その前に業務連絡。昨日メールを頂いたAki〇〇 Taka〇〇maさん。「表示できない形式」のため、セキュリティー上メールを開くことができません。せっかくお問合せでしたら残念ですので、普通に開ける形式で再度お送り頂ければ幸いです。よろしくお願い致します。で、遅れて来たPENマニアさんの今年最初のご依頼は三光PENですね。何度も手が入っていそうですね。ファインダーの接着剤はみ出しが気になります。
シャッターユニットの留めネジはこの頃は頭の小さなタイプですが、1本無くしてしまったということですね。
巻き戻し側の角が打痕で陥没しています。「治りますか?」とのことですが治りません。角は1トンのプレスで押し出しても出ません。無理をするとクラックが入ります。
画像より実際の方がはるかにばっちい。
他はそれほどでもないのですが、ファインダーブロックのダメージが大きいですね。この頃は対物レンズはプラ製なので、溶剤系の接着剤は厳禁なのよ。もう遅いけど・・本体に「ゴミ」って書いてあるね。工程の手直し品ですね。
何したのかな? 対物レンズのセットされる部分が折れて接着したあります。こんなところ折れるかなぁ? 人様のおやりになることは分かりません。
表面が風化して白くなったブロックを研磨して艶を再生しておきます。古い接着剤はなるべく削り落としておきます。
シャッターは特に問題はありません。シャッター羽根にも錆はないですね。ユニット式ではないガバナー機構を分解洗浄します。
巻上げ系とシャッターを本体に組み込んだところ。画像を忘れましたが、巻上げダイヤルカバーは初期の熱カシメではなく、それ以降のネジ留め式に変更されています。ということはダイカスト本体の金型も変更されているということです。三光のポイントのうち、一番早く変更された部分ということになりますかね。巻上げダイヤルの留めネジは正ネジです。
この個体で一番のウィークポイント。なるべく復元に努めます。対物レンズの下部に遮光紙を貼ります。
全体の遮光紙もヤレていますので新しく作り直しておきます。
角はこの程度でやめておきます。過ぎたるは何とか・・
カム板を載せて回転させると、うん? 嵌合がきつく「B」の手前で固着気味になる。部品精度がよろしくない頃の製品でも、組立の段階で嵌合調整をされて組んであるはず。使用過程で摩耗をした状態で嵌合がきついというのは外部からの応力によって変形した以外には考えられません。よくよく見るとカム板のメッキも劣化がないし、そもそも、COPAL-Xって変だなぁ? この頃はXの彫刻は付いていないはずだけどね。断定的なことは書きませんが、基本的に同じ図面で製作された部品であっても、製造時期によって公差の変更などにより微妙に寸法が異なって、嵌合の不具合が出る場合もあるんですよね。
死者に鞭打つようで申し訳ありませんが、この頃はこんな表示ですかね。メッキの劣化具合もこの程度が妥当で、この個体のリングはきれい過ぎるのですね。ついでに言うと、後玉も違うなぁ。たぶん・・
初期のPENはファインダーの対物レンズの四隅を墨塗りしていないため、接着剤が前面から丸見えになるので、接着は慎重に行わなければなりません。遅れて来たPENマニアさんには新年初めの個体としては残念な結果となりましたが、個体数を維持するためにはニコイチも仕方がないとは思います。