今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

拾われたPEN-FV

2010年10月28日 21時51分31秒 | ブログ

この個体は#1003XXとかなり初期の個体ですね。(1967-1月製) この個体は幸運なカメラで、ゴミとして廃棄されたものを、現在のオーナーさんが奇跡的に救出してきたものです。たぶん、元の所有者が他界されて親族が整理のために捨てたのでしょう。巻上げの調子はかなり悪いが作動はする。セルフタイマーのロックが効かないとご指摘頂いています。ご指摘にはありませんが、駒数計も戻りませんね。

この頃の駒数計は設計変更前のユニットで、戻り不良となっている個体が多いのです。バネも弱いのですが、真鍮シャフトとギヤ内径の酸化で抵抗が増えているのも原因の一つです。画像はシャフトとギヤ内径を研磨した状態。

セルフタイマーユニットには、この画像のようなギヤの穴に爪でロックをする初期型と3個のローラーが中心軸を抑えてロックさせるワンウェイクラッチ(S800のセルモーターと一緒)の二種類があることは知られていますが、初期の爪ロック式の中でも種類があることは知らないでしょ。この画像のタイプは爪の形状から、ロックが外れやすいタイプなのです。全て分解してロックが外れないように矯正をしておきます。

完成してみれば、あらら、結構きれいなFVだったんですね。元の所有者さんは大切に使っていたのだと思います。巻上げも軽く滑らかに改善しています。殆ど欠点のない個体となりましたが、リターンミラーに腐食があるのが惜しいところ。そうそう、リターンミラーは来月中頃に完成します。尚、部品としての販売は一部加工が必要のためしない予定です。

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PEN-Fリターンミラー剥離

2010年10月27日 19時32分59秒 | インポート

このPEN-F #2646XXは、女性のオーナーさんです。リターンミラーが剥離したため、行きつけのカメラ店経由で修理に出されたそうですが、際剥離をして私のところに来ました。ミラーホルダーを観察すると、オリジナルの接着剤が残ったままで、そこをシコシコと申し訳程度に傷をつけてゴム系接着剤で貼られています。それては剥れますねぇ。気になるのは、この業者さんは、シボ革を剥離せず(出来ずか面倒)前板端部でカッターでカットしてしまっています。これはダメでしょう。内部も殆ど何もしていませんね。これで幾ら請求されたのでしょうね。

それでは、最初からやり直して行きます。この巻上げ地板ですが、スプール軸のホルダー(ピンセット部)のカシメが不良で空回りしています。こんなのは内職さんの仕事ですが、カシメ機のストローク調整が不良だったのです。これ一つということは無いので、この辺のロットは同じ状態のものが有るはずです。再カシメをしておきます。

最近、ブレーキOリングの交換をご依頼される方が増えていますが、この個体もダメですね。全くブレーキは効いていません。分解してみると・・このOリングはゴムがビョーンと伸びてしまっています。ネオプレンゴムは油は厳禁ですけど、どこかから油が浸入していたのかも知れません。このブレーキには調整機構がありませんので、リングのインナー、アウターとそれに挟まれるOリングにも寸法公差がありますので、組み合わせによっては、ポン付けではちょうど良いダンパーにはなりません。工場での生産立ち上がり時はかなり苦労をしたのではないかと私は想像しています。これも交換。

リターンミラーは僅かにカケがありましたが、ケラレの心配はない程度ですので再接着で使用しました。全反射ミラーも交換です。ブレーキのOリングには、じつは工場で苦肉の細工がしてある(個体もある)のですね。これをすることによって、確かに組立上の自由度は上がりますが、果たして、当初の設計通りのブレーキ性能を確保できるのか(長期的にも)少し疑問があります。それより市場での品薄状態を改善することが優先されたのでしょう。

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スクリューマウントNIKKOR

2010年10月27日 18時56分37秒 | インポート

スクリューマウントのNIKKOR 5cm f2というレンズがオーバーホールで来ていますね。レンズにカビと円形絞り羽根に油がベトベトに回っていますのでクリーニングをしています。この頃のレンズは、変なコーティングや新種ガラスを使用していないため、意外にクリーニングできれいになりますね。重い鏡胴は真鍮製で組立は全てねじ込み式。なにか砲弾を組み立てているみたいです。Dscf125133_2


38mm パンケーキ

2010年10月23日 21時54分18秒 | ブログ

この38mmパンケーキは、ご常連さんがオークションで入手したもの。しかし、かなり使い込まれた個体で、おまけに分解を受けており、マウントベースのビスはスリ割りが壊され、後カバーの留めビスも1本欠落しています。パンケーキはヘリコイドグリスが抜けやすいのですが、この個体もカラカラな状態で回転もスムーズではありません。

また。距離、絞り文字や、前面のネームリング文字の色が汚れているため、洗浄をすると塗料が風化をして殆ど抜けている状態でした。救いは大事なレンズの状態は悪くは無いということ。すべて洗浄後、組み立てて行きます。

こんな状態でもパンケーキは高いのでしょうね。古いヘリコイドグリスを全て洗浄して、新しいグリスで組み上げてありますので、回転は滑らかです。全ての文字の色入れはやり直して、過去の分解時に工具で傷を付けた部分もタッチアップ修正してあります。後ろカバーは欠落したビスを追加して完成。かなり良い状態に復活しました。Dscf123753 Dscf124099 Dscf124400


PEN-Fプリズムが・・・

2010年10月20日 22時44分14秒 | インポート

次のPEN-Fも同じオーナーさんからのご依頼で、本来はリペイントをご希望でしたが、外観からのチェックで状態は悪いと判断してメンテナンスのみとしていた個体です。分解してみると・・・あら~、以前にも何度か見た光景ですね。#2プリズムと接眼プリズムが腐食していたと見えて、メッキを剥離して、そこに平面鏡を接着してあります。そのままでは干渉して組めないので、当る部分を削ったり、ビスは規格外多数。多分オークション物と思いますが、この製作者は継続的に量産していると思われますが、この改造を明示して出品されているのでしょうか?

シャッターのブレーキが効いていない様子ですので分解をしたところ、Oリングが取り去られていますね。固着して作動不良となっていたため外されたのでしょう。オーナーさんの連絡によれば、この個体はプロのカメラ店の出品とのことです。まぁ、そこでの作業かは不明ですが、確かにプリズムが腐食している個体を改造してでも現役とするかは考え方の問題ですが、私はこの方法は取りません。よって作業は中止とします。

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