裏でいろいろやっておりました。また元箱入りの個体が来ましたよ。PEN-S2.8と3.5ですけど、点検の結果、今回は2.8のみの作業とします。#1515XXとPEN-Sとしても初期の製造です。使用頻度は少ないのですが、過去の分解が良くありません。製造捺印も消えていますので特定はできませんが、保証書の登録が昭和37年5月で製造は昭和36年3月頃と推定します。
元箱や取説他一式が保存されていた個体ですから、扱いは丁寧だったはずですが修理がいけません。シャッターは非常に遅くやっと動くという状態。原因は複合的ですが、これもダメですね。シャッター羽根と接するプレートの一か所が盛り上がっています。
原因は、シャッターユニットを本体に留めるネジを間違えて規格より長いネジで締めてしまった。おいおい勘弁してよ。
プレートを裏返すとネジの後がはっきりと残っています。ネジの力ってすごいですね。
スローガバナーも全く固着で動きません。まぁ、この年式の個体では良くあることです。
スローシャッターで撮影して、ぬら~っと動いているのが分かりますかね?
ボディーは古いモルトを取り除いて洗浄。程度は悪くはないですね。
しかし、シャッターを本体に留めるネジは正規のもの(長さ)が4つ共使われています。初期型のネジは、頭が小さいので、他のネジを間違えてねじ込んで「あっいけね」ということでしょう。
このキズは私の仕業ではありませんからね。どうしてこんなに傷にしなければリングナットを外せないのでしょう? 機械に対しての愛情が無いのでしょうか? なら分解などするなと言いたい。
ファインダーは全くの手つかずでした。レンズを分離して清掃をしたところ。リンクル塗装の劣化が全くありませんので、殆ど使用されなかったのではと思います。
しかし、そんな個体でも古い製造の個体は裏蓋の先端部が変質したモルトによって激しく腐食しているのが普通です。(使われない方が)研磨をしてタッチアップ塗装をしておきました。
保証書によって最初のオーナーさんのお名前が分かるのですね。東住吉区ですから大阪で販売された個体ですかね。元箱の裏に記入されているシリアルと本体のシリアルは一致しています。ストラップが革製がセットされていましたが、オリジナルかは不明です。現在の方が元箱付きを手に入れるチャンスなのかも知れませんね。