今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

可愛いミノルタ ミニフレックス+PEN-FT(B)

2012年06月26日 20時38分28秒 | インポート

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PEN-FT(B)の方ですが、34万代としては、巻上げのフィーリングが最悪に近いですよ。

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よくよく見ると、底蓋は再塗装(追加塗装)がしてありますね。理由は分かりませんが、多少の塗膜の剥離であれば、そのままの方が良かったような気もしますが・・・

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では、ミニフレックスから見ますね。レンズボードとシャッターを分離してみます。特には破損している部品は無いようです。

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均等に繰り出さないのは幾つかの原因が複合的に重なっているようです。ビンセット先のコの字型の部品が、ボードを均等に繰り出す機構ですけど、この動きがスムーズでないのです。

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繰り出しはカムによって行います。セルフコッキングなどの機構は持たないため、非常にシンプルな構造です。

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仮組みをして作動を見ています。繰り出しはまずまずと思いますが、構造が簡単なため力を掛けると多少のガタは出るようです。しかし、6X6に比較して小さいですね。ヤシカに同様なカメラがあったと思います。

Dscf005154 ではFT(B)です。34万代としては巻上げフィーリングは最悪で、露出計も殆ど不動という個体。トップカバーを開けるためには、セルフタイマーレバーを外さなくてはなりませんが、ボタンが専用のレンチでも緩みません。ボタンの面取りが大きいため、レンチが滑ってしまうのです。仕方ありませんので裏技で開けます。

Dscf005288 露出計は基板別体タイプが付いていますが、後年にSSにて交換された可能性が高いです。不動の原因を追究していくと・・あれ~、だめだぁ。Cdsが割れています。過去に強い衝撃を受けたのでしょう。通常では、基板別体タイプの露出計ユニットは感度が低下しているものは殆どありません。

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シャッターユニットを洗浄して点検して行きます。磨耗は少ないのですが、ビスの緩みを発見しました。最後期のユニットですので、チャージギヤはナットによる組立式となっています。

Dscf005446 ミニフレックスは完成。FT(B)はここまで組んでありますが、巻上げフィーリングはほぼ良好になっています。露出メーターが付いていないのは、オーナーさんのご意向で、FV仕様とする予定だからですよ。

Dscf005531 Cds基板のパターン修復も検討しましたが、今回はこのままとして全反射ミラーに交換、FV仕様としてあります。セルフタイマーボタンは当方のオリジナルと交換してあります。ペンスケ仲間のオーナーさんですから、内蔵露出計は使わないですね。実用機としては良い個体となりました。

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はるばる父島からのPEN-FT(B)

2012年06月21日 21時37分41秒 | インポート

Dscf002224 小笠原の父島ご在住のオーナーさんからPEN-FT(B) #3211XXが来ています。良い頃の個体ですが、トップカバーに「PASSED」のシールが貼ってありますので、里帰り機です。過去に分解歴はあります。ご覧のように、接眼プリズムなどの劣化したモルトは取り去られています。取ったら貼っておけよ。と言いたいです。残念なことに、トップカバーの巻き戻し側角に落下による打痕があります。修正をご希望ですが、いつも書いていますように、角は修正出来ないのです。修正費用も頂戴したことはありませんので、にきびと同じで、いじると益々状態が悪くなるリスクを取って作業をするわけですから、一か八かは出来ないのです。

Dscf002477 底蓋を外してみます。かなりホコリの混入がありますね。2回巻上げの症状がありますが、右下のギヤ軸が磨耗しているのです。

Dscf002622 コマ間も不揃いとのことで、スプールのスベリが早いですね。すると、スプロケットに負荷が掛かって、クラッチのスベリを起こしやすくなります。この個体のスプロケットは、まぁ、再使用出来る程度と判断して組み込んでいます。スプールバネは強化タイプと交換しておきます。

Dscf002755 すみません、ちょっと都合で作業が遅れました。では進めます。シャッターユニットですが、ギヤの部分から、小さなワッシャーが潰れて出て来ましたね。工場での組立時に混入したものか、或いは、このサイズのワッシャーを使用する場所は、巻上げユニットの取り付け部分の調整用としてですけど、巻上げユニットを分離したのかなぁ??

Dscf002874 洗浄を終えたダイカスト本体に組立をして行きます。心配されたギヤ軸の磨耗は軽微で一安心でした。

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清掃をしたビューファインダーを組み込みます。モルトは全てやり直しております。里帰り機ですので、プリズムのコーティングは完全で、特に接眼部のコーティングが無傷なものは、国内に有ったものでは絶望的です。

Dscf003087 メカの組立はほぼ終了。巻上げも軽く滑らかです。露出計の基板は前回の分解で抵抗の調整がされています。オーナーさんのご希望でそのままとします。

Dscf003811 これ貼っている方を見かけますが、巻上げレバーの樹脂ストッパーがへたると、レバーがトップカバーに接触をするようになりますが、この個体は丸い軟質ゴムが貼られています。修理前のクラッチに大きな遊びがある時はこれで問題は無いのですが、遊びを調整するとレバーが完全に戻らないため、チャージが出来なくなります。正規の樹脂ストッパーの調整により、ボッチは剥がさせて頂きます。

Dscf003957 と言うことでこれで完成です。PASEEDシールですが、なんでこんなところに貼るのでしょうね。私なら、速、剥がしますね。では、小笠原の美しい海を撮影してくださいね。


久しぶりの只PEN

2012年06月15日 22時27分43秒 | インポート

Dscf001077 久しぶりに只のPENが来ましたね。PENの中では#4619XXと三光PENからかなり後期の個体になります。三光ですとオーバーホールをする方は多いのですが、只のPENとなるとオーバーホールのご依頼は少ないのです。未分解の個体で、消耗も少ないのですが、保管は良くなかったと見えて、上下カバーのクローム部分に腐食が進行しています。残念ですね。で、傷をつけないために、竹串で梨地の表面に浮いた腐食を削って行きます。ファインダーの右側はすでに削っています。左側も行います。

Dscf001166完成は1964-10月と東京オリンピックの開催月の製造です。トップカバーの腐食を削り取りました。意外に梨地ですから目立ちませんね。本体と裏蓋も洗浄してあります。

Dscf00126 すみません、ちょっと事情がありまして作業が止まっていました。(汗) 画像が涙目になっていますが、同じ機種のデジカメでも個体差があるようで、この個体はあまり調子が良くないようです。100円じゃ仕方ないか・・・

で、シャッターは完成しています。PEN-Sなどとは違って、あまり経時の劣化は少ないシャッターです。洗浄してみると、ダイカスト本体は、きれいですね。塗装の劣化もありませんね。

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保管の良くなかった個体のもう一つの問題は、ファインダーブロックの樹脂の白濁です。これは、放置で紫外線により風化したものと思われます。こうなると一皮剥くしかないんですよね。

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意外に手間が掛かるのですが、このように磨いておきました。但し、風化が深層まで進んでいる場合は、形状に影響があるので研磨できません。完成したボディーに清掃をしたレンズ類を接着しておきます。

Dscf001151 完成ですね。あまり使用されていない個体でしたが、保管が良かったらと残念になります。レンズは非常に状態は良く、ファインダーブロックがきれいになったことで状態はグッと良くなっていると思います。

Dscf002164 どうもこのデジカメはアンダーぎみになる癖があるようです。裏蓋を開けた内部。きれいですね。スプロケットはアルミ黒アルマイト製。巻き戻し軸は変更後のタイプで、PEN-Sの改良型と同じ仕様となっています。PEN-F系などと違って、どうしても軽く見られるPENですので、程度の良い個体は貴重です。オーナーさんは、私の住所と同じ市にお住まいですので、歩いてもお届けできる最直近のオーナーさんでした。


オークションものPEN-FT

2012年06月13日 20時41分39秒 | インポート

Img_213351 女性オーナーさんの、このPEN-FT #3435XXは、落札前からご相談をうけていた個体。「2出品のどちらにしようか」とのことで、アドバイスをしたのですが、パッと見て、こちらもちょっと怪しい個体ですよ。トップカバーは34万代ですが、本体やファインダーのTTL表示の劣化具合は、もう少し前の個体と思いました。また、付属のレンズですが、ピントリングにガタがあります。これはイモネジが全て緩んでいました。そこで、締め込んでみるとピントリングが回りません。これは、ピントリングが真円ではなく、歪んでいるためです。イモネジは緩んだのではなくて「緩めた」のですね。

Img_213464 本体は、各部の特徴から25万台付近の個体でしょう。セルフタイマーユニットは初期型が付いています。しかし、後期のユニットとは留めビスの間隔は異なるのです。

Img_213578 セルフタイマーユニットを分離してみると・・・やっぱりね。矢印のように、新たにビス孔を開けています。ビスも規格外だし・・

Img_213699 前板を分離してみると・・新たに孔を開けたために、真鍮材の切粉が沢山入ったままです。

Img_213725 落胆していても始まりませんので、ダイカスト本体を洗浄して組み立てて行きます。巻上げレバーユニットでピンセットの先にある黄ばんだ樹脂リングは、巻上げレバーのストッパーですが、殆どの個体はへこんで変形しています。変形が激しい個体は、レバーがトップカバーに接触しています。裏蓋を下にして置かないでと言っている理由です。

Dscf000197古いファインピックスに戻ります。この個体も前板を交換されている可能性があって、トップカバーの34万代とすれば矛盾がありません。たぶん、ニコイチで仕上げられた個体なのでしょう。それ以外は、ここまで組立に特には問題ないと思います。接眼プリズム抑えは真鍮製ですね。

Dscf000346 しかし、露出メーターは変ですね。右上のビスがナベになっていますね。ここは、左下の皿がオリジナルです。で、シャッターダイヤルの動きに固着して同調しません。

Dscf000522 コイルのリターンスプリングが脱落しています。そもそも、TTLナンバーのプレート(情報窓)の赤色が退色しているのが気になります。25万台としても、ここまで退色しているものは少ないのです。まぁ、何かの目的で分解されたことは確かです。

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メカ部分はほぼ完成です。右のセルフタイマーユニットは初期のものを改造して取り付けてありました。スプリングも1本紛失したのか自作が使われています。また、シャッターダイヤルも、他の個体からの移植の可能性があります。

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トップカバーを取り付けました。セルフボタンはめっきの剥離が激しいので、当方のオリジナルボタンに交換しておきます。

Dscf000888巻上げも軽くスムーズで、シャッターも快調です。38mmレンズのピントリングは、調整でスムーズにしてあります。最近は、このような個体が増えているのでしょうかね。個体数維持のために、止む終えない場合もあると思いますが、基本部分は尊重する考え方が必要と思います。女性ペンファンが、購入を決断して、念願のFTを手に入れたのですから、安心して使ってもらえるようにして差し上げたいのです。

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PEN-Wオリジナルフードの製作

2012年06月10日 15時58分08秒 | インポート

Img_2123 久々のPEN-Wです。オーナーさんは、都内の中古屋さんで購入されて来たばかり。オーバーホールを受けていると思われますので、特に気になるところはありませんね。何故か、トップカバーの白色入れが黄色っぽい色で上塗りされています。黄ばんだ感じを狙ったのかも知れませんが、経時の感じを出すのは単純ではないのです。そこで、オリジナルフードの製作ご依頼です。専用フィルターを装備されていますので、それに合わせてフードを調整しておきます。

Img_2125 塗装をした状態。こんなに小さなフードでも、塗装の回数は3工程ほど塗装をしてあります。勘合具合もぴったりに仕上がっています。市販の皮ケースに入れると良い雰囲気になりそうです。楽しんで撮影をしてくださいね。

Img_212801 カメラ本体ではないので、このまま続けますよ。38mm f2.8パンケーキですが、中古屋さんで高価で購入されたようです。冷静になってチェックをすると・・ピントリングが無限まで行きませんね。ヘリコイドグリスも抜けていますので、全体に組み直しです。

Img_213001 レンズは全て分離してあります。清掃とヘリコイドグリスを交換して組み直してあります。ヘリコイドが短いために、殆どの個体がスカスカにグリスが抜けてしまっています。早めのメンテナンスをお勧めします。

Img_213201 ピントリングは無限まで回っていますね。グリス交換でガタも無くなっています。後ろは一緒に来たPEN-FT(B)で、リターンミラーの脱落でした。すでに再接着をしたところ。2つを合わせると、ファンの方には羨ましいセットですね。