今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

SEIKO 新10Aが来ましたよの巻

2016年11月30日 20時03分59秒 | ブログ

大阪のご常連さんはカメラも腕時計も古いのがお気に入り。この個体はセイコーのCHRONOMETER ですけど、クロノメーター級とは関係ありません。戦後すぐの1946年に発売されたモデルで新10A型のいわゆる「バナナ型」というやつですね。製造は第二精工舎の諏訪工場となっています。入手は四天王寺の縁日とのことで、外観のコンディションは素晴らしくきれいですが、それがちょっと怪しい? 1時間に20分遅れるそうです。遅れ過ぎやんか・・

受けの形がバナナの形に似ているのでバナナ型というのかな? 時代を考えるとケースも機械もきれいですよ。しかし、風防は新品が付いていたりで、人の手が入っていますね。サイズが小さくて、ポロッと外れました。

 

疑問に思うのは、文字盤が使用による劣化(汚れ。日焼け)などが全く無いことです。使用されずに仕舞われていた個体でなければ考えられません。デッドストックに交換されているのでは? 地板も歯車も極端な摩耗や不良は無いようです。

 

すべて洗浄をして組み立てて行きます。過去に数回は分解されているようですけど、それにしてもきれいな機械です。しかし、機械加工の精度は、この時代特有のものです。

 

巻真とオシドリの関係がピタッとしない。部品の個体差なのか・・

 

 

一応組み上がりましたよ。テンプは元気に作動しているようですが・・

 

 

全く未調整の段階。1時間に20分は遅れないようですが、この頃の機械はフラフラと精度が安定しません。この個体はヒゲゼンマイの状態がよろしくなくて文字盤上にすると測定不能に陥ります。天真の摩耗とヒゲゼンマイの接触を疑います。

左の針座が入っていましたが、クラックが入っています。そもそも内径が大きいので別の機械のものでは? 手持ちのスーパーから中央の針座と交換しておきます。

 

針は鉄の焼き針(ブルー)ですが、あらら、磁気を帯びていて繋がっちゃいますね。

 

 

消磁をしておきました。

 

 

ここで問題。この時計は1時間に20分遅れるとのことでしたが、確かに機械精度的に遅れ気味ではありましたが、それだけではなく、ピンセット先の筒カナが緩くなって針が置き回り状態になっていたようです。筒カナを締めて摩擦を回復しておきます。

風防は最近交換されたようですが、なんと風防の方が外径が小さく、簡単に外れてしまいます。

 

手持ちの風防と交換とも思いましたが、ドンピタのサイズが無く、接着で対応します。

 

 当時のオリジナルのままかと言うと、少し疑問もありますけど、状態が良いのは間違いありません。ベルトも古いですが、充分使用可能の状態ですから、保存状態の良いオリジナルなのかも知れません。左は私所有の同型モデル。右は1950年に発売された後継モデルの秒針がセンターにある中三針スーパー。文字盤のデザインが同じですね。このモデルが以後のセイコー腕時計の基礎になります。因みに、全く同じ時計を過去にオーナーさんにお譲りをしています。

まぁ、縁日での入手としては掘り出し物だったでしょうね。しかし、そのままでは実用は無理で、古い時計はいろいろな問題を抱えています。かなり怪しいところもある個体でしたが、今回のように完全な状態に仕上げて販売すれば良いのに。とは思いますけど、そこが縁日物なんですかね。実用には問題のない精度となっています。四天王寺の縁日行きたいな。

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フジカ V2は立派なのだの巻

2016年11月29日 12時04分40秒 | ブログ

フジカV2です。がっちりとした立派なカメラですね。発売は1964年9月とのことで東京オリンピック開催直前の国内が高揚している時ですね。発売価格は23.800円と高価です。私が小学生ですから、その頃はインフレで菓子パンが10円から15円に値上がりした頃かな。銀玉鉄砲は50円だったか? 平均賃金が4万円/月の時代だから、おとうさんが家族旅行ために奮発して買うようなカメラだったのでしょう。このカメラは絞り羽根が張り付いてAUTOと連動が外れて正常に作動しないという故障が多いみたいですね。受光素子はCdsになっていて作動には電池が必要。回転式のASA感度ダイヤルはデザインの特徴となっています。作りはしっかりとしていますね。

ファインダーも曇っていましたが、接眼部はミラーではなくプリズムが奢られています。重いです。

 

きれいな個体ですが、過去に分解は受けていて、モルトも交換されていましたが、あまりきれいではないのでやり直します。

 

シャッターも立派ですね。シチズンMLTで、1/1000があります。分解をして絞り羽根の固着などを修復します。

 

トップカバーの接眼部のモルトも貼り直しておきます。

 

 

特徴的なダイヤル式のピント調整。作りが良いので回転も重くならず滑らか、意外に操作はし易いです。

 

トップカバーを被せると微妙に二重像がずれたりしますので最終調整。

 

 

この個体は、シャッターボタンを浅く押すと次の巻き上げがロックする症状があり。カムの解除より先にシャッターが切れてしまうため。偏心カムで調整をしたおきます。

 

いゃ~、本当に立派なカメラですね。実測で785g えっ意外に軽い? フジノン45mmf1.8の大口径レンズの写りには定評があって、ファンの方が多いようです。

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マミヤスケッチ改造だってさの巻

2016年11月24日 09時13分49秒 | ブログ

マミヤスケッチは難しいんだよね。スプールが太いので36枚撮りフィルムが使えないとのことで、改造が知られているようですが、そのご依頼とメンテナンスです。改造に交換するスプールは、なんと我がオリンパスPENだそうです。オーナーさんから部品支給用のジャンク(EE)が付いてきましたが、ナットが樹脂の後期タイプで、それがひどいことになっていて分解出来ません。仕方がありませんので「カニメ」にして分離しました。しかし、これは無駄な作業と分かるのは後のこと・・

しかし、見事なまでに前近代的な設計のため下部軸も含めて簡単には交換出来ませんよ。

 

巻き上げレバーのリターンスプリングがゼンマイだとか、かなり厄介な分解でここまで来ました。

 

で、スプール軸のスリップ機構はそのままPEN用にセットは可能ですが、オリジナルの長さは約35mmなのにPEN用は36mmあってカメラ本体にセット出来ません。

 

支給頂いたスプールはPEN後期のELタイプで下部に1mmの段付きがあります。中央の、それ以前のスプールは段付きは無く、オリジナルとほぼ同じ長さです。ということで、色目も合うしこのグレーのスプール(在庫のPEN-Sのなのに・・)を使うことにします。しかし、下部の軸孔がPEN用では大きくて、偏心して回転すると懸念します。

それではと、本来はブラ板で塞いでから軸と同じ径の孔加工をした方が良いと思いますが、今回は真鍮板から内外径に合わせたスペーサーを作って見ました。

 

こんな感じ。色が合っていて違和感がないですね。スペーサーによってスプール下部の偏心も全くありません。

 

それでは元通りに組み立てますが、なんとテーパーピンの圧入ですよ。

 

 

やはりファインダーの汚れは年月を感じますね。

 

 

残念なことに、繰り出しに同調して動くレンズが接着剥がれで紛失しています。前回の個体も同様でした。剥がれやすいのですね。

 

前面ガラスは割れていたため、オーナーさんが特注で調達されたようです。このぐらいな私も作れますけど。

 

 すみません。土曜日は定期健診の日でして、新宿の病院まで行ってました。風邪が完全に回復していないので、帰宅後は作業をする気力が無くなってました。で、本体にファインダーを取り付けて、ファインダーの前面保護ガラスを接着しておきます。ここの接着は古い接着剤を完全に取り除いてから接着をしないと、ガラスの位置が高くなってトップカバーと干渉して薄い板厚のガラスですから簡単に割れてしまいます。

ダミーフィルムをセットしてフィルムの巻き取りを確認します。36枚目でスプールはこの太さです。余裕ですね。

 

非常に状態の良いマミヤスケッチです。シャッターは問題が無いため今回は手をつけていませんが、シャッター分解の時はシボ革を剥がさなくてはならず、薄く劣化しているシボ革ですから、モザイクのようにバラバラに割れる危険性があります。なるべくやりたくないですね。

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最初から不良のPEN-S 3.5の巻

2016年11月20日 22時15分58秒 | ブログ

一昨日辺りから喉が痛くなりましてね。注意はしていたのですが、今日は本格的?な風邪になってしまいまして午後から寝込んでしまいました。インフルエンザの流行っているようですから皆さん気を付けましょうね。で、腰が痛いのを我慢してやったところまでUPです。この個体は里帰りのft機ですね。シュー周りが、海外ものにしては腐食がありますね。前面ガラスや対物レンズはすでに脱落していました。

最初の点検で気になったのが・・シャッターリングがガタガタしています。この場合、通常はシャッターユニットと本体(ピンセット)を留めるネジの緩みなのですが、この個体は緩んでいませんよ。寸法を測ってみると、真鍮皿ネジの座繰りが深すぎるのでした。これは、工場で組んだ女工さんは不良で撥ねないといけなかったですね。

画像の通り(と言っても見にくい)ネジの不完全ネジ部まで裏側に出てしまっているのです。これでは、いくらネジを締めても留まりません。

 

ワッシャーを入れるわけにもいかず、良品と交換することにしました。しかし、完成検査でも発見できなかったのですね。この頃は抜取検査に移行していますからね。

 

シャッターをすべて分解して洗浄します。

 

 

スローガバナーの先端にキズがあります。これは結構シャッターを切っている証拠です。症状が進むと低速停止などの症状が現れます。

 

 

例によってターミナル接片の半田付けが脱落していますので再半田付けをしました。ここで、体調が限界となりました。みなさんおやすみなさい。

 

どうも。ひどい風邪を引いてしまいました。あまり改善しませんが始めます。でと、イメージでは3.5の輸出機であれば、程度は良い印象がありますが、この個体はそうではありませんね。水気が多い感じです。カム板も緑青を噴いています。

それを研磨して(風邪の時に水溶きはつらいです)取り付けます。スローガバナーを取り外しましたので、カムとの当たりを調整しておきます。

 

でも、製造が新しい分レンズは良かったです。ヘリコイドグリスを塗布して組み込みます。

 

やれやれ完了かなと思ったら、裏蓋もあまり良くなかったです。角のへこみが気になります。なるべく修正をしておきます。

 

これはご依頼にも無かったし、見なかったことにしようと思ったのですが・・先端部が激しく錆びています。このまま放置すると錆が進行していますのでう~ん、ほっておけません。

 

浮き上がった塗料をめくっていくと、どんどん広がってしまって・・すでに錆は深いのでタッチアップということではすまなくなって来ました。止めておけばと思っても後の祭り。画像はプライマーを塗布したところ。

 

結局、筆塗りでは無理でエアブラシにより塗装しました。自然乾燥塗料の塗装は返って難しいです。まぁ、母材の保護ということで。

 

本格的に直すのであれば焼付塗装を行います。意外に状態がよろしくなく工数が掛かってしまいました。シャッター完成 昭和41.2 製品完成1966-3。昭和34年4月公布の輸出品デザイン法による日本写真機検査協会の輸出品検査シール(PASSED)が貼られていますが、製品が小さいので、この位置にしか貼れなかったのでしょうかね。私が海外の購入者だったらすぐに剥がしたいところですが、正規輸入品として剥がしてはいけなかったのかな。輸出検査では、この個体の不良は発見できないということですね。

追加がありました。チノン 35EE-Ⅱという珍しいカメラですね。絞り優先AEの電子シャッターですが、シャッターの動きが正常ではないようです。じつは2台ありまして、もう一台は電池室液漏れからシャッター部まで腐食破損していました。

それがこちら。この個体は諦めるしかありません。

 

 

電池X2が特殊なので簡易的にセットして作動を見ています。注油によって光源によってシャッタースピードは変化するようになりました。シャッターを切った時とセルフタイマー作動時はファインダー横の赤LEDが点灯します。基板は生きているようです。

巻き上げレバーの化粧プレートは溶剤を滴下してテープで剥がします。

 

 

巻上げ部分に電子基板が見えますね。アイビースの右にLEDがあって、中央の緑が点灯すれば適正露出上下はオーバーアンダー。こちらも正常に変化するようです。

 

コンパクトでも距離計連動レンジファインダー。しかし、二重像は小さくて見にくい。曇っていましたので清掃をしておきます。

 

外装はオリジナルの方が黒アルマイトの状態は良いのですけど、へこみは致命的です。アルミアルマイトの宿命です。少し赤味となっている別個体のカバーを使います。Lの右下が隆起しているのはピンセット先のカバーの高さ調整用ネジが突き上げているもの。両方同じ状態。PEN-FTでも同じ問題があります。

コニカC35に似ているとか言われますが、この時代のコンパクトの流行りですからね。CHINONEX COLOR LENS38mmは写りで定評があるようです。機械式プログラムシャッターではないのでメンテナンスとしておきます。

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レンズはねぇ・・の巻

2016年11月18日 19時28分00秒 | ブログ

レンズはカメラ本体と違った意味で難しいのです。特にズイコーレンズはね。PEN用のズイコーレンズは組立時にレンズリングに緩み止めを塗布して親の仇のように締め込んであるので分解が困難な個体が多いと感じます。とくに大口径レンズはね。まず、50-90mmです。各レンズ面にカビが発生しています。すでに過去にレンズリングを外そうとして断念した傷がついています。やはり固着がひどく、取り外すのに半日費やしました。すでに工数オーバーです。

分解が出来れば問題は無いのですけどね。劣化したヘリコイドグリスで汚れ放題です。すべて清掃して組み直します。

 

次は250mmでしたが、CB0239が緩まず、一時中止です。

 

 

これは別のご常連さんから来ました。CanonのFD-EOSコンバーターですかね。3枚構成の内部が曇って汚れています。

 

このレンズはすべてCリングにより組み立てられていました。分解清掃をします。

 

新しい製品のため、コーティングの劣化は殆ど無くきれいになりました。

 

 

キヤノンの製品は結構高価だったと思います。私もFDレンズは沢山所有していますので使ってみたいですね。

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