今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ・時計修理などについてご紹介します。
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こちらのFVは大丈夫? の巻

2021年11月30日 09時50分00秒 | ブログ

何故か同じモデルのご依頼が同時に入ることがあるものです。こちらのPEN-FV #1106XXは前回の個体より2カ月後の1967年4月の製造です。こちらも外観は非常にきれいな個体ですが、巻き上げが高頻度で「2回巻き上げ」になります。

 

この頃の個体に起こる劣化として「駒数ガラス」の樹脂の劣化により見えにくくなることがあります。色入れ工程での溶剤が悪影響を与えたものと思います。

 

圧板のカシメが片方外れています。これは良くある不良で、そもそもカシメピンの強度が足りず、無理に裏蓋から外そうとすると容易にカシメが外れてしまいます。皆さんはここには手を触れない方がよろしいです。補修はネジで留めることは可能です。

前回の個体の画像と比較して欲しいのですが、どこが異なるのか見比べてください。

 

 

では、ボディーを洗浄して組み立てて行きます。FVは電池は使いませんが、セルウケはFTと共通部品です。モルトを貼り替えて取り付けます。

 

スプロケットのギヤネジは緩みやすいのでネジロックを塗布してねじ込みます。

 

 

シャッターユニットを洗浄して点検します。チャージギヤ #1の内径と軸の前側に摩耗が認められます。

 

チャージギヤ(軸)の摩耗の他は問題のないユニットですが、スローガバナーはまだ改良前のユニットです。低速側へ無理な変速には気を付けなければなりません。

 

前板関係を点検して行きます。スクリーンの端にカビのようなものがあるのでプリズムを分離すると・・菌糸状のカビですね。清掃は可能です。しかし、このプリズムには中央一点に黒い腐食があります。PEN-FとFTの初期までのプリズムは腐食し易いのです。

全反射ミラーは意外に見にくい腐食はありませんが、オーナーさんのご希望により新品と交換します。

 

メカ部分の組立はほぼ終了。2回巻き上げは修正されています。

 

 

最後に駒数板を取り付けますが、この個体は初期型仕様のため駒数オサエがナット式になっていますが、中期以降は逆で駒数オサエがネジになります。理由? 普通にネジ式の方が組立易いからでしょ。

 

洗浄をしたアンダーカバーを取り付けますが、手前のボトムキャップがポロッと落ちて来ました。ここの接着が外れかかっている個体は意外にあります。まぁね私の手元にある時に取れて良かった。古い接着剤を落として再接着をしてあります。

圧板の新品ストックが、あと10個程度になりましたので、今回はネジで修復して使います。

 

駒数ガラスは数字が判読できる程度に研磨をしておきました。これより劣化が進むと内部までクラックが入り修正は出来なくなります。

 

付属の25mm/f2.8ですがオーナーさんの見立てよりレンズの状態は良くありません。

 

 

前玉2枚のバルサムが全体に劣化しています。これは清掃出来ません。

 

 

中玉は清掃出来ました。問題は後玉。結構カビと曇っていますよ。

 

 

2枚両方にカビと曇り有り。

 

 

分解して清掃をしました。僅かにカビ痕は残りました。

 

 

マウント部の汚れがひどいので清掃して取り付けます。

 

 

今回は私の都合で時間が掛かりました。巻き戻しノブが初期型FTと同じローレットタイプの初期型仕様FVとしては良好な個体と思います。くれぐれもシャッタースピード1/8から1/4に回す時はゆっくりと操作してください。

 

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疑惑のPEN-FVの巻

2021年11月29日 17時30分00秒 | ブログ

最近、PEN-FVを入手されたオーナーさんから「ファインダーの無限遠が出ていない」とのことでオーバーホールのご依頼を頂きました。シリアルは#1035XXと最初期の個体ですが、ご覧のようにカバーの傷やメッキの劣化も無く、非常にきれいな個体です。

しかし、私の過去ブログをご覧頂いたオーナーさんから、各部の仕様がおかしいのでは?とご指摘がありました。アンダーカバーを外してみると・・あれ、これは変ですね。#1035XXの製造は、おそらく製造開始の1967年2月付近と推測しますが、この個体に使われているダイカストボディーはFTでは30万台(1970年)付近のものです。しかし、ミラーユニットやリンケージは前期型(初期)のものになっています。なんで??

トップカバーを外してみると・・このネジ穴はFTのみにMX切換接片が付いているネジ穴で、FVでは接片は付いていないため使用されません。しかし、絶縁ワッシャーが締め込まれていた形跡があります。これはFTとして工場を出たボディーです。リード線が途中で繋いでありますが、これはFVは接片を経由しないためFT用リード線(赤)に直接繋げたのです。

巻上げレバーの「カクシイタ」はFTとFVでは露出計ユニットが無いため形状が異なりますが、接着痕を見るとFV用に貼り替えられた形跡があります。

 

ボタンドメのバネの形状が変ですね。これはFTとFVでは電池室の有る無しによって形状が異なりますが、何故かFV用を曲げているようです。

 

前面から見ると、ミラーボックスの前板が変です。これは前期型の前板です。ボディーと対の前板ならば+ネジになっていなければなりません。何故、前期型の前板を使ったのか?  1つには、セルフタイマーユニットは前期型と後期型では、2つの取付けネジの間隔が異なるので、前期型のセルフタイマーユニットを使用する場合は前期型の前板を使う必要があります。

問題のミラーユニット。無限調整のイモネジが痛んで曲げられています。これは無限調整が出来ないため、無理に曲げて調整を取ろうとしたようです。

 

接合部の内側をヤスリで削って調整を取ろうとした形跡があります。このカメラの無限調整範囲は非常に狭く、正常な部品の組合せで組んでも、ギリギリ調整が取れる個体もありますが、今回の場合、後期の30万台のダイカストボディーに前期型の前板を組み合わせたことで無限調整が取れなくなっていると思われます。ボディーと前板はセットで管理する必要があります。

シャッターユニットは後期のユニットです。以上の事から推理すると30万台のFTに初期型のFVの前板ASSYとFV専用部品を組み合わせて作った個体ということでしょう。

最終的にオーナーさんのご判断により、オーバーホール作業は中止となりました。誠に残念な個体でした。

製造開始年月の個体は非常に貴重ですので、同年月製造のFT(#125000付近)と組み合わせて完全復元をして行こうかと考えています。

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PEN用ズイコーレンズの巻

2021年11月25日 13時22分15秒 | ブログ

持ってる人は持ってるのね。私は持っていませんがPEN用ズイコーレンズ群が点検で来ています。製造時期はバラバラです。まずは標準の38mmですが製造は設計変更後の後期です。

 

マウントのネジが痛んでいますので過去に分解歴がありますが、ピントリングの回転が重いです。硬いグリスを追加されたのかな?

 

38mmパンケーキですが、状態は悪くはありません。但し、ヘリコイドグリスが抜けるのは持病ですので、レンズの清掃とグリス交換です。

 

グリス交換をしました。

 

 

同じ38mmでもマクロです。最短でこれだけ伸びます。沈胴部を収納するために大径ですが、レンズ自体は小径なので重量は軽めです。清掃をします。

 

これは100mmですが、前群の曇り汚れとピントリングの回転が重いです。100mmは他のレンズと構造が異なりますので分解方法が異なります。

 

全群一帯が奥で固定されるため、前面カバーから多くのホコリが混入しています。

 

 

前群の分解。ズイコーレンズの鬼の接着のため、簡単には緩みません。

 

 

問題は前玉の裏側のコーティング劣化でした。僅かに白濁気味ですが撮影は問題ありません。

 

ピントリングにアタリがあるようで、回転時に擦る音があります。回転重いの原因でしょう。絞りリングからF用のレンズです。

 

その他、60mmもありましたが、特に問題は無いので作業は見合わせました。なかなか所有している方は少ないレンズです。

 

 

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リコーオートハーフ・ゾーンフォーカスの巻

2021年11月23日 19時40分00秒 | ブログ

同じオーナーさんからリコーオートハーフですが、1962年に発売された初代モデルのレンズをゾーンフォーカスにしたモデルです。私はこのデザインを見ると貫通幌の電車の先頭部に見えてしまいます。特にゾーンフォーカスですので、レンズが出っ張り気味のためレンズキャップも通常のものよりラウンドして盛り上がっています。裏蓋を含めてグレーの配色は私は好きですね。

初代は裏蓋は取り外し式でしたが、ゾーンフォーカスでは一般的な蝶番式に改められています。しかし、カバーの板厚が薄いため、裏蓋を無理に開くと容易に変形してしまいます。

 

内側からみると盛り上がっています。

 

 

セレンの状態が心配でしたが、メーター針は動いています。

 

 

裏蓋のモルトは劣化していますので古いモルトを取り除いて貼り直しをしますが、初期のモデルはモルトを貼る面積が小さいので助かります。

 

このモデルで多い不具合はファインダーの曇りです。ファインダー内にメーター針を収納する関係で、密閉構造に出来ず、外気と通じているのが原因です。対物レンズを分離して清掃をします。

 

現状でのメーター感度は、ほぼ補正しなくても良い状態ですが、2.3kΩの調整抵抗が入っていましたので将来の補正に余裕があります。メーカによってセレンの弱いモデルもありますが、リコーは比較的丈夫なように思います。

 

対物レンズを清掃接着の上、本体に取付けましたが、メーター針と干渉しないように注意して作業をします。メーターは触れています。ゾーンフォーカスのレンズは固着状態でした。ファインダー内の表示と連動するため、レンズ外周のカムにピンが摺動するので、余計にレンズの回転がスムーズではありません。

裏蓋のモルトは貼り替えました。

 

 

蝶番部の変形は修正しましたが、少し形跡は残ります。

 

 

この個体は輸出されて里帰りをした個体ですね。

 

 

額の新聞記事は1962年の世界グランプリで名手デグナー選手によりチャンピオンを獲得したスズキの工場レーサーRM62です。翌年のモデルRM63が私の大好きなレーサーで、若い頃に同様なシルエットのレーサーで富士スピードウェイなどを走っておりました。日本が色々な分野で世界で活躍しだした頃の良き時代です。

 

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リコー500RFの巻

2021年11月19日 11時00分00秒 | ブログ

キャノネットG-Ⅲのワインダー付き? と思いきや。リコーファンのご常連さんが入手されたリコー500RFでした。

 

80年代のカメラと思いますが、キャノネットと同じ台湾での製造です。しかし、ボクシーなデザインにワインダーが似合ってブラックモデルということもあってカッコ良いですね。製造が新しい?ので作動には特に問題はなく、点検とメンテナンスをしていきます。

オーソドックスな針押さえ式AE、距離計連動のファインダーです。

 

 

ファインダーのミラーが曇り気味ですので清掃をしておきます。

 

 

ワインダーとの連動カップリングがありますので底部のメカは少し複雑です。グリスがカラカラの状態です。過酷なワインダー巻上げをするので清掃とグリス塗布をしておきます。

 

裏蓋のモルトが劣化していますので取り除いて貼り替えますが、このモルトは接着ではなく両面テープ貼りで、80年代と言うこともあって溶剤を付けると強力な接着力が復活してしまい、完全清掃には時間が掛かりました。

で、新しいモルトに貼り替え完了。

 

 

こういうところにもコストダウンが進んでいるのですね。リングナットは樹脂製です。まぁ、分解が簡単でキズも目立たないメリットはありますが・・レンズを清掃しておきます。

 

問題のワインダーです。さてケースを分離するのにどこに隠しネジがあるか・・

 

 

腕時計の部品に慣れていると巨大なゼンマイが現れましした。清掃の上、軸の注油とギヤにグリスを塗布しておきます。

 

巻上げはこのレバーを時計方向に回します。操作感はよろしいです。

 

 

巻上げレバーの収納固定には、テンションの掛かったコロが使われています。

 

 

このレバーを下げると巻上げがONになります。

 

 

過去にもINOBOOさん所有のシルバーモデルを取り上げたことがあります。海外では人気があるモデルですが、国内でブラックモデルで美品に近いコンディションの個体は入手は難しいでしょうね。

 

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