今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

ED14の調整の巻

2024年11月05日 15時00分00秒 | ブログ

また運転会が近いので、作業の合間に前回不具合の手直しをしておきたいと思います。前回の運転会では、ポイント通過時に下回りのどこかが接触をして正常に通過出来ないというトラブルがありました。うちには直線レールしかないので発見できなかったのです。

当初から気になっていたのは・・キットに入っていた純正のモーターなのに、組み立てるとウォームギヤから1.5mmほどシャフトが飛び出しています。

 

レールに乗せるとこれだけクリアランスはあるのですが・・

 

 

そこで、飛び出しているシャフトを削りました。

 

 

台車を車体に取り付けたところ。

 

 

もう一つの可能性は、現在では殆ど使われないベーカーカプラーが付いていますが、部分がポイントに接触をする可能性。

 

厚ワッシャーを1枚噛まして取り付けてみます。

 

 

多少差がありますかね?

 

 

これで再度レイアウトに挑戦してみます。

 

 

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汚れ放題PEN-Wの巻

2024年11月03日 10時00分00秒 | ブログ

カメラはこれほど汚れるのかと言うほど汚れたPEN-Wが2台来ました。手前の牛の鼻輪の方#100238が程度がよろしくないのでこちらを取り上げます。

 

過去に分解を受けていますがファインダーの汚れが激しいです。

 

 

70年代頃までは私も車の計器表示に使用をしていたダイモテープでオーナー名が貼られたままですね。これオランダのメーカーだったかな? 現在でも所有しています。

 

シャッターユニットは分離されているのでしょう。ネジが1本規格外です。

 

とりあえず分解の上、洗浄しましたが、まっ茶色の汚れ水が出ました。ただ撮影するだけでここまで汚れるかなぁ??

 

いつものようにスプロケット・スプール軸から組み立てて行きます。スプロケットはまだアルミ製です。

 

事前にシャッターの作動を見て置かなかった。見当は付いているのでですけど案の定動きません。

 

すへで分解洗浄で組み立てて行きます。外観の割にはシャッター羽根の腐食などはなく良好です。

 

レンズを分解していきます。うちのPEN-Wマニアさんからのお問い合わせで、絞りの表示部分だけ交換が出来るか? とのことですが、中央の部品を交換することは可能です。

 

このブレートはクリック接点との接触面なので、中央のレングと強くカシメられているので、プレートのみの分離は出来ません。このクリック機構はPEN-W独自のもので、PEN-Sとは構造が異なります。

問題はレンズですね。後玉のリングは開けられた形跡があります。

 

 

内側から見ます。良くあるバル切れと言うよりはコーティングの不良なのか? しかし、最近はバルサムをやり直す方もいらっしゃるようなので、オリジナルなのかも分かりません。画像は撮り忘れましたが、前玉に部分的な曇りがあり、バル切れかと思いましたが、コーティングの劣化でした。

ある意味、PEN-Wでは仕方がないのですね。レンズを本体に取りつけで∞調整をします。距離リングのイモネジ孔も何度もいじられてねじが拡大しています。

 

意外にもファインダーはカバーは分離されていましたが、レンズの分離はされていませんでした。光枠の接着が脱落(結構あります)していましたので調整して接着しました。

 

裏蓋開閉鍵の回転にグリス感がありません。使い込まれた個体に多い症状です。分解洗浄で細かな砂などを取り除き、グリス塗布で組み立てます。

 

シャッターは快調なんですけどねぇ・・鼻輪のPEN-Wは完成です。実用とはいえ、このセンスは・・1964年7月製。

 

2台目は#1070XXと少し後の製造。なんと純正フードが付いていますね。販売時にお店が付けて販売するかは分かりませんけど・・

 

こちらの個体も汚れてはいるのですがレンズも含めて悪くはないと思います。オーナーに恵まれなかっただけという感じ。フード付きで販売されたら狙い目かと思います。

 

何も問題は無いのですっ飛ばしてここまで組みました。素性の良い個体です。

 

レンズは後玉のバルサム黄変は若干ありますが、清掃で全体的には90点ぐらいですかね。

 

清掃をしたファインダーを取り付けて本体にドッキングします。

 

 

貴重な純正フィルターですが、若干真円が崩れていて装着が固い感じ。しかし、実用には問題ありません。このセットで販売がされるかは分かりませんが買いの個体だと思います。

 

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ローライフレックスT他の巻

2024年10月31日 15時00分00秒 | ブログ

朝方は少し寒くなって来たのにまだ台風が来るとか。最近の気候はおかしいですね。作業はボチボチとやっていますが、これと言って取り上げる話題もあまりありませんので色々混ぜて・・ローライフレックスにTと言うモデルがありますが、ローライフレックスとローライコードの中間のような中途半端なカメラです。シャッターのレリーズなどは4X4と同じ横型を取り入れていますが、内部の構造もかなり特殊です。一般的なローライフレックスの巻上げ部の景色は画像のようなものですが・・

Tの場合は全く異なる設計になっています。巻き上げ軸に貫通しているロック爪によりギヤを駆動するしくみ。部品点数はこちらの方が少ないので合理的な設計ではあるのですかね?

 

巻上げが重いとのことで、古いグリスを清掃して巻き上げ軸とギヤに新しいグリスを塗布して組み立てます。

 

絞り/スピード表示はコストダウンの目的か、画像のように樹脂のリボンになっています。このリボンは乱暴に組み立てると部品とリボンが干渉して切れたりすることがあり補修が難しいので慎重に作業をします。

ベビーローライと同様の横向きレリーズボタンでシンクロ接点も同じ構造になっています。2本の抜け止めピンを所定の部分にセットしナットで固定します。書くと簡単、やってみると・・

これはローライコードⅤbですが、チャージレバーの動きが重い個体がありますが、シャッターユニットとの接合部に下手にグリスを塗布したりするとチャージレバーの復帰が正常に出来なくなったりするので意外に改善が難しい・・

この個体は、EV/絞りレバーとシャッタースピードレバーの同調が外れてしまう症状があります。2つのダイヤルを固定する爪の摩耗とバネの劣化かな。バネを矯正してとりあえずは改善。

これはローライ35ですけど、作業前の点検でレンズの後玉にキズを発見しました。

 

恐らく後玉を清掃しようとしてリングナットを緩めようと工具で回したら工具が滑ってレンズをガチャン、ということでしょう。残念ながらご依頼元で商品とならないとの判断で作業中止です。まぁ、いろいろあって疲れますね。

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金属疲労のPEN-FTの巻

2024年10月26日 14時00分00秒 | ブログ

過去に私がメンテナンスをした女性ペン使いさんのPEN-FT #2481XXですが、撮影中にリターンミラーがフリーズ状態となり緊急で里帰りしました。当初はリターンミラーの剥離も疑いましたがそうではなくリターンミラーユニットに問題があると辺りを付けて分解をしてみました。あ~これは・・

正式な部品名は「Sレバー2」となっていて要するにレンズを絞るレバーですね。それが折れています。多くのFTを修理してきましたが、これは過去にも記憶が無いですね。金属疲労で折れたのでしょう。

折れた個所は強いバネが掛かるピンがカシメられているところで、ピン孔が大きく、レバーの残り部が1mmもありません。

 

このレバーの組み立てはネジの終端を緩み止めのためカシメてありSSではASSY交換対応でしょう。当初は別のユニットに交換も考えましたが、このユニットは設計変更後の仕様で変更後のユニットのストックが少ないためと左端のカムギヤが巻上げフィーリングに影響するため(この個体は非常にスムーズ)なるべく破損部分の部品交換で修理をしたいと考えました。

ユニットには2種類あって、このレバー部分も設計が異なりますので同じタイプを用意しました。

 

レバーの組み込みとネジ端のカシメ。バネをセットしたところ。

 

前板に取り付けリターンミラーと連動させたところ。

 

 

本体に取りつけて作動を見ます。巻上げもスムーズで快調です。

 

作動テストをします。

 

 

元々機械的に厳しい設計のカメラですけど、今後はこのような金属疲労による破断故障が増えていくのでしょうね。

 

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初期のローライ35の巻

2024年10月25日 17時00分00秒 | ブログ

ジャーマニーの#3073XXXですから一応初期型でしょうか? 販売のためのメンテナンスをしますが、大きな故障はないので書くこともないかも知れません。不調の定番、シャッター、レンズ、ヘリコイドなど作業指示があります。絞りダイヤル不良となっていましたが、回転が少し重いのとロックボタンの復帰がスムーズでない程度ですかね。ダイヤルを分離して清掃と潤滑をしておきます。

露出計は動くのかな? 電池を入れてチェックします。少し感度が高い傾向にあるのと受光窓を塞いでもメーター針が完全に左端まで戻りません。これはジャーマニーに多く出ている症状で、Cdsの劣化です。今回は実用上の問題はないの調整のみとします。

ファインダーは清掃で特に問題はないです。ここはドイツ製の良いところ。スプール、スプロケット軸とアイドラギヤの清掃と潤滑をしておきます。

 

過去の分解の間違いを修正します。巻き上げギヤの噛合いが1歯間違っていましたので直します。また、のリターンスプリングのテンションが1回転多い。これですと巻上げが重くなります。低速不調ですののガバナーの清掃と注油をします。右端の電池室に絶縁テープの貼り付け。

露出計の感度を調整しておきます。

 

 

底部です。赤↘←のネジは殆ど緩んでいますので増し締めしておきます。この個体は初期型なのでのカウンターの逆転防止爪の下に補助板バネが入っていません。しかし、現状は36枚まで問題なくカウンターが進みますのでこのままとします。

問題はレンズのカビです。すべて分解をします。

 

 

中玉のコーティングカビは残念ながらコーティングを侵しています。

 

 

完成したシャッターユニットを沈胴調整をした本体に取り付けます。

 

トップカバーは洗浄してあります。レリーズのスライダーにグリスを塗布して取り付けます。

 

レバーアテが破損していますので交換してあります。

 

 

開閉レバーはまだ樽型で、巻き戻しダイヤルは樹脂製となった頃。巻き戻しダイヤルは回転が重くなるので洗浄をして樹脂の白化を戻しておきます。

 

これで良いコンディションとなりました。

 

 

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