今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

PENTAX SPⅡのプリズム交換の巻

2014年05月31日 23時44分26秒 | インポート

Img_427811北海道のINOBOOさんからPENTAX SPⅡが来ています。本当に守備範囲が広いですね。このほか、腕時計もヤフオクでバンバン落札しているらしい・・で、ペンタックスのウィークポイント、ペンタプリズムの腐食を交換とメンテナンスをします。この個体は、マウント部とトップカバーが合っていませんね。






Img_427933トップカバーを開けました。ペンタプリズムに貼ってあるオレンジ色のモルトが劣化をして蒸着めっきを侵しているのです。初期のSPは黒いモルトで、こちらの方が被害が少ないようです。









Img_4311見えますかね? ペンタ像に黒い横線が入っています。これを初期型のプリズムに交換します。











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裏蓋は古いモルトでベタベタですので清掃をして、本体のレール面のモルトを交換しておきます。











Img_440355で、電池をセットしても露出計は動かない。本体側の接点が腐食気味ですよ。












Img_440566導通がありませんね。接点を分離して見ましたら断裂をしていて導通不良となっていました。半田付けで修正をしておきます。











Img_440677これで回路が開通してSWスイッチで露出計は作動を始めました。












Img_440788ここら辺りの設計は古典的ですね。基本設計が古いロングランカメラですから。巻き上げ軸部のねじはこの個体は左ねじでしたが、初期のSPはこの上に乗るナットは正ねじのものもありますので、決め打ちをせずにねじの露出部をルーペで観察してから分解する必要があります。







Img_440999あら、順番が逆でしたね。SPのシャッターダイヤルはカニ目ねじを外すとびっくりおもちゃのようにバネでバラバラに飛び出してきます。










Img_441314SPと並べてみると、結構違いがありますね。ペンタ部にホットシューが付いてサイドとの繋がりも段付きが無くなって近代的に見えます。巻き戻し側のダイヤルも大型化しています。









Img_441213ペンタックスで思い出すのは、子供の頃、夜の遅い時間にアメリカのテレビ劇「ローハイド」を眠い目を擦りながら見ていましたが、その時「望遠だよ、望遠だよ、ワイドだよ」という熊倉和夫の声のコマーシャルがペンタックスを知った初めでしたね。一眼レフの大衆機として絶大な人気があったのでしょう。SPⅡはSPFの後にSPのリバイバルとして発売されたとのことで、絞込み測光に戻っていますね。
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お父様から譲られたPEN-FTの巻

2014年05月29日 18時47分33秒 | インポート

Img_437741最近暑くなってね。ちょっとサボっておりました。作業はしていましたよ。このPEN-FT #2729XXはお父様から譲られた個体とのことです。本体は、セルフタイマーが途中でロックした状態で、アクセサリーシューが接着されています。40mmレンズはグリスが変質してヘリコイドガタが大きく出ています。








Img_437825_2 ははぁ、シューの取り付けを繰り返している間に、アイビース枠がバリバリと欠けてしまい、業を煮やして接着をしてしまったとうところでしょう。結構多いですよね。オーナーさんはこのままでも気にならないとのことでしたが、このままではトップカバーが外れないの。私としては気分も良くないので外します。






Img_438095 接着を剥がしました。溶剤系の接着剤でした。ダンパーゴムは取り去っていますね。アイビース枠の隙間から内部にも流れ込んでトップカバーが開きません。










Img_438198 アイピース枠はやっと分離しました。トップカバーの接着剤は清掃しています。前面の色入れも抜けているところがありますので、塗料はすべて取り除いておきます。










Img_438232 ダイカスト本体にも接着剤が流れ込んでいます。丁寧に溶かして落すしかありません。











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すべて洗浄をして組み立てします。前期の個体には入っていないウェーブワッシャーですよ。











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シャッターユニットを洗浄したところ。メインスプリングは条数の多いタイプで安定しています。摩耗はなく、良いシャッターです。









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途中飛ばして前板関係もO/H完了。













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このアイビース枠、再使用するのかなとオーナーさんに確認のところ「交換」ですって。そうでしょうねぇ・・










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前面の文字「O」が抜けていますね。全部剥離してから入れ直します。











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シンクロターミナルの中心(黒モールド)が抜けています。ここはカシメが甘く、強く挿入すると抜けてしまう個体が多いです。再カシメをします。










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前面の色入れを落してあります。これからトップ面と一緒に色入れのやり直しです。











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FT本体は完成。付属の40mmですが、グリスの流化が進んでおり、ピントリングはスカスカ、ガタも大きく出ていました。鏡胴は清掃グリスの入れ替え、絞り羽根は洗浄を完了したところ。







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40mmはカビの清掃をして組み立てました。ピントリングのガタは最少で、全く気にならない程度です。トップカバーの色入れ、アイビース枠を交換して本来の姿に戻ったところ。







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最初の印象からは仕上がってみると悪くはない個体です。ハーフミラー交換でファインダーすっきり、露出計も元気です。ただし、お父様の思い出が無くなってしまったかもしれませんね。これから大切にされてください。
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Zuiko 40mm 100mmのメンテナンスの巻

2014年05月25日 18時13分46秒 | インポート

Img_437185PEN用Zuikoレンズのメンテナンスをします。持病のヘリコイドガタやピントリングの回転重いなどが多いですね。40mmの方は、かなり強めのヘリコイドガタが出ています。










Img_437022あっ、これね。これはそのうちレストアをしようと思って入手しておいたセイコー・スポーツタイマー6139-7010です。文字盤が黒一色で航空機の計器のようで好きです。純正の風防ガラスはINOBOOさん経由で確保して頂いていますので、巻真、リュウズなどが揃い次第レストアをする予定です。ナイロンベルトを着けて、夏はクロノですね。




Img_437257 現存の殆どの個体に表れているヘリコイドガタはこのヘリコイドグリスが抜けているのとヘリコイドガイドのレール面の摩耗ですね。完全には修正することは難しいのですが、ヘリコイドグリスの入れ替えで対応します。







Img_437358 こちらは100mmです。このレンズも分解しにくいレンズですが、絞りリングの回転が異常に重いというかスムーズでない。原因は、クリック用のスチールボールのバネが折れているため。バネが直接露出して相手面を損傷しています。バネの交換と清掃グリス塗布です。その他、ピントリングの回転が重いレンズが多いですね。ヘリコイドグリスの変質ですので、背面からすべて分解をしてグリスの交換をします。



Img_437561 組み立て完成。本来100mmの絞りリングは絞りレバーとリンケージで制御されており、軽くカチカチッと回るのが普通です。はい、軽く回っていますね。









Img_437658 PEN用レンズも程度の良いものが少なくなっていますので、定期的にメンテナンスを実施して状態を落さないように気を付けましょう。
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SEIKOスポーツマチック・カレンダー820を仕上げるの巻

2014年05月22日 15時31分55秒 | インポート

Img_433464初期の非防水ケース仕様のセイコー自動巻きが来ていますよ。4個来ていて、良いとこ取りで組むようにとのご指示です。しかし、問題もありますね。オーナーさんとしてはAを基本とお考えのようですが、ケースの研磨とのことですが、20ミクロンのめっきは、実用品として使われた個体ですから、すでに角部は母材の真鍮が露出しているのです。ぱっと見ると、くすんでいるだけのようにも見えますね。




Img_433551そのAですが、振っても全く作動しませんね。













Img_433799 Seoko Sportsmatic calrnder 820でキャリバーは820です。裏蓋を開けて機械を点検します。回転錘を分離して見ると、自動巻き機構を地板に留める3本のビスのうち1本が欠落しています。どこへ行ったか・・










Img_433924 見ますかね? テンプと受けの間に落ちて、天輪を止めています。ハック機能みたいになっているわけです。取り除いても元気には動き出しませんでした。しかし、油切れの状態にあるだけと思います。









Img_434057 Bも同じ820ですが、アシストをするとヨタヨタと動き出して止まります。しかし、自動巻きの回転錘(ローター)のベアリングがガタガタに摩耗しています。相当長い間酷使されたものと判断します。機械もきれいではないのでまずは除外かな?








Img_434167 Cですが、機械をよく見てくださいよ。これもスポーツマチックではありますがキャリバー2451で基礎キャリバーは6619Aという66系の別の機械です。よって,混用はできませんので除外です。









Img_434224 Dですが、ABと同じ機械ですがキャリバー№は7625Aです。基礎キャリバーは7606Aで、76系の機械です。ゼンマイを巻くと良好に作動を始めました。










Img_434367 ということで、ベースはAかDということになりますが、回転錘と受けとの接触具合が(本来は接触しない)Dの方が軽度なので、機械的な疲労は少ないと判断しましたので、Dを使うことにします。この76系の機械は、私が現在使っているチャンピオン860と基本的には同じ機械で、この機械に自動巻き機構を載せたものです。5振動としては非常に優秀な機械だと思います。Aも油切れ状態で、O/Hで復活すると思います。




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ケースはオーナーさんが新品の風防に交換してありましたが、観察すると一か所に大きな打痕があり、ベゼル自体が歪んでいます。この状態ですと衝撃を受けると風防が脱落する危険性があります。修正をしておきます。







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使用するケースを軽く磨いてあります。機械や文字板などを選んで洗浄したところ。これから組み立てていきます。







Img_435448 機械は手慣れた76系ですので、特に問題はなく組んでいきます。












Img_435552 ひっくり返した表側。カレンダー送りの爪をセットして、バネをセットと思ったところで撮影が気になってバネを飛ばしてしまいました。捜索は週末にするとして、手持ちの純正バネで組みます。しかし、バネの蓄力にはいつも驚いてしまいます。あっという間に霧の彼方へ飛んで行ってしまいます。ピンセットの手入れを怠ったつけです。





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オーナさん指定の文字板を付けましたが、過去の分解で変形があって劣化も進んでいます。表面の汚れも多くありますが拭くことはできません。









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針にも汚れ(腐食)がありますのでアルコールで拭き上げておきます。











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ケースにセットして歩度の調整をしていますが、この頃の製品は、片振り調整機構がありません。ヒゲゼンマイの状態もあって、ビート位置がずれてしまいます。ヒゲと緩急針を微妙に調整しながら追い込んでいきます。







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自動巻き機構のマジックレバーやベアリングに注油をしてセットして見ましたが・・。ダメですね。ローター軸を回転させても伝エ車が回転しません。マジックレバーの爪も摩耗をしているのでしょう。これでは巻き上げができませんので、他の個体から調達することにします。






Img_436355マジックレバーと伝エ車は交換をして快調に巻き上げが出来ています。歩度調整の追い込みはもう少し続けますが、組み立てとしてはこれで完成とします。まだ非防水ケースではありますが、オートマチックとして1963-6月から生産されたモデルですが、この個体は1963-12月の初期に属する個体でしょう。文字板12時にコママークがオートマチックの印で初期にのみあります。当時はまだ金めっき(EGP)ケースが一般的でしたので、国産の大衆向け製品としては酷使された個体が多く、現存機のケースの状態は良くありません。しかし、それが実用品としての国産腕時計の正しい姿でしょう。画像のリュウズは針回しをしていたので引いた状態ですが、本来は、オートマチックで巻き上げがいらないということで、敢えてリュズは4時の位置でケース内に収まります。この頃のラグ幅は現在では主流ではない19mmが多く使われています。立派で安定感はありますね。金時計には定番のカーフのチョコ色ベルトをセットしてみました。なんでもオートマチックが流行りだした頃の記憶が残る良い雰囲気の腕時計。オートマチック、カレンダー付と、現在でも充分実用が可能です。http://www6.ocn.ne.jp/~tomys800/

20140523122419_2余談ですが、別の仕事でいつも通る八王子の道を通りかかると、警察官と報道関係のカメラが並んでいるところに出会いました。どうも、大阪の不明女性が貸コンテナに遺棄されていたようです。知らずに通っていましたが、どこに事件があるか分からない世の中です。


再開は巻き上げ不能のPEN-FTの巻

2014年05月19日 22時14分21秒 | インポート

Img_431222_2いやぁ、win8には戸惑いましたよ。ビジネスで使わない理由が良くわかりました。で、やっと仮復旧をすることができましたので、ぼちぼちとUPを再開していきます。

再開の最初としてはちょっと問題の有りそうな個体が来ました。20万代のPEN-FTですが、突然巻き上げが固着したようです。なるほど巻けませんね。というかすでに巻き上げは完了しているようです。





Img_431351その前に気になるのは・・。露出計は不良で全反射ミラーに交換とのことでしたが、純正のCdsは取り去られて、汎用の素子を取り付けてありますね。しかし、シャッターダイヤルとの連動が外れていますので、ご苦労様という状態です。また、ハーフミラーも汎用のミラーから作られています。こういう方法もあるとは思いますね。







Img_431488前板を分離してシャッターを点検します。特に問題はなく作動はします。ミラーユニットも渋い動きではありますが正常な作動をしています。全体的な潤滑不足のため、突発的にフリーズ状態に陥ったのでしょう。露出計はご覧のようにCdsが取り去られています。本当に不良だったのかなぁ? ハーフミラーもこのミラーではファインダーは暗いでしょうね。これはFV仕様が相当でしょうね。





Img_431664すべて分解洗浄のうえ組み立てていきます。分解をしながらチェックをしていきましたが、巻き上げ機構に原因不明の作動の重さを感じました。ユニットを洗浄点検しながら注油をして組み込みます。










Img_431766シャッターユニットも特に異常はありません。通常のメンテナンスで組み込みます。ロアースプロケットをセットして巻き上げと連動させます。しかし、クマちゃんみたいに見えますね。










Img_431877一般的に、リターンミラーの腐食は白く腐食するのですが、このようになるものもあります 。撮影には影響はありませんが、オーナーさんのご希望により交換することにします。リターンミラーユニットは超音波洗浄をします。








Img_431957腐食をした古いミラーを分離したところ。接着剤をきれいに除去をして平滑面の戻しておきます。












Img_432091 新しいミラーを接着して前板に組み込みます。












Img_432154 ファインダーのルーペですが、組み立てはCリングによる変更後のタイプですが、このCリングのセット位置が違います。過去に分解清掃されたようですが、レンズに円周上の曇りがあり(製造上の原因でしょうか? 結構見ます)、それを清掃しようとゴシゴシやったようでコーティングが傷だらけとなっています。実用上は問題はありませんが、気分が良くないので交換します。





Img_432288 見えないかなぁ・・交換をしたレンズです。Cリングの位置はこれが正規。












Img_432367 次も厄介です。純正のCdsを取り去って改造をした部品ですから削られた部分がありますが問題はこれではミラーが取り付かないのです。










Img_432457 この部品が欠落していますので在庫から追加しておきます。(全反射ミラーに交換)これは逆入射光防止のためのグリットです。これがないとミラーが固定されません。まぁ、最後期には、全く違う露出計ユニットが採用されていますので、その時点ではグリットは存在しないのですが、米谷さんにお伺いをしても、頑なにそのユニットの存在は否定されていました。しかし、ちゃんと存在するんですよね。





Img_433086 まぁ、カタログにも、この方式をうたっていますのでね。












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とにかく、やむなく改造するケースもあるとは思いますが、私は極力オリジナルを尊重したいというだけです。結果的にFV仕様ですから、FV専用部品のミラー抑え板があればシンプルに組めるのですが、現在手持ちがないのでこのようにしておきます。そもそも、この露出計は組み方が不完全で、Cdsが機能をしても動きませんね。








Img_432622 他人様の手がけた個体はやりにくいです。これでメカの組み立ては終了。











Img_433225ファインダーのピント調整や他のチェックをして完成です。当初、150mm装着でフリーズ気味とのことでしたが、絞り口径が大きいので作動トルクは大き目ですから、トルクの弱っている本体ではフリーズする可能性があります。この個体は、シャッタースプリングが改良前の個体としては、トルクは良好な方で、問題なく作動しています。
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