塗料をタッチアップしておきました。あくまでも応急的な処置です。本来はリペイントをするのが完全ですが、今は時間的余裕がありません。(^^; 

 

 

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騙されましたローライ35ブラックの巻

2022年02月20日 15時40分00秒 | ブログ

ドイツ製のローライ35ブラックは数が少ないのでしょうか?  この個体はアルミ製カバーの割にはへこみのない良い個体と思ったのでした。しかし、メーター窓のレンズが不自然に痛んでいるのが気になりました。じつは↗にヒントがあるのですけど、この時はまだ気が付いていません。

トップカバーの裏側から見るとレンズは一度外されています。ではレンズを外してキズや接着剤などのはみ出しを磨いて修正をして行きます。

 

磨いたレンズをセットして様子を見ようとすると、枠の縁の部分が白くなっているのでアルコールで拭いてみると・・あらら~、塗装がどんどん溶けて行きます。え~そんな馬〇な・・

 

良く観察すると塗装内に繊維片が混入しています。これは塗装をされているのです。私も塗装屋ですが、巧妙に塗装されていて騙されました。

 

結局、全ての塗装はアルコールで落ちてしまいました。騙されたのは前面と後面は塗装されておらず、色入れなどはオリジナルのままだったからです。普通、塗料が変わると黒の顔料も異なるので黒味が変わりますので同じ色調にはならないのですが、この個体の場合は調子が合っていました。ここまでするのであれば、焼付塗装かせめてウレタン塗装で塗って欲しかったです。不幸中の幸いは販売される前に露見したこと。どなたもアルコールで拭き上げ清掃ぐらいはしますからね。さて、どうしたものか・・

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久々のPEN-FTの巻

2022年02月19日 18時00分00秒 | ブログ

久しぶりにPEN-FTが来ましたけど、このカメラは何百台か修理をして来ましたが、少し時間を空けて掛かってみると、「こんなに工数の掛かるカメラだったかなぁ」と思いますね。皆、同じように組んでも、それぞれに個性があって思ったように仕上がってくれない。それをどうやって修正して行くかという作業になりますね。オーナーさんが入手した状態とのことでしたが、外観は手垢で汚れ放題でしたので、分解・洗浄をして組み立てて行きます。

今回は細かいところは飛ばします。この個体#3056XXは過去にSS系の修理を受けています。30万台初期とするとシャッターユニットが最後期型ですので、或はユニットを交換されているかも知れません。点検のところ、特に問題はありませんが、チャージギヤと軸に多少の摩耗があり、2回巻上げの傾向があります。洗浄とグリス交換をして行きます。

30万台でこのユニットが使われているかギリギリのところですけど。メインバネのテンションが、通常より低く組まれていました。張力劣化を考慮して、通常位置で組みます。

 

プリズムのコーティングがゴシゴシやられて剥がれています。ここは優しく拭かないと・・

 

本体側と前板側が完成しました。

 

 

スプロケット・ロアーギヤが異常に錆びていまして(錆落とし後)軸と歯車も腐食が進んでいました。なんでこのギヤだけ? これも2回巻き上げに影響があるかも知れません。交換部品はありますが、ん~、今回は再使用で。

 

ハーフミラーは新品として組立完成。露出計の調整とファインダーのピント調整を行いました。過去に調整を受けていますが、少し後ピンでした。このカメラは単に作動すれば良いではなく、作動のフィーリングや操作感などを考慮して組むことによって仕上がりが変わってしまう難しさがあって、未だに極意が分かりません。

2台共良いコンディションとなりました。ハーフカメラファンの皆さん、頑張りましょう。

 

 

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低速不調のリコーキャディの巻

2022年02月18日 13時50分00秒 | ブログ

シャッター不調のリコーキャディが来ました。オリンパス・PEN-Wと並んで25mmの広角レンズの写りは定評があるようですね。この個体はfeet機なので北米辺りからの里帰り機でしょうかね。特徴的な巻き戻しダイヤルのポップアップがゴリゴリでスムーズではないのかまず気になりました。かなり摩耗といじられた形跡があります。そもそもストッパーネジが+の皿ネジが入っています。頭のサイズが大きく干渉しているのです。海外修理はこんなもの。

ストッパーネジを作り直しました。グリスを塗布してスムーズに上下するようになりました。

 

で、問題のシャッターですが、その前に中玉が親の仇のように外れません。あの手この手でやっと分離しました。しかし、PEN-Wのレンズと違ってリコーのレンズは曇りやバルサム剥がれなどがなく良い状態を保っているのでその点は有り難いです。

精工舎のシャッターは繊細な作りがしますが、スローガバナーのギヤが激しく腐食しています。これでは低速は動きません。

 

ガバナーのギヤやアンクルは精度が非常に大切です。ギヤの表面処理が通常のメッキではないのが錆びの原因です。特にガンギ車を損傷させないように錆の除去と超音波洗浄を行います。

 

左端のアンクルの動きが問題でした。分解をして軸の研磨をして組みます。

 

 

ファインダーのレンズを清掃します。一見、PENによく似たユニットですが、現在も作動する露出計が内蔵されているのはキャディーの勝ち。

 

対物レンズを取り外して清掃しました。

 

 

底部の巻上げ機構を清掃とグリスを塗布します。巻上げダイヤルはPENより大径なので、巻上げは軽いかと思いきや、結構ギッチョンという感触。

 

裏蓋を閉める時、トップカバー下端にあたる傾向がありまして・・観察するとトップカバーの留めネジ部に製造時は調整ワッシャーが入っていた形跡があります。途中の分解で無くされたようですので追加して組みます。裏蓋は接触しなくなりました。

デザインもオーソドックスで目立たないカメラですが、ハーフの撮影派にとってはPEN-Wと同じくらいの評価があってよいカメラかも知れませんね。

 

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クセナー付きローライ35の巻

2022年02月16日 13時30分00秒 | ブログ

中古カメラ店様経由の修理が入って来ましたので簡単にUPしておきます。この個体はシュナイダーのクセナー40mmが付いている珍しい個体。一番の問題は巻き上げレバーがプラプラになっていて巻き上げが出来ない。考えられる故障は、例の樹脂歯車の損傷と、その下にあるクラッチ機構が正常に作動していない。今回は後者でした。の爪がバネによって常に上に押し上げられていて爪が噛み合って巻き上げが出来る構造ですが、その爪が下に固着した状態です。原因は軸のメッキが痛んで摺動抵抗が大きくなっているため。軸の修正と爪をクリアランスの確保できるものに交換します。

珍しいレンズの割には結構ラフに使われていてホコリの付着が多い。レンズ外周の艶消し黒塗装と白の色入れが普通のテッサーとは心持印象が違うようですね。この個体は、レンズの無限位置のマーキングが合っていないので過去に前玉を分離されているようです。

グリスがごってり。クセナーは中玉がカニ目で分離出来ますが、カニ目が工具を掛けられた形跡があります。

 

後玉はコーティングの汚れと真鍮粉のような金色のチリが付着しています。

 

 

フィルムレールも分離されたようで、遮光用の紙片がありませんので追加して組みます。

 

 

レバーアテが欠落していますが、かなり凹んでいますね。修正をしてからレバーアテを熱カシメします。

 

なぜかフィルムカウンター窓のセル板が茶色に変色している個体があります。カウンター数字が見にくいので接着位置を変えます。

 

その他、ファインダー/シャッターなど全般的なメンテナンスをして外観清掃で完成です。

 

 

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