今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

PEN-W三兄弟の巻

2017年06月29日 20時44分08秒 | ブログ

持ってる方は持っているんですねぇ。私だって2台ぐらいあるかなぁ? あとはお譲りしてしまいました。3台共オーバーホールですが、どの個体もあまり良いコンディションではありませんね。適当な修理を受けているようです・・

 

どれからでも同じですけど、#1227XXから始めます。トップカバー横のネジは+ネジになっていて、明らかに後に交換されたものです。

 

ファインダーですが、殆どの個体はこのような状態です。ちゃんと貼れないものでしょうかね?

 

ファインダーブロックに付着している古い接着剤を清掃して、対物レンズなども分離清掃をしておきます。対物レンズは不用意に清掃されているため、四隅の墨塗りが剥がれていましたので、新たに墨塗りをしておきます。初期のPENなどでは墨塗をされていないモデルも存在しますが、PEN-Wの頃はすべて墨塗りをされていますので正確に再現をしておきます。

シャッターユニットは分解歴がありますね。コパルでの製造捺印の右部分が消されていて判読が出来ません。本体側にも完成日が記入されているのですが、この個体はそちらも消されています。これはカメラの戸籍ですので、消さないように注意をしたいものです。

因みに私のデータベースから近いシリアルの製造を調べてみると・・     

【シリアル№】 【シャッター捺印】  【本体完成】

  114470                39.12 (昭和)              5-1(1965-1)

    115245                40.1                          5-2

    118404                40.3                          5-3

    118983                40.4                          5-4

    120343                40.5                          5-5

    122072                40.5                          5-3

    123048                40-5                          4-9

    125073                39-7                          4-8

    126523                39.12                        5-3

というような感じで、シリアル№と製造日が必ず整数順に並んでいるわけではありませんので、正確な製造年月の推定は困難ですが、捺印で残された部分からの推定で「40.4」かも知れませんね。本体完成よりシャッター完成が後の個体は、後天的にユニットの入れ替えがなされた可能性があります。(データはすべて私が現認したもののみ)

シャッターはアルミハウジングの腐食が進んでいて保存は良くない個体。モリブデングリスを塗りたくってありますね。

 

保存の悪い個体はハウジング内側のシャッター羽根と摺動するプレートが腐食していることが多いです。これはシャッタースピードに影響があるので研磨しておきます。

 

 こういう感じ。

 

 

  すべて超音波洗浄をして組み立てています。

 

 

 ハウジングもピカピカ。この調子で3台続けると、ずぅ~っと下までスクロールしなければならなくなりますので、1台ずつ分けますかね。

   

毎度同じなんだけどさ。書かない訳にもいきませんので・・汚れと腐食が進んでいるカム板などリング類を研磨してピカピカにしてあります。

 

豆レンズ。かなり黄ばんでいますね。すべて清掃をして組み立てます。

 

 

本体側は完成。予め清掃接着をしておいたファインダーをトップカバーに取り付けます。

 

カバーもきれいに貼ってあります。

 

 

トップカバーを取り付けてみると、巻き戻し側に寄り過ぎます。これはPEN-S/Wの持病で、殆どの個体には調整ワッシャーが接着されていますが、この個体は・・あっ、接着が剥がれてワッシャーはどこかへ無くして来ています。過去にプロのO/Hを受けている個体ですが、観察すると駒数ガラスも交換されていますね。純正ですから、まだ部品が出た頃の修理でしょう。作業はお上手というわけではないですね。

で、サイドのネジはPEN-W純正品に交換しておきます。とは言っても、塗装は無くなっていますけどね。塗るの面倒なので・・

 

この個体が3台のうちで一番きれいな方かなぁ? 調子は完璧になっています。あとの2台は同じ作業ですので、ネタがあれば部分的にUPすることにします。

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PEN-FTとレンズセットの巻

2017年06月21日 12時31分14秒 | ブログ

すみません、ちょっとサボりました。家事の仕事があって、そちらに時間を取られていました。もう少し続きますのでUPが緩慢になるかもしれません。

で、本屋さんをチェックしていましたら、「国産名車コレクション」からホンダS600クーペが発売になっていました。価格は創刊号よりかなり高いのですが、買わない訳にはいきませんので連れて帰りましたよ。私がS800を手に入れた30年以上前もクーペは少数派で探すのが困難でしたし、若い頃はオープンに憧れるわけですよ。今となってはS800クーペにしておけば買物車として活躍していたのになぁとも思います。モデルの出来は例によってケースを開けませんので分かりませんが、独特なクーペの雰囲気は出ているかなぁという感じです。ボンネット先端のHのバッチはスライドマークで再現されていますが、エッチングにして欲しかった。本物のHバッチ(白ボディー用)は当時ホンダから部品で2~3個取ってあるはずなのですが、見つからないので代わりにフェンダーのHondaバッチと一緒に撮影しました。

で、少し前に800円で入手をした携帯が不調なので、今度はらくらくホン7を2.000円で入手しました。今日は雨が降っていますが、ひつじがカエルの被り物をしています。予報が雨だとカエルさんになるのかなぁ・・

 

では本題です。PEN-FT #2999XXですが、オーバーホールで来ています。分解歴は有って、何やら露出メーターのカバーにリード線が半田付けされています。しかし、先端がどこにも繋がっていないので実害はないのですが、アースでも取ろうとしたのかしら??

29万台としてはハーフミラーは劣化しています。殆どメッキが薄くなっていますね。これは交換します。

 

 本体を洗浄後にモルト貼り、スプロケット、スプール軸を組み立てて行きます。アイドラギヤ軸にはグリスを塗布してから組み立てます。

 

 シャッターは多少のチャージギヤ軸の摩耗が認められる程度で、その他の状態は非常に良いユニットです。事前のチェックで、シャッターのテンションは強めと判断していましたが、シャッターバネの掛かり位置は案の定、一番強いところになっていました。ただし、これば工場でのセッティングとも考えられますので、そのままとします。(通常は2か3穴が多い)

シャッター幕を取付けてユニット完成。

 

 

 リターンミラーユニットは改良タイプです。作動には問題はなくとも、ユニットの個体差によって巻き上げのフィーリングが大きく変わるのがこのユニットで、泣きが入るユニットもありますね。ピンセット先のコロがカムに乗って回転するので、非常に大きな負荷が掛かりますが、殆どの個体は無給油状態で動いています。

 組み上げてみて。フィーリングは悪くはありません。

 

 

このハウジングは留めネジが1本無かったり、接眼プリズムを留めるネジの雌ねじと雄ねじの山が痩せているようで留まりませんね。ねじを交換して何とか留めました。

 

露出メーターの指針をTTL窓に導く光路です。保存の悪い個体はピンセット先のミラーが腐食していることが多いですが、この個体のミラーはきれいです。まぁ、製造時期が後半ですので・・

 

しかし、29万台としてはハーフミラーの劣化は進んでいる方ですね。

 

 

レンズマウントのタイマーユニットを留めるネジの部分が故意に削られています。不注意にドライバーを回転するとマウントの材質は柔らかい真鍮なので、簡単に削れてしまいますが、それとも違います。「この方が以後の分解が楽だ」とのことかと思いますが、私はあまり賛成しませんね。もう少し後の個体は、ネジの位置をマウントから僅かに遠ざけて、ドライバーが干渉しないようにしてありますが・・分解時はマウントを外せということだったのでしょうね。しかし、大事な基準面ですので、出来れば外したくはないのも本音です。調整用のワッシャーが入っている個体も多いですからね。外したら「あれれ、どこに入っていたんだっけ?」ということにもなりかねません。大体、左側の上下どちらかですけど・・

で、合わないビットのドライバーで、力一杯に締め込んでいる場合、スリ割りが笑ってしまう場合が多いですが、この個体もそうですね。定盤の上で叩いて修正をしておきます。

 

最後にフィルムカウンターを組み込みます。

 

 

組立完成。ピント調整、露出計調整などをして行きます。

 

 

 では、レンズに掛かります。PEN用ズイコーレンズは年々コンディションが悪くなっていますのでメンテナンスが難しくなって行きます。標準の38mmですが、設計変更をされた後の個体なので、ヘリコイドのガタはそれほどひどくはありませんが、やはりありますね。レンズの汚れ多いです。

 殆どのレンズが過去に分解を受けていますが、マウントのネジにネジロックをしていない個体は、ご覧のようにネジが緩んでマウント面から飛び出してきます。これでカメラに装着していたのかな?

 

 38mmのカビは経験的に落ちにくくてコーティングを侵してしまうものが多いですね。

 

2つ目は貴重な42mmです。こちらも分解歴はありますが、レンズの状態は良い方でしょう。但し、前群後ろの曇りやすいレンズは、僅かに曇り始めています。清掃では取れません。で、この個体の問題は、1.2解放時に絞り羽根が絞られてしまうということ。しかし、汚い後ろ側だな。

42mmの場合は絞り機構が大径のため、ヘリコイドグリスが流化してマウントの絞板に付着すると絞りが極端に重くなって絞りが正確に制御出来なくなったり、最悪はフリーズしてしまいます。

 

しかし、この個体はそれだけではないようですよ。

 

 

たぶん放置の時期が長かったのでしょう。9時位置の絞り羽根が腐食して、塗装が劣化し一部が剥離しています。これはかなりの抵抗になります。(復帰不良)その他、リンケージ部分にも腐食があってスムーズに作動していないことが原因です。

絞り羽根、リンケージの洗浄とエージング、潤滑をして作動をスムーズにして行きます。かなり良くなりましたね。

 

観察すると、過去に前面のネームリング(レンズ押え)を緩めた形跡があります。大口径レンズの裏側にカビ汚れがあります。

 

前群の後ろのレンズが問題なのです。この個体は良好な方ですが、ガラス自体が曇ってしまう持病があります。よって、再研磨を受けている個体も多いですが、その場合はレンズ外周の墨塗りがやり直されています。

 

3つ目は100mmです。これも放置をしておくとカビだらけになるレンズです。

 

 

すべて分解をして清掃をします。

 

 

距離環とドッキングします。

 

 

残念ながら、バルサム張り合わせレンズに腐食が出始めています。外観の清掃。特に距離環のローレット溝の手油は楊枝で完全にきれいにしておきます。不潔なので・・

 

レンズは意外に工数が掛かりますので3本なので時間が掛かってしまいました。しかし、FT #2999XX(1969年8月製)の本体は素性が良く快調で、レンズもまぁまぁのコンディションになったと思います。

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オリンパス・M-1 のメンテナンスの巻

2017年06月15日 09時57分13秒 | ブログ

M-1ですね。確かに米谷さんらしい独創的な設計のカメラでお好きな方も多いのでしょうね。正直なところ、私は、一眼レフは別メーカーで組立製造を習得したので流儀が違い過ぎてしっくりこない部分もあるんですね。過去にメンテナンスを受けている個体で、作動については特に問題はありませんので軽くメンテナンスです。

オーナーさんはお気づきになっていらっしゃらない? ご様子でしたが、50mmレンズには盛大なカビ汚れがあります。絞りの前後を中心に、各面に発生しています。

 

いつも疑問に思うのですが、巻上げレバーの化粧プレートです。基本的に分解を想定しない設計で、SSで分解の時はプレートは新品に交換することが前提なのでしょう。プレートのカニ目穴の方が、下のナットの穴よりも小さいため、無理に工具を掛けるとプレートを痛めてしまうわけで、同じ穴径にしておけば問題は無いのでは?とか思っちゃいますね。すでに過去の無理な分離でプレートが痛んでいます。

ゴム系接着剤で貼られているので、溶剤を滴下してからガムテープでひっぱがすのが一番安全な方法ですけど(私的には)ナットの下の黒い樹脂カバーが溶剤で溶けるという、また厄介なことになっていて、カニ目穴に溶剤が入らないようにする必要があります。イライラ・・

ペンタプリズムはたぶん交換されているのでしょうね。まったくきれいです。

 

 

しかし、接眼レンズの内側にカビ痕なのか焼き付いていて清掃では取れません。

 

分離しました。バルサムが黄変しています。

 

 

カビ痕を研磨しました。周辺を墨塗りしたところ。

 

 

初期のペンタ押えはエキスパンダーのような構造でバネが強すぎる感じがします。キヤノンは押えプレートにモルトを挟んでネジで留めるだけです。電源スイッチの設計も改良されていきますね。巻上フィーリングはあまり良くないカメラですが、特にモリブデングリスがカラカラ状態ですので清掃と新しいグリスを塗布しておきます。

いつも問題のズイコーレンズです。

 

 

ズイコーレンズは組立時に緩み止めのネジロックが強く、分解不能のものが多いので厄介なのですが、この個体も前後とも親の仇のように緩みませんね。溶剤を滴下してから、かなり大きなトルクを掛けてもビクともしません。どちらか片方が緩めば清掃は出来るのに、真面目な工員さんが組んだのでしょうね。工場の専用工具なら開くよ。ということなのでしょうけど、専用工具を備えているところばかりではありませんね。

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オリンパス・ワイド リベンジの巻

2017年06月13日 13時41分29秒 | ブログ

先日、残念なオリンパス・ワイドⅡをやりましたけど、オーナーさんからリベンジの個体が送られて来ましたよ。「W」マーク付きですから後期型ですかね。発売価格も廉価になっているようです。基本的には年代を考慮すると素晴らしいコンディションだと思います。作動チェックではシャッターも快調です。たぶんメンテナンスを受けていると思います。不具合としてはBバルブが利かない事。ファインダーの汚れなどですかね・・

廉価版といっても基本的な構造は前回のワイドⅡと変わらないのですけど、スプール軸受けと巻き戻しボタン機構の部品工作は簡略化されているようです。前回の画像と比較してください。

 

前回の個体との比較では、巻上げフィーリングも問題ないのですが、観察するとメンテナンス時に水油が着けられていますので、すべて分解洗浄のうえ、数種類のグリスを塗布して組み立てます。

 

新しい?だけに摩耗は少ないようですね。3本のネジを取るとスプール軸と真鍮製の地板が取り外せます。

 

このようにね。洗浄します。残っているギヤは巻き止め(巻上表示)でバネで本体と接続されています。ここの動きが悪いとB(バルブ)が止まりません。

 

シャッターはメンテナンスを受けていますので、点検、注油に留めて置きます。

 

豆レンズの状態は素晴らしい。軽く拭き上げです。レンズと絞りの眺めは、PEN-Wに似ている気がします。

 

シボ革接着時のゴム糊が付着している前面カバーを清掃してターミナルの半田付けをします。

 

ファインダーもPEN-S(W)のお兄さんのようなサイズで、まったく劣化がありません。清掃をしたところ。

 

PEN-S(W)では紙製のカバーを接着ですが、こちらは金属性のカバーで、ツメのバネ性で保持するため接着はされていません。これなら何度も清掃をしてもカバーが劣化することもありません。

 

記憶では前回の個体では、この部品はねじ込み式で、対角に工具穴があったと思いますが、この個体では、ネジ式ではなく、ただ挿入するだけになっています。加工と組立工数の簡略化でしょうか?

 

底部のカバーですが、なにやら底上げ目的のような金属片が接着されていたようで、片方はすでに脱落しています。工場での工作なのか? 後天的な追加なのかは分かりません。無くても裏蓋と干渉することもありません。

 

元々レバー巻上げで無かったものをデザインをそのままに改良したのですね。巻き戻しダイヤルのレバー操作は意外に使い易そうです。

 

ヘリコイドグリスは入れ替えられていましたが、粘度が硬く回転が重いものでしたので、軽めのグリスに入れ替えてあります。二代目は素晴らしいコンディションの個体でしたね。写りも定評があるようです。

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SEIKOサードダイバーのその後の巻

2017年06月10日 10時45分19秒 | ブログ

前回レストアしましたセイコー・63サードダイバーですが、ヤフオクで入手をした社外の風防ガラスが合わずに古い純正ガラスを付けておいたのでした。そこに、出品業者様から代替品が送られて来ましたよ。

 

左はイーベイで入手していた社外ガラスで寸法は外径31.98mm 厚さ2.46mmですが、今回の代替品は外径31.96mm厚さ2.50mmでした。寸法や台形面取りに問題は無いように見えます。また、代替品の方が面取り部分が磨き加工をされています。

これはオリジナルで付いていた純正ガラス(たぶん)です。寸法は外径31.98 厚みは研磨してあるにも拘わらず2.55mmと最も厚いです。

 

折角なので代替品で組んでみようと考えましたが、ちょっと待て! ガラスの裏面がクリアーではなく、レンズクリーナーやアルコールで拭いても曇りが取れず、🍡かリボンのような模様(その部分のみクリアー)が現れます。う~ん、これがリプロパーツの限界なのでしょうか? 実用上は殆ど問題はありませんが、気分の問題ですよね。さてどうしたものか少し検討ですね。

しかし、このヤフオクに出品の業者様(cb****50)は非常に誠実な方で、今回の不適合の原因を、海外の仕入れ先まで出向いて調べてくださいました。現在、ダイバー系以外にも、従来国内に入っていなかったスピードダイマー系のリプロパーツも出品供給してくれています。ダイバー、スピードダイマーのレストアをお考えの方は、数量限定ですから早めに入手をされておくことをお勧めします。

検討をしましたが、今回はイーベイ製を使うことにしました。画像は交換をしたところ。やはり傷の無いガラスは見栄えが良いですね。

 

 

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