今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

今年最後は二眼レフの巻

2020年12月31日 13時40分00秒 | ブログ

大掃除もしないうちに大晦日になってしまいました。今年一年お付き合いを頂いたことにお礼を申し上げます。相変わらず作業はしていますがUP予定が無かったので画像がありません。このローライコードⅣですけど、レンズのコンディションがあまり良くありません。私ね、この花びら状のカビを見ると寒気がするんですね。あ~、気持ち悪いとさっさと清掃してしまいます。

その他、一通りのメンテナンスをして終了です。

 

 

こちらはローライフレックス3.5Dですが、シャッター不調、セルフ不調、レンズ汚れなどの他に巻上げが非常に重いです。分解洗浄をしてグリスをUPして行きます。

 

うん、だいぶ軽くなりました。

 

 

レンズとミラーの清掃をしました。

 

 

スクリーンを洗浄して元に戻します。

 

 

ローライコードと違ってフロントカバーが一体物なのでセットがし易いです。

 

 

シボ革は本革ですが、過去の分解で古い接着剤が固着していますので削り落としてから接着をします。

 

 

フィルムの装填テストをして終了となりました。これで今年の作業はすべて終了となりました。年明けは数日お休みを頂いて作業を再開したいと思います。では皆様、良いお年をお迎えください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


譲り受けたPEN-FVの巻

2020年12月25日 22時10分00秒 | ブログ

まだローライ系が続くのですけど、ここでPEN系をやっておきますよ。お人から譲り受けたというPEN-FV #1135XXです。1967年5月製の初期型(1967年2月発売)ですので使われているユニットは前期型で安定性はイマイチの頃の個体です。セルフタイマーも改良前のジッジッジッというタイプで途中で止まります。光学系の劣化が激しく、リターンミラーも大きく腐食しています。これは交換することになります。

フィルムレール部も腐食していますね。

 

 

ファインダーのプリズムには冬ですから? 雪印のカビがあります。その他、ミラーアップと巻き上げが2回巻き上げになりますので、チャージギヤとギヤ軸に摩耗があるようです。では、分解をして行きます。

 

シボ革が部分的に剥がされてマウントのネジが1本残してすべて緩められていました。ははぁ、この1本が緩められなくてスリ割りを壊して諦めた。と言うことでしょうね。老婆心ながらネジをまともに緩められない方はカメラの修理は出来ないと思うけどなぁ。

 

まず、硬化時間を考慮して先にリターンミラーの貼り替えをしておきます。古いミラーを剥離しました。

 

 

新しいミラーを接着しました。

 

 

では、本体を洗浄して組み立てていきます。

 

 

今日は午前中は外出と眼科の定期健診に行ってましたので作業が進みません。眼は商売道具なので年末ですからしっかりチェックしておかないとね。特に問題は無くてホッ。で、初期型のFT(V)の場合、問題なのがスローガバナーのギヤの摩耗です。1/8→1/4へシャッターダイヤルを回す時にシンクロを合わせないと「ガリッ」といってギヤの歯が欠けます。そうなると低速1秒が止まるようになります。じつはこの個体がそうです。見やすく撮影できなかったのですが、のガンギ車の歯が摩耗しているのが分かりますか? 1/8から1/4にすると相手側の薄い歯車が飛び込んでくるのです。薄いので接触部分が狭く歯が摩耗してしまいます。初期型を所有されている方は無用な低速空シャッターは切らないこと。

ストックを探しましたら、適合する良品のユニットが見つかりましたのでASSY交換してあります。2回巻き上げも解消されて調子は良いと思います。

 

リターンミラー関係を組み立てました。こちらのミラーユニットも改良前が付いていますので神経質です。

 

ファインダーのレンズはバルサム切れがありますが、実用上は支障がないため清掃して再使用します。

 

 

全反射ミラーは新品と交換して組みました。

 

 

セルフタイマーは改良前のタイプですが途中で止まりました。歯車に錆が発生していますが洗浄注油で調子を取り戻しました。

 

前期頃の個体は駒数ガラスが劣化をして駒数板が見にくくなっているものが多くあります。塗料で塗装をしている関係で、溶剤が長い時間のうちに材質を侵しているのでしょう。中期以降からの個体は劣化が少ないですので材質などの対策がされたものと推測します。

 

このカメラは内部ユニットが改良を受けながら生産されたカメラですが、逆に見れば製品の完成度に問題があったということかもしれません。通常と異なる設計の機械には良くあることです。それだけに改良前のユニットが使われている前期型の個体は、色々なウィークポイントを持っているのと、生産から長い時間が経過していますので完調を維持することが比較的難しいのです。希少なFVなので生き残った個体かも知れませんね。

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ローライ35SとC35の巻

2020年12月22日 09時45分00秒 | ブログ

まずはローライ35Sからですけどね。基本的に良い個体ですが、過去に修理を受けていましてそれが少し乱暴というか・・トップカバー巻上げ側面に打痕がありまして、それを修正してあるのですが鋭利な金属棒で突いてしまったために左右2個所が尖がって出っ張っています。これは絶対にやってはいけないことです。

少しデント修正を試みている途中ですが、微妙な変化が分かりますか? すでに尖ってしまった部分は戻すことが出来ません。

 

修理を受けている割にはファインダーが手付かずです。レンズを分離して清掃しました。その他、スローガバナーなどのメンテナンスをしておきます。

 

ははぁ、シャッターを分解していますね。3本のネジのスリ割りが痛んでいます。ここはネジロックが塗布されていますのでそのままでは緩みません。シャッター羽根のリターンスプリングも正確に掛かっていません。ヘリコイドの回転も重くムラがありますので清掃と入れ替えをします。

このタイプのシャッターの欠点は後玉プレートの接合部の密閉性が良くないこと。これによってホコリの混入が激しいです。レンズを清掃します。

 

の他、フィルムカウンターが36枚まで進まない不具合や巻上げレバーアテの欠落がありましたので製作して取り付けました。良い個体となりました。

 

ローライ35の普及版B35からさらに露出計を除いたC35は1969年の発売ですが販売台数は少なかったと見えて中古店の店長さんに寄れば珠数は非常に少ないとのことです。現存数が少なければ市場価値が上がるという世の中の摂理。この個体は使用は少なかったようですが放置期間が長く現状は不動でカバーの汚れも目立ちます。ローライ35系に使われている黒い樹脂は白く変質してしまうようです。洗浄の結果、梨地クローム面は完全にきれいになりました。

レリーズボタンの意匠はローライ35譲り。フィルムカウンターは一般的なトップ右側に移されています。こちらも洗浄できれいになりました。

 

絞りリングがガタガタで空転します。絞り羽根とも連動しませんので接続が外れていると思われます。

 

 

内部を見ます。本体はプラスチック製です。小学生の時、学研の学習だったか科学だったのかの付録に実際に撮影が出来るプラ製のミニカメラが付いて来て非常に興味を持ったのですが、それを思い起こされるような質感です。あの時撮影したフィルムはとうとうカメラ屋さんに現像に出さなかったなぁ・・

簡略設計でファインダーも本体と一体成形です。レンズとブライトフレームを分解清掃していきます。

 

 

巻上げの回数をフィルムカウンターに伝達するリンケージは表面処理も無いため赤錆になっていてスムーズに動きません。巻上げ関係の鉄部品もすべて赤錆で固着して不動になっっています。

 

巻上げ関係は少ない点数の樹脂部品でコストダウンを図っています。日本製カメラに追い込まれて必死の様子が伝わってきます。

 

フィルムカウンターは固着して回転しません。これは軸も本体と一体成型の樹脂のため、カウンター板を留めるネジを絞め込むと軸が太って回転しないものでした。

 

カウンター板の内周を摺って調整をしてあります。

 

 

沈胴部の構造は基本的にローライ35に習っています。レンズはトリオター3.5が付いています。

 

 

分解をしてみると、絞りのクリック板を留めるネジと回転ストッパーが脱落していました。

 

 

シャッター関係は基本的にローライ35と同様の設計です。

 

 

巻上げレバーアテが破損していましたので作り直してあります。おぉ、MADE IN GERMANY なんですね。

 

ドイツ製だからと言って作り良い訳ではないですね。要はいくら製造コストを掛けられるかで品質は決まります。本来、前面のプレートは「C35」となっているはずですが、シルク印刷だったようで消えてしまっています。せめてエッチングプレートにしてくれればと思いますが、そこまで製造コストを切り詰めたのでしょう。仕上がってみればきれいな個体です。

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HONEYWELLローライ35初期型の巻

2020年12月19日 20時20分00秒 | ブログ

次のローライ35はHONEYWELLブランドの初期型です。#3032XXは物の本によると1966~1971 3.000.201~3.311.000だそうですから結構初期型になりますかね。ft表示機なので北米に輸出されたもののようです。背面の化粧ネジが傷だらけですので過去に程度の良くない分解を受けているようです。

点検ではCdsの劣化・低速不調・ヘリコイドグリス抜けなどが目につきましたが、他に「B」バルブが止まらずシャッターが切れてしまうのがちょっとイヤです。トップ面右端に打痕、露出メーターの透明樹脂がかなり曇って針の視認がしずらい状態。

 

これね。両面を研磨してみましたが、多少の改善はしましたが、樹脂自体が白濁しているようです。まぁ、初期型の特徴?ということでそのまま使用します。

 

内部の巻上げギヤとクラッチ部は完全金属製です。ギヤの歯は以後のものより細目です。巻き上げの感触も樹脂のものよりメカニカルな感触です。

 

製造時期によってスローガバナーは幾つかの種類がありますが、初期型はヒゲゼンマイ仕様になっていますね。

 

問題の「B」バルブでシャッターを止めるレバー。ここの動きが悪いようです。

 

 

シャッターレンズは過去に分解清掃を受けている様でした。レンズはきれいです。ヘリコイドグリスの交換をして前玉を組み込みます。

 

距離リングをft表示からm表示に変更しておきます。

 

 

これで完成かなと思ったら、あら~、鏡胴を沈胴させてレンズを下に向けると下降する・・点検の時は気が付きませんでした。ガッカリ。

 

内周のフェルトが劣化しているのです。調整をして再組み込みします。

 

 

シューのレール部に変形がありますので修正をしておきます。部分は金属製で以後の仕様と異なりますね。裏蓋開閉レバーは初期型のタイプです。これ使いにくいです。

 

あと、圧板の仕様も異なりますね。ディンプル加工がありません。

 

 

仕上がってみれば良いコンディションの初期型です。初期型としてはレンズやファインダープリズムの状態が良好な個体でした。初期型が欲しい方へ。

 

 

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電池漏れが悪さするローライ35の巻

2020年12月18日 22時30分00秒 | ブログ

今回のロットは難儀が続きます。すでに次の個体に移っていますが簡単にUPしておきます。あら~、電池が入りっぱなしでカビのように結晶していますよ。これはダメージがありますね。

 

上から見ると接片が完全に粉を噴いていて導通はありません。また、メーターの追針を作動させるレバーが固着して動きません。

 

 

シャッターは完全に固着しています。シャッター羽根も張り付いたままです。

 

 

電池室の接片は完全に腐食していました。ニッケルメッキは完全に無くなっています。

 

 

作り直す時間が無いので今回は半田メッキで使います。

 

 

これも電池ガスの影響ですね。ネジ部が固着してレバーが動きません。従ってシャッターも制御できません。

 

幸い底部は損傷を免れていました。メンテナンスをしておきます。

 

 

絞り羽根の動きが異常に重いというか動かない。

 

 

羽根が抜けて来ませんよ。

 

 

ピポット部の真鍮が腐食して太ったためでした。

 

 

その他、色々ありましたが元は悪くない個体が電池の液漏れでどれだけ故障するかという見本でした。次も問題ありです。