今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

久しぶりのPEN-FT(B)の巻

2014年07月26日 21時37分55秒 | インポート

Img_472966最近来ないよねぇ。ご常連さんが入手をされたPEN-FTブラックの35万台という良い頃の個体ですね。フィルムの圧板の留め部が2点に簡略化されています。露出計不動であればFV化とのご依頼でしたが、露出計は生きていますね。最後期に近い個体は殆ど大丈夫です。







Img_473157一見、未分解機かな?と思いましたが分解はされていますね。ファインダーのピント調整もされています。後期の個体の多い、巻き上げフィーリングの悪化。「ガクガクガクッ」という例のやつです。







Img_473355 後期なので特に問題はないと思ったのですが、テンションハンマーの留めネジがいけません。不用意な分解はお勧めしたくないので書かないことが多いのですが、このネジは左ネジですが、緩めるつもりで締め込んだような形跡があり、ドライバーで緩めようとすると、ポロッと頭が折れてしまいました。軸の中に残ったネジを取り去ることはまず不可能なので、交換すことにします。しかし、後期型ですので、メインスプリングが長いタイプですので、スプリングを入れ替えて使用することにします。しかし、スェーデン鋼で硬い熱処理が入っていますから、不用意に曲げると折れてしまいますので注意が必要です。
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スプリングを入れ替えたところ。










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完成したシャッターユニットを本体にセットします。









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前板関係を中心にいじられていますね。リターンミラーの奥端にカケがありますね。スクリーンの同一個所にも傷があります。








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M接片が変に曲げられていますね。意味不明。余計なことはしなくてよい。









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オリジナルに修正をしておきます。









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それでは光学系も清掃をして組み立てますよ。接眼プリズム部のモルト。古いモルトを完全に清掃して貼り直してある個体を見たことがない。オリジナルと同じに作業をしていきます。









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露出計ユニットの点検清掃。情報窓用の光路を丁寧に清掃します。この個体は#3563XXで1970年6月の製造ですが、露出計ユニットも同月に製造されたもので、この頃になると、先行での生産はあまり多くなかったようです。尚、製造は二社購買の可能性もありますが、自動車電装などで有名なスタンレー電気も担当したようです。





Img_474422 この個体はシャッターダイヤルのガタが多く出ています。この個体の場合は、カム軸とのジョイントの嵌合にガタが大きめが原因ですが、他に多いのはツマミを留めるビスの緩みです。








Img_474641 改良型のセルフタイマーユニットで不具合は、タイマーレバーがロックしないという現象。これはクラッチの3つのコロがスムーズに動かない(油付着)のが原因。その他、アンクル不調につき止まりもあるので、すべて分解して組み直してあります。







Img_474531 で、いつものようにお決まりの画像。












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外装を取り付けて完成です。巻上げのギヤ鳴りは完全に補正できませんでしたが、スムーズにはなったと思います。シャッターユニットの動きは非常にスムーズで、ミラーユニットのギヤが良くないのです。








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おまけ画像。あら懐かしや、水銀電池のH-Dが入っていました。これも懐かしい東芝のロゴです。
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ベトナムミリタリーとセイコー7Sミリタリー風の巻

2014年07月22日 21時48分02秒 | インポート

Img_470845本物のミリタリーとセイコーミリタリー風が来ています。まずは本物から。WESTCLOXというメーカーがアメリカ軍に1970年に納入したMIL-W-46374Aとうモデルですね。プラ製のワンピースケースで使い捨てという感じの兵隊用の腕時計でしょうか。風防は爪で外れる状態で文字盤と針の状態は非常によろしくないです。この頃は放射性物質が塗布されているので、あまり触りたくないです。




Img_470024ムーブメントは地板と受けは表面処理もされていない状態。D-407 (7石)となっています。









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すべて分解をして洗浄をしたところ。手巻きでカレンダー機構もありませんので、部品点数は少ないです。分解前の測定では、片振りがあり得ない状態です。








Img_470252 幸い、致命的な欠点はありませんので、サクサクと組み立てて行きます。アンクルをセットして、最後にテンプを載せます。









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表側です。カレンダー機構がないので、非常にシンプルです。軍用の装備品ですから壊れないのが大前提ですからね。









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あら、液晶画面が見えませんね。+10秒程度で安定しています。










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針はクネクネ(お隣の大統領ではありません)状態で接触をするので修正をしながら取り付けます。秒針は、穴が拡大して固定されない状態ですので、締めてあります。表示の時間は合っていますよ。







Img_470966 ケースは汚れていましたので、変質に注意をして中性洗剤で超音波洗浄しました。しかし、表面は少し白っぽくなりましたね。拭き上げて艶を復活させます。裏面の表示。








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当時、グリーンベレーっていう映画も見たけど、とてもこの時計で川の中を進軍するような時計ではないと思うのですけどね。風防は、新品の組立の1回だけは防水効果はあるのかもしれないけど、リュウズにはOリングさえ入っていない。風防の圧入部分は、すでに樹脂が荒れていて全く防水能力はないですね。






Img_471182この風防は新しいのでオリジナル部品ではないでしょう。良く観察すると、サイズが大きいので、熱ゴテのようなもので凹ませています。サイズぐらい合わせればよいと思いますけど・・









Img_471299付属の新品ベルトを装着して完成。良く見るとチープですね。兵隊も消耗品扱いというわけですかね? 兵役が2年で、戦地は1年とすれば、その期間耐てばよいということでしょうか? ベトコンにも武器と一緒に略奪されたのでしょう。アメリカ軍の撤退が73年でサイゴンの陥落が75年ですね。この手のミリタリーは、本国アメリカにもファンが多いようですが、私も嫌いではないのですが、ベトナム戦争を知っている世代なので複雑な気持ちもありますね。



Img_471533次は現在でも逆輸入品として安価に入手が出来るセイコーAUTOMATIC 21石でセイコー5として売られている製品と同じ7S26を搭載しています。ベルトを外しますが、バネ棒が錆ついて外れません。新品当時からのベルトでバネ棒も純正のはずですが、こんな腐食するバネ棒も少ないです。







Img_471755どちらにしても再使用はできないので破壊しました。ミリタリー調のデザインは、中々良い雰囲気で私も欲しいと思っていました。ガラス風防(6時に5文字入り)やケースは、高級感があります。








Img_472278機械の基礎は70年代のキャリバーですが、カレンダー機構などは全く別の設計です。曜車には「スペイン」と記載されていますからスペイン語圏向けに作られたのでしょう。しかし、曜車、日車や駆動歯車はみごとにプラ製で、部品はタミヤが作ったのか? という印象。じつは、これでがっかりして組立意欲が減退してしまうのです。






Img_472075あっ、順番を間違えてた。暑いので直さないで行きます。機械を取り出すのに裏蓋を開けようとしましたが、固着をしていて非常に困難でした。一部、錆ついていました。裏蓋がスケルトンのモデルは、回転錘にも化粧文字などが入って高級感を出していますが、このモデルは見えないので極簡素です。






Img_472544確かに基本は70年代の機械と同じなのですけど、ここまで部品のコストを下げられるとね。しかし、精度と耐久性はクリアーしているのですから、ある意味恐ろしいです。一つ一つの部品単価を推測していくと、あ~、これなら数千円で売れるわなぁとも思いますね。結局、機械のコストで極限まで下げて、外観は高級感を出している戦略のように見えます。





Img_472775差し込んであるだけの文字盤に針をつけます。7~8年前に新品で購入したままとのことですが、精度はこれが意外に出るのです。










Img_472861クリーニングをしたケースに収めて完成。6振動ですからね。精度も比較的優秀で、手巻きとそれほどサイズも違わないのに自動巻きは魅力です。60年代の機械を見ていると残念な部分も多いですが、実用としてはコストパフォーマンスは最高のモデルでしょうね。私も、そのうち1つ欲しいと思っています。
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ニコンFとキヤノネットG-Ⅲの組み合わせの巻

2014年07月20日 23時33分08秒 | インポート

Img_468425_2ニコンFとキヤノネットG-Ⅲという取り合わせも面白いですね。両方とも、特に故障はないようですが、入手されて点検のご依頼です。疲労の少ないFですが、長期に使われなかったようで、幕に癖がついており、巻き上げの最後で抵抗感が大きいようです。また、巻き上げのゴリつき感が気になります。シャッター速度は1/60は良好ですが高速側が急速に遅くなります。1/250=1/185 1/1000=1/434 さすがに光学兵器 メーカーですから作りは兵器(道具)のそれで分解を考慮した丈夫な部品構成ですね。

Img_468769完全にグリス切れですので、各部の注油とグリス交換をしていきます。












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右カバー先端の小片の接着が外れていましたので接着をしてからカバーを取り付けます。










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ARリングにグリスを塗布して組み立てます。











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巻上げレバーを取り付けて、ペンタ部のモルトを貼っておきます。巻上げはかなりスムーズになりましたね。








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私の塗るオリーブ色に似ているので、一瞬、自分の作かなぁと思いました。過去に塗ったことがあるような記憶がないわけでもない?? 手慣れた塗装ですが、私の作業ではありませんね。








Img_469158 バッテリーチェッカー付の接眼レンズの接着が脱落しています。バッテリーボタンにテンションが掛かっているので、確実に接着をしないと剥がれてしまいます。接着剤の硬化具合から、それほど作業から時間は経過しいないのではとも思います。裏蓋はシボ革は剥離せず、マスキングでリンクル様の塗装をしてあります。焼付ではないということ。




Img_469279 内側を見ます。ちゃんとメッキは剥離してありますのでアマチュアではないでしょう。中央付近の塗料が回っていない部分に持ち手を付けて塗装をしたということ。









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プロなら焼付塗装かなと思いましたが、ビスを留めた周辺が盛り上がっていますね。これは、完全に硬化していない状態で組立をした証拠。とするとウレタン塗料を使用したものか? 塗装の工程(癖)は作業者よって異なりますが、この方の塗装は、1回塗りで厚めに吹いていることが、窓周辺の盛り上がりで分かります。どれが良いということではありません。その方の感性(流儀)の問題です。


Img_469444 接着には接着力の弱いクリアー接着剤を使用したために剥離をしています。すべて清掃をして再接着をします。










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ファインダーを清掃しておきます。












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こんどは剥離しないように接着さてありますよ。











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関東地方は梅雨明けで暑いので、簡単にUPしておきます。妙な組み合わせの二台ですね。
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カメラと腕時計が2つ来ましたよの巻

2014年07月14日 20時25分32秒 | インポート

Img_464961関東地方はまだ梅雨明けはしていませんが、暑いです。寝苦しくて睡眠不足にもなりそうですので精密組立にも堪える季節が来ましたね。で、作業はしているのですが、進捗は良くないです。まぁ、無理をせずにじっくりとやろうと思います。何ですが、到着する段ボールにカメラと腕時計が入っているケースが増えて来ましたよ。今回は、ミノルタ・ハイマチックFとセイコー・ロードマーベル+キングクォーツです。では、時計から進めていきましょう。ロードマチック5606-7000は少し前に国鉄物として取り上げたモデルと同じですが、SSケース側バージョンです。オーナーさんが汎用のSSベルトを購入されて交換をされたようですが、品質がイマイチで、バックルなどは非常に雑な作りです。バネ棒が細く強度がないので外れてしまうとのことですので、純正のバネ棒と交換しておきました。

Img_465365こんな顔ぶれですね。では、いつものようにすべて分解洗浄をして組み立てて行きます。ケースは厄介なワンピースケースですが、分解のためにベゼルを分離すると、風防ガラスの端面にクラックが入っていました。ベゼル圧入時に無理をすると割れる危険性があります。交換の新品部品が見つかりませんので、今回は修正のうえ再使用とする予定です。





Img_46549956系のユニットは、1968年からセイコーの機械式時計の終極まで使われて、KS,GSまでに発展した優秀なキャリバーです。それまでの古典的な設計から脱皮した意欲作というところかな? とにかく、機械式時計の最後を飾る名機でしょう。23石と25石のユニットが存在しますが、この個体は23石ですから香箱や自動巻き機構の石は省略されています。分解前は作動はしていますが、歩度は大きく外れていました。すでにカレンダー機構を組み立てて終了となるところ。


Img_465752ケースは軽く研磨をして細かな傷を消す程度にしておきます。












Img_465814どうも。しかし、暑いですね。梅雨はまだ明けないの? 進捗も遅れ気味です。で、ロードマチックは、自動巻き機構以外は組立完成で、目下エージングテスト中です。ワンピースケースなので、ケースに収めてから歩度調整が出来ないからです。その間にキングクォーツをやります。5856-7020で1978年くらいの製品ですが、ケースの状態は悪く、最中構造のため水の侵入が基板を侵して発振回路故障で動きませんね。ヤフオクで「不動」とは書いてなかったとのことで、確認しない方のミスなのか?


Img_466202ゴールドの文字盤がお気に入りとのことで、何とか復活させてとのことで、手持ちの同型ユニットに交換することにします。(後ろが不良ユニット)初期のクォーツは表からでは機械式と見分けがつきません。設計の変遷が見えて興味深いですね。現在のような樹脂歯車なんか使っていませんよ。コストが掛かっていますから(当時は高級)現在でも立派に作動するものが多いのです。分解して輪列に注油をしておきます。




Img_466356裏側になるとクォーツユニットと分かりますね。輪列の洗浄注油をして組んであります。電池は薄型になってCR1120です。










Img_466425 文字盤と針を付けて作動を確認します。ケースの状態はあまり良くありませんね。研磨はしてみましたけど・・この頃の風防ガラスはコーティングがあるのか、剥離気味ですが、今回はこのまま使用とします。








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手持ちの中古ベルト(バンビ)を取り付けて完成。となりは、普及クラスのTYPEⅡ8223-701Dでケースも良く似ていますが、こちらは裏蓋式で防水性能は上ですね。1980年の製品。ベルトも純正品です。現在でも玉数も多く、比較的安価に入手できる丈夫なモデルです。






Img_466675 こちらは初代のキングクォーツ4823-8110で私の愛用機です。厚みもあって機械式時計と同じ手法で作られていて、キングセイコーとしては、このぐらいの重厚感があった方が個人的には好きです。1974年から発売。電池は58系よりも厚いCR1130を使います。ベルトもオリジナル。80年代近くになると、薄型傾向になるのですね。





Img_467962 ロードマチックに戻りましたが・・手こずっています。本来56系は安定した機械ですが、天真の摩耗があって姿勢差も大きく、中々調整が決まりませんね。良いかな?と思ってケースに収めると固定リングで地板に歪みが出たけでも歩度に影響があります。ましてワンピースケースですから、搭載後に再調整が出来ないのは都合が悪いです。なんでワンピースケースを採用したんでしょう? 新品で安定しいる機械なら問題はないのですけどね。で、何度もケーシングを繰り返して、いまだベゼルをセットできません。
Img_467203 ミノルタ・ハイマチックFのメンテナンスです。お父様から買ってもらったカメラとのことで、大切にされてきたのでしょうね。非常にきれいな個体です。プログラムシャッター機ですから、人気はイマイチなのかも知れませんが、小型のボディーに機能を詰め込んだ完成された作りです。低速シャッター時にご覧のように警告ランプが点灯します。(ファインダー内で視認)手前のバッテリーチェッカーを押しても同じランプが点灯します。


Img_467488 基本的に不具合は無いのでモルトの交換などメンテナンスです。巻上げ部の赤いレバーはフィルムの巻き上げと同調して動き、トップカバーの窓から確認できるユニークな機構ですね。








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古いモルトを清掃をして、新しいモルトを貼って行きます。






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ファインダーのミラーにも劣化はなく良い状態です。慎重に清掃をしておきます。











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電池を入れないとシャッターは開きません。電池のアダプターが無いので、ジャンパー線で回路をつないで作動のチェックをしていきます。巻き上げ部分の注油。









Img_468075 コニカC35の対抗機でしょうか? コンパクトでデザインと作りも良くて完成度の高い製品です。写りも素晴らしいようですね。










Img_468133 ロードマチックは何とか折り合いをつけて風防を取り付けて完成です。社外のステンレスベルトはバネ棒とバックル穴の仕上がりが適正でないため外れていましたので、バネ棒を交換してあります。
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セイコー・スピードタイマー(ペプシ)をレストアするの巻

2014年07月09日 00時09分24秒 | インポート

Img_458177セイコー・クロノ6139-6002の通称「ペプシ」のジャンクを入手してありましたので復活させたいと思います。2時位置の発停ボタンの防水が切れて水気が侵入して、文字板のシミと印刷剥離。インデックスと針のメッキが完全に劣化をした状態です。機械はほとんど損傷はないのですが、自動巻きの歯車の異常摩耗があって使えないと思います。画像は、インデックスを分離して文字板は洗浄でシミは目立たなくなりましたが、2時周辺の目盛りが消えています。インデックスはメッキを剥離して真鍮地としたところ。

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針は悲惨な状態でしたので、簡易メッキをします。下地が荒れていますので、先に銅メッキをしたところ。この上に本当はロジウムメッキをしたいのですが、薬品が高価なため、ニッケルメッキで我慢します。







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針とインデックスをニッケルメッキをして、針には蓄光塗料を、インデックスには白塗料を塗装してあります。









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ケースに合わせてみたところ。まぁ、夜目遠目じゃん。程度の良い部品が入手できるまでこれで行きます。この6002は裏蓋から1975年製と思われますが、コンディションの良いものは少なくなっていて高価ですので、手が出ませんね。「ペプシ」の所以はベゼルの赤/青印刷からではないかと思います。ペプシコーラの様ということか? 海外でもペプシで通っているみたいです。



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ケースも研磨のため分解しておきます。このモデルはインナーベゼルがリュウズにより回転する機構を備えていますので部品点数が多いです。







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ケースの表面はヘアーライン、側面は鏡面磨きとしてあります。同時にボタンの傷も研磨で消しておきます。ベゼルのプレートも傷と退色が目立ちますが、イーベイでは、アフターパーツが販売されています。誰かヤフオクに出品してくれないかしら・・



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同じ6139でもAとBのタイプがありますが、このモデルは6139Bが搭載されており、6139Aとは部品の互換が出来ない部分も多いです。では組立をします。

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香箱や輪列をセットして受けを載せます。







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ここで問題発生。組立の山を越して、ホッとして飛散防止の仕切りを外した直後、バネを飛ばしてしまいました。ちょっとした気の緩みがピンセット先のコントロールを失うのです。そのうち探すとして、0.2mmのステンレスバネ線で自作します。原寸にコピーをしたパーツリストに習って曲げていきます。しかし、モデルによって種類があるらしく、形状が違うようです。今回のモデルはピンセット部が曲がらずストレートになっていたはずです。下は6139Aのもの。

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日の浦(表側)のカレンダー機構を残し組立完成。元気よく作動を始めました。しかし、自動巻き機構と30分計の針が欠品していまので、まだ問題は多いと思います。果たして完成できるのでしょうか?






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筒カナ、筒車やカレンダー機構を組み立てています。中間車の軸受けに少しガタが出ていますが、まぁ問題はないでしょう。日車、曜車を取り付けます。










Img_462916この個体は確かヤフオクで入手をしたと思いましたが、曜車の印刷から輸出用だったと分かりますね。イーベイ辺りで入手したものの、手に負えずに手放したというところでしょう。状態の悪い個体が出品されているのをよく見ますね。スピードタイマーは機能のバリエーションも多く、この個体では経過時間や残り時間を知ることのできる回転リングが付いていますので、リュウズにバネでテンションの掛かった駆動用の歯車が付いています。この歯車は水の侵入で錆びている個体が多く貴重です。防水のOリングは硬化をして作動不良となったと見えて、ナイフで削られています。なんてことを・・


Img_463015画像とテキストが合わずにすみませんね。このブログはwin8に対応していないのだそうです。閉鎖するとはいえ、それはひどいでしょ。で、研磨したケースは回転リングや風防ガラスをベゼルで圧入してあります。機械は文字板受けリングの上に文字板を取り付けて針をつけています。30分計の針は手持ちから探したものをつけました。






Img_463122完成した機械をケーシングしました。発停ボタンは内部のリングで留まっているだけの簡単に構造です。最後の難関。自動巻き機構ですが、マジックレバーと特に伝エ車の摩耗が激しいです。錆が出ていますので、裏蓋から水が浸入して錆が発生したのでしょう。錆が出ると急速に摩耗をします。





Img_463357 あぁ、マクロレンズが欲しい。伝エ車のアップです。錆て歯車部分が異常摩耗しているのが分かりますかねぇ? この状態では、組み込んでも巻き上げはしませんね。他の部品を探さなくっちゃ・・








Img_463731_2 取りあえず、自動巻き機構は考えるとして、表からの状態。リュウズを押し込んだ状態で回すとインナーリングがちゃんと回転しました。外側ベゼルの表示はタキシーメーターで、1kmを40秒掛かって走ったとすると、時速は青表示の40分の位置を見ると時速90kmと分かります。






Img_463966自動巻きの伝エ車には種類があるので、手持ちから適合する部品をマジックレバーとセットで交換して組み立てました。最後に回転錘を付けます。










Img_464075発停ボタンのOリングはわずかに残骸がこびりついていますね。純正のOリングはすでに出ませんので、代替品のOリングに交換をして、シリコングリスを塗布して取り付けます。









Img_46420270年代は僕らが青春だった良い時代です。モータースポーツの発展と共に、ファッションとしてもクロノグラフが流行っていましたね。しかし、私はレースの参戦にお金が掛かっていて、サーキットにこのようなタイプの腕時計をして行くことはできませんでした。このペプシモデルは多くが輸出に向けられたことで、現在でも海外での人気は高く、イーベイなどにも多数の出品を見ることが出来ますが、そこは若者向けの消耗品という性格から、状態の良いものは少なく、多くは今回の個体と同様なコンディションが多いと思います。自動巻きのクロノグラフとしては世界初の製品という話もありますね。ベルトはラグ部の形状が特殊のため、ステンレスの純正ベルトがベストですが、現在では、レプリカも流通しています。その他、文字板などの部品が世界中でリプロされているのも人気を物語ります。ペプシって思い出せないのですが、こんな赤/青の王冠でしたでしょうか?
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