じつは随分前からご常連さんのINOBOOさんから何台が来ていました。ご常連さんに甘えて、どうしても掛かるのが遅くなってしまいます。画像のPEN-FT(B) #3391XXは流石ベテランさんの所有カメラで美品ですね。その他、クロームのFT、PEN-Wなどいろいろ来ていました。この個体は美品で未分解機ですが、巻上げの感触があまりよろしくない。また、一つだけウィークポイントはフィルムカウンター横の出っ張りですね。
↑この部分が出っ張っている個体が多いですね。これはフィルムカウンターを留める中心のビスとトップカバー(正確にはカウンターガラス)が接触をして、使用過程でカバーの上部に圧力を掛け続けているとこの部分だけ出っ張ってしまうのですね。
裏側から見るとこうなっています。カウンターガラスの右端に●くへこんでいる部分がありますね。これを修正することは非常に困難で、カウンターガラスを分離しませんと直せないのです。ブラックモデルの場合、圧力を掛けると塗膜が剥れる危険性がありますから、このままにしておいた方がよろしいと思います。
では、なぜ接触をしたかです。図面上でのクリアランスは確保されていたとは思いますが、実際の部品の組上がり寸法がオーバー気味であって、実際には殆ど接触をしていたものと思います。もう一つの原因は、そもそもこの部分は設計変更を受けており、元々は図のようにナット留めの設計であったものを、(10万代初期)逆にビス留めに変更したために、当初の設計寸法より出っ張ってしまったということでしょう。なぜ変更したか? 組立をしていれば分かることですが、ナット留めの作業はしにくく、ビス留めの作業の方がやり易いですから、量産の効率を改善するためが変更の理由だと思われます。本当のところは設計図面の図訂を見なければ分かりませんが。
困った!!。何も書くことがない状態で組立はほぼ完成しています。殆ど工場を出たままのコンディション。良い個体はベテランファンのところにあるんだなぁと感じさせる個体ですね。何故かハーフミラーの劣化度合いがこの頃の個体にしては悪かったので交換となりました。フィルムカウンターのビス頭を0.2mm削っておきました。これでも、初期のナットタイプより出っ張っているのです。ビス頭を高く設計し過ぎたのと違いますかね? 巻上げの感触は、初期とは違う重みのあるスムーズ差で中々よろしいと思います。
昨日は新宿の大学病院まで定期のお調べで出かけて来ましたよ。最寄の駅から青梅線にのりましたら、あれ~、到着した電車のドアが開かない。なんでもドアの開閉はボタンによる手動になったそうな。冷房のための節電対策かなぁ? と思いますけどローカル線みたいだなぁ。ローカル線ぼいけどね。帰りに新宿の中古カメラ街を覗いてみましたが、PEN系はそこそこの品揃えですが、ちよっと相場は下がっているような気がしますね。トップカバーの塗装を全て剥離したPEN-Wがありましたけど、あれ、どこかで見覚えがあるような気がするなぁ。五万円と相変わらず高値ですね。ヨドバシの時計売り場ではグランドセイコーのショーケース前に寄るのは勇気がいりますね。時計バンド売り場ではすくに店員が寄って来て「サイズを見ましょうか?」とか二回も声を掛けられていろいろ五月蝿い。腕時計なんか100個近くはあるから、目に留まったバンドがあれば買おうかと思っているんでほっといて欲しいよね。ネットでは質感が分からないからね。オリンパスのEP-3は前面で展示中。意外に軽量ですね。FTの手触りに慣れているのでホールド感はしっくりです。でも隣りのX100の方が気になっちゃいます。で、お仕事の話。次の個体はPEN-FT #3165XXとこれも良い頃の個体ですね。40mm付きでハードケース入りの白カビだらけでヤフオクに出品されていたようです。だれも入札しないので落札した由。流石に見る目ですね。未分解のこれは掘り出し物でしょう。こういうのをGETしなければダメですよ。保管自体は良くは無かったのですが、幸運にもフィルムレールは無傷でした。
この頃の個体としてはハーフミラーの状態は良くない。全体に白く曇っていまして、清掃をしてみるとメッキが薄くなっていますね。右端に注意。組み込んだ作業者の指紋が残っています。この個体は未分解機ですので工場を出たままの状態ですが、これにはちょっと驚きです。せめて時計の組立と同様な指サックはしていると思っていました。確かに拭き上げ時はやり難いのですが、指紋を残しちゃ意味が無いでしょ。
今日も別の大学病院に行って来ましたよ。最近、財布を開けば医療費と薬の支払いです。今度は歯医者さんに行かねばなりません。若い頃は病気一つしなかったのになぁ・・
で、クロームのFTですが、こちらも殆ど使用されなかった個体でメカ部分は何の問題もありません。ギヤや軸の磨耗もありませんね。しかし、問題は保管が良くなかったということ。プリズムのコーティングやリターンミラーの外周部分の腐食など光学系と露出計のCdsがやられています。ちょっと惜しいですね。
付属の40mmも同じ環境下にあったわけですから状況は同じですね。レンズの各面にポツポツと根のあるカビが多数発生しています。こちらも殆ど使用されていないレンズなんですけどね。カメラとセットだから当たり前かぁ。レンズは全て分解して清掃をします。シボリ羽根にも油が回っていますので分解洗浄をしてから組立ます。
ピントリングのアルマイト剥げの無いきれいなレンズですよね。まぁ、この程度になっていれば良しとしましょうか。不具合の多いシボリ羽根の作動も快調です。
このクロームFTと40mmのセットで一万円は結果良しで掘り出し物でしたね。残ったPEN-Wはちょっと後に回します。他の修理機も入って来ましたので。一つ前のPEN-FTと同じ北海道にお帰り頂いておきましょう。