
PENに戻ります。このFTは#3681XXと良い頃の個体なんですけどね。オーナーさんは中古屋さんで購入して使用されていないとのことですが、あんまり良くないですよ。まず、外観もかなり疲労をしていて水気も入った感じ。巻き上げもなんだかなぁ。一番問題は1/4以下がコントロールされていないということ。購入時には最低1秒が正確に切れるかテストしてくださいよ。

ボトムプレートの内側もかなりゴミやホコリが堆積しています。ユニットにもゴミが付いていますね。未整備で販売したということですか・・

本体部分はいつものように洗浄組み立てをしておきます。

1/4秒以下がコントロールされないのは、スローガバナーの不良かコントロールレバー関係の不良が考えられましたが、この個体の場合は左側のスローガバナーユニットが良くないです。

中軸下の薄い歯車が、左の歯車をノコギリのように削ってしまうのがこのユニットの欠点です。交換が望ましいですが、その他の部分も分の入れ替えで様子を見ます。

シャッターユニットは洗浄組立を完了しました。右のブレーキナットも緩み気味でした。

このユニットは過去にシャッター幕を分離しての分解を受けていました。普通はそこまでするのは珍しいですけどね。何を直したのかは不明。

36万代の後期のハーフミラーとしては腐食が進んでいます。あまり良い環境で使われていなかったという証拠です。また、右のファインダーの上部にタップ加工が施されていてネジが入っていますね。これは新しい発見です。この個体では、露出計ユニットは従来型が使用されているので必要がなくブランクとなっていますが、最後期の個体に採用された基板別体タイプの露出計ユニットの基板を取り付けるためのネジです。

使用された環境が厳しかったと見えて、カウンターギヤもかなり汚れてゴミも混入していました。すべて洗浄してから組みます。

一時はどうなるかと思った個体ですが、仕上げてみるとシャッターも良好で巻き上げもスムーズで一安心です。

湿気の多い環境で使われた個体の証拠。裏蓋にポツポツとでっぱりがあります。これは圧板などを留めるリベットの頭が錆びて膨張したもの。

本体は完成で、付属の38mmパンケーキですけど、いつも書いていますようにヘリコイドグリスが完全に抜けてしまって、スムーズに回転していません。ここまでにならないうちにメンテナンスをしなければなりません。

すべて分解洗浄をします。幸いレンズの状態は良好です。ヘリコイドは洗浄のうえ、新しいグリスの交換です。

観察すると、髪の毛を噛み込んでいますね。

レンズを組み立てて、グリスを塗布しながら絞りリングを取り付けます。

完成して本体に装着。ヘリコイドもスムーズになりました。本体も元のコンディションは悪い方でしたが、まぁ、結果オーライということで・・後はFがあるんです。

お伴のPEN-Fは#1177XXと、かなり初期型ですね。過去に有名修理屋さんでオーバーホールを受けているとのことですが・・当方に来た時には巻き上げがされている状態で1回シャッターが切れた後フリーズ状態となりました。ボトムカバーを開けて見ると、巻上げが完了しているのに、ピンセット先の巻き上げが完了しないとレリーズボタンを押し込めなくする止メレバーが戻っていません。強制解除で正常に作動を始めましたが・・それより、右の"M"スプリングのバネカケネジが正規のネジではありません。この個体の巻き上げが異常に重いのが気になります。

ははぁ、バネが規定よりも強く張られているようです。このバネは、リターンミラーを作動復帰させるためのバネですが、ミラーフリーズをすると強く張る方が多いようですが、フリクションの改善でバランスさせる考え方を取るべきだと思います。

2台目なので簡単にUPと思いましたがそうもさせてくれないみたいです。トップカバーを外してみたところ。こうなるのか・・

シボ革の剥がし方が乱暴ですね。
で、巻き上げが異常に重い件。予感はしていましたが、テンションバネも強く張られているようです。固定ネジのロックが外されています。結局、このリペアマンさんは、とにかくバネを強く張れば動く。という考え方のようです。
効率60・・シャッターユニット止めネジは規格外の+ネジ(正規-)に変えられています。

巻上げ爪のバネは初期型ですから板バネです。以後、コイルばねになります。

ここから洗浄後の組み立てに入っています。細かな部品やネジもすべて洗浄しています。

シャッターユニットを見ます。あれれ、ブレーキ部分にモリブデングリスが大量に塗布されています。FはブレーキがゴムのOリングなのでグリスは塗布してはいけないのです。そもそも、ブレーキリングがゆるゆるで変ですよ。まさか?

あ~、悪い予感が当たっちゃいましたね。OリングホルダーにOリングが入っていません。ブレーキ無しで組む約束だったのかしら?

何故か、Oリングホルダーは激しく錆びているものが多いです。Oリングが嵌るため精度が必要ですので研磨をしておきます。

Oリングを嵌めて組み込みます。

シャッター幕ですけどね。個体差はあるのですが、自由位置は普通はシャッター幕の先端が楊枝の付近に来るはずです。約90°テンションバネを強く張ってあるわけです。

完成したシャッターユニットを本体に組み込みました。いえね、スローガバナーも不調で調整に手こずりました。初期のFは古いですからね。

朝からの作業で目が見えないのでデジカメの設定を間違えました。アスペクト比が変です。頑固なグレーのネジロックもすべて洗浄してから使用しています。

Fのダイカストは色が黒っぽいですね。素材が違うのでしょうかね。で、何とか完成。バネを正規のテンションにしてありますので巻上げも軽くスムーズになりました。特に不調もありませんので、何の目的でテンションを上げたのか意味が分かりません。強いテンションとブレーキの無いシャッターでは、使いずらかったのではないでしょうか?

圧板の天地が一般的な個体と逆になっていました。確かにPENなどの極初期には同様な組立を確認していますが、この圧板の裏に記載されている手書き数字の向きから、画像の方向が正規と認識していたと判断して一般的な方向にセットしておきます。(実害はありません)

オーナーさんは当ブログを継続的にご覧頂いていたそうで、ご自分の所有機の作業についてはどのようにお感じになられたでしょう。本来はPEN-FからPEN-FTへと移行されるお積りのようでしたが、初期型のPEN-Fの実動機も貴重となって来ましたので、両方大切にして頂ければと思います。
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