今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

かなり初期型のPEN-FT

2012年02月26日 21時04分32秒 | インポート

Dscf097464 ご常連さんがPEN-FTの初期型をコレクションに加えたいと入手されて来た個体は#1042XXと、かなり初期型ですね。FTの生産は1966-10月とのことで、確認をしてみると、正しく1966-10月の生産機です。初期の個体は、シャッター(スロー)不調や露出計のダウンで、すでに消え去っているものが殆どでしょう。生産の立ち上がりは私も経験していますが、色々な問題が噴出して、安定した品質で予定生産をこなすのは非常に困難な頃です。画像のセルフタイマーとレリーズを繋ぐレバーの取り付けビスは、タップ加工に問題があって、無理に斜めにねじ込んであります。露出計の基板は半固定抵抗と絶縁カバー付き固定抵抗の両方が使われています。尚、過去に私のところに来た個体で初期のシリアルを調べてみると、#102929が最も初期で、#103034、#104999などが確認できます。

Dscf097655 流石に光学系はきびしい状態ですね。プリズムのカビや曇り、ハーフミラーも劣化していますが、製造からの時間を考えると、銀めっき製でここまで残っているのはすごいと思います。顕微鏡からの技術らしいですね。

Dscf097557 lリターンミラーの曇りと腐食も進んでいます。このミラーでも清掃で撮影には支障はないと思いますが、オーナーさんのご希望で新しいミラーに貼り替えることにします。

Dscf097886 ミラーホルダーからミラーの接着を分離します。古い接着剤とクロメート部分の腐食は完全に取り去っておかなければなりません。

Dscf097779 この絶縁座は私も初めて見ましたよ。パッキン紙製のものと、樹脂の打ち抜きの他に、この個体のように、ベーク製も存在したことは新しい発見です。すでに、シャッターユニットや2軸は組み上がっています。電池室もすべてやり直してあります。無用にギヤホルダーの留めビスがスリ割り付き真鍮ビスであることに注意。

Dscf097974 シャッターユニットは特に磨耗も無く良い状態です。ギヤ列が初期タイプですので、巻上げは非常に滑らかです。当初はこのスムーズさが標準だったのでしょうね。中期以降は、ギヤの形状が何度も変更されて、何故かフィーリングは悪くなります。リターンミラーは新品に貼り替えで組んであります。ミラーユニットも洗浄注油をしてありますが、多少ぎぐしゃくします。初期だから、まぁいいでしょう。再使用です。

Dscf098015 では、艦橋部分を組んで行きます。ビューファインダーは当然ながら、レンズ抑えがねじ込みタイプ。中期以降はCリング(サークリップ)で分解組立を容易にしています。レンズには、かなりのカビがあって、清掃でも#2レンズのカビ痕は残っています。交換のレンズはありますが、資料的に稀少な個体なので、ガラス研磨で再使用とします。

Dscf0982681 露出メーターユニットですが、プリズムを保護するためのカバーが付いていますね。これはすぐに省略されますけど、組立や使用過程で損傷する危険性を考慮しての部品と思われますが、実際には、本体に組み込んでしまうとダイカスト本体の巻上げレバー裏の留めビス用突起の真裏になるため「いらないんじゃないの」と思ったかどうだかは知りませんが、接着廃止となったのでは?と推測します。そもそも、カバーの下側は接着面が接触しておらず、また、反射面に写り込まないように取り付けるのは困難と思われます。パーツリストにも部番の設定はありません。

Dscf0984881 リターンミラーの他にハーフミラーとアイピース枠は新品に交換しています。初期の生産機が使命を終えて次々と消えていく中で、ご覧のように、気になる外観のキズ、へこみ、マウントのすり傷は殆ど無く、オリジナルの露出計も作動するという貴重な固体。シャッターダイヤルの色入れ(白)にはかなりの手垢付着がありましたので、そこそこは実用されたことが推測出来ますが、大切に扱われたのでしょう。すべてクリーニングをしておきましたけどね。その他、裏蓋ラッチの跳び越しがありましたので調整して完成です。巻上げ時のギヤによるゴリツキの無い初期型のフィーリングはスムーズで、これが本来の製造規格だったのだろうなぁ、と感じますね。

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ペンスケッチ展8が開催されます。日程は渋谷会場は6月5日~10日まで。兵庫県の三宮会場は7月20~22日となっています。「誰でも何の資格なくお気軽に参加できるネット公募のフォトイベント」です。オリンパスペンは元より、昭和30~50年代に生産された国産のハーフ判で撮ったフォト作品で、撮影テーマ、出展サイズ、展示様式は自由となっています。愛用にカメラで撮影した作品で参加しましょう。

二次募集は3/1から12までです。詳しくは、

http://mazken.cocolog-nifty.com/


またまた来ましたPEN-FT三兄弟

2012年02月22日 21時23分04秒 | インポート

Dscf096355 muraakiさんから、またPEN-FTが3台来ましたね。今回は16万代から19万代と前中期頃の個体です。点検すると、画像の#1975XXは2回巻上げはありますが、ハーフミラーの交換程度で済みそうでした。他の2台は電池を入れたままの液漏れによる電池室や露出計と基板などにダメージがあって、片方を生かすようなことになると思いますね。

で、#1975XXは、すでに殆どの作業は終えています。ギヤ軸の磨耗はありましたが、洗浄潤滑の結果、まぁまぁの巻上げフィーリングに改善しています。露出計の感度は非常に良好でした。最後にトップカバーですが、すでにカウンター窓横の盛り上がりと角のへこみは修正したのですが、よくよく見ると、吊環の切り欠き部のめくれのダメージがあり、前面のスカート部も下端部が前に開いてしまっています。上から大きな力を受けて陥没したのでしょう。こちら側は本体とのビス留めはなく、巻上げレバー裏だけの支持ですから、落下をすれば一たまりもありません。

Dscf096411 そこで、この程度に修復してあります。材料にクラックが入っている部分は仕方ありません。じつは、すでに反対側の巻き戻し部のへこみも修正されていましたが、明らかに裏から叩いた形跡が見えています。返って、手をつけないでくれた方が良かったです。新人さんの実用機としては良い個体となったと思います。次は、後ろの2台が問題ですね。

Dscf096457 検討の結果、片方の個体に良品部品を集中して仕上げることにします。ただし、この個体は、水銀電池が入ったままで放置されたために電池蓋は腐食固着して開きません。リード線のターミナルは腐食して断線。真鍮のボタン留めはこの位置で固着して動きません。稀に「ボタンがロックされない」というご質問を頂くことがありますが、まず、過去に電池の液漏れをした個体ですね。オーナーさんは、中古屋さんでの購入時、電池蓋が開かないのは未チェックだったとのことでした。中古屋さんの店頭で、10円玉で開けるのは気が引けますが、是非チェックをしてください。特に前期のネジピッチが細かい仕様では、ネジ山の破壊を起こしている個体も多いですから。

Dscf096633 電池蓋は分離不能ですので、電池室ごと分離します。あら、懐かしい電池ですよ。水銀電池のため、本当は触りたくないのです。この頃の絶縁用電池カバーはパッキン紙のような材質(後期は樹脂板の打ち抜き)のため、液漏れにより殆ど消滅しています。(電池室の裏側)

Dscf096755 悪いことは重なります。スプール軸の地板を留める3本のビスのうち、1本が分離時に折れてしまいました。初期は真鍮ビスで、強いネジロックを付けて締め込んでありますので、簡単には緩んでくれません。折れ易いことは承知で分離をするのですが、組立時にすでにストレスのあるビスは簡単に「ポロッ」と折れてしまいます。中期からは通常のビスに変更されましたので、折れる事故はありません。画像は、ねじ孔に残ったねじ部を精密ドリルのキリにより削って取り去った状態。やれやれ1時間のロスです。

Dscf096812 液漏れが付着した部品は再使用はしません。特に接片については、半田が乗りません。リード線も新製してあります。すでにスプロケット軸は組み込んであります。

Dscf0965671 液漏れのダメージは、直接液が接触した部分だけとは限りません。シャッターダイヤルの基部を見てください。腐食しています。これは気化したガスが回って悪さをしたのです。それ以外にも露出計の基板のパターンが腐食して凄いことになっています。こんなところにまで影響があるのです。分解をすると、光学系にもダメージがありそうですが、すべて、もう1台の個体から移植することになります。あ~ぁ、何度手を洗っても、すっぱい臭いが消えません。体調の問題でこの辺にさせて頂きます。

Dscf097094 トップカバーを付ける前にセルフタイマーの作動とレバーの水平を確認しておきます。おっと、少し下がり気味ですね。自然に下がる場合もありますが、多くはセルフタイマーユニットかレバーを交換されていることが多いのです。製造時期によって微妙に差がありまして、ポン付けでは水平がずれる場合があります。

Dscf097176 ちゃんと水平になっていますね。組立はこれで完了ですが、他の個体から移植したシャッターダイヤルの合致赤マークの塗料が劣化していますので、色入れをし直してあります。この頃の赤色は、マウント指標赤マークのようにソリッドな濃い目の赤ですが、シャッターダイヤルの場合は、中期以降の蛍光赤で入れています。こちらの方が見やすいですし、デザイン的にもきれいです。しかし、見る人が見れば、マウント赤との差に気が付くはずです。

Dscf097257 付属レンズとして38mmと40mmが来ています。38mmの方は、よくある、レンズ先端のフィルター取付部がへこんでいますね。2ヶ所のへこみがありますので、フィルターを取り付けられるように修復をします。

Dscf097375 途中ははしょります。ご覧のように、フィルターが付きましたね。その他、分解清掃をしてあります。

Dscf097499 38mmのへこみは、すでに内側からへこみを直そうとして黒アルマイトは剥離をしてキズだらけにしてありました。余計なことをして頂かないほうが有り難いのです。

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今年も恒例となりましたペンスケッチ展8が開催されます。日程は渋谷会場は6月5日~10日まで。兵庫県の三宮会場は7月20~22日となっています。「誰でも何の資格なくお気軽に参加できるネット公募のフォトイベント」です。オリンパスペンは元より、昭和30~50年代に生産された国産のハーフ判で撮ったフォト作品で、撮影テーマ、出展サイズ、展示様式は自由となっています。愛用にカメラで撮影した作品で参加しましょう。

二次募集は3/1から12までです。詳しくは、

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PEN-FTを1台仕上げますよ

2012年02月19日 16時13分02秒 | インポート

Dscf095788 え~と、キングセイコーをレストアしていたんですけどね。歩度が合わないので諦めて仕事しよっと。PEN-FTのO/Hご依頼が切れましたので、うちの在庫を仕上げようと思います。後期型の個体ですが、美品というよりは実用機ですね。事前のテストでは、巻上げは良好になりそうな気がします。まずまずに仕上がれば、ご希望の方にお譲りしたいと思います。

Dscf095899 シャッターを分解して洗浄・点検しています。チャージギヤは後期型の特徴の真鍮ナット留めになっていますね。特に問題の無いユニットだと思います。

Dscf096064組立は終了しています。巻上げフィーリングは軽く滑らかですね。このぐらい軽いのはありそうで中々少なくて90点ぐらい付けても良いでしょう。プリズムのコーティングやリターンミラーのコンディションもまずまずです。ハーフミラーとアイピース枠を新品に交換しています。

Dscf096272 機械のコンディションとしては良好で、これで上下カバーや裏蓋蝶番などが良かったら欠点のない美品となるのですが、使用過程のヤレはありますね。すでにFTをお持ちのベテランさんの買い替えではなくて、実際に安心して撮影に使用されたい新人さんなどに丁度良い個体だと思いますよ。購入ご希望の方はメールでご連絡ください。標準レンズは別売りでご用意できます。

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今年も恒例となりましたペンスケッチ展8が開催されます。日程は渋谷会場は6月5日~10日まで。兵庫県の三宮会場は7月20~22日となっています。「誰でも何の資格なくお気軽に参加できるネット公募のフォトイベント」です。オリンパスペンは元より、昭和30~50年代に生産された国産のハーフ判で撮ったフォト作品で、撮影テーマ、出展サイズ、展示様式は自由となっています。愛用にカメラで撮影した作品で参加しましょう。

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SEIKO CROWN J15003E のレストア

2012年02月16日 19時58分28秒 | インポート

Dscf095233_2 PEN-FTが続きましたので、今日はカメラはお休みさせて頂いて、腕時計のレストアを致しました。セイコー・クラウンは1960年の発売で、このモデルでスイスの時計に追いついたという優秀な機械です。この個体は21石のJ15003Eという後期の生産機だと思います。じつは、SS側(ステンレス)用のブラック文字盤を所有しており、SSのジャンクを入手してブラック文字盤のSS側を作ろうとしてオークションで入手したのですが、届いてみたら、あらら、金めっき側でしたよ。画像がハイキーで金色が飛んでおり、材質の説明も無かったための失敗です。しかし、劣化したケースにしては、機械は未分解と思われて、文字盤も非常に状態が良く、インデックスも太くてスペシャルのようです。インデックスが18kや14kなどの違いで、SD文字盤やAD文字盤などがあるようですが、6時の位置にマークがあるのですが、どちらのマークでもないようです。しかし、スペシャルには違いがないようですので、この個体を生かすことにしました。たまたま、デッドストック新品の同じ規格の金めっきケースを所有していたからです。左側がくたびれたオリジナルで、右がデッドストックの新品です。ただし、デッドストックにはセイコー純正の鶴マークがありません。しかし、その他は全く同じに見えますので、セイコーを通らず、流通をした補修用のケースなのかも知れません。この辺りのお話しは、カメラ以上にミステリーで、簡単にパーツを替えられることから、どれがオリジナルなのかは、研究家でも判別は至難のようです。私は、販売が目的ではなく、自分使い用として気持ちよく使いたいだけですので、時計に就いてはあまりオリジナルには拘りません。右下の巻き芯が欠品でしたが、やっと入手できましたので、組み立てることにします。機械は、すでにオーバーホールが済んで、エージングテスト中でした。全く問題ない機械です。

Dscf095311 現存の金めっきケースは殆どが程度が悪いです。材質は真鍮のため、金めっきが摩滅したあとは汗でどんどん腐食が進行するからです。当時は、実用品ですから、真夏でも汗がついたままで毎日使い続けられたですからね。で、オーバーホール済みの機械に文字盤をセットしてから、新しいケースと合体させます。当初は、上側の巻き芯を使う予定でしたが、ネジ部が完全に錆び付いており、リューズが外れないため、新品の巻き芯を調達しました。

Dscf095455巻き芯はこのケースには、僅かに長いため、ダイヤモンドヤスリで慎重に寸法を詰めて行きます。 インデックスが太めなので良い感じですね。針も12時で揃うように取り付けています。風防を取り付ける前に、セイコーのハイポンタックにて、汚れや埃をくっつけてきれいにします。決して、擦ってはいけません。

Dscf095553風防が取り付いたら裏返し。キャリバー№560は機械の受けに殆どキズや腐食のない奇跡的な個体。防水ケースでないので、殆どの個体は水分が混入して腐食をしています。マーベル、クラウン、グランドセイコーに通じる優秀な機械。大きなてん輪が特徴です。

Dscf095677 左が完成したJ15003Eでケースは初期型よりかなり大型化しており、約36mmあります。右は一つ前のJ15002Eでケースサイズは約35mmです。微妙な差ですが、文字盤は共用できません。外観は殆ど新品となりました。で、使うかとなると、裏蓋には保護のニスも塗ったままの新品ですから、もったいないですね。こうして使わないコレクションが増えて行くのでした。

Penscketch8_m

今年も恒例となりましたペンスケッチ展8が開催されます。日程は渋谷会場は6月5日~10日まで。兵庫県の三宮会場は7月20~22日となっています。「誰でも何の資格なくお気軽に参加できるネット公募のフォトイベント」です。オリンパスペンは元より、昭和30~50年代に生産された国産のハーフ判で撮ったフォト作品で、撮影テーマ、出展サイズ、展示様式は自由となっています。愛用にカメラで撮影した作品で参加しましょう。

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困ったPEN-FTの三兄弟

2012年02月12日 17時08分37秒 | インポート

Dscf095055 体調の問題で、「今なに」はお休みを頂いておりますが、この三兄弟はUPしないと分からない(本人が)なぁ、という感じですので簡単にUPしますね。これらはペンスケ展ご常連のmuraakiさんから来ているものですが、初心者ファンの方に譲ろうと買い集めて来たとのことです。本来は私がやらなければいけないのですがご苦労様です。しかし、3台共、問題があったのです。後ろの34万代の2台は、外観は良好ですが、1台はセルフタイマーボタンが右ネジを無理にねじ込んで、頭は接着。各部のネジが規格外。裏蓋ロックの組立間違い。最後は露出計が大改造で処置なし。というぐあい。2台目はミラーユニットに問題があって、作動は問題ないが、このユニットで組むと、巻上げフィーリングが最悪となる。露出計(Cds)の感度不良。などです。手前の3台目。これはまともでいてね。トップカバーのシリアル№は#1923XXと中期頃の個体と思いきや、本体の特徴から、27万代付近の個体と思われます。やれやれお前もか。付け替えで、本体の方が新しいのは珍しいですけどね。露出計は基板別体タイプに交換をされています。

Dscf094469 右ネジを強引にねじ込んであります。頭部分は別に旋盤で挽いて(鉄です)接着と苦労していますね。うちのパーツを使ってくれれば問題は無いのに・・・

Dscf094512 裏蓋のラッチが非常に浅くしか掛からない。この場合は、組間違いをしているのです。ピンセットのラッチが、巻き戻し軸受けに嵌っていますが、スリットの上になっています。これは間違いで、下が正解です。これではストロークが足りなくなるのです。どちらでも組めてしまうので、知識の無い方の間違いやすいところです。

Dscf094754 ピンセット先のビスが規格外。リード線もやり直してあります。

Dscf094658 このビスも違いますよ。ここは皿ネジが正解ですが、なべネジになっています。このFTで使っているところは、ファインダーハウジングのところですね。

Dscf094887 最後はここです。ハーフミラーは汎用のミラーをカットして使用してあります。Cdsの基板がすごいことに・・ピンクのリード線は故意にカットされています。配線や抵抗をすべて無視して、たぶん、見かけだけ針が振れるようにしてあるのでしょう。私にも分かりません。今回は、開けて見なければ分からない欠点ばかりで、30万代という安心感も手伝って、ベテランファンでも見抜けなかった失敗というところでしょう。たぶん、私も外観からでは見抜けません。さて、困ったね。

Dscf095064 オーナーさんからお電話を頂きました。PEN新人の方が2名お待ちとのことで、何とか2台仕上げなければなりません。この#1923XXが一番期待していなかった個体ですが、結果的に非常に良い個体でした。シャッター他、オーバーホールにより、巻上げは非常にスムーズです。また、露出計は基板別体タイプに交換されていますので、当分露出計も安心でしょう。問題は、トップカバーが付け替えだということ。実用派の方でしたら問題ではないかも知れませんが・・この個体の本体の推定シリアルは27万代付近と思いますので1969-3月頃の製造でしょう。しかし、この露出メーターの製造日付は1975-6-12となっています。製造から約6年後に露出計不良となり、SSにて交換をされたのでしょう。因みに、米谷さんは「製造ラインは1本で、このような露出計ユニットは使っていない」とおっしゃっていました。シャミセンをおっしゃったか、PENから手を離れた後で、補修用に開発されたものなのかも知れません。画像は、基板の取付け位置で、正式には、ファインダーハウジングにタップを立ててビス留め(基板に取り付け穴あり)ですが、殆どの個体は接着で済ましています。ハーフミラーは後期のタイプで、比較的新しいことから、多少曇りはありますが、初心者さん用として、なるべく安価にご提供するため、再使用としています。

Dscf095198 露出メーターですが、新しい基板別体タイプでしたので、安心していたのが失敗でした。回路を完成させて電池を入れても、メーターは全く動かない。この露出計ユニットでは、Cdsが劣化して不良となっているケースはあまりありません。メーターをチェックしていくと・・・あっ、いじられている。コイルを支持しているピボットビスのネジロックが破られています。正常に針が振れる位置を見つけ出して固定します。ピボット部の磨耗やガタは殆どありませんので、わからない人はいじらないで欲しいです。

Dscf095243 え~と、これは #3426XXの別の個体ですが、お二人FTをお待ちだそうで、どうしてもあと1台作らなければなりません。フィーリング不調のミラーユニットは別のユニットに交換してあります。あとは露出計です。そこで、私の在庫部品から部品組みをして1ユニット完成させました。元気良く作動しています。後ろは、別の34万代にセットされていた(↑の方)ユニットで、不調のCdsを汎用のものをパラレルに接続してハーフミラーの裏に貼ってあります。まぁ、このような修復の方法もあろうかと思いますが、私はオリジナルで治したいのです。そもそも、34万代のCdsが本当に不良であったかも疑わしいところです。

Dscf095337 FT2台は何とか仕上げました。付属の38mm f1.8ですが、40万代の最後期頃の製造。よって、変更後の設計ですから、分解しにくいタイプです。絞り羽根部を取り出します。羽根とクロメートのプレートも油漬けです。すべて洗浄して組立ます。

すみません。完成の画像を撮り忘れました。新人の方の手元に渡って、活躍してくれることを願っております。

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