今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

二眼レフflexaret automatジャンクをレストアするの巻

2014年08月31日 21時00分43秒 | インポート

Img_498255最近、一癖あるようなカメラばかり来るような気がするなぁ。。見慣れない二眼レフが来ています。フレクサットというカメラで、チェコスロバキア製です。懐かしいなぁ。共産圏のチャフラフスカ選手の国だね。で、状態は最悪に近い。見事にどこといって稼働するところがなく固着状態です。レンズも前玉が汚れによる曇りというよりは、ガラスがブラストをしたように荒れている感じですね。さて、このカメラ、裏蓋の開け方知ってる?


Img_498394 取りあえずレンズを取り外してシャッターを動かします。レンズはベラーレンズ3.5/80で、シャッターはプロンターSVSが付いていますね。30φのレンチがないのでゴムベルトで外します。







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レンズは後玉にも曇りがありますね。シャッターは過去に分解されています。シャッター羽根が完全に固着した状態で、フリコのピントレバーも固着しています。








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レンズの外周部分が特に荒れていますね。これは軽く研磨することになります。












Img_498715ビューレンズも分離しました。こちらも曇りが多いです。内部のミラーはめっきの劣化が進んでいて、ファインダーはかなり暗そうですね。










Img_499275シャッターは清掃注油で作動状態としてあります。ヘリコイドグリスの劣化による固着を清掃して新しいグリスを入れてありますが、画像のビューレンズのねじ部やレンズ押えにも細かな砂が混入しています。じゃりじゃりの状態。細かい髪の毛が混入していましたが、元のオーナーさんはブラウン色の髪の毛ですね。






Img_499352分解したところ。前玉はすでに研磨してあります。














Img_499425ミラーの劣化もあると思いますが暗いですね。しかし、ピントの山は確認できます。











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ピント用の拡大ルーペも曇りがありましたので研磨してあります。











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裏蓋は親指のノブネジを緩めて押せば開きます。ネジを締め込んでおけば、不用意に蓋が開く事故を防げます。










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現在は存在しない国名ですね。現在はチェコ共和国とスロバキア共和国に分かれています。









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プロンター付は少ないのでしょうかね。仕上がって見れば、特に損傷はない個体でしたが、シボ革はかなり黄ばんでいるようです。










Img_499614巻上げダイヤル側。セルフコッキング式ですが、巻き上げ感触はかなり重いですね。内部のリンケージをO/Hすれば、もう少し軽くなるのかも知れませんが、シボ革が剥離に耐えないと判断して断念しました。レリーズボタン上の丸レバーはロック機構。
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TUDOR プリンスオイスターデイトを修理するの巻

2014年08月28日 19時25分38秒 | インポート

Img_488603_2ロレックスの廉価版の チュードル2846です。使用時とワインダー装着時にも原因不明の止まりが発生するとのことです。









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自動巻きのカレンダー付ですが、機械はスイスETA Cal2846を搭載しています。文字盤は私の好きな落ち着いた紺色ですね。しかし、高級機にしては、文字盤の細部の仕上げが甘い感じがして、こんなものなのかなぁ? もしかしてリダンなどの可能性もあるかも知れませんね。






Img_495584自動巻き機構を分離して点検しながら分解をしていきます。じつは、止まりの原因が10時位置の日送車だったことに気が付いていません。










Img_495853中々仕上げのきれいな機械ですけど、各受けを留めるネジの頭が小さくて、過去の分解でスリ割りが破損しています。











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全て洗浄をして組み立てていきます。止まりがあるので、各歯車に損傷が無いかを注意深く確認しています。











Img_496196特に損傷は見当たりません。













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天真に多少の摩耗がありますが、元気よく動き始めました。しかし・・










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日の裏側の歯車を組んで文字盤と針を着けてエージングで様子を見ました。が、止まりが発生しました。どうも日の裏側に原因がありそうです。










Img_496711不調の原因として目星をつけたのが日送車。回転が一部重くなる場所があります。これによって、ゼンマイのトルクが食われて止まり現象が出るのでは・・回転をスムーズに改善してからは止まり現象は出ていません。








Img_497364ケーシングをして自動巻き機構を取り付けました。本体よりも自動巻き機構に摩耗によるガタが目立ちます。オーナーさんはワインダーを使用されているとのことですが、過度の使用は摩耗を進めることもありますのでお気を付けください。








Img_497411裏蓋のパッキンにシリコングリスを塗布して取り付けました。サブマリーナのようなこれ見よがしでない大人しいデザインが国産時計のようで違和感がありませんね。12時位置に大きなバラが特徴のモデルですね。
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トプコンRとKallo Wの修理とメンテナンスの巻

2014年08月24日 21時51分42秒 | インポート

Img_492015東京光学と言えば陸軍の光学兵器を作っていた軍需企業なのかな? 家にも父が除隊の時に持って来た照準器が有ったような・・で、ペンタプリズム式一眼レフの初期に発売されたトプコンRというカメラですね。なんでも、巻き上げが出来なくなってしまったとのこと。構造的に、巻き上げレバーはフィルムカウンターによって抑えられており、それが緩むとリターンスプリング(ゼンマイ)やらが外れてセッティングがひっちゃかめっちゃかになってしまうのね。

Img_492115_2点検のところ、シャッター幕は劣化ぎみですが作動はしますね。但し、幕速が上がらないようです。逆転防止バネなどの位置合わせをして巻き上げレバー座を組み込んでいます。








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スクリーンとコンデンサーにカビが生えていますので清掃をします。












Img_492864カバーを付けてシャッターダイヤル、巻き上げレバー、フィルムカウンターを取り付けます。ペンタプリズムも清掃をしてあります。キヤノンF-1と同じスライド式なんですね。しかし、巨大なボディーです。









Img_493267レンズが面白いですね。半自動絞りで、シャッターを切った後は絞り羽根は自動で復帰せず、レバーで解放する方式。











Img_493387レリーズボタンを押すとピンセット先のレバーが解除されてシャッター幕より早く絞りが作動します。しかし、過去にレバーの動きが悪く、お父様の行きつけのカメラ屋さんでいじったら調子が悪くなったということでしたが、真鍮が削られていますね。安易に部品を削ることは慎むべきだなぁ。原因が他にあるはずですから・・






Img_493487レバーの作動不良は原因が二つありそうです。一つは内部のリンケージの問題。もう一つはレバーのカシメが外れていること。画像は正規の位置にしたところで、絞りダイヤルとは干渉していない。









Img_493524レバーを動かすとカシメが外れているので絞りリングと接触してしまうので、ゴリゴリッとした感触になるのです。











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見えるかなぁ? レンズの外側部分でカシメが外れていますね。












Img_492934 さすがに兵器メーカー。作りはがっちりとしていますね。ニコンと同様、元が民生品メーカーとは違うところ。戦闘中に壊れたら使い物にならないですからね。









Img_494182_2KOWAのKallo W。こちらも巻き上げの不確実や距離計のズレなどがあるようです。なんと、巻き上げレバーを巻くと、無垢の真鍮角棒がのそっとスライドしてシャッターをチャージしていますね。非常に原始的な機構でガタも多いようです。








Img_494225距離計のズレをご指摘頂いていましたので調整をしていきます。古い松脂のようなネジロックをゆっくり溶かしてからの作業です。無理は禁物・・










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各レンズとミラーも清掃しておきます。ハーフミラーはメッキの劣化があるので慎重に作業をします。










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巻上げでミスするような感じになる時がある。とのご指摘。シャッター羽根の張り付きも考えられるので清掃をします。その他、巻き上げテストを繰り返していると、チャージレバーが外れる現象が発生しました。レバーの接触部分が少ないのが原因です。







Img_494576取りあえずシャッターのメンテナンスから始めます。












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こんな感じです。シャッターレバーの板厚の半分しか掛かっていません。しかも、ガタがあるので、力が掛かると接祝部分が逃げて外れてしまうのです。










Img_494718熱処理の入っている部品ですから曲げることも出来ません。何とかガタ量を減らす以外に方法がありません。











Img_494977何とか搭載して、リンケージのグリスUP、ファインダーのカバーが失われていますので、想像で作って接着をしておきます。











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巻き上げ軸とレバーの取付け部は華奢な構造で、工場で加工したものか、4か所にポンチを打って軸を拡大させて固定を強化してあります。ピンセット先のリン青銅片も入っていましたので、同様に挟んで固定します。






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こんな感じで完成です。













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各部を磨いておきますよ。本体側のデザインのリブ部分が酸化していますので、研磨剤で磨いて光らせています。

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SEIKO・エクストラフラットをレストアするの巻

2014年08月20日 22時48分34秒 | インポート

Img_488722連休の間に頑張りましたので、ちょっとサボっていました。カメラの予定もあるのですが、気分転換に手持ちの時計をレストアすることにします。SEIKO EXTRA FLAT というスモセコ最後のモデル。機械は新10Bで亀戸製です。新10Bの製造開始は1948年ですから、戦後復興の最初の時計というところでしょう。このエクストラフラットはケースが大型化していますので50年代に入ってからの製品でしょう。すでに中三針のスーパーが1950年に発売されていますから、しばらくは並行で生産されていたものと思われます。で、状態は不動で点検のところ天真が折れています。

Img_488987風防の劣化がすごいことになっていまして、文字盤がよく見えない状態でしたが、意外に文字盤の程度はこの時代の個体としては悪くはないのはラッキーでした。28.2mmのトキライトが手持ちにないので、ベゼルを磨いて汎用の風防をセットしたところ。現在、入手可能の風防は角と袴の部分が緩やかなドーム形状ではないので気に入りませんが・・




Img_489065ケースが大型化をしたので、結果的に薄く見えるのが良く分かりますね。ラグの1本が曲がっていました。冷間で修正をすると折れる可能性があるので熱を加えて少しずつ修正をしました。軽く研磨とヘアーラインを入れます。鶴のマークがありますので、純正のケースです。この手のケースは磨く部分が少ないので楽ちんです。







Img_489325では、テンプを分解していきます。まずヒゲゼンマイを分離します。












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振り座を分離します。













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天真を抜きます。












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これで分解完了。天真の上ホゾが折れて下ホゾも摩耗しています。これでは動きませんね。











Img_489851新しい天真と比較します。といっても見えませんね。新品のホゾは長いです。











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ポンス台にて組立をしましたが、画像を撮り忘れていました。(暑いので) 地板に受けでセットしてあがきなどを確認します。非常にスムーズに回転しています。










Img_490162振れ見にセットして、バランスと振れをチェックします。非常に良好です。












Img_490285ヒゲゼンマイを取付けてテンプ完成。ふぅ、あとは普通に組み立てて行くだけですね。











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え~と、ちょっとご連絡を入れさせてください。チュードルの北海道の渡〇さん。メールをお送りしていますが、何かの問題でエラーメールとなって、そちらに届いていないようです。(ご返事がないので)お手数ですが、ご連絡したいことがありますので、一度メールを頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。



Img_490392香箱、輪列に注油をしながら組み立てていきます。石数は少ない割には異常摩耗はなく一安心です。











Img_490776 最後にテンプ周辺を組んでみると・・スムーズに動いてくれない。ヒゲゼンマイの接触などを修正しても改善しない。アンクルを観察してみると、なんとアンクル竿部分が曲げられていることが判明。その他に、テンプ受けも天真の摩耗を修正するために距離を短く曲げられていましたので、それらの辻褄を合わせるために曲げられたのでしょう。昔の修理では良く行われていたようです。左が曲がったアンクル。これを修正します。



Img_490925古い機械ですから、途中の修理でオリジナルを崩す工作をされているケースが多いので一つずつオリジナルのセッティングに直していきます。そしてやっと各姿勢で安定した作動を示すようになってきました。








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風防の状態からすると文字盤は劣化が少ない方ですね。軽く磨いた針を取り付けます。しかし、6時は文字の殆どが見えないデザインは面白いですね。まぁ、分かりますけどね。








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ケーシングをした状態。Cal 新10Bです。チラネジ付の小径のテンプは、ちょこちょことした動きで安定性は今ひとつという感じですね。後のマーベルやクラウンなどでは、大型化されていきます。








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はい、こんな感じになります。やはり風防が少しミスマッチな感じです。











Img_491959 裏側。はまぐりケースって言うのかな? 丸っこい裏蓋は私は好きです。











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お約束のベルトをセットした画像。じつは、この個体にもジャバラベルトが付いていましたが、当時の植木等のステテコ腹巻スタイルには似合っていたのでしょうね。革ベルトにするとぐっと良くなります。セイコー最後のスモールセコンドモデルです。秒針が目立たないので時がゆっくりと流れていくような感じがして、これも捨てがたい魅力だと思いますね。
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紙ヤスリで削られたPEN-FTの巻

2014年08月16日 15時19分33秒 | インポート

Photoお盆休みも後半で、お客様の中でも旅行中の方もいらっしゃいますね。ご苦労様です。私はとうとう仕事漬けでしたね。しかし、関東地方は、一時の猛暑が収まり、雷雨など日が続くようになりました。季節の変わり目なんでしょうか? 北海道のINOBOOさんからは、朝方はTシャツ一枚では寒いとのメールが入っています。写真は、小麦の 収穫だそうです。作業で疲れ目、肩こりの身には、何とも雄大な景色ですね。映画「バルジ大作戦」で丘に戦車が並んで砲撃しているシーンを思い出したりして・・
Img_486588でね。FTが続いたので、この個体は不具合の箇所をUPすることに集中します。まず、トップカバーや小物部品が紙やすりで削られていますね。使い込まれた真鍮地が出た状態を再現したかったのでしょうか?








Img_486649トップカバーを開けると・・何やら紙テープが貼ってあります。過去の分解歴があります。










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下ギヤを分離した形跡(ネジロック) 電池室リード線腐食断線、それによりボタンロックが固着しています。










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ホコリの混入も多いです。











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露出計は不動の個体ですが、スプリングの掛かりが外れています。











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プリズムの汚れを拭こうとしてゴシゴシやったらコーティングが剥げて来たのでやめておいたというところでしょう。










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では、洗浄をして組立ます。露出計が作動するかは分かりませんが、電池室のリード線は新製しておきます。モルトを交換して組立。








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シャッターユニットは基本的には悪くはないですね。過去にプーリーの留めビスが緩んで、シャツタースピードが変わらなくなり修理を受けています。スローガバナーの負荷はピンセットで作動させてみれば分かります。






Img_487575 スクリーンの中央にカビがあってピントを合わせずらいとのご指摘有り。プリズムとスクリーンの隙間にカビが発生しています。スクリーンは洗浄します。









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洗浄と清掃が終わったところ。











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露出メーターはコイルは断線していません。メーターは健全でCdsの感度低下です。








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感度が低いのでFV仕様として全反射ミラーと交換しています。電池室からのリード線は、良品のメーターユニットと換装するときのために新製した状態にします。アイビース枠の留めビス部にクラックが入っていましたので補修をしてありますが、そもそも、FやFT初期までは頭に大きなスペシャルビスを使用していたものが、汎用のビスで組まれるようになったために、アイビース枠の取り付け穴が大き過ぎて、ビスを締め込むと頭が潜ってしまうためです。生産現場の判断かは知りませんけど、これは考えればダメなのは分かるでしょ。
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付属の38mmですが、絞りが自動で連動しないとのご指摘。原因は、レバーの腐食による固着。他の部分と違いクロメート処理ですから耐候性は悪いですが、それにしても派手に腐食していますね。処理が悪かったのでしょう。





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色々と問題がある個体でしたが、何とか仕上がりましたね。自動絞りが出来なくて、中央部が見にくいスクリーンでは撮影は大変だったでしょう。今度は楽に撮影できますよ。
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