今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

ローライ35系をやりますの巻 (2)

2024年07月24日 20時00分00秒 | ブログ

次も同じローライ35Tブラックですが#6326XXXと少し前の生産です。前回の個体はピントリングの距離目盛がmとftが上下に印刷されているタイプでしたが、こちらの個体は従来と同じ裏表に印刷されているタイプです。少しづつ仕様の変更があるようです。で、基本的に販売のためのメンテナンスですので、特に故障をしていなくても作業はします。この個体の場合はシャッターの低速不調とファインダーの汚れが目立ちますが、前回のような電池の液漏れはないのでその分、平和な個体です。

生産が数年違うだけで防塵用のテープの劣化も違います。ローライ35では、テープの糊が乾いて変質していますが、この個体はまだ機能をしています。

 

スプール・スプロケット軸の清掃とグリス塗布。完成したファインダーをセットします。(テープは貼り替えてありますよ)

 

この個体は分解歴はありませんが、遮光用の毛糸の接着が剥がれて撚りが開いています。

 

こういうのもちゃんと接着しておきます。

 

 

この頃は基板の絶縁テープはトップカバー側に貼られていますが、それはボロボロですので剥がして、基板に絶縁テープを貼っておきます。

 

前回も書きましたが、この長い足のバネはレリーズの復帰用ですが、このバネが弱っている個体が増えて、B(バルヴ)でシャッター羽根が閉じない故障になります。

 

シャッター関係はレンズのチリ汚れは宿命です。すべて分解清掃をして組み立てます。

 

完成したシャッターユニットを本体に取り付けます。

 

 

中々素性の良い個体でしたね。新品同様です。このようなコンディションの個体を見つけてくださいね。

 

で、残った時間でED14のパンタグラフの碍子を白く塗装しました。調色は面倒なのでPEN-FTブラックの彫刻文字用を使いました。

 

うん、やはり直流電機ですから碍子は白くないと。良い感じになって来ました。

 

次はオリジナルのローライ35ブラックですけどきれいですね。外観は新品かと思うほどで、気になるのはヘリコイドの回転ムラ程度です。このまま販売してもよいのではと思いますが・・その他、シャッターダイヤルと絞りダイヤルの中央の化粧ネジですが、普通のクロムメッキではなく梨地メッキ(クロムメッキには違いは無い)になっていますね。製造時期により、細かな仕様の変更があるようです。

では、露出計の作動をチェックしようと電池蓋を開けてみると・・あ~ぁ、ここのところ続いている電池の液漏れを起こしています。故意に液漏れの個体を集めてUPしているわけではありませんよ。それだけ電池の抜き忘れ放置が多いということ。それによって健全だったカメラが失われていくのです。

トップカバーを外して腐食の状態を見てみます。幸い、接片の部分は激しく腐食していますが、点検のところ接片を交換すればメーターは生きるようです。

 

少し長くなっているので他の部分は省略します。接片を取り出してみました、完全に腐食していて導通が取れません。

 

リン青銅板から作ることにします。ニッケルメッキをした方が完璧ですが、今回は省略します。

 

メーターは正常に作動するようになりました。

 

 

その他、いつもの作業とシャッターユニットを組み直して組立はほぼ終了。あとは前玉をセットして無限調整をします。

 

無限調整後に樹脂製のカバーリングを接着しますが、分解時に工具を差し込む? 用の切り欠きがありますね。この切り欠きの位置をどこに合わせるのか多くの個体を見ているのですが、決まりは無いのかな? とも思います。もちろん途中で分解を受けている個体も多いですからね。20分や40分が多いか? いや10分ぐらいもあるよな。工場で組み立てを担当した方のクセなんですかね? 詳しい方教えてください。

当然シンガポール製のブラックモデル#6029XXXなので外装はアルミ製ですが、傷や打痕など電池接片の腐食以外には全く欠点のない極美品です。資料用に私が欲しいぐらいですが、カメラ市までに残っていれば出品されると思いますがどうでしょうね。

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ローライ35系をやりますの巻

2024年07月23日 18時00分00秒 | ブログ

カメラ市用のローライ35系も必要とのことですのでしばらくローライ35系をやります。その前に、このような不具合がありました。白い樹脂の巻き止レバーですが、フィルムの装填時、巻き上げレバーではなくスプールで巻いた時に巻き止が掛からないという不具合です。調べてみると、レバーを作動させるバネが弱っているのが原因でした。

今回は巻き止レバーとバネをセットで交換しました。主観ですが、ローライ35に使われているバネは線径が細く、しかも足の部分が長い設計が多いので経時的にバネのテンションが弱くなったための不具合もあるような気がしますね。

ローライ35Tのブラック#6351XXXですが、新しい分外観の程度も悪くはないと思います。しかし、チェックのところメーターが動きません。35Tで動かないというのは後天的に何か原因がありそうです。

電池室をチェックします。接片に激しい腐食はありませんが、紙やすりのようなもので擦った痕があります。(画像では見にくい) ということは、過去に電池をセットしてもメーターが動かない現象があったということです。

別電源で作動を見ますがやはり作動しません。テスターで点検すると矢印2か所が断線しています。これは過去に軽い電池の液漏れがあったということで、むき出しのCds素子線がガスによって侵されたのです。このユニットは過去にすでに回路の修理を受けていました。左側の緑のリード線は純正ではありません。

Cdsを点検すると幸い正常ですので回路を修復するために一度Cdsをメーターケースから取り外します。

 

修理の終わったメーターユニットを取り付けました。正常に作動しています。その他、ファインダーの清掃とスプール軸の清掃グリス塗布などをしました。ファインダー上の地板の表面処理やネジがクロメートになっており、コストダウンが見て取れます。

ローライ35では表面処理をされているチャージレバーが、なんと真鍮地のままです。スプロケット軸はダイカストに直接はまっているので潤滑をしておきます。(潤滑が無いとダイカスト孔が拡大します)

電池の液漏れがあった個体は意外にもレンズにダメージが行きます。原因不明の汚れやコーティングの劣化が起きます。大量のグリスが劣化していてヘリコイドの回転が固着気味です。

中玉の絞り羽根側。見えませんがコーティングの汚れがあります。

 

 

レンズの清掃と絞りユニットを洗浄して再組立てをしました。

 

 

これも主観ですが、電池の液漏れがあった個体はレンズ周りの黒塗装が劣化しているものが多いようです。真鍮への塗装強度が弱いのかもしれません。腐食を取り除いてつや消し黒でタッチアップしておきます。

修正痕はあまり目立ちませんね。生産が新しい分、状態の良い個体が多いので、相場もローライ35とあまり変わらないようです。

 

合間を見てED14も進めています。現代の製品と比較してこの時代の鉄道模型はスケールやデティール的にも幼稚なところが多いですが、窓ガラスは無いのが普通(高級モデルは知りません)でした。そこで、ポリカーボネート製の透明板を使用して窓に合わせて貼ってみました。何か高級感? が上がりましたね。この材料は普通の塩ビ板より表面硬度が高いので(像が乗っても壊れない筆箱)傷がつきにくく、ローライ35のメーターガラス(内側)やローライフレックスのカウンター窓などに流用することが出来ます。

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限定修理のはずがの巻

2024年07月20日 17時00分00秒 | ブログ

ハーフミラー交換の限定修理でしたので画像を撮っておりませんでしたが、他にいろいろと問題が出て来て、限定修理の恐ろしさという感じです。ハーフミラーの交換を終えて電源のリード線を基板に半田付けしようとしましたが、芯線が腐食していて半田が乗りません。もしやと思い、電池室のリード線を点検すると・・あ~、これは電解液漏れを起こしています。

電池蓋を開けてみると・・あ~ぁ、画像ではそれほどに見えませんが、電解液が漏れて電池室内で結晶になっています。この状態でもメータの針は振れていたのです。ハーフミラー交換の前に、電池の管理はオーナーさんの責任です。いつもお書きしていますように、精密機械の内部で電解液が漏れた場合、どれだけの被害を与えるのかを認識していただきたいと思います。使用する電池によっても電解液の漏れは違うようですから、信頼できる電池を使いましょう。因みに私はクォーツ時計用の電池は時計メーカー純正の電池しか使いません。時計メーカー製は液漏れ対策をしてあるからです。

本来は工賃に入っていませんが、このままにしておくことは出来ません。悪いことに、普通、リード線の交換は古いリード線と新しいリード線を半田でつなぎ、古いリード線を引っ張って新しいリード線を通すのですが、スローガバナーとダイカストに挟まれてリード線が動きません。仕方ありませんので前板を分離することになります。こうなるとオーバーホールと変わりません。また、電解液に侵された電池接片はそのままでは半田が乗りません。画像はリード線を通したところ。

電池ケースなどを洗浄して組み立てたところ。

 

 

ハーフミラーを交換した場合は露出計の感度調整を行いますが、メーター針の初動の動きに引っかかりが有ります。このような場合は大概ピポットをいじられています。この個体は当初、未分解機と思いましたが、いじられていますね。中央ネジの緩み止め(赤)が壊されています。ここは通常は触ってはいけません。

その他、セルフタイマーの調整やプリズムの清掃、モルト交換をしてあります。

 

オーバーホール中の作業であれば問題ない作業でも、極力分解をしない状態での作業は返って困難を伴うことがあります。出来るだけ限定修理は避けたい理由です。

 

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カワイED14の巻

2024年07月19日 11時00分00秒 | ブログ

その前に、お取引のカメラ店様からローライ35のフィルム巻上げが重いとのお話がありました。フィルムが巻き取られた状態で来ましたが、スプールに妙に窮屈(変形)に巻き取られています。フィルムはFuMoToフィルムというのですかね。

昔のNEOPAN SSと比較するとフィルムの幅がFuMoTo 約34.95mm NEOPAN 34.80mm で、フィルムの厚みはFuMoTo 0.14mm NEOPAN 0.12mmでした。ローライ35のスプール幅は約34.85mmと狭いためとフィルムが厚い分だけ腰があってパトローネからの引き出しが重いようです。後のローライ35Tのスプール幅は35.25mmと、少し幅を広げたように思われますが、個体差や計測誤差もありますから一概には言えません。どちらにしても、ローライ35のような超小型のカメラに装填するには条件が厳しいのかも知れませんね。決して営業妨害の意図はなく私の感想です。

で、来月の運転会に持って行こうかと思っていたカワイモデルのED14ですが、現在バラバラの状態です。私の家には小学生の頃に同じED14がありましたが、今回の個体はかなり後期に生産されたもので組み立てキットとして販売されたものです。

まず、目につくのはデッキが車体側に取り付けられていることです。初期生産の個体は台車側に付いているので、急カーブを曲がるとデッキが大きく内側に向いてしまうという欠点がありました。

PS14のパンタ昇降はレバーで行うのは昔と一緒。しかし、メッキが妙にピカピカで、少しオーバースケール気味だった白い碍子が金属製になっています。これ交流用の碍子じゃないの?

台車の作りが全く異なります。古いモデルは真鍮の帯板を矩形に組んで、そこにデッキが取り付きます。この個体では普通のドロップ製に変わっています。

 

前所有者が台車のボルスターの取付けネジ(片側分)を紛失して頭の大きなネジで締め込んだため外板が変形しています。

 

これはメーカーの責任ですが、ボルスターを嵌めると中央梁よりボディーが広がってしまいます。これはボルスターを削って合わせるしかないですね。

 

後期の生産と言ってもライトはLEDではなく麦球です。ダイオードも含めて未組立ですので、このまま組むか、LED仕様にするか? このモデルは長い期間製造されましたが、メーカーのカワイモデルは日本の鉄道模型黎明期からの老舗でしたが、残念ながら最近閉店をされたようです。子供が小さい時に神田の交通博物館に行って、帰りにお店に寄るのが楽しみでした。

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また精工舎MXLの巻

2024年07月16日 20時00分00秒 | ブログ

コニカⅢですけど、前回と同じ精工舎のMXLを搭載していますね。この頃の多くの高級機に採用されていたのでしょう。例によってシャッター不動。シャッター羽根の張り付きもありますが、応急的に改善させてもチャージがロックしない。シャッターを開けてみると・・あぁ、惨憺たる状態です。セット環係止めバネがビョ~ンと伸びています。これではロックが掛かりません。何とか修正しようとしましたが無理でした。(折れた)

仮にバネを作って取り付けたところ。レバー関係も分解されていて曲がっていますので形状を修正しておきます。

 

その左隣りのシンクロ機構も分解を受けています。本来まっすくなヒゲバネがレバーにカシメられているはずが脱落しています。しかもL型をしていますね。オリジナルではないのかも知れません。ピアノ線で代用半田付けをしておきます。

1/500秒の補助バネも取り除いておきます。

 

 

恐らく、分解をして壊してしまい放棄をした個体なのでしょう。シャッター内に使われているバネはφ0.15mmなど極細で、代用で製作しても微妙にバネの強さが異なり、それがB(バルブ)レバーの作動に大きく影響をするのです。MXLのジャンクがあればオリジナルのバネ類を調達して交換した方が良いです。

国産であっても、この時代の精密機械は作りが良いですね。距離計のミラーに劣化がありません。この個体はfeet機ですので、海外にあったものが里帰りしたので光学系のコンディションが良いのでしょうか。しかし、あのシャッターの壊し方はいただけませんが・・

シンクロ部分も作り直しをしていますのでストロボの発光テストをしておきます。

 

前玉を分離すれば、意外に簡単にシャッターにアクセス出来るのが不運だったようです。何度も組み立てては正常に動かず、ロック機構を開け閉めした形跡があります。

 

恐らくシャッター羽根が張り付いたかの故障で、関係のない部分を分解しては壊したという状態で、全体的なコンディションは悪くはないという個体でした。

 

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