今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

ツァイス・イコンタと腕時計

2013年06月28日 21時47分11秒 | インポート

Photo その前に、北海道のINOBOOさんからスズランの写真が届きましたよ。クラゲじゃないのだそうです。ソフトフォーカスフィルターの代りに、パンストを使用しているとのことです。スズランって今頃の花だったんですね。

Dscf000505_2 で、本題です。こちらは笹原ペンさんから、ツァイス・イコンタ(6X6)と腕時計が届きました。高級なスプリングカメラとのことですが、種類が多くて何型になるのでしょう。巻上げダイヤル付近が脱落していてバラバラな状態で来ました。巻き止め機構はあるようですが、意外にチープな設計で、カムと連動するレバーが変形しており、スムーズに作動しない状態です。右側のオレンジ片は中央のファインダー下を通って左のレバーと一体ものです。巻上げ確認窓にオレンジとシルバーで表示します。

Dscf000614 距離計内蔵で、中央の窓は構図用、左の丸窓はピント調整用で右軸のカムによって距離計ミラーの角度を変えています。テンションはピンセット先の板バネです。

Dscf000724 巻き止め機構は、リンケージの調整でスムーズに動くようにしてあります。巻上げダイヤル軸には、ワンウェイクラッチ用のバネが仕組まれていますね。逆回転をさせないための簡単な構造。

Dscf000921 この個体のシャッターは、1/500付きのシンクロコンパー。レンズは、ツァイス、テッサーのOpton T 75mmと良いレンズが付いています。シャッターとレンズはメンテナンスで良好です。

Dscf001021 蛇腹もしっかりとしていますね。米谷さんの著書「オリンパス・ペンの挑戦」中、「収納時に、薄いカメラボックス内に収まっているレンズとシャッターは、撮影時に7cmも前に飛び出す。それだけにボディーとレンズが離れ、それを繋ぐ機械的連結が難しい」とお書きになっていますが、流石にがっちりとして、少しのガタもありませんね。

Dscf001121 連結のリンケージを押して、シャッターを収納して終了です。


バルナックライカ DⅡのグッタベルカ修理

2013年06月25日 20時35分14秒 | インポート

Dscf055142 バルナックライカのDⅡブラックですね。このモデルはブラックは珍しくないのだそうで、この個体も、何度か塗り重ねられていますね。グッタペルカは色落ちと剥離がありますが、割れはありません。これを再接着せよとのことです。

Dscf055212 ボディー部分を分離してから、接着が残っているところを剥がしてグッタペルカを抜き取ります。観察すると、接着剤の劣化というよりは、ボディーのアルミが腐食して接着が剥がれたようです。

Dscf055313 大きな接着剤を削り取っています。この後、グッタペルカを平らに伸ばしてからペーパーで平滑面にします。

Dscf055435

ボディーとグッタペルカの接着両面をきれいに清掃してあります。

Dscf055551 無事も再接着は完了です。ちょっと縮んだのか、接合面に隙間が出来ていますね。

Dscf055625 ついでに、メカのメンテナンスと注油をしておきます。シャッター幕はカビていますね。調整は問題ないようです。

Dscf055724 よよよ・・。レンズマウントにはフランジバック調整用のシムが大量に入っていました。すでに錆も出ていますので、精密な調整はきびしいのでは・・

Dscf055824 Lマウントのフランジバックは28.8mmとのことで、ディプスゲージで測定しながらシムを追加して行きます。あら、全部使い切ったところで、まぁまぁの値に近づきましたね。各点で計測していますが、端付近では、ダイヤルゲージのテンションによって、圧板の沈み込みが出ますので、テンションを加減しながら計測しています。

Dscf055934 ちょっと曇り気味のエルマーをつけて終了です。当分の間は剥離の心配は要らないと思いますね。

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ハミルトン・カーキ 9415 復活の巻

2013年06月22日 23時26分30秒 | インポート

Dscf054746 かんたんにUPしておきます。ハミルトン・カーキ 9415ですが、リューズを回すと針が回ってしまう不動品を入手しました。キャリバーはスイス製ETA 2801-2 ハック機能付きの8振動手巻きです。で、針が回ってしまう原因ですが、調べていくと・・ガンギ車のホゾが折れて、受け石も曲がっていました。これは分解をして、ホゾを合わせずに受けを締め込んだためでしょう。幸い、機械自体は非常にきれいで、あまり使用された形跡はありません。純正ベルトも新品のようです。そこで、新品のガンギ車を手配をして、すでに手元にあります。

Dscf054799 この機械は、ETA製と言っても、それほど作りは良くなくて、汎用性の高い普及品というところでしょうね。個々の部品のクオリティーは昔のセイコー普及機より劣ると思います。テンプも載せて、すでに動き始めていますね。左は、交換した不良のガンギ車。8振動なので、足が多いでしょ。

Dscf054916 文字盤と針を取り付けました。ケースは超音波洗浄してあります。

Dscf055045 タイムグラファーで歩度の調整をしています。殆ど磨耗がないと見えて、姿勢差は非常に優秀です。

Dscf055141 ガンギ車以外は、特に問題もなく完成しました。右は、カーキのモデルとなった本物のハミルトンミリタリー。カーキの方が少し小さくて軽い。ボーイズサイズというところでしょうか。普段使用には持って来いの腕時計です。


お母さんと一緒のPEN-FT

2013年06月18日 20時47分27秒 | インポート

Dscf054552 このPEN-FT #1197XXは、FT使いのお母さんと一緒のカメラを使いたいと言うお嬢さんのリクエスト。それにしては、初期型ですから、ちょっときびしいところもありますが、まぁ、頑張ってみましょう。まずはトップカバーを開けて点検。ふ~ん、相当前に露出計ユニットは中期20万代のものに交換されていて、ハーフミラーは30万台のものが組み込まれていますね。プロによる復活整備機というところでしょうね。

Dscf054651 すみません。FBなどの対応で進捗がよろしくありません。洗浄したダイカスト本体にモルト貼り、スプロケット軸を取り付けて行きます。極初期型の個体としては、状態はそれほど悪くはないと思いますね。吊環の留めビスは真鍮のスリ割りビスですね。+ビスより締め込みは強く出来るので、意外に緩んでいる個体は+の方に多いですね。電池室からの赤いリード線も通常よりも太い規格が使われていますが、これで工場仕様ですね。

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Dscf054561 洗浄したシャッターユニット。意外に目立つ磨耗は少ないようです。スローガバナーは変更前のユニットですが、ギヤの損傷は無く、1秒も正常に切れています。

Dscf054652 特に問題は無いので飛ばします。ハーフミラーはご覧のように清掃でほぼきれいになりました。後期型のミラーですので、後年にSSで交換されたのではないでしょうか? 反射率の低下はあると思いますが、今回は安価に仕上げるのが目的ですので再使用とします。

Dscf054775 作動不良の露出計です。Cdsのゲインはありますので、メーターの不良を疑います。針の動きがぎこちないため、ピボットで調整をします。結果、良好な作動を回復しました。

Dscf054653 レンズマウントの裏にはフランジバック調整のシム(紙?)が入っていましたよ。通常は、Oリングタイプのシムが普通ですが、よく観察すると、この紙は事務書類(データ印捺印あり)を切って作ったものです。ファインダーのピント再調整も受けている形跡がありますので、SSでの対応なのでしょうかね。工場での作業であれば、専用のシムを作るはずですので、その可能性は低いと思います。

Dscf054745 この個体は初期型なので、電池蓋のネジピッチが細かくて斜めに入りやすいタイプのため、殆どの個体でホルダー側のねじ山を損傷しています。それが余計に正確にねじ込むことを困難にしています。お嬢さんにはちょっと無理かも知れませんね。対策としては、ネジ山部分に僅かにオイルを塗布(導通不良とならない程度)すると、かなりスムーズになって、ねじ山の入り口を見つけやすくなります。また、そのねじ山の入り口を覚えておくことも有効で、この個体の場合は空気孔がピンセット先と合う付近。いきなり右回転ではなく、左回転でコクッとねじ山が噛み合った感触を覚えます。ネジの規格は図面を見なければ分かりませんが、アバウトには改良前がM17ピッチ0.5mm、改良後はM17ピッチ0.7mmで、格段にセットしやすくなっています。尚、電池蓋の見分け方は、改良前が画像のように、外周から二段に高くなっているタイプ、改良後は外周より内側にスジ彫りタイプです。

Dscf054826 初期型は巻上げレバー裏のビスもスリ割りの半球タイプです。以後は、この部分のみ+ビスとなって、巻き戻しノブ下のビスは、しばらくスリ割りタイプのままで併用されます。それ以後はすべて+ビスになります。

Dscf054915 本体は完成。もちろん巻き戻しレバーのノブは丸のローレットタイプです。セットするレンズがありませんので、当方の在庫からお付けしておきます。親子二代で楽しく撮影してください。

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M-1 OM-1兄弟を仕上げるの巻

2013年06月13日 21時58分21秒 | インポート

Dscf054310 北海道のINOBOOさんから、ずいぶん前にM-1とOM-1が来ていたのでした。1台はM-1を仕上げて、もう1台は好みの仕様で組立てるべし。とのことです。まぁ、沢山集めましたね。

Dscf054585 巻上げレバーの黒いプレートはアルミの化粧プレートで、カニ目孔は下の取り付けナットの孔とはずらして接着されていますね。プレートの孔は、工具用の孔ではなくて、剥離時の接着剤を溶かす溶剤を浸透させる意味合いの孔ですね。

Dscf054445 仕上げるM-1の巻き戻しダイヤルの状態がよろしくないので、もう1台の個体から移植交換しておきます。巻上げ関係のグリスはカラカラな状態。過去の修理でプリズムを傷めるモルトはすでに取り去られています。プリズム、接眼レンズに汚れがありますので、分解清掃などメンテナンスをして行きます。

Dscf054051 すみません。FBに参加したりで留守をしていました。あれは難しくて・・。で、ペンタプリズムなどの画像を間違って消去してしまいました。スローが全く不調のため、ミラーボックスを分離してスローガバナーを分離して洗浄注油をしておきます。

Dscf054154 ここでご連絡です。新ロットのPEN-F(FV)用の全反射ミラーが出来上がっています。オリジナルのミラーより反射率を高めたミラーです。交換ご希望の方や部品としてご希望の方はお問合せください。

Dscf054744 ミラーボックスの裏側。リターンミラーのダンパーは、この裏側にあります。露出メーターは糸のリンケージによってシャッターリングなどに繋がっています。

Dscf054245 何台も来ているので、これは別のM-1です。こちらの方が程度か悪くて、プリズム腐食、露出計不動、巻上げカバー欠落、トップカバーのへこみなどがあります。

Dscf054321 ペンタプリズムはCds素子との隙間を遮光するためのモルトが悪さをして塗装を侵して蒸着メッキを腐食させるのですね。これは、どこのメーカーでも起こっている問題で、当時は、モルトの劣化ということは考慮しなかったのでしょうかね。ウォークマンのイヤホンカバーだって、数年でベタベタになるのですから、分かりそうなものですが。。で、OMから程度の良いプリズムを調達して交換します。

Dscf054484 ペンタプリズムを留める金具は、製造時期によっていろいろ種類がありますね。このタイプがパーツリストの絵と同じなのかな。

Dscf054547その他のOM機は製造が後にもかかわらず、意外に内部は分解を受けて状態が悪いですので、今回はM-1を仕上げるために使用することにしました。M-1は少数の製造とのことですが、中古屋さんでは、結構見つけることが出来ますね。何台ぐらい現存しているのでしょうね。