今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

遅れちゃったPEN-W

2013年04月30日 13時01分41秒 | インポート

Dscf048602 少しお休みを頂きました。別の精密組立をしておりました。巷ではゴールデンウィークだそうで、しかし、私たち自営業者には関係の無いことです。で、作業を再開しようと順番をチェックすると、あらら、こちらの管理漏れで、順番が遅れていたPEN-Wが見つかりました。すみませんでしたね。では、早速作業をしたいと思いますが、状態としては、レンズのバルサム黄変はありますが、まぁ、普通には作動している状態ですね。ただし、私の基準からはすべてがさつな動きに思えます。新品の時のフィーリングを目指してオーバーホールをしていきましょう。

Dscf048702 と思ってはいますが、連休なので、多少自分の楽しみをしてもバチは当らないでしょうと、2日前に私所有のセイコー・チャンピオンカレンダーの非防水ケースをオーバーホールしておきました。ゼンマイ一杯ですでに2日動き続けていますのでフリクションは小さいと思います。おまけに歩度調整前なのに極めて正確です。少し前に分解をしておいた関係で、カレンダー機構の部品を紛失していましたが、基礎キャリバーが同じ76スポーツマチック5のジャンクを多数保有していたため調達出来て事無きを得ました。風防は社外新品ですが、文字盤にキズがあるのが残念なところ。ケースはすでに研磨済みです。摩滅したリュウズは、ただ今、新品の到着待ちなり。

Dscf048703 ま、いつもと作業は変わらないのですけど、この個体は、内部にホコリの侵入が多いですね。防塵対策は全く無しのカメラですから、洋服のポケットや、綿の袋などに入れておくとホコリが浸入してしまいます。お気をつけください。

Dscf048802 ファインダーカバーの裏側に、カメラ虫が孵った跡がありますね。一匹はそのままお亡くなりになっていて、もう一匹は所在不明です。

Dscf048901 いつもと同じように、全て分解洗浄のうえ組立てています。シャッターは過去に分解歴があって、プロの小細工がしてありました。すべてオリジナルのセッティングに戻してあります。

Dscf049002 アクセサリーシューの「コ」部分が曲がっていますね。ここは、曲げ加工の部品ではありませんので、曲がりを治そうとすると折れてしまいます。折れない程度に修正をしておきますが、PEN-Sのジャンクから調達交換の方がよろしいです。

Dscf049103 PEN-Wは全て巻き戻し軸部分は設計変更後の仕様となっています。この個体も、単独では軸のアウターが空転してしまいますね。以前の分解時に調整ワッシャーを抜かれているのです。追加しておきます。

Dscf049201 保存はよろしくなかった個体で、巻き戻しダイヤルなどは腐食が多く発生しています。真鍮ブラシで取り除いてから組立てます。

Dscf049301 これで本体は完成です。かなり使い込まれた個体ですが、調子はよろしいと思います。後は、同時にご依頼がありました、専用フードを作ります。時計? これは私の私物のセイコー5 DX (6106-7000)で、ケースのデザインが特徴です。高校生の時に使っていたモデルとほぼ同じモデルです。(文字盤は紺でした) これをO/Hをして、ラバーベルト仕様で、今年の夏用とします。

Dscf049302_2 今日はPEN-Sのリペイント作業を開始しましたので、同時に専用フードの塗装をして仕上げました。フードの材料ブランクは殆ど無くなりましたので、今後の継続的な製作は未定です。では、これで完成です。


16万代の素晴らしいコンディションPEN-FT

2013年04月22日 23時25分40秒 | インポート

Dscf048402 入手されたばかりとおっしゃるPEN-FT #1669XXが来ました。第一印象は、コンディションは素晴らしい状態と思います。疲労も少なく、丁寧に扱われて保管も良好という幸運な個体です。作動に問題はありませんが、巻上げが渋くなっている程度ですね。全体のO/Hをしますが、コメントするところは少ないと思いますね。

Dscf048502 分解してみると・・過去にトップカバー内の光学系のメンテナンスを受けています。16万代としては、プリズムのコーティングなどは良好の方です。しかし、ハーフミラーは腐食があったようで、30万代以降に使われている金系コートの中古がセットされていました。では、いつものように全て分解洗浄の上、組み立てて行きます。電池室のリード線は新製しています。

Dscf048601 巻上げ関係を組みます。この頃は組立ビスを真鍮のスリ割りとしてあるため、ネジロックをされたビスは、容易にねじ切ってしまいますので、分解には注意が必要です。慣れない方は緩めない方が無難です。

Dscf048701 巻上げレバー関係の組立終了。つぎは、シャッターユニットを点検します。すでにシャッター幕を分離して洗浄してあります。非常にしっかりとしたユニットで、ネジの緩みなどもありません。スローガバナーは初期型(改良前)ですので、シャッターダイヤルの切り替えはゆっくりと操作するようにしてください。

Dscf048801 本体に前板関係と光学系の組み込み完了。露出計ユニットですが、これは、ハーフミラーだけの交換ではなくて、ユニットごと交換されたものですね。16万代ですから、露出計がダウンしていたのでしょう。

Dscf049001 それによって、露出計の感度がかなりずれていましたね。仮にセルフレバーを取り付けて、作動を確認しています。これでメカはすべて完成です。

Dscf049101 上下カバーとマウントを取り付けて完成です。16万台のきめの細かな滑らかな巻上げフィーリングとなっています。殆どキズの無い、非常に素性の良い個体と思います。やはり、コメントするところは無かったですね。

Dscf049102 何の画像だか分からなくてすみません。カメラ・時計以外の作業で、連休までの短納期で試作品を作らなければならなくなりましたので、しばらくの間、更新が出来ないかもしれません。よろしくお願い致します。


最近多いねft機のPEN-W

2013年04月21日 17時25分48秒 | インポート

Dscf047803 特には問題は無いPEN-W #1103XXですけどね。この個体もft機ですね。画像のトップカバーにシールを剥がした糊が残っていますね。それは良いとして、→の巻き戻し軸のカラーがクルクル共回りしていますね。赤点をつけたカラーが線状に流れています。過去に分解機ですから、カラーの調整ワッシャーを抜かれているのでしょうかね。カラーが共回りをすると、巻き戻し軸のダンパーが利かなくなるので困るのです。

Dscf047902 トップカバーを分離するために、駒数ダイヤル側のビスを緩めると・・・ビョ~ンとカバーが持ち上がりましたよ。原因は、↑の部分に入れられた調整用のワッシャーです。前回分解した方は、このワッシャーの入っていた場所が分からなくなって、「ここかな?」と入れたのでしょう。正解は、ビンセット先の吊環部です。ダイカスト本体とトップカバーは、慢性的に横方向の寸法が合わず、殆どの個体のこの部分にワッシャーが接着されています。よくよく観察すれば、接着剤の跡が残っているのです。修理は推理と観察です。駒数ダイヤルの位置も違っていますね。

Dscf048101 裏蓋の底は→の部分がへこんでいますが、写っていませんね。ほどほどに修正をしておきます。

Dscf048201 シャッターは未分解でしたが、私が気に入らないのは、コパルでの製造捺印ですが、これが決まって白のネジロックをした留めビス部に掛かっていることです。たぶん、この位置に捺印と作業者は指示されていたのでしょう。分解のときに、白のネジロックを溶かせば、捺印まで消えてしまいますよ。ちょっと配慮が足りないのではないですか?

Dscf048301 シャッターは、基本的に問題はないのですけど、シャッター羽根の作動を規制するスプリングが外れていました。無くても作動はしますがね。

Dscf048401 いつものように、本体にシャッターユニットを搭載完了。

Dscf048501 本体完成。里帰り機ですから、レンズの状態は良好な個体です。距離リングはftですね。ご希望のオリジナルフードを装着して完成です。1965-1月製。


久しぶりのキャノネットG-ⅢQL

2013年04月19日 22時01分25秒 | インポート

Dscf047202 ちょっとサボりました。特に作業はしていませんでしたので・・・。で、ビックリするようにきれいなキャノネットG-ⅢQLのブラックモデルが来ましたよ。後ろが、私の部屋の壁に下がっているクロームモデルですが、もう何年も触れたことがありませんでした。しかし、10年前でも、こんなきれいなブラックは見つけることが出来ませんでしたね。コレクションが流失したのでしょうか? 因みに、クロームのケースは、私の自作ですよぉ、それだけ気に入っていたカメラです。

とにかく、初代のキャノネットをぎゅっと小さくしたコンパクトサイズで、しかも、シャッタースピード優先EEとマニュアルが出来るレンジファインダーカメラと、一家に1台には充分なスペックを備えているカメラで、優れたデザインと共に、キヤノンの製品作りの上手さを強く印象づけるモデルです。

Dscf047302 どこにも不具合が無いのが一番やりにくいのですね。強いて言えば、ヘリコイドグリスが抜け気味な感触で、条数の少ないネジですから、ガタが出やすいのですね。鏡胴のガタも、殆どのモデルにありますが、何段にも積み上げ構造なので、僅かなクリアランスの合成で、ガタが倍加されるようです。当時、SSに相談しましたが「直せません」とのことでした。当時、キヤノンで積極的に採用していたQL方式。私の初めての35mm一眼レフがFT-bでしたので、何の違和感もありません。当時、装填ミスは一度も経験しませんでした。赤の縞々は、フィルムが巻上げられる時に左右に動いて知らせる窓と赤白のプレートは、チャージのインジケータ。巻き戻し部には電池のチェックボタンと、至れり尽くせりの設計です。

Dscf047403 まぁ、メンテナンスということで、作業を進めています。ファインダーのレンズ、ハーフミラーの状態も非常にきれい。鏡胴の各リングはブラック専用の黒アルマイト仕様。(クロームはパールアルマイト)右下の目出メータの白い紙片は、針が帯電することによる張り付きを防止するための絶縁紙。ヘリコイドグリスを追加しておきます。

Dscf047506 一つずつの部品設計が、おもちゃチックというか、華奢な感じは全くありませんね。どう扱っても壊れない設計かな。ピンセットのプレートは、どうみても、エンジンのドレンパッキンだよね。

Dscf047604 まぁ、そんなこと言っている間に、メンテナンス終了です。私のフィルターはキヤノンの純正品なんですよ。まぁ、売れるべくして売れたロングセラーの名機でしょう。私も欲しいブラックです。ちょっと重いですけどね・・・

Dscf047605 茶暮れさんがケースにご興味がおありのようでしたので画像を追加しておきます。ヌメ革を染料で染めていますが、10年以上経過しても、意外に退色しませんね。距離レバーの可動範囲がありますので、かなり大きくキャンセルしなければなりません。

Dscf047702 革クラフトの経験と工具をお持ちの方なら簡単に作れますが、心材は厚紙です。カメラのサイズを採寸して寸法を決めます。内側はラシャ布を貼ってあります。

Dscf047802 じつは、この作り方は私のオリジナルではありません。ブームの頃に発売された雑誌に掲載された記事をヒントに作ってみたものです。この作り方なら、どんなカメラ用でも自由に作ることが出来るでしょう。材料工具はユザワヤへ行けば揃います。私の製作日数は1日です。このケースの他に、写真と同じ茶色でキヤノン7用を作りましたが、知人にカメラごと強奪されて行きました。


シャッター不動のコダック・レチナⅠb

2013年04月16日 22時46分29秒 | インポート

Photo その前に、北海道のINOBOOさんから季節のお便りです。北海道は桜はもう少し先のようですが、雪は消えて来たようですね。そこで、朝起きして、釧路湿原へ撮影に出かけられたとのことです。まぁ、なんと幻想的な色合いですね。朝は寒さがきびしいと思いますが、撮影する方は多くいらっしゃるようです。コンデジのFuji X-S1にて撮影。

Dscf047603 スプリングカメラのコダック・レチナⅠbというモデルです。シャッターが固着で不動ですので、メンテナンスをして復活させます。シャッターはシンクロコンパーB~1/500ですから、シャッター羽根の油付着が多いようです。

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スローガバナー下の地板にも油が染み出しています。一つずつ分解して洗浄脱脂をします。

Dscf047801 シャッター羽根、シボリ羽根も清掃しておきました。カムやギヤの回転軸部分を潤滑しながら組立てています。巻上げレバーの回転を右上◎部分のギヤを介して下のチャージギヤに伝えています。

Dscf047901 ドイツ製らしい、がっちりとした作りですが、巻上げ機構やファインダーは非常にシンプルですね。フィルムカウンターは減算式で、「1」になると巻上げがロックされます。トップのカウンター部のボタンと、アイピース右のボタンを操作することによってカウンターの復帰と巻き止めがキャンセルされる珍しい機構ですね。

Dscf048001 バヨネット式のレンズはシュナイダー・クセナー50mmF2.8で写りには定評があるようです。このモデルは、距離計・露出計が付かないシンプルなタイプです。大衆カメラとのことですが、そこはドイツ製。がっちりとした作りと精密なメカは魅力的ですね。殆どキズ無しの美品の個体でした。あっ、シャッターは快調です。