今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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美品のPEN-FT(B)とその他

2011年07月27日 23時16分38秒 | インポート

Dscf279861 じつは随分前からご常連さんのINOBOOさんから何台が来ていました。ご常連さんに甘えて、どうしても掛かるのが遅くなってしまいます。画像のPEN-FT(B) #3391XXは流石ベテランさんの所有カメラで美品ですね。その他、クロームのFT、PEN-Wなどいろいろ来ていました。この個体は美品で未分解機ですが、巻上げの感触があまりよろしくない。また、一つだけウィークポイントはフィルムカウンター横の出っ張りですね。

Dscf2801341 ↑この部分が出っ張っている個体が多いですね。これはフィルムカウンターを留める中心のビスとトップカバー(正確にはカウンターガラス)が接触をして、使用過程でカバーの上部に圧力を掛け続けているとこの部分だけ出っ張ってしまうのですね。

Dscf280067 裏側から見るとこうなっています。カウンターガラスの右端に●くへこんでいる部分がありますね。これを修正することは非常に困難で、カウンターガラスを分離しませんと直せないのです。ブラックモデルの場合、圧力を掛けると塗膜が剥れる危険性がありますから、このままにしておいた方がよろしいと思います。

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では、なぜ接触をしたかです。図面上でのクリアランスは確保されていたとは思いますが、実際の部品の組上がり寸法がオーバー気味であって、実際には殆ど接触をしていたものと思います。もう一つの原因は、そもそもこの部分は設計変更を受けており、元々は図のようにナット留めの設計であったものを、(10万代初期)逆にビス留めに変更したために、当初の設計寸法より出っ張ってしまったということでしょう。なぜ変更したか? 組立をしていれば分かることですが、ナット留めの作業はしにくく、ビス留めの作業の方がやり易いですから、量産の効率を改善するためが変更の理由だと思われます。本当のところは設計図面の図訂を見なければ分かりませんが。

Dscf280353 困った!!。何も書くことがない状態で組立はほぼ完成しています。殆ど工場を出たままのコンディション。良い個体はベテランファンのところにあるんだなぁと感じさせる個体ですね。何故かハーフミラーの劣化度合いがこの頃の個体にしては悪かったので交換となりました。フィルムカウンターのビス頭を0.2mm削っておきました。これでも、初期のナットタイプより出っ張っているのです。ビス頭を高く設計し過ぎたのと違いますかね? 巻上げの感触は、初期とは違う重みのあるスムーズ差で中々よろしいと思います。

Dscf280444 昨日は新宿の大学病院まで定期のお調べで出かけて来ましたよ。最寄の駅から青梅線にのりましたら、あれ~、到着した電車のドアが開かない。なんでもドアの開閉はボタンによる手動になったそうな。冷房のための節電対策かなぁ? と思いますけどローカル線みたいだなぁ。ローカル線ぼいけどね。帰りに新宿の中古カメラ街を覗いてみましたが、PEN系はそこそこの品揃えですが、ちよっと相場は下がっているような気がしますね。トップカバーの塗装を全て剥離したPEN-Wがありましたけど、あれ、どこかで見覚えがあるような気がするなぁ。五万円と相変わらず高値ですね。ヨドバシの時計売り場ではグランドセイコーのショーケース前に寄るのは勇気がいりますね。時計バンド売り場ではすくに店員が寄って来て「サイズを見ましょうか?」とか二回も声を掛けられていろいろ五月蝿い。腕時計なんか100個近くはあるから、目に留まったバンドがあれば買おうかと思っているんでほっといて欲しいよね。ネットでは質感が分からないからね。オリンパスのEP-3は前面で展示中。意外に軽量ですね。FTの手触りに慣れているのでホールド感はしっくりです。でも隣りのX100の方が気になっちゃいます。で、お仕事の話。次の個体はPEN-FT #3165XXとこれも良い頃の個体ですね。40mm付きでハードケース入りの白カビだらけでヤフオクに出品されていたようです。だれも入札しないので落札した由。流石に見る目ですね。未分解のこれは掘り出し物でしょう。こういうのをGETしなければダメですよ。保管自体は良くは無かったのですが、幸運にもフィルムレールは無傷でした。

Dscf280785 この頃の個体としてはハーフミラーの状態は良くない。全体に白く曇っていまして、清掃をしてみるとメッキが薄くなっていますね。右端に注意。組み込んだ作業者の指紋が残っています。この個体は未分解機ですので工場を出たままの状態ですが、これにはちょっと驚きです。せめて時計の組立と同様な指サックはしていると思っていました。確かに拭き上げ時はやり難いのですが、指紋を残しちゃ意味が無いでしょ。

Dscf280898 今日も別の大学病院に行って来ましたよ。最近、財布を開けば医療費と薬の支払いです。今度は歯医者さんに行かねばなりません。若い頃は病気一つしなかったのになぁ・・

で、クロームのFTですが、こちらも殆ど使用されなかった個体でメカ部分は何の問題もありません。ギヤや軸の磨耗もありませんね。しかし、問題は保管が良くなかったということ。プリズムのコーティングやリターンミラーの外周部分の腐食など光学系と露出計のCdsがやられています。ちょっと惜しいですね。

Dscf280951 付属の40mmも同じ環境下にあったわけですから状況は同じですね。レンズの各面にポツポツと根のあるカビが多数発生しています。こちらも殆ど使用されていないレンズなんですけどね。カメラとセットだから当たり前かぁ。レンズは全て分解して清掃をします。シボリ羽根にも油が回っていますので分解洗浄をしてから組立ます。

Dscf281075 ピントリングのアルマイト剥げの無いきれいなレンズですよね。まぁ、この程度になっていれば良しとしましょうか。不具合の多いシボリ羽根の作動も快調です。

Dscf281175 このクロームFTと40mmのセットで一万円は結果良しで掘り出し物でしたね。残ったPEN-Wはちょっと後に回します。他の修理機も入って来ましたので。一つ前のPEN-FTと同じ北海道にお帰り頂いておきましょう。


太いリード線のPEN-FT

2011年07月24日 21時20分02秒 | インポート

Dscf278851 今日からまたファインピックスの画像に戻ります。同じ機種を3台目です。今日の正午、とうとうアナログテレビが終了してしまいましたね。もっと、大々的に記念の放送をするのかと思いきや、NHKなどは、5分前でも平時の天気予報をやってました。何か体制側には、さらっと地デジに移行したいという思惑が見え隠れしていると感じたのは私だけでしょうか? 地デジ化は将来を見据えて必要な改革ではあるのでしょうけど、みすみす使えるテレビを使えなくすると言うことは国民の財産を奪うことですよね。チューナーも最近になって同じ機種が値上がりしています。我が家の地デジ化は1台のみで、私の部屋はアナログでしたので、当分ワンセグで見ることにします。

で、どこかで見たような眺めですね。この太いリード線。電池室からのリード線を引き直してありますが、こんなところ通したらダメでしょ。えらくバイパスしているなぁ・・その他、シャッタースピード不良、巻上げゴリツキ、ハーフミラー劣化などが気になります。あぁ、PEN-FT #1703XXという微妙な頃の個体ですよ。各部の変更が前後入り混じっている頃の個体。

Dscf278948 あらら、こんなところ通したら困りますよ。レンズを絞るスライダーと干渉しています。ちょっと工夫をすればオリジナル通りに通せると思うのですけどね。

Dscf2791331 特に面白いお話もないのですけどね。シャッターユニットを洗浄して点検します。シャッタースピードの不良は前回の分解時の組立方が悪かったのです。(詳しくは書けませんけど)他にチャージ途中でロックが利かず戻る時がある。今回の場合は、上の→のプーリースプリングが掛かり位置がロック爪と干渉していたため。このスプリングの位置は各個体で色々なところに掛かっているので注意が必要。前期型のユニットなので、下の→のようにシャッタースプリングは条数の少ないタイプですね。後期型はスプリングホルダーが無くなり、シャッタースプリングの条数が増えます。耐久性の向上が目的でしょう。スローガバナーは改良前のタイプですから低速側にセットする時は、ギヤの入りを感触で確かめながらゆっくりセットしてください。

Dscf279259 本体の洗浄後、電池室を全てやり直してあります。当然、リード線も交換してあります。巻上げレバー、スプール軸、スプロケット軸も組み込んであります。ではと、完成したシャッターユニットを組み込んで行きます。ここまでの状態では、巻上げのフィーリングはかなり改善されています。あとは前板のミラーユニットの良否で最終的なフィーリングが決まります。あぁ、今日はあまり面白いところがないですねぇ・・・平和が一番ですけど。

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プリズムの汚れはありましたが、幸いコーティング剥離はなく清掃できれいな状態となりました。フィルムの巻上げ不良がありましたのでスプロケットは交換です。ルーペはレンズがねじ込みタイプの改良前の仕様です。その他も概ね変更前のユニットが使用されている頃の個体です。

Dscf279545 本体の組立が終って、各部の点検と調整をしているところ。セルフタイマーユニットは、まだ改良前のタイプが使用されています。これが錆び付いて全くスローモーな動き。洗浄注油で改善しています。

Dscf279782 オーナーさんは初心者さんで、この個体はご友人からもらったものだそうです。17万台で各部の磨耗もあってメンテナンスを必要としている時に、わかんない修理を受けたために、更に状態を落としていた個体というところですね。当初、ハーフミラーの交換をお勧めしましたら、「ハーフミラーを交換すると暗くなると記事で読んだので心配」とお話しでした。確かに、カーフィルムを貼ったようなミラーに替えれば暗くはなりますが、どこで読まれたのかなぁ、すべてがそんなまがいものではありませんよ。 勿論、この個体のハーフミラーは交換しています。普段、ハードケース入りの個体なので、外観もきれいですから良い個体になりましたね。この個体の製造は1977年9月で、画像のSEIKO BELL-MATIC 27Jは1978年11月製ですから、FTとほぼ同時期に長野の諏訪で生まれた工業製品です。


かなり厳しいなぁ、PEN-S 2.8

2011年07月21日 20時14分03秒 | インポート

Img_205293 カメラの前にね。最近UPしていませんでした腕時計ですが、このモデルはSEIKO ベルマチックと言いまして、ベルが鳴る自動巻き腕時計なんですね。1967年から約10年間も生産されたビジネスマン向けの時計です。これ以前にはシチズンからも発売されていましたが、そちらは外国製のコピー的製品で手巻き時計です。どうやって操作するかと言うと、時計自体の動力はセイコーお得意のマジックレバー方式による自動巻きで手巻き機構は省略されており、3時の位置のリューズはベルに動力を与えるもので、2時のノブを引いておくと画像では6時付近にあるダイヤルリング▲の時刻になるとベルが鳴る仕掛けです。

Img_205046 裏蓋を外して内部を見たところ。普通の自動巻き機構の他に、ピンセット先のものがベルのハンマーで、時刻になるとこれがケースの内周に沿っている鐘を叩き、約10秒間鳴り続けます。音はベルというよりは、現在の携帯のバイブ機構のような振動ですね。先日セイコーが製作した高級機械式時計では、ベルの音に拘って、南部鉄器の材質から鐘を製作するところをテレビで見ましたが、南部風鈴に近い澄んだ音色をしていました。それとは比較になりませんが、60~70年代のビジネスマンに目覚まし時計などに重宝されて長く生産された腕時計です。ベル機構を収めるため、通常の自動巻き時計よりさらに厚みが厚いのはご愛嬌。当時の標準はステンレスベルト付きですが、厚めのワニ皮ベルトなどが似合いますね。からくり時計として所有していると楽しいですよ。海外には、熱烈なファンが存在しており、このようなサイトを作っている方もいらっしゃいます。

http://www.bellmatics.com/

Img_204465 で、本題ですが、このPEN-S 2.8 #267XXは1962-6月製とかなり古い個体ですが、ご覧のように塗装やメッキ部分にかなりの腐食が発生しています。じつは、オーナーさんからはリペイントをご依頼頂いていたのですが、すみませんね。今はご要望にお応え出来ないのです。メカも推して知るべしで非常に悪い。まぁ、出来るだけ頑張って修復しますので・・・

Img_204555 かなりひどかったですけどね。一つずつ部品を磨き上げて組立てています。保管が良かったら、それほど悪い個体じゃないんだけどね。救いは大きな欠点や問題点がないことでしょう。ひたすら、セッセと部品を磨く手間だけですよ。

Img_204688 この頃のシヤッターは性能が安定しないものが多いのですけど、この個体は意外に磨耗は少なめで調子は悪くはありません。充分、実用としてお使い頂ける信頼性はあります。今回は、実用性重視でクラックの入った駒数ガラスなどは交換していません。


謎のPEN-W

2011年07月19日 11時17分17秒 | インポート

Img_204095 強烈な画像でしょ。このPEN-Wは少し前に同じPEN-WをO/Hされたオーナーさんから頂いたものです。何でも、オーナーさんがベトナムに旅行された時に現地のカメラ屋さんで入手されたものだそうです。トップカバーはクロームの再メッキが施されており、裏蓋は欠損しています。私の性格からして、このような個体を見ると、何とかしたくていてもたってもいられなくなるのですが、この状態では修復は無理ですね。

Img_204151 裏側はこんな感じ。この状態でカメラ屋さんで売っているのも不思議ですけど、ゴミ捨て場から拾って来たのでは? と思わせる惨憺たる眺めです。

Img_204375 シューは別のものが付いていますね。製造番号は#121622ですが、PEN-Wは昭和39年の後半から昭和40年前半に製造されたものが多数で、製造番号と製造年月は必ずしも正数順に並んでいません。かなり(2000番程度)の前後があるものもありますが、大体、先に書いた時期に製造されています。この個体は昭和40年の4月ぐらいの製造ではないかと推測しますが、それがどのような経緯ではるかベトナムに行ったかです。昭和40と言えば1965年で、アメリカがベトナム戦争に介入した年です。そのような騒乱状態の国に日本から正規の輸出がされていたとは考えにくく、もしかすると、アメリカ軍の軍人軍属や戦場カメラマンが持ち込んだものかも知れませんね。私の生まれた立川は当時はベトナムへの兵站輸送の拠点で、小学校の校庭の真上を石を投げれば届くかと錯覚するような低空でC-130ハーキュリーズが単従陣で20機程度降りてくるのが日常でした。余談ですが、その中には4発のプロペラのうち1発が止まっているのが必ず混じっていて、戦況の悪化に伴い、2発止まってグラグラと機体を揺らしながらたどり着く機体もありました。当時はそんなのは日常でしたので、私のような飛行機小僧以外の子供は気にも留めません。(上空を見ません)ですから、現在の沖縄基地周辺の方たちのお気持ちは良く分かります。で、お話しが脱線しましたが、現地に残されたカメラは、ベトナム人の手に渡り、クロームにメッキをされたのかなぁ? などと想像します。あちらは自動車でもバイクでも、なんでもメッキで飾り付けることが文化のようですので。しかし、数奇な運命を経て私の手元にある。何か因縁を感じます。

Globemaster_welker_c124_1 ネット画像で失礼しますが、調べてみると1953/6/18に立川基地を離陸したC-124グローブマスターが離陸数分で小平の農地に墜落した事故を起こしていました。私が生まれた年なので記憶にはないはずです。エンジン不調のよる停止(2発との目撃証言あり)により墜落して129名の死者を出したとあります。離陸数分で小平とすると、北へ向けて砂川方向に離陸後、東へ右旋回の途中、高度と機速がつかないうちにすぐに墜落をしたことになります。この機体は低周波のエンジン音が長く続くのが特徴で、ガラス窓がビリビリといつまでも振動していた記憶があります。年に1回の基地公開日には画像のように機体の中へ入りましたね。先着で実際に飛行を体験した子供もいたようですけど、今では安全の観点から許されないでしょう。


暑いのにパンケーキ食べる?

2011年07月18日 15時44分22秒 | インポート

Img_2036331 相変わらず暑いですが、西の方ではもう台風が来ているようですね。子供の頃は台風と言うものは秋に来たものでしたが、温暖化の影響があるのでしょうかね。世の中、連休だそうで、高速道路も1.000円が終了しても混雑しているようです。私はどこへも行きません。早く秋になってくれないかなぁと心待ちにしています。自転車もバイクも乗れますからね。で、作業はボチボチですが、38mm f2.8のパンケーキレンズですね。結構お高いようですが、程度の良くないものも多いです。この個体は、過去に何度か分解を受けてますね。レンズのキス汚れ、ヘリコイドグリス抜け、それと画像のシボリリングのクリック感無しなど気になります。左手のボール受けですが、真っ黒に酸化していたものを磨いた後です。こんなに酸化するものかなぁと言うぐらい。クリック感のない原因は、の部品が原因ですが、スチールボールを紛失したために丸棒の金属をカットしてはめ込んでありました。こんなもので代用が出来まっかいな。下が正規のスチールボールです。お願いですから分解時に無くさないでくださいね。

Img_203796 後ろはF用の60mm f1.5ですが、北海道から来たこのレンズはお父様から譲られたものだそうです。どちらもかなり乱暴な分解を受けていたレンズですが、38mmはレンズ清掃、抜け易いヘリコイドグリス交換とクリックボールを追加して非常に良い状態となっています。60mmは難しいレンズですね。こちらもレンズ清掃とヘリコイドグリスを交換しています。