今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

コーワ Kallo Wから始めますの巻

2021年08月30日 20時40分00秒 | ブログ

今日は二回目のファイバー製コロナワクチンを接種して来ましたけど、二回目の方がきついと言われていたけど今のところ何ともないです。問題は明日かなぁ?

で、ボチボチと作業をしていました。先日もやりましたコーワのKallo Wです。「おめぇ、ヘソねぇじゃねえか」が分かる方はかなりのオジサンです。個体としてはとにかく汚い。トップカバーはメッキの劣化に汚れが浸み込んでいるような感じ。前面左のシボ革が欠落しています。シャッターは不動ですが、この個体は消耗は少ないと睨んだのでした。

絞り羽根とシャッター羽根は油に浸かったような状態です洗浄して脱脂をします。シャッターユニットはSEIKOSHA-MXですから高級シャッターです。開けてみると・・悪くない。このシャッターは殆ど使われていないと見ました。これは掘り出し物です。

レンズは後玉が曇りやすいのですがそれがピカピカです。これは素晴らしい。

 

 

しかし、前玉に円周上のすり傷があります。何だろう? フィルターが当たるわけはないし・・ちょっと惜しいです。

 

シリアル№は346XXですから初期型からすでに改良が進んだタイプです。ファインダーもプリズムではありません。ハーフミラーはオリジナルのままです。遮光カバーが青のビニールテープだったので途中で清掃をされているとは思いますがオリジナルかなぁ? 青のテープだよ? この時代の金コートは絶対に拭き上げてはいけません。

遮光カバーは作って貼っておきます。

 

 

距離計はどうしても摺動する接触面が摩耗するので、その分ズレて行きますね。この個体も縦横わずかに足りません。が横ズレ、が縦ズレ調整です。トップカバーを外さずに調整が出来るようにメ〇ラネジが付いています。はスリ割りネジですがシュー穴から調整が出来るようにネジの側面に孔加工が施されています。はシャッターチャージの連動棒。

底部の機構も全く摩耗がありません。ギャを洗浄グリス塗布しておきます。

 

 

外観洗浄とシボ革欠落部を補修しました。かなり良い個体になりましたよ。調子も非常に良いです。

 

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何とか終わりましたの巻

2021年08月29日 11時40分00秒 | ブログ

中古カメラ市用のカメラは全機完成して発送しました。はぁ、疲れた・・で、今日はうだうだしていますが、途中で気になった点を記録していました。時間が無いのにこれは習慣ですね。このローライ35の前玉は当初、蛍光灯の映り込みと勘違いしていましたがレンズの傷でした。残念ながらこの個体は部品取り機になります。

何故か沈胴レールが激しく痛んでいる個体がありますね。無傷できれいな個体もあるのに不思議です。たぶん所有者がせっかちで乱暴な方で、沈胴ロックボタンを確実に押さずスリーブを回転させていたことが原因なのでしょうね。

 

これは別の個体ですが、取り外してみるとこんな部品です。

 

 

この部品が痛んでいるとスリーブにガタが出やすくなって沈胴の感触にも影響しますので良品と交換が望ましいのですが部品がありませんね。リプロ部品を製作しようかと検討してみましたが、裏側のネジ穴部が位置決め用に突起していますのでちょっと厄介です。

これも稀にある不具合です。巻き戻しレバー軸の先端部には作動用のピンが圧入してありますがこれが意外に抜けてしまうケースがあります。再圧入をして使用します。

ローライフレックス2.8Fですが、レリーズボタンを押すと操出部にガタを感じました。分解をしてみると、カムと接触するピンの間に隙間が(0.3mm程度)あり、これが原因でした。使い込まれた個体やレリーズボタンを強く押す癖のある方が使った個体にストレスが掛かったのでしょうかね? T型のようにレリーズボタンが横からでしたらストレスは掛からないとは思います。

問題はです。カムの調整をするためには、その上に載っている巻上げユニットを分離しなければなりませんが、これが知恵の輪です。画像のように巻上げ軸にはバネとピンが仕込まれていて、ガタを消すための設計なのでしょうけど、先端のピンが圧力と摺動により太ってしまい、固着していて新品時のようにピンが自由に動かないため、現存の殆どの個体では設計通りに機能していないのではと思います。

またローライ35です。巻上げギヤのストッパーピンのカシメがグラグラに緩んでいます。

 

 

ピンを再カシメして使用します。

 

 

この個体は巻き上げの樹脂ギヤ(カム)の歯が欠けています。バ〇力で巻上げたのでしょう。強度の弱い樹脂製ギヤの欠点です。

 

露出計ユニットが不足していますので、部品を集めて作りますが、このユニットは20kΩの半固定抵抗が欠品で目下、新品を調達中ですが、当時と同じ仕様の素子は現在では入手が出来ません。古いタイプの素子が次々とディスコンになって行くので修理が困難になって行きます。この個体は電池の液漏れがあって接片が腐食して使えませんのでリン青銅板から作り直します。

他の機種は画像を撮っている余裕がありませんでした。

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久々のPENの巻 (2)

2021年08月21日 21時10分00秒 | ブログ

PEN-S3.5ですけど、オークションで破格の値段で落札されたそうです。どんな個体が来るかと思いきや、意外に程度が悪くない。と言うことで私のところに来たわけです。事情がありまして簡単バージョンでお届けします。

 

#1224XX 1965年7月製。分解しながら点検したのですけどね。悪くないのですよ。これが数千円かぁ・・トップカバーにはどこもへこみがありませんでした。すべて洗浄して組み立てます。

 

前回の三光ENと違ってスプールのスリップはコイルバネを使用した設計に変更されています。

 

シャッターも消耗していない。保存状態も良好。それに3.5後期に使われている仕様変更型のユニットではないのでO/Hで完全に新品状態に戻ります。

 

本体側の組立が終ってシャッターユニットをセットします。

 

 

ファインダーは三光と同じ樹脂製ですが、リブが薄く設計されていますので破損をし易いです。内部のレンズを分離して清掃してあります。

 

レンズですが、心配していた後玉も清掃できれいになりました。

 

 

ということで、兄弟そろって完成です。掘り出し物の3.5でした。

9月2日より松屋銀座で開催されます「世界の中古カメラ市」に出品用のカメラ整備のため、今月末までブログの更新をお休みします。悪しからずよろしくお願いいたします。

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久々のPENの巻

2021年08月19日 21時30分00秒 | ブログ

UPをお待ち頂いている方もいらっしゃると思いますが、最近PENのご依頼が少ないんですよね。で、北海道からのご依頼は、三光(一応)PEN #1399XXで義理のお父様が新品で購入された遺品とのことです。かなり汚れていますが、なるべく良い状態に復元したいとのことです。

すでに近くの修理屋さんで修理をされたとのことですが、ファインダーの欠けを修理されていますね。樹脂も古いので強度も落ちていて、軽い衝撃で簡単に割れてしまいますね。

 

スプールのクラックも定番の不具合です。修理に出された割には内部も汚いですね。

 

 

レンズの後玉はコーティングの劣化で白濁していて、それを拭いて傷にしています。

 

 

私の作業は単に不具合の部分を修理するということではなく。レストアに近い作業を心がけています。まずは本体を完全に洗浄しました。

 

一つのお家に住み着いていた個体なのでカメラは荒れていません。内部はピカピカになりました。組立てて行きます。

 

シャッターユニットはヘリコイドグリスの入れ過ぎで距離リング内まで油が回っています。グリスは必要にして最少で良いのです。洗浄脱脂をして行きます。

 

スローガバナーにも油が回っていました。超音波洗浄をしてあります。

 

 

「一応」と言いましたのは三光PENの定義が曖昧だからです。工業製品は常に改良されて生産されますので、各部の変更には時間差があるわけです。この個体で言うと、巻上げダイヤルカバーが初期は熱カシメですがネジ留め式に変更されています。左端の逆転防止爪は初期の1枚から2枚になっています。巻上げダイヤルの留めネジはまだ正ネジです。以後に左ネジになります。駒数ダイヤルのカニ目ネジはすでに左ネジになっていてギヤの形状も変わっています。(但しウェーブワッシャーはまだ入らない。2穴もなし)三光の定義はほぼ外観を言ったもので内部は常に変わっているのです。

シャッターを本体にセットしました。シャッターリング(カム)も洗浄してありますがメッキの状態が良いですね。タンスの中に仕舞われていたからかな?

 

破損したファインダーは交換します。樹脂は劣化していて白濁や強度が落ちています。外観で見える部分を少し研磨しました。ピカピカにすることも出来ますが、乞〇が歯を磨いたみたいになってしまい時代が無くなってしまうので、敢えて軽く磨きます。

樹脂への接着はすでに有効期限が切れていてレンズは剥がれます。清掃をして再接着をします。黒の防眩紙は色素が抜けていますので作り直します。対物レンズは樹脂レンズですので清掃に不用意に拭くと傷が付きます。

 

完成したファインダーをトップカバーにセットして本体へ取り付けます。駒数ガラスは研磨してあります。

 

レンズの後玉は前回の修理でコーティングは取り去られています。清掃でクリアーとなったのでこのまま使います。

 

裏蓋のシボ革には初期の「MADE IN JAPAN」ではなくOPYMPUS・TOKYOに変わっています。圧板を研磨してモルトを貼ってあります。スプールは交換しました。

 

一家に住み着いた由緒正しい個体なのできれいになりましたね。乳白のレンズキャップは残念ながら紛失されたとのことです。探せは見つかると思います。では、次はPEN-S3.5に掛かります。

 

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スモセコ PEACE のオーバーホールの巻

2021年08月17日 19時00分00秒 | ブログ

お盆休み最後ですので腕時計をやっておきます。パリス環式ケースのPEACEという時計です。由来は良く分かりませんが1940~50年代の時計でしょうか? この頃の時計としては珍しく石も使われていますね。現状は日差5分ぐらいで止まりがあるとのことです。極端な天真の摩耗は無いようです。

裏蓋内側にはアメリカ軍のマークのような刻印があります。文字盤にも赤字で13~24の記入がありますので軍用に使われたものかも知れません。

 

風防は硬質樹脂製ですが内側中央のTの印刷があります。クラックがあるのでオーナーさんは交換ご希望ですがこのままの方が良いかもしれません。

 

では、超音波洗浄をして組み立てて行きます。

 

 

ガンギ車の受けが何となく上側に曲げられているように見えます。ガンギ車がオリジナルではなくアガキの調整をされたのかな? とりあえず組んでみます。

 

動き始めました。アンクルに注油をすると安定して動くようになりました。

 

 

テンプの振れはそれほど大きくありません。

 

 

緩急針はそのままでタイムグラファーに掛けました。大きく進み方向です。フリクションが小さくなったのでしょう。片振りが大きい傾向にあります。

 

 

ホーロー文字盤ですから製造は古いようです。

 

 

何度も針の抜き差しをされているので圧入が弱いです。スモセコで気を付けなければならないのは短針と秒針の干渉です。短針と長針を大きく盛り上げて秒針との干渉を避けている個体も多いです。

 

風防の割れた原因が分かりました。ケースの側面に打痕が確認出来ます。風防の取付位置を合わせるとピタッと合いますね。ケースとベゼルには変形もあります。風防が固着している原因でしょう。

 

今回は風防は交換しません。赤字の13-24表示は当時の軍用仕様なのでしょうかね。PEACE かぁ・・

 

 

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