今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

また来た元箱のPEN-S2.8の巻

2015年09月30日 17時41分49秒 | ブログ

裏でいろいろやっておりました。また元箱入りの個体が来ましたよ。PEN-S2.8と3.5ですけど、点検の結果、今回は2.8のみの作業とします。#1515XXとPEN-Sとしても初期の製造です。使用頻度は少ないのですが、過去の分解が良くありません。製造捺印も消えていますので特定はできませんが、保証書の登録が昭和37年5月で製造は昭和36年3月頃と推定します。

元箱や取説他一式が保存されていた個体ですから、扱いは丁寧だったはずですが修理がいけません。シャッターは非常に遅くやっと動くという状態。原因は複合的ですが、これもダメですね。シャッター羽根と接するプレートの一か所が盛り上がっています。

原因は、シャッターユニットを本体に留めるネジを間違えて規格より長いネジで締めてしまった。おいおい勘弁してよ。

 

プレートを裏返すとネジの後がはっきりと残っています。ネジの力ってすごいですね。

 

スローガバナーも全く固着で動きません。まぁ、この年式の個体では良くあることです。

 

スローシャッターで撮影して、ぬら~っと動いているのが分かりますかね?

 

 

ボディーは古いモルトを取り除いて洗浄。程度は悪くはないですね。

 

 

しかし、シャッターを本体に留めるネジは正規のもの(長さ)が4つ共使われています。初期型のネジは、頭が小さいので、他のネジを間違えてねじ込んで「あっいけね」ということでしょう。

 

このキズは私の仕業ではありませんからね。どうしてこんなに傷にしなければリングナットを外せないのでしょう? 機械に対しての愛情が無いのでしょうか? なら分解などするなと言いたい。

 

ファインダーは全くの手つかずでした。レンズを分離して清掃をしたところ。リンクル塗装の劣化が全くありませんので、殆ど使用されなかったのではと思います。

 

しかし、そんな個体でも古い製造の個体は裏蓋の先端部が変質したモルトによって激しく腐食しているのが普通です。(使われない方が)研磨をしてタッチアップ塗装をしておきました。

 

保証書によって最初のオーナーさんのお名前が分かるのですね。東住吉区ですから大阪で販売された個体ですかね。元箱の裏に記入されているシリアルと本体のシリアルは一致しています。ストラップが革製がセットされていましたが、オリジナルかは不明です。現在の方が元箱付きを手に入れるチャンスなのかも知れませんね。

http://www.tomys800.sakura.ne.jp/


OMEGA コンステレーションが止まっちゃうの巻

2015年09月24日 20時30分32秒 | ブログ

何もしないうちに連休が終わりましたね。私としては日常と特に変りはなかったのですが。午前中はバイク(FS1)のサイドスタンドをリペイントしていました。純正の塗装より厚めで仕上げました。

 

午後からはオメガをやります。かなり使い込まれたコンステレーション自動巻き。cal 565です。止まりなど不調になったとのことです。

 

機械は何度も分解を受けていますね。まず、ゼンマイを開放します。

 

 

いつもながら、オメガの機械はきれいですね。すべて超音波洗浄をして部品を点検して行きます。摩耗はありますが、特に大きな問題は無いと思います。

 

輪列は少し摩耗気味ですね。ザラ回しはスムーズです。

 

 

テンプを載せました。ヒゲゼンマイが何度もいじられて偏心気味です。

 

 

文字盤は特徴的な12角の山形をしており、サイドに厚みがあります。日レバーが日車押えに付いています。

 

文字盤と針を取り付けました。6時位置の★がコンステレーション(星座)のシンボルマークですね。自動巻き機構を洗浄注油しておきます。

 

長期に使い込まれたケースですのでキズやネジ部の腐食などが目立ちます。キズ消しの研磨はせず、軽くクリーニング程度にしてあります。

 

過去の分解によって、ヒゲゼンマイが変形気味のため片振りが2.5以上となっていました。片振り調整機構はないのでヒゲの修正によって何とかこの程度・・

 

SSベルトなので裏蓋もキズが多いです。軽く研磨。天文台のマークも特徴ですね。

 

洗浄をしたSSベルトを着けて完成です。テンプの摩耗はありますので裏表の姿勢差は大き目ですが、実用には問題は無いでしょう。クロノグラフだけではなく、この手のオメガを実用して楽しむのも良いですね

 

お伴が付いて来たのを忘れていました。ニコンS2ですか。きれいですね。距離計が見えなくなったとかですが、レンズと連動のコロが固着しているようです。

 

ARリングのナットが途中で緩まないのでマウント側から点検。

 

 

メンテナンスで作動するようになりました。それではオメガと一緒にお帰りです。

http://www.tomys800.sakura.ne.jp/

 


まったく固着のコニカⅢAを動かすの巻

2015年09月22日 20時12分19秒 | ブログ

同じオーナーさんから、後追いで送られて来たのがコニカⅢAです。1958年ごろの発売のようです。ずっしりと重いボディーと招き猫の巻上げレバーが特徴ですが、画像の状態でどこも全く動いてくれません。セルフタイマーが掛けられたままですので、シャッターが切れないのでツイ、タイマーを掛けてしまって余計に固着というパターンでしょうね。シャッターの問題も考えられますが、チャージのリンケージに問題があるケースも多いですね。

画像がピンボケ。決して作りは悪くないのですが、国産のカメラはチャージ機構がちゃちな構造のものが多いです。画像のリンケージはモリブデングリスがカラカラで潤滑をしていないため、カムの部分が摩耗しています。どうも強く巻き上げたため、噛み合いが外れてしまったようです。すべて洗浄注油でスムーズに巻き上げ出来るようにします。

シャッターも不動でした。本体から分離をしてメンテナンスをします。セイコーシャMXLですが、前回のシャッター同様、非常に丈夫な作りですから問題は無いと思います。

 

巻上げレバーを2回操作をしてリンケージを介してシャッターをチャージします。そのリンケージもモリブデングリスがカラカラです。

 

シャッターの状態も悪くは無いですね。後玉はカビがありますが清掃可能です。レンズの墨塗りが剥がれて絞り羽根上に載っていました。

 

基本的には悪くは無いユニットですが、1/500時にアシストするバネの張力が劣化をして機能していません。カムも摩耗をしています。全体的な疲労は少ないと見える個体なのにね。1/500にセットされて長期間放置されていた?

その他は問題なく本体に組み込みます。LV指標のの色入れが抜けています。

 

入れ直しておきました。基本的にはLVセットで使用する方式ですが、単独でセットする場合はちょっとやりにくいです。

 

裏蓋開閉鍵を取付けて組立完成。しかし、いつも思うのですけど、裏蓋ラッチの解除がこの小さな突起を押すのは爪が伸びていないと・・

 

評価の高いカメラですが、ファインダーに巨大なプリズムを使用したりで重いのが難点ですね。メーカー公表値は800gですが、実測しましたら795gでした。距離計連動のブライトフレームはすごいですが、二重像はあまり見やすいとは言えません。この個体は2.180円でGETされたそうです。中古屋さん回りではなく、骨董市やフリマ回りの勝利ですね。

http://www.tomys800.sakura.ne.jp/


フジカ・スーパー 6 のメンテナンスの巻

2015年09月21日 21時20分27秒 | ブログ

世の中シルバーウィークだそうで、私も庭の車やバイクなども見てやってます。ここでも錆との戦いです。ホンダ・ライフ(360)ですが、もう30年近くも前に新品のパーツで組み上げた車体。ボンネットも新品を使ったのですけどね。開いていたボンネットを母親が無理に締めようとして・・。それをパテ修正で私がオールペンしたのでしたが、パテがひび割れをして水か浸み込んで錆びていたのでした。気になっていたのですが、連休なのでやっとペーパーで研磨をしたところ。

現役で乘るんだったらちゃんと塗装するのだけど、まぁ、これ以上錆びないための応急手当。サーフェサーを吹いておきました。エンジンは2キャブでシビック(SB1)用ピントンを入れた400ccを一晩徹夜して組んで一人で載せたもの。ミッションは1速がドグミッションの5速です。どなたか乘ってくれる人いませんかね?

で、本題。大阪のご常連さんが近くの障害者支援のお店で4.790円で買って来たカメラ。スプリングカメラのスーパーフジカ6です。全体の状態は悪くは無いですよ。レンズは少し汚れでシャッターは止まる。ファインダーも汚れています。まぁ、メンテナンスで生き返るのではないでしょうかね。

シャッターはセイコーシャ・ラピッドですから悪くは無いですね。摩耗も少なく、使用頻度も少なかったようです。スローガバナーなどを分解洗浄して行きます。

 

レンズはテッサー型FUJINAL 75mm 3.5で、前玉のキズも少なく、清掃できれいになりました。

 

距離計連動ですからね。ヘリコイドの移動量をリンケージで伝えています。ファインダーが動いているのが分かるかな? 動きが渋いので清掃注油をします。

 

ファインダーも中々良い作りです。プリズムが奢られています。腐食は皆無です。

 

シャッターをジャバラに連結して。内部も清掃をします。

 

 

セルフコッキングではありませんが、自動巻き止め、二重露光防止付きです。

 

 

スプリングカメラにしては、トップカバーだけが妙に流線形というか、現代の一眼レフのようなシルエットです。

 

純正の速写ケースも程度が良いです。しかし、実使用の場合は、ベロの部分などは保革油を着けておいた方がよいでしょうね。前蓋のロックレバーも大きくて斬新なデザイン。写りも優秀でファンの方も多いようです。

http://www.tomys800.sakura.ne.jp/


SEIKO 61GS不動を何とかするの巻

2015年09月18日 21時22分46秒 | ブログ

グランドセイコーファンのご常連さんから61GS (6146-8050)の不動個体が来ています。製造は1972年のようですから後期型になるようですが、ブルー文字盤と3面カットの風防ガラスと特徴的なケースはGS中でも少数派になりますね。

外観は手垢汚れが激しい、使いっぱなしの状態ですが、メダリオンは磨滅も無くきれいに残っています。なぜ動かないのか?

 

裏蓋が親の仇状態で開けるのに苦労しました。どうも水が入っているようで、回転錘も腐食気味です。calは日曜カレンダー付ですから6146Aで、シリアル№付きです。テンプをアシストしても全く動かない。トルクが来ていないのです。

すべて分解洗浄をして各部品を点検して行きます。致命的な部分はありませんが、全体的に水の影響がありますね。

 

分解不可の香箱は10振動ですから強力なバネが使われています。輪列を組んでザラ回し・・

 

受けも一体式で組み易い機械です。テンプを載せて・・10振動ですから最初の起動性は良くなく、ちょっとピンセットでアシストすると動き出します。ゼンマイも巻き上げていないので・・また、カンギとアンクルへの適切な注油が重要です。

回転錘は腐食です。材質は何なのでしょうね。質量の重い合金でしょうけど、腐食部分から樹脂のようなものが出て来ますね。きれいに磨いておきます。

 

 文字盤と針をつけて機械をケーシングします。自動巻き部分を載せて、回転錘を取り付けます。特徴的な小さなネジ2つです。なんか頼りない気がしますね。

 

どんな状態でも流石にGSです。そこそこ良い感じになって来ましたね。

 

 

 洗浄をしておいたオリジナルベルトを取付けて完成です。ケースはカットを強調したデザインですので、あえて研磨はしないことにします。このケースは尖ったエッジが命ですから。

http://www.tomys800.sakura.ne.jp/