昨日は新宿まで定期健診に出掛けて、帰りにご依頼を頂いているカメラ店様にご挨拶にお寄りしてから帰宅しましたが、ここのところウォーキングをサボっていたので脚が辛かったです。で、PEN系のご依頼が続いていますので、作業を開始して行きます。PEN-FT(B) #3510XXですが、里帰り機ですね。後期の個体としては露出計の感度低下が大きいです。その他、巻上げゴリツキ、稀に2回巻上げになります。トッフカバーを開けてみると、接眼枠がリプロ品と交換されていて、周辺のモルトも交換されています。
では、いつものようにすべて洗浄から組み立てて行きます。モルトを貼りました。蝶番部分の塗装剥離が激しいです。
巻上げレバーユニットを取付けると動きが重い。これはアイドルギヤと上の地板とのアガキが足りないのです。殆どの個体にはピンセット先のネジに調整ワッシャーが入っていますが、この個体では入っていませんでした。30万台以降の個体には入っていない場合が多いですが、この個体には必要だったのでしょう。追加してアガキを確保しておきました。
軽度の2回巻き上げ症ですが、#2ギヤの内径に摩耗はありません。ギヤタイミングの悪いユニットの組合せだったようです。
チャージギヤは35万台ですのでリングナットによる組立式です。
完成したシャッターユニットと前板関係を組み立てます。
過去の接眼枠の交換時に劣化したモルトを取り除かずに上から貼ってあります。意味がありません。
リプロ品の接眼枠を取付けます。
やはり35万台ですから分解組立で良好な状態になりました。ハーフミラーは交換してあります。この個体は輸出機ですね↑。
同じオーナーさんのPEN-FT #2203XXですが、こちらはなり汚れていて作動も怪しいです。スクリーンがスプリットに改造されています。
うぁっ、嫌な予感。こてこてにいじられていますね。ざっと見て、シンクロのリード線が繋がっていない。接眼枠の留めネジが規格外、遮光テープが無い、露出計基板が改造されている。
前板の留めネジも規格外です。
かなりばっちい。
シャッターユニットのコントロールレバーが半田付け補修されています。カシメが外れたのでしょう。いろいろ有りそうな個体ですが、35万台機とコンディションが違い過ぎです。
コントロールレバーを半田付けするために一度プーリーのダブルナットを外していますね。
#2ギヤにはバリが付いていることがありますが、摩耗ではなく歯車加工時のものと思います。
スクリーンについてはタッチしないことにします。
前板の留めネジですが、前期型まではスリ割り(-)ネジが使われていますが、左側2本は短いネジが使われています。この個体は短いネジが右側に使われていて長いネジが紛失になっていました。もう1本の長いネジもねじ山損傷で使いたくないので、2本純正ネジを追加してあります。中期の個体からは+ネジとなり、長さもすべて同じになります。その点を無視した組立。
スライディングロットも前期型は異なりますが、↑部分に銅ワッシャーが入りますが、この個体は紛失していました。追加して組みます。
モルトの貼り替えをします。
前期の個体はレンズはねじ込み式の組立方式になっています。以後はCリング式。組み立て工数の短縮。
シンクロのリード線は挟まれて芯線が露出していますので交換しておきました。本体側と前板側の連動タイミングが違っていましたので、正規で組んであります。
ハーフミラーは初期型としては見にくい劣化は少ないですが、反射率は落ちていますので新品と交換します。初期型のハーフミラーは情報窓部分の蒸着メッキが↓のようになっていますが、以後は右のようになります。メッキ自体にも違いがあります。
で、疑問。巻上げレバー裏のダストカバーですが、左のものが付いていました。これは初期型にのみ使われていた部品で、22万台では使われていません。(中は初期以降、右はFV用)推理をしますと、この個体は105000番台~110000番台付近の個体でトップカバーの付け替えと露出計ユニットの換装などを受けていると思われます。
メカの組立完成。
初期型とそれ以降では電池蓋のピッチが変更されています。初期型の方がピッチが細かく不用意にねじ込むと斜めに入ってしまうことが多いためにピッチを粗く変更されたもの(と思う)です。裏蓋の選別は初期型は外周が低く段付きになっており、それ以後は外周近くに溝が切ってあります。
初期型ですから、PEN-Fと同じで巻き戻しダイヤルはローレットタイプです。ということで、最後にどんでん返しがありました。色々な試練を乗り越えて生き残って来た個体ではあります。
トミーのリペイント (sakura.ne.jp)