今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

ローライフレックスT他の巻

2024年10月31日 15時00分00秒 | ブログ

朝方は少し寒くなって来たのにまだ台風が来るとか。最近の気候はおかしいですね。作業はボチボチとやっていますが、これと言って取り上げる話題もあまりありませんので色々混ぜて・・ローライフレックスにTと言うモデルがありますが、ローライフレックスとローライコードの中間のような中途半端なカメラです。シャッターのレリーズなどは4X4と同じ横型を取り入れていますが、内部の構造もかなり特殊です。一般的なローライフレックスの巻上げ部の景色は画像のようなものですが・・

Tの場合は全く異なる設計になっています。巻き上げ軸に貫通しているロック爪によりギヤを駆動するしくみ。部品点数はこちらの方が少ないので合理的な設計ではあるのですかね?

 

巻上げが重いとのことで、古いグリスを清掃して巻き上げ軸とギヤに新しいグリスを塗布して組み立てます。

 

絞り/スピード表示はコストダウンの目的か、画像のように樹脂のリボンになっています。このリボンは乱暴に組み立てると部品とリボンが干渉して切れたりすることがあり補修が難しいので慎重に作業をします。

ベビーローライと同様の横向きレリーズボタンでシンクロ接点も同じ構造になっています。2本の抜け止めピンを所定の部分にセットしナットで固定します。書くと簡単、やってみると・・

これはローライコードⅤbですが、チャージレバーの動きが重い個体がありますが、シャッターユニットとの接合部に下手にグリスを塗布したりするとチャージレバーの復帰が正常に出来なくなったりするので意外に改善が難しい・・

この個体は、EV/絞りレバーとシャッタースピードレバーの同調が外れてしまう症状があります。2つのダイヤルを固定する爪の摩耗とバネの劣化かな。バネを矯正してとりあえずは改善。

これはローライ35ですけど、作業前の点検でレンズの後玉にキズを発見しました。

 

恐らく後玉を清掃しようとしてリングナットを緩めようと工具で回したら工具が滑ってレンズをガチャン、ということでしょう。残念ながらご依頼元で商品とならないとの判断で作業中止です。まぁ、いろいろあって疲れますね。

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金属疲労のPEN-FTの巻

2024年10月26日 14時00分00秒 | ブログ

過去に私がメンテナンスをした女性ペン使いさんのPEN-FT #2481XXですが、撮影中にリターンミラーがフリーズ状態となり緊急で里帰りしました。当初はリターンミラーの剥離も疑いましたがそうではなくリターンミラーユニットに問題があると辺りを付けて分解をしてみました。あ~これは・・

正式な部品名は「Sレバー2」となっていて要するにレンズを絞るレバーですね。それが折れています。多くのFTを修理してきましたが、これは過去にも記憶が無いですね。金属疲労で折れたのでしょう。

折れた個所は強いバネが掛かるピンがカシメられているところで、ピン孔が大きく、レバーの残り部が1mmもありません。

 

このレバーの組み立てはネジの終端を緩み止めのためカシメてありSSではASSY交換対応でしょう。当初は別のユニットに交換も考えましたが、このユニットは設計変更後の仕様で変更後のユニットのストックが少ないためと左端のカムギヤが巻上げフィーリングに影響するため(この個体は非常にスムーズ)なるべく破損部分の部品交換で修理をしたいと考えました。

ユニットには2種類あって、このレバー部分も設計が異なりますので同じタイプを用意しました。

 

レバーの組み込みとネジ端のカシメ。バネをセットしたところ。

 

前板に取り付けリターンミラーと連動させたところ。

 

 

本体に取りつけて作動を見ます。巻上げもスムーズで快調です。

 

作動テストをします。

 

 

元々機械的に厳しい設計のカメラですけど、今後はこのような金属疲労による破断故障が増えていくのでしょうね。

 

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初期のローライ35の巻

2024年10月25日 17時00分00秒 | ブログ

ジャーマニーの#3073XXXですから一応初期型でしょうか? 販売のためのメンテナンスをしますが、大きな故障はないので書くこともないかも知れません。不調の定番、シャッター、レンズ、ヘリコイドなど作業指示があります。絞りダイヤル不良となっていましたが、回転が少し重いのとロックボタンの復帰がスムーズでない程度ですかね。ダイヤルを分離して清掃と潤滑をしておきます。

露出計は動くのかな? 電池を入れてチェックします。少し感度が高い傾向にあるのと受光窓を塞いでもメーター針が完全に左端まで戻りません。これはジャーマニーに多く出ている症状で、Cdsの劣化です。今回は実用上の問題はないの調整のみとします。

ファインダーは清掃で特に問題はないです。ここはドイツ製の良いところ。スプール、スプロケット軸とアイドラギヤの清掃と潤滑をしておきます。

 

過去の分解の間違いを修正します。巻き上げギヤの噛合いが1歯間違っていましたので直します。また、のリターンスプリングのテンションが1回転多い。これですと巻上げが重くなります。低速不調ですののガバナーの清掃と注油をします。右端の電池室に絶縁テープの貼り付け。

露出計の感度を調整しておきます。

 

 

底部です。赤↘←のネジは殆ど緩んでいますので増し締めしておきます。この個体は初期型なのでのカウンターの逆転防止爪の下に補助板バネが入っていません。しかし、現状は36枚まで問題なくカウンターが進みますのでこのままとします。

問題はレンズのカビです。すべて分解をします。

 

 

中玉のコーティングカビは残念ながらコーティングを侵しています。

 

 

完成したシャッターユニットを沈胴調整をした本体に取り付けます。

 

トップカバーは洗浄してあります。レリーズのスライダーにグリスを塗布して取り付けます。

 

レバーアテが破損していますので交換してあります。

 

 

開閉レバーはまだ樽型で、巻き戻しダイヤルは樹脂製となった頃。巻き戻しダイヤルは回転が重くなるので洗浄をして樹脂の白化を戻しておきます。

 

これで良いコンディションとなりました。

 

 

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打撃のローライフレックス3.5Dの巻

2024年10月22日 11時00分00秒 | ブログ

ローライフレックス3.5Dですが、シャッターやレンズ、ファインダーと一通りのメンテナンスをしていますが、問題はフォーカシングの繰り出し感触です。ガタがあるとご指摘頂いていますが、このダイヤルは軸に固定さけておらず側面カバー側に付いていてそちらのガタを感じますが、それ以外に回転に違和感があります。

前カバーの前面から見て左上部を指で押すと「カクッ」とへこみます。これはカム部に問題がありますね。巻上げハンドルの重さもありますので分解をして行きます。

 

巻き上げ系のユニットを分離します。軸部のグリスが乾いています。これはやり直すとして・・

 

ユニットを取り外すと繰り出し機構が露出してきます。

 

 

問題はここです。正式にはストラットと言うのかな? 繰り出しのアームですが、カムとの当り面よりに上がっています。恐らく前方から強い力を受けてストラットがに変形しているために、前カバーを押すとカムから脱落してしまうということでしょう。当り面がズレて半分程度しか掛かっていません。恐らく先端に付く樹脂のチップも圧縮変形しているのでしょう。変形部分を修正しますが、この部品は熱処理が入っていますので不用意に力を掛けると折れる危険があります。

反対側は無事のようでグリスを入れ替えます。こちらの問題は被写界深度スケールの動きが悪いです。画像の8時と4時のレバーにより作動しますか、こちらの動きは軽く正常です。

 

スケールはダイヤルに組み込まれていて、カシメですので分解が出来ません。何度も洗浄を繰り返してスムーズに動くようになりました。距離表記がftですからアメリカからの仕入れでしょうかね。

巻上げハンドル部の固定ピンが抜けませんでした。画像はヤスリで修正をしてありますが、恐らく何度も分解でピンが緩くなり、終端をペンチで潰しておまけに中央部を曲げたのでしょう。

シンクロなどの化粧ナットを分離組立するには汎用工具ではスリ割を痛めてしまうので専用工具を作ったりします。

 

まぁ、問題のある二眼レフは手が掛かって大変なんですね。

 

 

ベビーローライのメンテナンスをしておきます。シャッターの羽根油と低速不調、セルフ不調などがあるのとレンズの曇りがあるのでメンテナンスと清掃をしておきます。

 

繰り出しカム部のグリスを交換します。

 

 

使用が出来ないほどではありませんが、交換指示ですのでミラーを交換しました。このモデルのミラー着脱はテンション部分が無く、無理をするとミラーが割れるので非常に面倒で苦手です。

清掃した「FIELD LENS」を載せてフードを取り付けます。

 

 

セルフタイマーボタンを押してもセルフ、M・X切り替えレバーが動かない。の方の画像に写っているレバーの曲がり。強く押し過ぎたのでしょう。修正をしておきます。

 

ベビーローライのオートマットはこの突起でフィルム厚を検知します。

 

 

ローライ二眼レフのシンクロ接点は分解組立が知恵の輪のような作業ですね。

 

これで完成です。

 

 

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1/500の補助バネの巻

2024年10月19日 18時00分00秒 | ブログ

短く簡単に。。精工舎のMXLですがシャッターダイヤルが1/500に回らないのこと。1/500にセットした時に作用する補助バネの内周が錆びています。

 

セットする軸も錆びています。これによって捩じりバネの動きがスムーズでなく、シャッターダイヤルが重くなって1/500まで回らないということでした。

 

バネと軸の錆を落としてグリスを塗布して組み立てます。これでスムーズにセットできるようになりました。

 

もう一つの問題は、このシャッターは前期型かな? 係止めのバネが非常に弱く、確実に係止めが掛からない現象があります。後期のシャッターと比較すると、明らかに後期のバネの方が線径が太くバネも強くなっています。不具合を修正したようですね。

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