今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

カメラに戻ってPEN-F

2014年02月25日 14時30分22秒 | インポート

Img_364895 O/Hしなければならないカメラが溜まって来ました。先日、チャンピオン860をお譲りしましたので、残った部品を集めて自分用の個体を作っていました。機械の素性は悪くはありませんが、ゼンマイの先端が曲がって巻き止まりがしない。筒カナの緩みで長短針が動かない。(秒針は動く)などがあって修正して組みました。文字盤の腐食とケースの傷は自分用だから我慢します。手巻きなのでリューズは大型を付けてゼンマイを巻き安くしています。風防はクラック入りなので新品と交換するつもり。で、PEN-F #2850XXは保管状態は良いと思いますが、巻上げが重いのと、ファインダーの曇りが顕著です。お子様を撮影するとのことですので、しっかり整備をして差し上げたいと思いますね。
Img_365252 やっぱり未分解の個体でしたね。特に気になる部分はありませんので、書くこともあまり無いかと思います。









Img_365344 ダイカスト本体の保存状態も非常に良好で、フィルムレールには全く腐食やすり傷がありません。殆ど使われなかった個体です。では、モルトを貼って、スプロケット軸から組立てています。

Img_365488 全く状態の良い個体なのでメカは省略します。光学系も素晴らしく、プリズム、ルーペなどの状態は最高です。モルトを貼り替えて取り付けます。









Img_365966 一般的に接眼プリズムのコーティングは劣化しているものが多いですが、この個体は、アイピーズ側のコーティングが拭き上げによって剥離部分があるほかは完璧に状態を保っています。特にPEN-Fでは珍しいことです。








Img_366175 シャッター本体とシャッターダイヤルはジョインドにより連結されています。ダイヤルのガタはこれによるものです。シャッタースピードカムとガバナーレバーの当たりに注意。カムの高さによりレバーの位置が変化してシャッタースピードを変えます。







Img_366219 組立完了。












Img_366448 底部から。28万代ですので、チャージギヤの地板の形状が変更されています。レリーズのリンケージも、FTと同様のタイプに変わっています。









Img_366547 今回は、全反射ミラーも良好でしたので再使用としました。消耗も殆どなく、保管状態も最高のFは最近珍しいのです。当初はリペイントをご希望でしたが、この個体は、オリジナル保存をして頂きたいと思いますね。長くお子様を撮影したいとのご希望には充分応えられる個体だと思います。
尚、1週間ほど留守にしますので、ブログの更新やお問合せのご返事が出来ないことをお知らせしておきます。
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極端に遅れ進みの56キングセイコー/51ファイブスポーツ

2014年02月18日 20時51分38秒 | インポート

Img_359945 すみません。腕時計のご依頼が続いて・・もう少し続けさせていただきますね。2つの時計をご依頼です。まず、56キングセイコーです。(続きますね)祖父様から頂いて、そのまま30年間放置してあったという個体。カレンダーなしは珍しい5621-7021というケースが裏蓋ありとなった後期のモデルです。この方がメンテナンスしやすいですね。デザインは伝統の7000番です。流石に、由緒のある個体ですから、文字盤が素晴らしくきれいです。カレンダー付きはサラリーマンの便利時計とも言えますから、カレンダーなしの方が高級に見えます。で、問題はです。測定不能なほど極端な遅れです。過去に一度分解掃除をした形跡がありますが、特にいじり壊されたような感じはありません。油切れと判断してO/Hをします。
Img_360159 同じ56系が続くので画像も同じです。この個体は、あまり長期には使われなかったようですね。磨耗は少ないと思います。










Img_360251 文字盤と針を取り付けて、快調に動きはじめました。











Img_360334 テンプの天芯に磨耗は少なく、姿勢差はあまりありません。オークション物より状態は良いですね。










Img_359764 次のモデルは、セイコー5スポーツ5126-8080で亀戸の機械ですね。5626Aは23石で5.5振動で1968年製になります。51ニューファイブのバリエーションモデルというところでしょうか。若者向けに一見、ダイバーウォッチのデザインです。回転ベゼルは逆回転防止にはなっておらず、クリック機構もありません。ベゼルを留めるスプリングも怪しい形状で、オリジナルなのかは不明。粉々になっているのがパッキンなのか、はたまた汚れの固形物なのか?



Img_360674 超音波洗浄をしたところ。ケースとガラス風防には傷が多いですが、オーナーさんは気にならないご様子なのでこのまま研磨はしません。回転ベゼルが緩いので、何か対策をしたいと思います。








Img_360753 ダイバーウォッチの雰囲気ですね。亀戸の製品は諏訪に比べてガッチリとした製品が多いように感じます。この頃のセイコーファイブには膨大なデザインのモデルがありましたね。全く同じモデルを見つけることは至難です。私が当時所有していた諏訪のニューファイブも探しているのですが発見できません。では、51系の分解です。





Img_360864 搭載されている5126Aの基礎キャリバーは5106Aで、セイコーマチックP搭載の機械を簡略化したものですね。ファイブなので手巻き機構は省略でハック機能も無いです。カレンダーの送り機構も差がありますので、瞬時送りではないようです。







Img_361346 すべて分解洗浄をしました。測定不能の遅れはテンプにありそうです。ひげゼンマイの変形とテンワ(リング)も変形しており、下手くそなベー独楽みたいに上下に激しく振れて回っています。








Img_361177 51系発売の翌年には諏訪の56系が発売されますが、それ以前の見慣れた設計の機械とは全く眺めが違いますね。薄型高性能を追求した結果でしょうか? 輪列配置や自動巻き機構も特徴があります。








Img_361428 テンプのテンワの振れを修正して仮にセットしています。自動巻きの伝エ受を組立てます。











Img_361559 不安定だった測定グラフもテンワを修正をして、ほぼ安定しています。ひげゼンマイの修正で、歩度も正常範囲に入っています。










Img_361764 文字盤と針を付けて。












Img_362218 ケースは軽くバフ掛けをしてあります。ベゼルリングはOリングを追加してダンパーを利かせてあります。










Img_362428 研磨をしたケースに機械をケーシングします。5.5振動でテンワも56系より大きいですね。じつは、不注意で回転錘の止めねじを紛失してしまい、諏訪の機械から流用しようとしましたら、ねじ径が太くて使えません。手持ちのファイブDXから調達しましたが、同じ会社で、なんでねじ径を統一していないのかなぁ? 旧海軍と陸軍の戦闘機エンジン規格に互換が無いのと一緒のように思えるなぁ・・




Img_362755 先に完成していた56KSのケースも軽く研磨をしておきました。本格的なダイバーウォッチというモデルではなく、若者向けの雰囲気デザインというところでしょうね。51系と56系では、56系の方が圧倒的に構造組立が容易だと思います。51系ファイブは、製造期間2年あまりと比較的短命に終ったモデルです。

Img_362965 ANさんからスミスの懐中時計が来ましたので、突っ込みでやってしまいます。スミスは金無垢のデラックスが欲しいですが、中々手が届きませんね。SMISH SPECIALと文字盤にプリントされていますが懐中時計は良く知りません。







Img_363155_2 懐中時計の設計は、基準となる機械があるのでしょうね。どれも同じ配置です。19セイコーもこれらをお手本としたのでしょう。状態は、振るとコチコチと動いて止まる状態。完全にメンテナンス不足による油切れの状態ですね。動くということは、致命的な欠点はないのでしょう。しかし、腕時計から見ると、ダチョウの卵のような大きさに見えます。





Img_363277 古いオイルが固化して、洗浄には超音波洗浄液を何度か交換しました。では、組立てます。











Img_363424 幸い輪列にはルビー穴石が多く使用されていますので比較的状態は良好かと思いますが、長く使われたためにゼンマイを巻く丸穴車と角穴車の磨耗が見られます。









Img_363594 問題はテンプで、おそらく天真を交換歴があるのでしょう。ヒゲゼンマイの状態もよろしくなくて片振りが大きく、そのためアオリの調整が困難です。ゼンマイの巻き量を変えながら歩度の調整を繰り返します。








Img_363620 で、オーナーさんは前にご紹介をしましたZIN-DESIGNのANさんですが、同梱ですばらしい桐箱が届きましたよ。










Img_363746 うぁ~、高貴な紫色の組紐製ストラップですよ。従来には無い和の雰囲気一杯のストラップですね。しかも、この桐箱。メーカーさんのこだわりが伝わって来ますね。









Img_363875 それでは私所有のFVグレーに付けてみますよ。個性的で、組紐独特のしなやかさがあります。










Img_364284 では、米谷さんサイン入りのFVグレーと完成したSMITH SPECIALとのツーショット。懐中時計には和装用の組紐ストラップはあったと思いますけどね。購入ご希望の方はZIN-DESIGNさんまでお願いします。
http://zin.leaseands.com/


セイコー・ロードマチック 5601-9000のO/Hの巻

2014年02月13日 21時44分23秒 | インポート

Img_357225 では、続いて腕時計をやります。前回の56グランドセイコーの基礎キャリバーを搭載する、セイコーロードマチック(LM)です。70年代の近代的な自動巻きユニットで薄型軽量で高性能が特徴です。特にこのモデルはワンピースケースとして裏蓋が無いため非常に薄型で、ウィークポイントのカレンダー機構も省略されていますので揺動レバーも使われていません。シンプルな絹目のアラビア数字文字盤で、現在でもLMの中では人気のあるモデルで、オークションなどの落札価格も高いですね。素材は特に欠点の無い個体で、これをO/Hしようと思います。なお、ご希望の方があればお譲りを致します。(15,000円税、送別)
Img_357324 機械の眺めは前回と同じですね。すべて分解洗浄をしてあります。下が香箱の蓋を取って、ゼンマイが見えるようにしたところ。








Img_357477 前回同様に、香箱車から組立てて行きます。地板のホゾ穴は前回のGSは赤いルビーが入っていましたが、順高級機のこの個体は23石ですから省略されています。








Img_357559 連日同じ機械ですから、注油個所やオイルの種類などは暗記していますのでサクサクと組立てて行きます。機械は、腐食もなく非常にきれいです。








Img_357675 時針が取り付く筒車を取り付けます。前回のようにカレンダー機構は一切ありません。










Img_357824 カレンダー機構が無いので5601A(カレンダー付5606A)の組立が終りました。ワンピースケースのため、裏蓋を開けての歩度調整ができませんので、充分調整をしておきます。








Img_358055 絹目にアラビア数字でカレンダーなしのシンプルな文字盤ですね。針を取り付けて歩度調整をします。カレンダーの無いモデルは、12時での切換調整をしなくて良いので楽ちんなんですね。
Img_358533 一応、ケースに収めています。機械単体で調整をしても、ケーシングをして機械を固定すると微妙に地板に歪を与えるのか歩度が変化します。ワンピースケースの厄介なところ。まだ、ベゼルは圧入していません。








Img_358822 あっ、そうだ。巷ではバレンタインデーだったらしいですね。かみさんから義理頂きました。チョコレートは大好きでしたが、現在は控えていますので・・









Img_359645 でね。時代によって、時計が薄型化して来たという画像。まぁ、この中では、そんなに古いのはないのですが、丁度、技術革新の時期ですかね。一番右の6619は1967年。60年代のハマグリのように厚く、重く、回転錘がゴロゴロとしています。真ん中、6106はニュー5 DXとして同じ1967年に登場した新しい機械。厚みが薄くなって若干小径。じつは、私が高校生の時に買ったのが21石版の6119Aでした。腕に馴染んで6振動で正確でした。左は今回取上げたLMと同じ機械の5606で1968年に登場して来ます。この数年で、機械は大きく進歩していることが分かりますね。
Img_359223 LMと6619との比較。












Img_359361_3 LMと6106との比較。
(お譲り先が決まりました。ありがとうございました。)
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56グランドセイコー 5646-7030のレストアの巻

2014年02月11日 20時20分08秒 | インポート

Img_354076 私の腕時計の記事に触発されて、カメラのお客さんがヤフオクでいきなりセイコーGSをGETされて来ましたよ。あら恐ろしいことを・・キャリバー5646Aを搭載したモデルは、GS最終のモデルで、この個体は1974年の製造になります。56系のGSは基礎キャリバーはLM(ロードマチック)で8振動化をしてGS ・KSにも搭載された薄型高性能な機械になります。しかし、この個体の状態はよろしくありませんね。テンプをアシストしても全く不動の状態。内部には水気が侵入した形跡があります。回転錘の腐食も激しいですが、この部品はGS用ではなくKS(キングセイコー)用の5625Aのものに変えられています。

Img_354455 そそのかした私にも、多少の責任は感じますので、何とか治すことにします。で、応急に作動するようにしてタイムグラファーに掛けて見ると・・あら、あり得ないデータです。緩急針での調整が全く出来ません。原因は、ヒゲ棒が曲げられており、ヒゲゼンマイがヒゲ棒とヒゲ受けの間を通っていないのです。これでは変化をするわけがありません。





Img_354534

すべて分解洗浄をして部品を点検して行きます。二番車、三番車は腐食がありますので交換とします。










Img_354710 地板は洗浄で意外に腐食はなく、きれいになりました。LM、KSとは仕上げが違うのでしょうかね? ツヅミ車、キチ車などリューズ部分を組立ててから内部のO/Hを済ませたゼンマイの入っている香箱車から組み込んで行きます。








Img_354934 輪列と自動巻きの切換伝エ車を組んで一番受を載せますが、ホゾは一発でピタッと収まりました。流石にGSの精度です。










Img_355034 テンプの曲がったヒゲ棒は慎重にまっすぐに修正してあります。一度曲がると折れる可能性が高いのでラッキーでした。ここで、精度を見ておきます。大きかった片振りも修正して、あのテンプでは、まぁまぁでしょうか。








Img_355594 56系ユニットの欠点は、カレンダーの早送り機構が壊れやすいこと。揺動レバー(ピンセット先)の樹脂製(初期は金属)の歯車が破損したりスリップしやすくなって日車を回転させるトルクが出なくなっているのです。オーナーさんがオークションで入手を試みましたが落札に失敗したため、このままでは完成しないので、私の手持ちから良品を取り付けてあります。





Img_355755 一般的なシルバーの文字盤ではなくて梨地状の洒落た文字盤です。針も、品の良い尾なし棒針です。秒針の中心は芯穴のないフラットなタイプです。









Img_356034 完成したユニットを軽く研磨洗浄をしたケースに収めて自動巻きの仲介車と研磨をした回転錘を取り付けます。オリジナルの回転錘には5646Aと刻印されていたはずです。









Img_356322 完成の図。文字盤が暗く見えるのは、風防ガラスがグレーのスモークが入っているため。傷がありますが、現在では純正品の入手は絶望的ですので、そのままとします。









Img_356755 こんなような品の良いデザインです。56系のGSやKSは現存数も多く、使いやすい時計ですが、持病のカレンダーの早送りが出来ない個体が多いですから、入手の場合は正常に作動するかを事前にチェックする必要があります。すでにメーカーからの部品供給はありません。
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RECTAFLEXというカメラ

2014年02月08日 22時42分26秒 | インポート

Zindesign その前に、お知り合いのZIN-DESIGNさんから新製品の発表がありましたのでお知らせしておきますよ。和モダンを生かした組紐製カメラストラップと総桐タンスのカメラ収納庫。今までになかった和のイメージによるカメラアクセサリーは新鮮ですね。ただ今、オープニングセールを実施中とのことですので、みなさん、ホームページを覗いて見てくださいね。
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Img_352955 RECTAFLEXというイタリア製の一眼レフカメラですね。ガッチリとした作りでライカのようですが、バルナックを大型にしてペンタプリズムを搭載したような感じですね。一眼レフの初期のカメラです。作動には問題ないようですので、メンテナンスをしておきますが、接眼部から覗くとペンタプリズム横の綿のようなものが見えました。で、分解をしてみると・・ペンタプリズムを抑えるのに綿が使われていましたよ。ここはちゃんと抑え部品が有ったはずです。内部でペンタやスクリーンが遊んだために、小さなガラス欠けが見受けられます。

Img_353066 シャッターは1300があるタイプですね。清掃した光学系を組立てています。今回は、綿はそのまま使用しておきます。










Img_353144 レンズはクセノン50mm f2です。全体に薄い曇りがあるように見えますので、クリーニングをしておきますが、過去に何度も拭き上げをされており、ガラス表面が荒れていますね。









Img_353333 専用のバヨネットマウントはボタンを押しながら脱着をします。











Img_353588 リターンミラーは少し劣化が目立ちます。スクリーンはガラス製です。











Img_353625 ペンタプリズムには腐食が始まっていますね。












Img_353772 一緒にZuiko 38mm f3.5が来ています。ピントリングには使用感がありますが、レンズはかなり状態は良くて、すばらしい状態と思います。多少の曇り汚れがあるようですので、分解清掃をしておきます。








Img_353857 稀少なレンズですが、う~ん、きれいですね。私は所有していません。

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