今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

過去に分解PEN-EEの巻

2018年11月30日 20時19分50秒 | ブログ

今日は外出から戻って作業に掛かりました。PEN-EEはあまり来てくれませんけど、#9612XXと後期の個体です。事前の検査では性能に問題はないと思います。

 

過去に分解を受けています。駒数板の位置が違います。カニ目ネジが痛んでいますね。

 

メーター感度は正確ですが、前回の分解が汚いですね。最初から組み立てていきます。

 

ボディーは洗浄します。

 

 

では、古いモルトを除去してから本体を洗浄して組み立てます。

 

 

この頃になると、駒数ギヤが樹脂製となりますので、分解をするとネジ山が壊れているものが多いのでリスクがあります。

 

う~ん、問題ないユニットと思いましたが絞り羽根がダメですね。羽根に錆びがあります。

 

裏側か見たところ。裏も錆びているのかぁ・・

 

 

開放にすると戻っと来ませんね。修正洗浄によって正常に作動するようにしました。本当は交換した方が良いけどね。

 

セレンとメーター感度は良好でした。本体のモルトを貼っていきます。

 

 

ファインダーの清掃。

 

 

駒数ガラスに曇りがあるので研磨してからトップカバーを閉めます。

 

 

駒数ネジの傷は、どうしようか考えましたが、本体がきれいなので新品と交換することにしました。

 

 一緒に来たPEN-S #4150XX です。過去に修理を受けていました。それによってシャッターは少し重そうですが、まずまず動いています。気になるのはヘリコイドグリスの抜けですね。そんなに問題はないと思いますので簡単にUP・・

 

シャッターの地板を点検すると、ストロボ接点の留めネジが大きく緩んでいます。それによって作動がスムーズで無くシャツター羽根のコントロールリングの動きにも影響があったようです。重いと感じた一因でしょう。

 

スローガバナーの動きも良くありませんでした。シャッターは結構なショット数ですが、かと言って摩耗は少ないです。

 

本体側を組み立ててシャッターを搭載します。

 

 

ファインダーは過去に対物レンズを分解清掃されていますが、ゴム系接着剤でゴテゴテに接着されていました。古い接着剤をすべて清掃して組み立ててあります。

 

圧板が荒れていたので研磨修正、モルトを貼って裏蓋完成。スプロケットはすでに樹脂製となっています。

 

ファインダーのリンクル塗装もきれいに残って良い個体ですね。

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Agfa Optima Refex のメンテナンスの巻

2018年11月26日 21時52分23秒 | ブログ

しばらく前に大阪のご常連さんからカメラが来ていました。うぁ、エフトイズ食玩の九七式司令部偵察機が入っていましたよ。しかも、朝日新聞社に払い下げられた神風号も一緒。新金型だそうですが、銀色塗色が少し光り過ぎな印象で、旧製品の方が自然だったかも知れません。戦略偵察に専用の機体を運用した国は日本が最初で、日中戦争では中国奥地の重慶偵察などに大活躍をしました。神風号は訪欧親善飛行のために、私の地元立川飛行場より飛び立ってロンドンまで飛行しました。

https://www.youtube.com/watch?v=N77nEakPkVg

ペンタプリズムを搭載したアイレベル二眼レフというのかな。プリズムは黒塗装が施されていませんね。分離して清掃します。

 

個体は2台来ていて、どちらも絞り羽根とシャッター羽根が動きませんでした。洗浄をして作動を始めたところ。

 

撮影レンズの分離ですが、こちらの個体はレンズホルダーにスリ割りがある。

 

 

こちらの個体にはスリ割りは無い。どうも、このカメラは羽根の張り付きが多発するようで、簡単にレンズを外せるようにヤスリでスリ割り加工をしたのではないでしょうか。スリ割りの幅が不自然に広い。

 

片方の絞り羽根には錆が発生していて、これが固着の原因のようです。錆を取り除きます。

 

コンデンサには斜めのスプリットが付いていて、老眼には便利なのですが、斜めって意外に見にくい。

 

フルサイズデジタル一眼のような巨大なボディー。ヘリコイドグリスが抜け掛かっていましたので入れ替えてあります。このカメラを向けられたら威圧感ありありですね。

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36万台のPEN-Sはねの巻

2018年11月25日 21時08分03秒 | ブログ

PEN-S #3609XXですけどね。長く生産されたので30万台と言っても1963年7月製とかなり古いんですよね。それによって、いろいろな問題が起きています。オーナーさんからは、「ファインダーの曇り」とのことですが、分解のところ、2枚の対物レンズがレンズ自体に曇りが出ているのでした。これは研磨をすることにします。

珍しくクラックが入っていない駒数ガラスですが、洗浄の時に接着が外れました。再接着をしておきます。

 

シャッターは、過去に分解を受けているのですが、動きが緩慢で低速は止まりますね。摩耗は少ない方です。前期生産のシャッターは、まず正常には動きません。

 

シャッターは完成して、洗浄した本体にスプロケット軸、スプール軸を組みました。これからシャッターを組み込みます。

 

各レンズのカビが目立ちます。

 

 

前玉の傷が多いです。

 

 

ファインダーのリンクル塗装が剥がれていますね。タッチアップをしておきます。

 

 

これで完成。最初の画像と違いが分かるかな?

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TAVANNES 懐中時計を復活させるの巻

2018年11月22日 20時57分31秒 | ブログ

先日、お父様の形見のオメガ・シーマスター・デビルを復活させたバイクのお友達から、今度は祖父様の形見が届きましたよ。不動ですが何とか復活せよとのことです。懐中時計は知識がありませんが、TAVANNES(タバン)は戦前にウォルサムなどと一緒に輸入されたスイスの時計のようです。ケースは金無垢とかではなく、金メッキの普及品ですが、しっかりとした作りです。風防の内側に水滴が付いているように見えましたが、これは内部の油が揮発してガラス面に付いたものでした。

とにかく、古い油で各部が固着しているような状態で、超音波洗浄を数度繰り返して部品を点検していくと・・あら~、丸穴車(右側)の歯が対角で2枚欠損しています。たぶん、角穴車(左)の歯車と受けの間に固着したオイルがあって、回転が重い状態で無理にリューズを巻いて歯に負荷を掛けたのでしょう。このサイズですと歯を植える入れ歯の技術は私にはありませんので、交換用に部品を探すことにします。

幸い、2枚続けて折れていませんので、負荷を掛けなければ巻上げは出来ますので、O/Hはして行きます。懐中時計は腕時計の基本形が大きいだけですので、組立自体は特に問題はありません。目に優しいので助かります。

 

 

サイズが大きいのは楽なのですが、地板に対して受けの嵌合(ピン)が非常に固く、ホゾがホゾ穴に入っているのかが分かり難いので慎重に組みます。

 

 

チラネジ付のテンプはブレゲひげです。これで、恐らく50年ぶりぐらいに動き出すはずです。

 

日ノ裏側はシンプルで、こういうの好き。古い割には摩耗は小鉄車の軸だけで、他の部分は良好です。あまり使い込まれてはおらず、O/Hも1~2回というところでしょう。

 

最初はぐずり気味でしたが、アンクルに注油をしましたら元気に目覚めました。浦島太郎だね。文字盤はホーローで耐久性は後年の作りより丈夫ですが、どうしてもクラックが入りますね。

 

問題は針です。ブレゲ針でもないコブラ針というのかな? 特に長針が激しく錆びていてすでに先端の尖がりが無くなっています。研磨をすると無くなっちゃうかも知れません。

 

研磨をしてブルースチールをやり直しました。お陰で手をやけどしました。この針は中央が極端に細く、先端が太くなっているので、熱の伝導が一定ではないのでブルーの濃度を揃えるのが難しいですね。長針軸部のブルーを磨いてあるのが芸が細かいところ。まぁ、元の状態よりは良いでしょう。

風防に蓋のあるハンターケースはカッコ良いですね。ガラス風防とベゼルの接合面が腐食していて接着で処理するしかないのに、そのベゼルが歪んでいるという困難な状況を何とか克服してケーシング出来ました。しかし、機械留めネジの片方が、太い規格外のネジを強引に締め込んでありました。ワンオーナーなので、やった時計屋さんは分かっています。金メッキを磨いていきます。

 内蓋に映った機械が豪華に見えますね。

 

 

何か真鍮色に見えますが、もっと品の良いゴールド色をしていますよ。14Kかなぁ?、リューズを押すと風防蓋のロックが外れて開きます。

 

う~ん、仕上がって見ると、ホーロー文字盤の白とブルースチール針のコントラストがきれいで、ケースの金が豪華さを更に高めています。当時としては高価な時計だったでしょうね。まずは復活おめでとうございます。丸穴車は部品が入手出来ましたら交換することにします。最近は懐中時計が静かなブームのようで、ムーブがクォーツのものなどは安価に出回っているので、実用としては良いと思いますが、雰囲気を楽しみたければ、やはり当時の機械式だと思いますね。私も欲しくなりました。

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CONDOR Ⅰのメンテナンスの巻

2018年11月20日 20時57分37秒 | ブログ

 

え~とね。裏で宿題と時計をやっていまして、UP予定は無かったのですけど間が開いてしまうので途中から始めますよ。このカメラ(と言っても見えない)はCONDOR Ⅰと言うのかな?イタリアのカメラですね。 整備の宿題でやってます。製造はOFFICINE GALILEOでシャッターはAPRON RAPIDと書かれています。しかし、地板のしっかりとしたガバナーですね。アンクルも肉厚です。

1つの歯車が激しく腐食していましたので腐食を落として超音波洗浄をします。

 

 

シャッター本体に組み込みます。セルフタイマーも同様に洗浄して、レンズも清掃していきます。

 

完全に調子を取り戻しました。

 

 

ファインダーの距離計はプリズムが使われていて立派な作りです。清掃をして行きます。

 

指のダイヤルは視度補正のダイヤル。+3~-3に対応ですが、私は一杯一杯でした。トホホ。

 

シボ革の外周が剥がれていますので補修しておきます。

 

 

ファインダーはスッキリきれいに見えます。裏蓋のモルトを交換します。

 

 

沈胴式のレンズはEliog 5cm f2.8 となっています。

 

 

一見、エルマー付きのバルナックみたいですけどレンズシャッター機です。底部から安定脚が出て来て親切な設計ですね。簡単にUPしました。

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