右下のプレートがPETRI CONPACTになっていてfeet表示機ですので輸出されたカメラでしょう。何となく東南アジア風のような雰囲気のデザインで、緑のファインダーもエキゾチック。フィルムカウンター部の印刷の色が緑、オレンジ、赤と東南アジアのトゥクトゥクを思わされるような配色。この個体はシャッター不調やファインダー内のレンズの脱落などが有って、分解歴もあるようですので分解前にピントをチェックしてみると・・あら、像が結像しない。
裏側からレンズを確認してみると・・「後玉が無い」オークションでの入手だそうですが、これはひどいですね。このカメラの後玉は白濁し易いので、外して置けばきれいに見えるだろう。とかでしょうか? 或いは専門でないリサイクルショップなどだと分からないでしょうね。
手持ちのペトリハーフを見てみます。ちゃんと入っていますね。このカメラは後玉も含めて、シャッターを本体から分離するのは非常にやりづらい。
ファインダー前面の緑ガラスを外さないと対物レンズの清掃が出来ませんが、観察すると接着をやり直しているようにも見えますね。ここも無理をするとガラスが割れるので厄介です。
で、オーナーさんが手持ちのペトリハーフを送って下さるとのことですので時間つぶしに・・このカメラの接眼部カバー? と前面右下のプレートは剝がれやすく、欠落している個体もありますので簡易型で複製をしてみました。右はオリジナル。
オリジナルは金属プレスに塗装仕上げ、複製は黒色樹脂に塗装仕上げ。簡易型による製作ですので多少ヤレっているのはご愛敬。無いよりはマシというところ。
前面右下の銘板も接着が剥がれ易く、アンダーカバーによって固定されている状態の個体もありますね。この個体も紛失しているので作ることにしますが、オリジナルはアルミt=0.6mmですので同じ板厚の真鍮で作りました。オーナーのイニシャルなどを打刻すると良いですね。
すみません。昨日は私のペトリハーフをやっておりました。オーナー様から部品取り機が到着しました。当然後玉は分解歴があって恐らくコーティングは剥離されていると思いますがレンズ自体はクリアーなため、これを使用することにします。ペトリ・コンパクト(左上)は外観の洗浄を終えているところ。
緑色の前面ガラスはグリーンオンマチックと言うのだそうで、光枠の黄色が見やすいとか何とか。私の個体は透明ガラスに変えてやろうかとも思っていましたが・・で、オリジナルはエポキシ接着剤を浸透させずに上から盛ってあるだけ(再剥離を考慮)ですが、この個体はすでに剥離されてゴム系接着剤で貼ってありました。また。レンズの剥離もし易いです。ちょっと触ると剥離します。
剥離時に金属工具を当てると簡単にガラスが掛けたり傷が付くので私は使いませんが、すでに過去の分解でガラス端面が欠けています。
フィルムカウンターの送り機構は旧来のオーソドックス(部品点数多い)な方式。
ファインダーの清掃とガラスの接着、フィルムカウンター部の清掃と注油を終えてカバーを閉めますが、カバー内側のクロームメッキの薄さ。銅下やニッケルなどは無いのかも知れません。
シャッターはペトリ内製のCARPER-Sというタイプ。作りは精工舎やシチズンには及ばない、コパルのちょっと下ぐらいかな?
すでに何度も分解を受けていてスローガバナーの状態も良くありません。分解洗浄をします。→の板バネはシャッター羽根の戻り用。なんか心もとない。
画像を撮り忘れたので昨日の私の個体の画像。部品点数は意外に多く、レンズは3群4枚の3ユニットに分かれます。安価なハーフカメラの設計ではない。
これはペトリ純正のフィルターでサイズはPENと同じ22.5mm。
コンパクトにはオリンパスペン用が付いて来ました。使いやすさとしては少し微妙な円錐形のダイヤル類。しかし、加工の難易度は高くコストも高いでしょうね。少なくともPENよりは・・
シャッターのチャージはダイレクトにトリガーレバーで巻けますが、なんとスプロケットの送りはチェーンに依っています。しかも復帰はゼンマイバネ式という凝った機構。この機構とトリガーレバーの収容のためアンダーカバーが厚めになっていますね。
気が付きませんでしたがコンパクトとハーフでは巻き戻しダイヤルの仕様が違いますね。コンパクトの方は真鍮にメッキでハーフはアルミのアルマイトです。これは製造時期による変更かも知れません。
気になるのはトリガーレバーの形状。収納を考慮するとこれしか仕方がないのでしょうけど、先端が尖っていて現代では出来ないデザインでしょう。
革ケースはPENに似た形状ですが、キルティングと言うのかな、私の子供の頃(このカメラと同時期)は帝人テトロンなどのキルティングのジャンパーが流行っていた頃でした。そのデザインを採用したのでしょう。
初代PENの発売(1959年)から遅れること1年の1960年発売だそうで、PENに衝撃を受けて力を入れて製品化したように見えますが、PENの最少部品による合理的な設計は理解されず、従来の流儀による設計でPENを超える性能とした。ように見えます。PENを良く知る自分としては、部品点数が多すぎて、これでPENと同じ価格帯で販売したわけですから意外に利益は少なかったのではと心配になるほどです。それだけPENの設計がビジネス的には優れていたということでしょう。ペトリは安かろう悪かろうと言われたりしますが、このモデルについてはPENに無い高級感を感じます。
トミーのリペイント (tomys800.sakura.ne.jp)