では、お仕事します。このPEN-FV #1208XXは使われているユニットが設計変更後のタイプとなっていますね。FVはFTの初期仕様という定説もありますが、後期のものは変更後の仕様となっています。ここまで分解をする修理屋さんも少ないとは思いますが、スプール軸の巻上げカムユニットを分離します。ここは、強力なネジロックが塗布されていますので(初期のものぼときつい) 簡単には開きません。しかし、初期は真鍮製のスリ割りネジであったものが、普通の+ビス仕様となっていますね。使われる本数も1本少なく省略をしてあります。で、このようなネジを分離する場合は、軸径の太いしっかりとしたドライバーが必要です。現在、使用しているドライバーはJHTジャパンホビーツールさんから発売されています軸太ドライバーです。力の入るローレット部分の太さが適当で非常に使いやすいドライバーだと思いますね。
一番下がJHTさんの軸太ドライバー。上のドライバーはC社の組立工程で使用していたNIWA製作所の製品です。(ピンセットもC社支給品)NIWA製作所はすでに廃業されていますので、現在では入手をすることが出来ません。3本の一番下がC社で使っていたままのドライバーで、上2本は後年に入手をしたもの。C社仕様はビットの部分が長く40mmあります。まだ、ビットを保持するチャック部分は左ネジになっています。軸の先端を持って力を入れて締めても緩まない設計で、さすが考えられています。ビットの長さも製品の奥のネジを締める場合には必要な長さです。その点、JHTさんのビットは全長は40mmですが、ビットの有効長さは20mmほどですので、実際の使用に当っては、PEN-F系であればハーフミラーをセットするルーペハウジングを分離する時は長さが足りなくなります。しかし、現在、入手出来るドライバーとしては最良の製品だと思います。http://www.japan-hobby-tool.com/
シャッターユニットは完成してシャッター幕とドッキングしています。メインバネは変更後の自由長の長くなったタイプ。巻上げギヤ軸も顕著な磨耗は見受けられません。洗浄したユニットに、いつものようにJHTさんの新オイルを注油して行きます。
38mmは#3299XXと設計変更後のレンズですね。レンズに曇りとシボリ羽根に変質流化したグリスが付着しています。その他、このシリーズのレンズ特有な持病で、ピントリングのガタをご指摘頂いていますが、症状としては軽い方だと思いますね。原因は、硬質の真鍮製のヘリコイドガイドと鏡胴間のガタ。相手がアルミですからねぇ。スライドしていれば減りますわな。25mmなどでは、ガイドを対角に2つ配置していますが、焼け石にお湯でしょう。その他、変質したヘリコイドグリスも関係しています。この設計では無理ですね。
はしょって完成です。レンズは元々のセット品ではなくて、後年に調達されたものでしょう。しかし、FVとしては、変更後のユニットを使用されており、ボディーにもへこみなどの劣化が殆ど無い、非常に良い個体でした。これはオークションでの入手ではないそうです。さすがお目が高いです。ご希望により、全反射ミラーの交換とセルフタイマーレバーのお辞儀を修正してあります。