今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

しばらくローライ35ですの巻

2020年03月31日 19時50分06秒 | ブログ

コロナ感染で志村けんさんが亡くなりましたね。東村山は私の自宅から車で30分ぐらいのところですし、若い頃は多摩湖(狭山湖)の外周道路(西武球場があるところ)でバイクの練習をしていたところですから近所なんですね。彼の歌う「東村山音頭」は正調ではないですけど、テレビ「全員集合」で東村山を全国的に有名にしました。まだ70歳なのに無念だったでしょうね。ご冥福をお祈りします。

では、しばらく中古カメラ店様からご依頼のローライ35系を何台か販売前のメンテナンスをします。しかし、この個体の塗装がPEN-Wのようですね。店長さんもあまり見たこと無いとお話していました。

元のオーナーは塩分の多い汗かきの人だったのかなぁ?

 

 

角にへこみがありますので修正をしますが、端の部分は素材が圧縮陥没しているので裏から叩いても戻りません。

 

シャッターのメンテナンスの後はファインダーの曇りとカビを分解清掃します。

 

 

清掃をしたファインダーを本体にセットします。

 

 

巻上げレバーの当たりが無くなっていますので製作して取り付けます。露出メーターの透明ガラスが脱落していましたので再接着をしました。

 

最後はレンズとシャッターの清掃とヘリコイドグリスの交換をします。しかし、ピントリングの留めネジが斜めに締め込まれていますね。海外仕入れと思いますので、こんな修理をするんですね。

 

ユニットを分離しました。では分解をして行きます。

 

 

事前のテストでシャッター羽根残りの症状がありましたが、1枚の羽根のピン孔が変形しています。これはピンの位置合わせをせずに後玉地板を締め込んだためです。修正をして改善しています。

 

アウター側のヘリコイドネジが古いグリスが残ったままで新しいグリスを追加されたため回転重いやムラになっています。インナー側共ネジ山を清掃して新しいグリスを塗布して組みます。

 

ピント調整を終えて化粧プレートを取り付けます。Rollei-HFTが真上に来るように・・

 

外観は歴戦の勇士ですが、レンズ、メカは非常に良い個体でした。見つけたら買ってくださいね。次はSEか・・

 

https://blog.goo.ne.jp/tomys800

 

 

 

 


ゾナー50mm f1.5 (旧コンタックスマウント)の巻

2020年03月26日 19時25分00秒 | ブログ

大阪のご常連さんは、いつも食玩のヒコーキを入れてくださいます。わぁ、「雷電」やね。Fトイズは発売をチェックはしていますが、ここのところ欲しいアイテムがラインアップされないのでスーパーでも買ってもらいません。塗色はちょうど近くの302厚木航空隊です。陸軍には迎撃戦闘機として鍾馗がありますが、海軍として三菱が開発した機体です。上昇能力に大馬力を必要とするため爆撃機用の大径エンジンを採用した結果、ずんぐりむっくりの機体となりました。離陸直後に失速墜落する癖がある恐ろしいヒコーキですが、厚木航空隊では帝都に来襲するB-29迎撃に活躍して赤松貞明中尉などのエースを生んでいます。

ふと気が付くと作業机の横になにやらプラモが・・30年ぐらい前に作ろうと思って入手しておいた同じ1/144スケールの雷電です。MITSUWA MODELって知らないなぁ。子供の頃は三共のピーナッツシリーズと言うのはありましたが。流石に金型が新しいFトイズの方がシルエットが良いです。

あっそうだ。同じ頃にプラモを改造してコクピットまで再現した旧マルサンあたりの1/100雷電がありました。4枚ペラが隼一型のような2枚ペラになっていますけど・・いかに翼面積が小さいのかが分かります。

https://www.youtube.com/watch?v=qld-w2fRA9Q

で、本題。ゾナー50mmとのことですけど、旧コンタックスマウントは本体側にピントリングがあるのでレンズにはありませんね。装着したフィルターが外れないとのことで外しました。

 

時代を考慮すれば、それほど悪くもないと思いますが、カビなどを清掃して行きます。

 

更新が遅れました。昨日は早朝から新宿の病院へ定期健診で出掛けましたが、外出自粛のため電車内は普段よりは空いていましたが、それでも80%程度の乗車率でした。病院の入り口には熱感知カメラが設置されていて、問診票に記入しないと受診できないという厳しさでした。しかし、帰りの電車内で私の一つ開けたシートに座っていたマスクをしていない(極少数)若い女性が、口を覆うでもなく大きな咳を2回したので、既往症の身としては、すぐに隣の車両に移ったのでした。過敏な反応は分かっていますが、若者も時局を理解した行動をとって欲しいものと思いましたね。都内の感染者数が増え続けています。

で、本題です。ネットの先輩諸氏の情報では、分解はゴム板などで可能となっていますが、製造時期や個体差でしょうか、この個体はしっかりした汎用工具でもビクとも緩みませんでした。このままではスリ割りを破壊してしまいます。このような場合は、外すスリ割りリングにぴったりと寸法を合わせた工具を旋盤製作する以外に方法がありません。かと言って、二度とご依頼が無いかもしれないレンズ専用にスチールや真鍮製の工具は作れません。このような場合私は塩ビ管で簡易的な工具を製作することが多いです。ただし、スリ割り部の突起の強度は弱いため、一発で開けなければ工具が破損してしまうリスクがあります。

かなり大きなトルクを掛けてやっと分離に成功しました。じつは各ネジ部には松ヤニ様の緩み止めが塗布されていて、溶剤で軟化させなければ緩めることが出来ないのでした。この後、鏡筒を分離するためには、外したナットの内側にあるナットを同様に緩めなくてはなりませんでした。

これもやっとの思いで緩めることに成功しました。次は後群のレンズを引き抜くのですが、これがまたビクとも緩まない。溶剤を入れながらやっとここまで抜いたところで固着しました。

 

最後は特殊な工具の力を借りて分離に成功。前群は中玉の分離がやはり固着ですので、後ろから清掃して行くほかないようです。この手の舶来レンズは非常に手が掛かって好きではありません。

 

このレンズは、基本的に分解をさせないようにしているのではないか? と思わせるぐらい組立に強力な緩み止めが塗布されています。特に中玉、後玉はレンズの取付リングを分離出来ても2枚のレンズが接着されていてポロッと取り外せるようにはなっていません。折角簡易工具まで製作しましたが、まぁ、難儀なレンズでした。

レンズついでにテッサー50mm f2.8のメンテナンスをしておきます。レンズの清掃と絞り不調です。

 

このレンズは絞り羽根の復帰不良が多いようです。絞りユニットを洗浄しても改善しません。問題はエキザクタマウントのレリーズボタンの作動です。

 

このボタンの作動が経時的に重くなっていて、リターンスプリングも弱っているのが原因です。強いリターンスプリングを製作して解決されている方も多いようですが、今回は清掃注油によってフリクションを低減して作動を改善しました。

https://blog.goo.ne.jp/tomys800

 

 

 

 


後塗りPEN-Sブラックの巻

2020年03月24日 20時00分00秒 | ブログ

ドキッ、過去に私が塗った個体かと思いましたが違いました。PEN-S の後塗りブラックです。焼付の肌ではないのでウレタンか自然乾燥塗料かと思いましたがシンナーを着けてみるわけにも行きませんのでね。ルーペで肌を観察したとこ自然乾燥塗料ではないかと・・小奇麗にされていますが、シャッターは眠い状態でオーバーホールで来ました。気になるのはヘリコイドグリスが硬めなのとヘリコイドネジの入れ口が違うと思いますけどね。絞り指標が半分より下側に来ていますが、これでは操作がしにくいです。

裏蓋底部は分解せずにそのままお手軽塗装をしたのですね。私でしたらリベットや巻き戻しボタンもすべて分離して塗装します。

 

裏面はかなりタレていますね。

 

 

コバ部分のハゲを観察するとクロームが見えますので真鍮出しはしていないようです。後は特に問題のないオーバーホールで終わると思います。

 

ん? メッキの色が変ですね。これは表層のクロームだけ剥離して下地のニッケルは剥がせなかったようです。

 

シャッターユニットの緩み止めのつもりでしょうか、ネジにエポキシ接着剤が塗布されていてスリ割りに入って分離に難儀しました。将来の作業も考えた修理をしなくてはいけません。

 

いつも書いているように、本体上側のモルトは両面テープ留めではベタベタになります。接着をしましょう。

 

シャッターの状態。このシャッターは初期の仕様のため神経質なところがあります。

 

では、洗浄をして組み立てていきます。

 

 

本体側も組み立てていきます。

 

 

カムを付けて巻上げダイヤルと駒数ギヤを取り付けます。

 

 

幸い、シャッターは非常に安定して調子は良好です。

 

 

巻き戻し軸の下側に入る座が紛失していましたので追加しておきます。この座(ワッシャー)は分解時、本体側に貼り付いていることが多く、見逃して紛失したのでしょう。

 

今日は午後から車をいじっていたのでここまでで完成しませんでした。明日、レンズを取付けて完成させます。(^^;

 

当然、レンズは清掃されているのですが、後玉のコーティングは拭き取られているようです。古いヘリコイドグリスを洗浄して取り除いておきます。

 

裏蓋ですが、背の部分を分離せずにクローム層を剥離したようです。鍵板のスリ割りネジがすごいことになっていますね。折角リペイントをするのですから、ちゃんとした工具を作れば良いのにと思います。

 

遮光フェルトを貼りました。内側の艶消し黒塗装もかなり痛んでいますね。

 

 

ステップアップリングとケース蓋を利用してねじ込み式のレンズキャップを自作されています。これは純正のように落下することも無くアイディアですね。

 

で、取付けて完成。塗装については批評しないことにします。

 

 

http://www.tomys800.sakura.ne.jp/

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


衝撃を受けたPEN-FVの巻

2020年03月23日 18時30分00秒 | ブログ

続いても、遅れて来たPENマニアさんが入手されて来たPEN-FV #1354XXですけど、ちょっと問題が多い個体かも知れませんよ。何やらファインダー像が変ですよ。

 

申し送りにはありませんでしたが、トップカバーが陥没しているのです。

 

 

裏蓋のラッチが変形固着していて裏蓋がロックされません。

 

 

何やら変なものが出ていますね。

 

 

全反射ミラーが割れていました。ミラーの割れた個体はそれほど多く見ませんが、この個体は大きな衝撃を受けたようです。

 

横から見ると陥没が分かります。

 

 

吊環も緩んでグラグラです。

 

 

⇧の画像のように、純正ではない▽の吊金具を使用したために、本体と蝶番の塗装が大きく剥げています。純正の◯金具を使いましょう。

 

では、最初にシャッターユニットの分解洗浄をして行きます。

 

 

蝶番は塗装するつもりでしたが都合でジャンクからの調達としました。ダイカストのハゲ部分はタッチアップしてあります。

 

FVは改良前のシャッターユニットを使われていることが多いですが、この個体は改良後のユニットでした。これはラッキーです。

 

シャッター幕を取付けて本体にセットしました。調子は非常に良好。

 

 

裏蓋にも塗装ハゲがありましたのでタッチアップして取り付けました。

 

 

FTには付いているM接点がありません。

 

 

当然、M・X切換の接点も必要ないので付いていません。

 

 

全反射ミラーは新品を取り付けました。しかし、割れたオリジナルの破片が足りませんね。と言うことは、未分解機と思いましたが、過去に分解はされているようです。

 

この個体、注意をしていませんと不意打ちを食います。分解時に気が付いていたのですが、レンズマウントが変形しています。

 

マウントは工場での作業でシボ革接着の糊が付着している場合、ネジを外しても外れないことがあります。それを画像のように無理に剥がそうとしたための部分が「くの字形」に折れ曲がってしまったのです。マウントの材質が高級カメラのようなステンレスではなく、真鍮製なので、特にネジ穴部分は簡単に変形してしまいます。

裏蓋のラッチは、この部分が開いてしまっています。元の所有者は、かなり乱暴に扱う人のようです。たぶん、巻き戻しノブの上下スライドがスムーズでなく、強引に裏蓋を開けようと引っ張った? ようなことでしょうね。

軟鉄なので無理をすると簡単に変形してしまいます。裏蓋がピッタリと収まるようにラッチ形状を修正して、グリス塗布で組み立てたところ。裏蓋の塗装ハゲはタッチアップしておきます。

 

やれやれ、やっとここまで来ました。ファインダーのピント調整でズレがありました。衝撃の影響でしょうか。

 

色々ありましたが、巻上げもかなりスムーズで素晴らしいコンディションとなりました。過去にかなり乱暴な扱いを受けたために程度を悪くしていた個体でしたね。(1969年8月製造)

 

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元箱付きPEN-D2の巻

2020年03月17日 18時10分00秒 | ブログ

「遅れて来たPENマニア」さんから元箱付きのD2が来ていました。D2の元箱付きはあまり見たこと無いですね。

 

かなり汚れ放題の個体ですが付属品も揃っているようです。事前のテストではシャッターは作動します。露出計も動きますね。

 

問題は、あら~、長期に放置されたためにモルトが完全に変質してダイカスト底部と裏蓋先端を腐食させています。

 

これは完全に手遅れですね。リペイントで修復も出来ますが、元箱オリジナルの収集という観点からは、このままで行くことにします。

 

新品で購入されたオーナーさんは几帳面な方と見えて、修理票なども保管されています。まず、この個体 #1463XXの製造は1964(昭和39)年11月で、大阪三ノ宮のコヤマカメラ店により1966年(昭和41)5月21に販売されています。その後1986年(昭和61)5月12日に大阪のオリンパス修理技術認定店◯◯により修理を受けています。このカメラの履歴が分かるのは嬉しいですね。

それでは、最初に劣化した塗装を除去して行きます。

 

 

変質したモルトには腐食性があってスチールを錆びさせています。

 

 

フィルムレールに腐食もありますが、深い腐食ではありません。

 

 

モルトの除去、フィルムレールの研磨をして洗浄が終わりました。

 

 

シャッターユニットは完全には分解されていません。最小の分解修理と言うところ。

 

ははぁ、一応はシャッターユニットとヘリコイド部を分離させていますね。かなりスリ割りを壊している乱暴な作業ですけど・・

 

では、地板を洗浄して組み立てていきます。シャッター羽根が前回の分解で傷が多いです。おかしいな、技術認定店なんですよね?

 

D系は保管が悪かった個体は後玉が曇りやすいです。この個体もごめんなさいの状態ですが、画像はライトの関係で真っ白に写っていますが、現物はそこまでひどくありません。ヘリコイドグリスの交換と、例のスリ割りナットの塗装ハゲをタッチアップしてあります。交換した方がよかったかな?

本体にシャッターユニットを搭載しました。作動を確認してシボ革を貼っておきます。

 

チャージ部のコロを紛失する方が多いです。薄くモリブデングリスを塗布して組み立てます。

 

洗浄をして良く見ると吊環部が凹んでいたんですね。吊環を分離して修正をしておきます。

 

前玉とリング関係を取付けて前面プレートを取り付けます。

 

 

レリーズボタンをセットしてトップカバーを取り付けます。

 

 

露出メーターは作動しますが感度は低下気味?

 

 

それぞれのカメラにも履歴(歴史)はあるわけですが、元箱や販売証明、修理明細などの資料が残っていたことがこの個体の幸運でしたね。遅れて来たPENマニアさんにようなコレクターに救出して貰えたわけですから。メーカーのオリンパスにも、このような現物資料はそれほど残っていないと推測されますので貴重な資料ということになりますね。

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